とある魔術の時空裂断 作:G.
嬉し過ぎる!!(笑)
これからも宜しくお願い致します。
では3話目、どうぞ
───第七学区、とあるビル
「ファーストミッション完了! ん~、シャバの空気は美味いぜ!!」
今ケイは学園都市第七学区にある、とあるビルの屋上にいる。
アレイスターの制止を聞かず……いやその言葉すら言わせもせず彼は窓のないビルから出発、初めて学園都市の土を踏む。
アレイスターに連れられて来たときは幼く、長旅の疲れもあって気付いたらビルの中にいたので碌に景色を楽しむ事ができなかった。
今思えば、逆にそれが今まで外に出たがらなかった理由に繋がるのかもしれないが。
外の誘惑を知らなかったからこそ、純粋にあの生活を楽しめたのだろう。
そんな感慨に更けていると後ろから声をかけられる。
「何アホなこと言ってるんだにゃー。」
「つっちー、お待たせ~!」
「お待たせじゃないんだにゃー! こんな危ない橋渡らせやがって、何かあったら末代まで祟ってやるぜよ!!」
「あはは、すまんすまん! まあ、つっちー的にも美味しい話なんだからいいじゃないか」
彼は土御門元春。今回の共犯者、にさせられた可哀想な男である。
金髪にサングラスにアロハシャツという怪しさ全開のこの男、実は科学の街学園都市とイギリス内部にある某魔術師組織の二重スパイ……らしい。
ケイとは窓のないビルに土御門がアレイスターに会いに来たとき偶然出会い、交流が始まった。
ケイとしてはスパイなぞどうでもよく、唯一の同年代で同性の友人であり、良き相談者である。
土御門としても最初こそアレイスターの秘蔵の息子として興味を持ち接近したが、今となっては自分を振り回す悪友であり、世間を知らないケイを弟の様に思い世話を焼いている。
そんなケイが内密に連絡をとってきたのだ。何が起こるにせよ、情報収集とブレーキ役という建前の基、悪友の力になりたいと思ったのは自然な流れであり、ケイも土御門であればこその判断である。
「全く、いきなり矢文が飛んで来たときは何事かと思ったぜい。内容も座標と時間しか書いてないし、一体何のようなんだにゃー?」
「家出てきた」
「……はぁ!? いやいやいや……はぁ!?」
「ははは、いいリアクションだね~。今朝親父に一人暮らしするって言って家出てきた! だから家探し手伝って~」
「」
余りにも予想外なケイの発言に土御門は膝から崩れ落ち、両手をついて地面に何やら呟いてる。
「お~、リアルにorzの格好になってる人初めてみたわ~」
「誰のせいだと思ってるんだ!! アホかお前は!? アレイスターの息子がホイホイ外出歩いてたらどんなことが起こるか位容易に想像できるだろうが!!! 良く奴も許したな!?」
「つっちー口調壊れてるよ~?親父には言うだけ言ってトンズラしてきちゃった☆」
「何可愛い子ぶってやがる! キモいんだよバーカバーカ!!」
頭が痛いと額に手をやる土御門に終始マイペースなケイ。
これまで何度かケイの暴走は見てきたがこれは過去最悪だ。しかもこれが悪ふざけでやっている訳ではないのだから本当に質が悪い。
───アレイスターの秘蔵の息子がいる。
その情報は科学サイド・魔術サイド共に極僅かな上層部しか知らない情報だ。
そんなトップシークレットの人間がホイホイ表を出歩いていてはアレイスターを良く思っていない人間にとって鴨が葱を背負ってるようなものだ。
最悪、薄氷の上で均衡を保っている両サイドの全面戦争になりかねない。
両サイドのスパイとして活動している土御門にとってこれ以上の面倒はないのだ。
だが───
「そんなに怒るなって~。つか俺相手にして勝てる奴何人いるよ?それこそ超能力者(レベル5)全員連れてくる位しなきゃ無理でしょ~。魔術サイドにしても以外同文。それに……恐らくこれも親父のプランの内だ」
そう、この少年ケイ=クロウリーもまた規格外の力を持っている。
稀代の魔術師アレイスター=クロウリーにその素質を見初められ、そのアレイスターに知識と技術を与えられし者。
その力は父親に及ばないものの、ケイに勝てるものなど片手で数えられる程ではないだろうか。
それに、この一人暮らしも利害一致によるものだ。止めるつもりであればとっくにアレイスターに連れ戻されているだろう。別段問題はない、とさらっと言い放つケイに最早諦めてこの状況を受け入れるしかないと土御門はため息をつく。
「ぐっ……はぁ。ったく、最後にさらっと爆弾発言しやがって。わかったぜい。で? 俺は何をすればいいんだにゃー?」
「流石つっちー、助かるよ! 先ずは住まいかな!! 出来れば店舗が一階にある場所がいいんだけど」
「店舗?何か店でもやるつもりかにゃー?」
「ああ。学校には行けないし、昼間暇してるのも何だから喫茶店でもやろうかと思ってさ」
ケイは今回の一人暮らしで完全に自立するつもりでいた。だがどうせ働くならば好きなことをしたいと思い喫茶店を選んだのだ。
土御門としても馴染みの店ができるのは嬉しい話だ。
学校帰りにファミレスでドリンクバー片手に溜まるのもいいが、洒落た店で珈琲を楽しむのもまた一興だ。
「へぇ~、じゃあオープンしたらご馳走してもらおうかにゃ~。で、予算は?」
「いくらでも。出来れば目立たず立地良いとこで!」
「思いっきり矛盾してるぜい。っか良く金持ってるにゃー」
「ふふふ、これを見よ!!」
「?普通のキャッシュカードだにゃー」
「親父のカードくすねてきちゃった☆」
「ぶっ!! 大丈夫なのか!? 後でトラブルとか勘弁だぜい!?」
「問題ない、借りた金ごと後でちゃんと返すわい」
これも働く理由の一つ。
あくまでも初期費用の為に借りるだけと勝手に拝借してきたのだ。
アレイスターとしても普段使わない口座なだけに、知らずに減っていても痛くも痒くもないはずだ。
まあ、親バカなアレイスターならば正直に話しても一つ返事で貸してくれそうだが、これ以上恩や借りを作ったら返しきれなくなってしまう。それだけは却下だ。
「まあ、奴はケイに激甘だからにゃー。じゃあ、先ずは金卸しに行こうぜい」
土御門が提案するとケイは嬉しそうに頷き、二人は街に繰り出すことにした。