ゆめのまちanother『くるみのゆめアール大作戦』   作:TAMZET

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マネマネ戦2戦目です。
希望の糸が見え始めてきたかも?


第十四話『VSマネマネ2』

 マネマネ達とブンビー、ローズが戦いを続ける傍、それぞれの行動を続けていた者達がいた。

 パルミエ王国の王子達、ココとナッツである。

 我修院サレナに囚われていた彼等だが、妖精化する事により、狭い鉄格子の幅を抜ける事ができたのだ。

 状況が分かっていない彼等は、プリキュア5を助けるため、とにかく研究所内を走っていた。

 

「やっと出れたナツ! ココ、また太ったナツ! お菓子の食べすぎナツ!」

「ク、クォクォ……すまないココ……」

 

 ナッツの言葉通り、二人の歩幅には差が現れ始めていた。

 ココは汗だくになりながらも走る。

 走る……走る…………

 

「ま、待つココ……足が……」

 

 体力に限界が来たのか、ココは壁に手をつき走るのをやめた。

 壁の向こうに何か広がっている……? 

 ココが目を凝らすと、そこにはマネマネが作り出した闘技場の世界があった。

 ローズが奮闘している様子が、ココの目に飛び込んできた。

 

「アレは、ミルキィローズココ! ナッツ! 戻ってくるココ!」

「何ナツ!?」

 

 戻ってきたナッツが壁の奥の異世界に目をやる。

 ナッツとココは互いに顔を見合わせた。

 自分達が為すべき事、それは言葉に出さずとも分かっていた。

 


 

 ミルキィローズとマネマネの戦いは続いていた。

 マネマネはミルキィローズに変身して応戦している。

 両者の力は本来なら互角……だが、これまでの戦いの中で度重なる傷を負ったローズとほぼ無傷の黒マネマネでは勝負にならない。

 ローズにとっては、これは変身解除との戦いであった。

 ぜえぜえと肩で息をするローズに向けて、ローズマネマネは容赦なく蹴り込む。

 ブーツのつま先がローズの鳩尾にめり込んだ。

 

「かふっ……」

 

 声にならない声が漏れ、ローズの体勢が崩れる。

 だが、倒れない。

 ローズマネマネは口元を歪め、さらに勢いよく連打を繰り出した。

 肘が、膝が、拳が、つま先が、ありとあらゆる人体の角が、ミルキィローズの全身を攻め立てる。

 ローズはそれらの攻撃を受け、防ぎ、守り、流し、躱し……辛うじて急所だけは守り続けた。

 一撃一撃が変身解除との戦いの中で、彼女は歯を食いしばって耐え続ける。

 

「これがミルキィローズの力! 悪くありません。あの時あなたがこの力を持っていたなら、私ももう少し苦戦していたでしょうね」

「カワリーノ…………アンタ……はあっ……あの時……負けた、じゃない! 負けて……いなくなった!」

「いいえ? 私はあの後、絶望の淵を彷徨いました。そこは、暗く長い道。何度も己の命を絶とうとしましたが、それも叶わずっ!」

 

 ローズマネマネは大きく脚を引き、鋭いローキックを繰り出した。

 ローズは腿で受けた。

 彼女の体勢が、大きく崩れる。

 もう体力の限界などとっくに超えているのだ。

 間髪入れず、嵐の連続攻撃がローズを襲う。

 歯を食いしばり、彼女は耐え続ける。

 

「しかし、光が見えたのですよ。そこから抜け出した時、私は……」

 

 ローズマネマネは顎へのストレートを放っていた。

 しかし、その攻撃は途中で止まった。

 マネマネが動かなくなったのだ。

 

「……っ? はあっ……はあっ……」

 

 ネジの切れた機械のように、ローズマネマネはその場に停止している。

 

「……私は? どうしたのだ?」

 

 マネマネは隙だらけだ、今やどんな攻撃も入るだろう。

 だが、ローズもまた身体が限界であった。

 拳を打ち込む体力さえ残っていない。

 このまま敵が動かないのなら、バタリと倒れてしまいたい。

 汗だくの身体が、軋む……

 視界が……暗く……その中で……何かが動いた。

 

「隙ありッ!!」

 

 ローズの眼前で、マネマネが吹き飛んだ。

 ローズマネマネの懐に拳を見舞ったのは、ブンビーだった。

 驚くマネマネに構わず、連続攻撃で体幹を崩してゆく。

 

「ブン…………ビー…………?」

「トドメの一撃ィィ!!」

 

 ブンビーさんの後ろ回し蹴りが、マネマネの身体を吹き飛ばした。

 その壁へと吹き飛ぶその身体を、赤青マネマネが受け止める。

 

「やりますね、ブンビーさん」

 

 意識が戻ったのか、マネマネの表情に不適な笑みが張り付いた。

 ローズは霞む視界で、なんとかその様子を捉えていた。

 後ろ手に忍ばせたミルキィパレットを、ローズは握りしめる。

 打てる技はせいぜいがあと一発。

 なら、その一撃に全てを賭ける。

 そんな心意気で、ローズは機を伺っていた。

 

「相方の息も上がっている。もう捨てた方がいいんじゃないですか? ミルキィローズは」

 

 悔しながら、ローズは言い返せなかった。

 もう本当に立っているのがやっとなのだ。

 流れでる汗が、水たまりを作っている。

 両足が震え、腕の筋肉は小刻みに痙攣している。

 ブンビーは彼女を一瞥し、背に庇った。

 

「ふふ、相変わらず不合理ですね」

「悪いね。どんな出来の悪い部下も、面倒見てやるのがブンビーカンパニーの社訓でさ」

「それって第何訓でしたっけ?」

「今決めた、第一訓だよッッ!!」

 

 ブンビーはそう叫ぶと、ローズマネマネに突撃した。

 拳を大きく振り上げた、テレフォンパンチであった。

 マネマネは膝を立て、その攻撃を受け止める。

 マネマネの表情が邪悪に歪んだ。

 ブンビーの横を、桃と青のマネマネが走り抜けたのである。

 

「しまった!」

 

 ブンビーが振り返った時には、既に2体のマネマネは両腕を振り上げていた。

 ミルキィローズは動かない。

 攻撃が命中したかと思ったその瞬間……マネマネの身体が弾き返された。

 二つの巨大な光の盾が、ローズを守ったのだ。

 

「ローズ!」

「助けに来たココ!!」

 

 盾の正体はココとナッツであった。

 かつてエターナル館長と戦った時にも発現した二人の力が、ローズを守ったのである。

 ローズは言葉を発する余力も無いのか、僅かに微笑んだ。

 

「パルミエ王国の国王達!? この期に及んで邪魔をするのですか!!」

 

 驚くローズマネマネを尻目に、ブンビーさんが躍動した。

 ローズマネマネを桃青マネマネの所に吹き飛ばしたかと思うと、右手の銃口を向け、銃撃を乱射したのだ。

 激しい銃撃に、3体は釘付けになっている。

 ブンビーは彼等を攻撃しながら、背後のミルキィローズに叫んだ。

 

「しめた! ミルキィローズ! 必殺技で一掃してやれ!」

「……っ!! 分かったっ!」

 

 ローズは地面を穿つ程に両足を踏み込み、構えを取る。

 その双眸は、黒マネマネを鋭く睨みつけている。

 

「ナッツ! ローズに!」

「分かってるナツ! ミルキィローズに力を!」

 

 ナッツの祈りに応え、パルミエ王国の王冠がローズに力を与える。

 ローズの持つミルキィパレットは、ミルキィミラーへと変わり、凄まじい光を放ち始めた。

 

「邪悪な力を……はあっ……包み……込む……!」

 

 一瞬……ローズの中で、そこまで張り続けていた意識の糸が切れた。

 それはマラソン中、それまで動かしていた脚に力が入らなくなる感覚と似ている。

 強い意識があれば、持ち直す事ができる。

 だが、そこで倒れてしまえば……自力で立ち上がる事は困難だ。

 そのショックの最大級がローズを襲った。

 視界を暗闇が覆い尽くしてゆく感覚。

 どれだけ頑張っても、その闇が晴れなくて……その内身体の力が全部入らなくなって、考えることも……

 

『そしたら……必ず、起こしにきてね』

 

 どこかから聞こえてきた言葉。

 ドリームの声だ。

 それが、途切れかけていた彼女の意識を現実へと引き戻した。

 緩みかけていた手に力を込め直し、ローズは詠唱を続ける。

 

「………………ッッ!! 煌めく薔薇を咲かせましょう!!」

 

 ローズの詠唱に応え、ミルキィミラーは鋼鉄の薔薇の花弁を無数に生み出した。

 無数の花弁はやがて一つの薔薇を形作り、ミルキィローズの背後で鎌首をもたげる。

 

「ミルキィローズゥッッッ!! メェタルブリザードォッッッッ!」

 

 肺の中の空気を全て絞り出す絶叫と共に、ミルクは鋼鉄の薔薇をマネマネ達へと解き放った。

 薔薇は凄まじい勢いでマネマネ達を飲み込み、悲鳴すら上げさせる事なく彼等の体を飲み込んだ。

 ナイトメアの闘技場に薔薇の花弁がはらはらと散る中で、ローズはついに力尽き、変身を解除した。

 ボロボロになり、あちこちが擦り切れた彼女の身体を、ココとナッツが支える。

 ミルクは萎んだ目を懸命に開こうと頑張るが、どうやら何も見えないのか、やがて諦めて目を閉じた。

 

「か、勝った、ミル……?」

「そうナツ。良くやったナツ」

「もう動かないでいいココ! 休んでいいココ……」

 

 ミルクは2人に支えられ、闘技場の壁へと寄りかかった。

 ポシェットの中には、レモネード、ミント、ルージュの3人の夢の蕾が輝いている。

 

 

「ナッツ様…………昨日は……ごめんなさいミル…………ミルクがみんなに……迷惑かけたから……」

「その事はもういいナツ! 謝らなきゃいけないのは、ナッツの方ナツ! こんなにミルクが苦しい思いをしてる時に、ナッツは何も……何もできなかったナツ……」

 

 塞ぎ込むナッツの肩を、ココがポンと叩いた。

 ナッツは涙目で彼の方を振り返った。

 ココの表情は、包み込むように暖かかった。

 

「もう戦いは終わったココ。ナッツがミルクに会おうと頑張ったからこそ、ミルクを助ける事ができたココ!」

「そう……ミル……。ナッツ様は何も……悪くない……ミル……それよりも……のぞみ達を……」

 

 夢の蕾は、残り二つ。

 取り返さなければ。

 ミルクは大きな耳を支えに無理矢理立ち上がると、未だ煙に覆われる闘技場の一角へと目をやった。

 あそこに夢の蕾がある。

 早く、行かなければ。

 だが、ミルクは見てしまった。

 煙の中から、巨大な影が立ち上がるのを。

 その影の中に、虹色の光が輝いているのを。

 

「これは……」

「ゆめペンダントの、光ナツ!」

 

 煙の中にあるのは、明らかに夢の光である。

 だが、あそこにいるとすれば、マネマネ以外あり得ない。

 膨らむ疑念に、煙の中の影が答えを返した。

 

「私は、あの時、暗闇から出たいと願った。ここがどこかも分からない、私が誰かも分からない。だが、私が願う夢はただ一つ!!」

 

 巨大な叫びと共に、影を覆う煙が晴れた。

 そこにいたのは、ビル3階分はあろうかと思われる、一体の巨大な怪物であった。

 二体のマネマネコピー、そしてスマホコワイナーと合体したマネマネは、凶悪な怪物の姿へと変貌していた。

 腹にスマホの画面とコワイナーの仮面をつけた、四面八手の怪物である。

 頭頂にある巨大な狐の顔が、ミルク達を見下ろした。

 

「プリキュアへの復讐!! それが私の夢!! そして、スーパーマネマネ! これが私の、真の姿です!!」

 

 これまでの知略に頼ったマネマネとは違う、圧倒的な暴力の形態。

 その絶望的な力を前に、ミルクはへたり込んだ。

 脚を支えていた希望が、崩れ去ったのだ。

 ブンビーさんもまた、怪物を前に絶叫していた。

 

「ぎゃあああっ!!? わた、私のおニューのスマホがああぁっ!!」

 

 二つの絶望を前に、マネマネは高らかに笑う。

 まるで勝利宣言でもするかのように。

 

「これで分かったでしょう? 夢も持たず、プリキュアでもないあなたでは、プリキュアの力までもを手にした私には……決して勝てない!」

 

 圧倒的な絶望を前に、戦う4人の戦士。

 既に体力は尽きかけ、満身創痍である。

 それでも……

 

「それでも……ミルクは諦めないミル。のぞみはミルクを信じてくれたミル……だから、絶対諦めないミル!」

 

 既に心は折れかけていても、それでも彼女は立ち上がった。




マネマネがついに最終形態に。
ここからの逆転劇、あるんでしょうかね?
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