気が付くと、目の前には驚きの光景が広がっていた。
一昔前にはRPGの定番とも言えた、中世舞台のファンタジー。
そうとしか形容できない街並みと、雑多に行き交う住民達。
それに何より、マナの濃密さ。神秘の薄れた現代では考えられない。それこそ神代にも匹敵するかも知れない。
「なるほど、たしかに異世界だわ。」
これまた驚いた事に、受肉を果たした状態で現界していて、最大の懸念事項が解消されていた。
オマケに掌には紙1枚、良く分らない肖像画と1000の数字が書かれている事から多分軍資金なのだと推測する。
「・・・まったく、至れり尽くせりのサービスね。」
あの女神は冒険者ギルドにいってカードを作って貰えと言っていた。そして、魔王討伐の暁には
よし!そうと決れば前進あるのみ!!
ちょうどそのとき、如何にも冒険者な風体の男達が通り過ぎた。
ギルドに報告を~と言っている。彼等の後を付いていけば冒険者ギルドに辿り着けそうだ。
やって来ました、冒険者ギルド!
意気揚々と扉を開けると、清々しいくらいにテンプレ通りな内装で、むしろ感動すら覚える。
やや奥まった位置にあるカウンターに行こうとすると、視線が集まり、ささやかながらざわめきが起こる。
まあ確かに、見た目10歳程度の美少女(しかも結構きわどい露出の衣装)が一人で、となると流石に目立つみたいだ。
「冒険者ギルドへようこそ。えっと、お嬢ちゃん一人かい?」
「ええ。冒険者になりたいの。でもつい最近この街に着たばかりだから、未だ勝手が良く分らないの。」
「なるほど、登録手数料が必要なんだけど、大丈夫かい?」
「これで足りるかしら?」
「うん、千エリスちょうどだね。…コホン。それでは改めまして、冒険者ギルドへようこそ。これから冒険者について、軽く説明させていただきます。」
(ふんふん。説明を聞く限り、まんまRPGね。)
そして書類に必要なパーソナルデータを記入し、滞りなく受理された。
「はい、問題ありませんね。ではこちらのカードに触れてください。それで貴女のステータスがわかりますので、その数値に応じてなりたい職業を選んでください。」
そもそも、クロエはエミヤのデミ・サーヴァント同然なのだから、身体能力は人間の領域を凌駕している。
え?
魔力にしたって、完全に受肉しているため燃費は大幅に改善されている。
だから、選択可能な職業は数多に及ぶ。選り取り見取りだ。
冒険者・・・基本中の基本の職。専門職の様にステータスのプラス補正は無いが、その分レベルは上がりやすいし、スキルポイントさえあれば無限に
アーチャー・・・そもそも
ソードマスター・・・投影宝具の憑依経験がある以上は、やっぱりわざわざ選ぶ旨味は無さそう。
クルセイダー、アークプリースト・・・聖職者なんてガラじゃ無いし、なにより神への信仰心なんて持ち合わせていない。
アークウィザード・・・超魔法特化職。特化とは言え、身体能力値が下方修正されたり、既に習得している近接戦闘系スキルが使えなくなる、とかの心配は無いらしい。
悩んだけど、アークウィザードに決めた!
「アークウィザードですね?――では、クロエ・フォン・アインツベルン様。ギルドのスタッフ一同、今後のあなた様の活躍をきたいしています!」