クロエはカエル殲滅の報告のために意気揚々とギルドに赴いたのだが、そこで
どうやら、と言うかやっぱりやり過ぎだった。
何しろ半日足らずで斃したカエルの総数は100オーバー。その内6割程が跡形も無いか、原型が残ってないくらいグチャグチャで食用に回せない有様。3割弱が肉が傷んでいて、味質の低下が免れない状態。真面なのは1割ちょっと。
御陰でトードスレイヤーなんて二つ名が定着しそうになっている。
いや、わたしどこぞの四方世界の銀等級冒険者じゃ無いんだけど!?
それから、暫くは冒険者として活動するにあたって制限が課せられる事になった。それは、先輩冒険者とパーティーを組む事。しかし、ギルドの職員は暫しの間、人選に悩む。
如何に高ステータスの上級職であろうとも、クロエはまだ11歳の少女であり、つい先日冒険者になったばかりである。やはり先導役が居た方が誰にとっても今後のためになる。
ギルド職員が候補に挙げたのは2人。両者共に、面倒見の良い女性冒険者。
1人は、人格面でも品性方向な淑女で、かつては氷の魔女と謳われた歴戦のアークウィザード。普段は魔道具店を営んでおり、柔和で気立ての良い店主として親しまれている。
もう1人は、気風の良い姉御肌な、期待の若手盗賊。最近は貴族令嬢と思しき
先導役としては女性アークウィザード同士で
ギルド職員が悩んでる間、クロエは冒険者カードの確認していた。そこでクロエの冒険者カードの習得可能スキル一覧に新たな項目が増えていることに気付いた。
『聖杯拡張』『錬鉄向上』
(朝までは無かったのに、今になって出現したのは何故?カエルを倒してレベルが上がったから?わたし自身がこの世界に馴染んだから?チュートリアル完了で開放された?う~~ん、わかんないや)
取敢えず新たに得たポイントを含めて全部のポイントを5:5で振り分けていく。
これによってクロエの能力値は、イリヤと分離して性能を分割される前、黒化セイバーと戦った時に勝るとも劣らないレベルとなった。
クロエは
なんだか若干値切られた感じがして腑に落ちない部分もあるが、まさか最初に持たされていた登録料の1000エリス分だというのだろうか?
「まあ、本来ならあのまま消滅してたワケだし?至れり尽くせりとまでは言えないけど、受肉して異世界転生の時点で充分に奇跡の大サービスなんだから、文句言っちゃ罰当りか…」
そう考え、呑み込む。
その時、不意に強大な力を感じ取る。
それは魔力というにはあまりに強大すぎた。甚大で、重厚で、濃密で、そして清浄すぎた。それはまさに神気だった。
「!?!?――この気配は、あの女神!?・・・一体、どういう事…?」
クロエは唐突な緊急事態に頭を抱え、暫し煩悶する。
そして、ギルドに見知った女神が少年と共にやって来た。
「いいかアクア、一先ずは冒険者ギルドへの登録と最低限の装備を調えられる程度の軍資金の調達、そして宿泊場所の確保までは今日中に進めるぞ。」
「分ったわ。とりあえず私も冒険者として登録すればいいのね?」
「そういう事だ。よし、行こう!」
二人は意気揚々と受付の列に並ぶ。しかしこの二人には、冒険者として登録するには致命的に足りない物が在った。
受付嬢のルナが、ある意味死刑宣告にも等しい言葉を吐く。
「では登録手数料が掛りますが大丈夫ですか?」
そう、この二人は全くの無一文だったのである。
この光景を目の当たりにして、思わず目を逸らしてしまったクロエはきっと悪くない。
その後、たまたま居合わせたプリーストに対して意気揚々とお金を集る様は筆舌に尽しがたく、更にはその
ちょうどそのタイミングでギルド職員から声をかけられた。件の先導役の冒険者は、どちらも今日は都合がつかないらしい。なので、明日の昼過ぎくらいにまた来て欲しいとのことだった。
そういう事なら仕方ない。とは言え、やるべき事はたくさんある。今日の処は街の探索と、宿泊場所の確保。明日の午前中には入り用の小物類の調達を済ませたい。大忙しだ。
クロエのパーティーメンバー
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ウィズ ゆんゆん 番外編比率多めルート
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クリス ダクネス 基本本編沿いルート