第76話 軽四気筒同士の火花
榛名山 麓
「飛鳥さんとですか?」
「そうだよ。シエルの車・・・・あそこに駐車してあるセルボなんだろ?」
「ええ。あのセルボは私のマシンです」
「僕はダイハツのミラに乗っている以上ライバルメーカーである『鈴菌』カーとのバトルは避けては通れないよ?」
「『ダイキチ』自動車に乗っているのであれば良いでしょう。スズキはダイキチに勝てない事を教えてあげますよ」
「アンタのセルボはF6Bか?」
「ええ。貴方の言う通り希少の四気筒となります。飛鳥のミラ、違うエンジン・・・・ですよね?」
「シエルの言う通り本来とは違うエンジン。僕のミラはね・・・・・JB-DETエンジンに載せ換えてあるのさ」
「なるほど・・・・コペンかL900型とL152型のムーヴで搭載されていたエンジンにするとは・・・・これなら期待は出来ますね」
「期待には裏切らせやしないよ」
言いたい事を言った飛鳥とシエルはお互い自分の車へ向かい、車に乗り込んでからエンジンをかけてスローペースで上る。
2台が上りでスローペースという事はヒルクライム勝負じゃなくて、ダウンヒルでバトルをする気であろう。
麓 ツバキサイド
「さっきカガリが言ってたF6Bエンジンというのは私のカプチーノのF6Aエンジンとどう違うの?」
「お前のF6Aとシエルって言う奴のセルボのF6Bはほぼ同じと言ってもいい。しいて言えばF6Aは3気筒でF6BはF6Aを4気筒エンジンにしたようなもだからパーツは共有出来るからな」
「軽自動車の4気筒はてっきりソーマ・ピーリスのコペンだけかと思ったわ」
「ダイハツのコペン以外にもスバルや三菱も軽の4気筒エンジン作ってたぞ」
「え!?そうだったの!?お恥ずかしながら私、今初めて知ったわ・・・・・スバルはヴィヴィオかしら?」
「スバルの軽は以外にもあるから割愛させてもらうけどヴィヴィオのRX-RとプレオRSが4気筒。それにスバルはスーパーチャージャー仕様なんだ」
「ダイハツやスズキはターボを使っているけどスバルはスーパーチャージャーを使っているのね」
榛名山 頂上
飛鳥のミラとシエルのセルボが横2台並んでから空吹かしを開始し、その最中にシノアがバトルする事に察してカウントを始める。
「カウント行きますよ〜5、4、3、2、1・・・スタート!」
シノアのGOサインしたのと同時に2台の車がロケットスタートを決め、微量ながら少しずつ飛鳥のミラが前に出て、シエルのセルボは後追い
「JB-DET・・・・日本で64馬力、660ccに規制されてるにも関わらず化け物エンジン。規制されてない海外輸出仕様は80馬力になり、本格に弄れば弄るほどよりモンスターになる恐ろしい仕様になる」
「JBはトルクが太い。スタートダッシュで勝つ事は目に見ていたんだ。問題は複合コーナーと五連続ヘアピンが怪しい。鈴菌は足回りが良くダイハツはアンダー強なんだ・・・・」
いよいよ二台が左第一コーナーに進入し、飛鳥はアクセルベタ踏みのまま左足でブレーキの加減をコントロールする事に対してシエルはコーナー進入時セルボが滑ってスライドしながらクリアした。
第一コーナークリア後に飛鳥はいち早くシエルのセルボに違和感を感じ、スローダウンしてどの仕様に仕上げているか知りたいが為に飛鳥は自分のポジションをシエルに譲って先行を許す。
「後ろのセルボの挙動どう考えてもFFでも無く、4WDとも思えない。前だとちゃんと見れなくて集中出来ないからね・・・・前に出てもらおう・・・」
ストレートでは飛鳥が勝っている為張り付来そうな所で減速して速度と車間距離をキープさせながら駆け抜ける。
「コーナー攻める時によくスライドしながら突っ込んで何のブレもなく綺麗に対処している。もしかすると元々は4WDだったのをFR化にしたというのかい?FFや4駆だったら簡単にスライドする筈がない・・・・・恐らく僕の推測からすると公認のFR」
「あのミラ中々やりますね。走りに無駄が無く、左足ブレーキを完璧に出来ている。日頃から相当やり込んでいると言っても過言ではありません」
スケートリンクロングストレートに突入してからアクセルを完全に開けた飛鳥、アクセルをベタ踏みをするシエル。
何故飛鳥は抜いたのだ?
シエルは概ね察知していながらお構い無くアクセルベタ踏みして走り、距離が離れてから飛鳥はそれを待っていたかのようにアクセルをベタ踏みを開始する。
スケートリンクを通った後のコーナー手前で一気にミラとセルボの距離が一気に縮みながらコーナー突入。
「なるほど・・・・意図的に車間距離空けたのはストレートではミラが勝っているという事ですか。ツバキ=ヤヨイとバトルする事を考えてタイヤを下手に消耗させる訳には行きません。早いところコーナーで勝負つけたいのですがそうは行かないようで・・・・」
「ここからの複合コーナーはサイドブレーキを2、3ノッチ引かせてアンダーを掻き消すよ。コーナーで勝負着けようと考えているかもしれないけど、そう簡単に終わらせる訳に行かないんだ」
「張り付かれたとは言え、そこでカッとなってタイヤを無駄に消耗させてしまったら元も子もない。無視する事に専念すれば良い」
「この複合ステージではっきりした事がある。僕の推測通り4WD改FRの公認仕様だという事にね。それにしてもシエルは良い車を作るよ。腕もね。このままツバキとバトルしても通用するレベルと言っても過言ではない」