公道最速伝説   作:迅海

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第80話 殺風景な峠

次の日の夜 いろは坂

昨日の夜に千聖とカジュンはいろは坂に行く事を約束し、目的地に辿り着いてコースの下見へ。

しかしカジュンは初めてでまだ知らないコースをいきなり全速力で駆けたら大事故になりかねないので一般道と走る同じ速度でよく観察し、ある程度下見を済んでから驚く事が山ほどあった。

 

いろは坂 頂上

「地図でいろは坂が2つある事に違和感ありましたが、実際に行ってみて納得しましたの。此処の峠が一方通行で上り用と下り用にそれぞれあるという事に。上りの方はそれなりに走れる気がしますが、私のAZ1は非力の660ccで勝負になりませんわね・・・・下りのいろは坂はありとあらゆる連続ヘアピン三昧ですわ!!」

 

「そうね。下りは相当気力と体力を使うと思うわ。ジムカーナに勾配を着けたようなものだけれど、此処を速く走らせる事は相当ジムカーナで鍛えている筈よ」

 

「とてじゃないですが、下りでバトルは勘弁して欲しいですわ・・・・それにしても今までの峠とは違っていろは坂の本当にギャラリーが無人ですわね・・・・箱根や妙義ではこんな殺風景見た事無いですの」

 

「いろは坂の走り屋は今までの峠とは違って本格的に走り込んでいるドライバーのみしか来ないのよ」

 

千聖とカジュンが話しをしている間に漆黒のS14前期型がやって来てから駐車後にS14から降りたドライバーの特徴は黒髪のハーフツインの少女はカジュンと千聖の元へ向かった。

 

「あんた達さ此処で走っているランエボ知らない?」

 

「いえ、見てないですね。初めて此処を走っていたのですが走り屋の様な人とは誰一人見ていません」

 

「申し訳ないのですが、此処のランエボは知りませんわ」

 

「あっそ・・・・暇だからふゆと走らない?あんたの車軽なんだし第1いろは坂(ダウンヒル)にしてあげるけど?」

 

「それで良いですよ」

 

「じゃ、決まりね」

 

「カジュンちゃん、成り行きで申し訳ないけどAZ1借りるわね」

 

「仕方ありませんわ。ま、千聖さんなら容易に乗れるでしょうけど」

 

黒髪の少女は自分のS14へ乗り込み、カジュンは自分のAZ1の助手席、千聖は運転席に乗り込んでから車を動かし、第一いろは坂のスタート地点へ向かう。

スタート地点の目印であるガソリンスタンドのエネオスに辿り着いた後2台はアクセルベタ踏みしてバトルを始める。

スタートダッシュでは2リッターであるS14がグングンAZ1との差が開いてS14のミラーからAZ1が居なくなってしまう。

 

「ストレートはふゆがダントツ上なんだけど此処からがAZ1のスイッチが入るから厄介事になる」

 

「流石2リッターのエンジンね。でもコーナーに突入してしまえばこっちに勝機があるかもね」

 

差が大きく開いたS14が先に序盤のS字コーナーを突入し、遅れてやって来た千聖もS字コーナーに突入。

S字コーナーに突入してからボディの軽さと馬力の少なさでS14とAZ1の距離が一気に詰まる。

 

「チッ!軽自動車はコーナーが速い。ボディの軽さで鋭く攻められるわ」

少女は思わず舌打ちをするも、第1ヘアピンでS14が呆気なくAZ1に抜かれてしまった。

序盤のS字コーナーだけで無く第1ヘアピンで抜かれた事にもよりイラッとし出すもその少女は気持ちをリセットし、今は後ろで我慢する事に専念。

 

「AZ1のより小さいボディだから成せる技だけどこれがシルビアと言った白ナンバーのボディサイズだったら大惨事になりかねないわね」

 

「いくら小さなAZ1でも私はこんな事出来ませんわ・・・・流石と言いますか、日頃MR車を乗っている事だけあって綺麗にコントロールしますわね」

 

「フォードGTはとても癖のある車で乗りこなすのに大分かかってしまってね。それに比べてAZ1とても楽に運転させてもらっているわ」

 

「貴方といいツバキといい私達とは感覚が違いますの・・・・」

 

第1ヘアピンをクリアしてからAZ1とS14の距離差が逆転した事に千聖は違和感を覚えた。

つまり少女は意図的にアクセルを緩めてAZ1とのマージンを与えている。

なぜなら距離が詰まった状態で走ると少女にとっては自分の思い通りに走る事が出来ず、イライラしがちになるからである。

 

ーいろは坂はヘアピンクリアすればストレートになるという繰り返しでストレートになればふゆが突っついてフラストレーションが溜まんのよ。そんな事なら距離開けた方が良いでしょ?ー

 

「これで『白旗』という訳では無い・・・ですよわね?」

 

「あの子は意図的にアクセルを抜いたと私は見るわ。このいろは坂はヘアピンクリアすればストレートという繰り返しが激しいの。ストレートで追いついて突っつく事しか出来ないイラつきで集中力が切れてしまうと判断したからでしょうね」

 

「それにしても此処はギャラリーしている人すらいませんわね・・・・・夜の峠なら普通走り屋がいてギャラリーもいるのが普通なのにいろは坂は違いますの・・・・あのS14の方はいろは坂の走り屋1人でして?」

 

「いえ、あの子は知らないわね。でもランエボの事を知っていたのだけれど一体何かしら?」

 

序盤中盤はヘアピン後のストレートの繰り返しが激しいセクションでS14の少女は何もアクションを起こしてない為2台の車はお互いやり過ごす。

だがしかし、剣が峰前のヘアピン後にいよいよS14の少女が本気を出す。

 

ーヘアピンがまだあるけど此処いらで本気出すわよ。残りわずかのこざかしいヘアピン過ぎれば3つの橋に入ればパワーの差でケリをつけてやるんだから!!ー

 

「いよいよS14が本気出してくるわよ!」

 

「そう見たいですわね!恐らく3つの橋を狙っていますわ!!」

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