どうも、ワッタンです。
今回も難産、体調が悪かった、以上。
それでは、最新話をどうぞ。
降り注いでいた夏の陽射しは秋に向けて日に日に弱まって行き、幾分か外でも比較的に過ごしやすい時期。
そんなに時期ともなれば、暑さという外的要因もなくトレーニングに集中できるというもの。
だから練習場は真夏の日より、人が多い.....のだが今日のこの日だけはそうではない。
何故なら今日は夏休み最終日
『トレーナー!! お願い、助けてー!!』
『だからあれ程やっておけと言ったじゃないか、ウララ....』
『スズカさーん、お願いします!! 宿題を助けて下さい!! 』
『こういうのは自分でやらないといけないと思うんだけど....ほら、分からない所は教えてあげるから』
遊びに呆けていた者、トレーニングに明け暮れていた者、後回しにしていた者、そもそもがその事なんて頭からすっぽりと忘れていた者。そういった生徒達が朝から慌てていて、同室の子に泣きついていたり、トレーナーに助けを求めようとしていたりと。
程度の差はあれど絶え間ない悲鳴が、トレーナー、ウマ娘関係なくトレセン学園に響いていた。
つまりこんなトレーニング日和なのに練習場に普段よりも人が少ないのは、学生の風物詩、『夏休みの課題』に追われているからだ。
そんな現在阿鼻叫喚のトレセン学園内で、アタシはというと。
「よし、今日のトレーニングは終わろうか。一応明日から新学期だから体を休めておけよ」
「ん、分かってる」
普通にトレーニングをいつも通り行っていた。
どこかの記事で見かけたのだが普通の中高生の大体は、夏休みの宿題を夏休み後半に終わらす傾向があるらしい。
かく言うアタシも去年までは、流石に最終日までには終わっていたが、後半の方に一気に宿題を片付けるさながら、脚質追込みタイプだったのだが。
『おーいタイシン、トレーニングのスケジュール作るから宿題どれだけ出たか教えてくれ』
とトレーナーにそう言われ、宿題の一覧が載った用紙を見せて返ってきたのは、
「宿題を夏休み後半までに終わらせつつ、トレーニングをするというスケジュール表」だった。
流石のアタシも....、というか他の同年代の子達もトレーナーに何かを言い返しただろう。
(いくら何でも小学生じゃあるまいし、それは過保護すぎではないかと)
だけどアタシは──、
『....はい、はい、分かった』
言い返せなかった。
原因はこの前のゴールドシップの件。あの時、彼女が言った言葉の意味をずっと考えていた。だけど、考えても──トレーナーがアタシと夢を追いかける以上の意味が分からなかった。
普通にその答えをトレーナーに聞くという考えは.....何となくそれは違う気がした。ゴールドシップが言った通りこれは自分で考えないといけない、だから少しでもトレーナーが思ってることを理解する為に敢えて、そのスケジュールを容認した。
だけどそれは失敗だった。あくまで『天才』と言われるトレーナー基準で作られたスケジュール表。
結論から言うと死にかけた。
トレーナーが作ったスケジュール表は確かに宿題を直ぐに終わらせることはできたが、一日の宿題配分がおかしすぎた。問題集一冊分をトレーニングを終えた後で五日で終わらせるというのは、流石にふざけていると思う。いやまあ、気合いで乗り切ったけども.....。
おかげで今年は、宿題脚質追込みタイプから、先行タイプとなり、こうして今日のように涼しくなる夏休み後半にトレーニングに集中する事が出来たのだった。
──ピリリ、ピリリ
練習を終え、タオルで汗を拭いているとトレーナーのポケットからスマホの通知音が鳴る。スマホを取り出しトレーナーがスマホをスイスイと操作していく。そして表情は段々と顔をしかめていく。
──少し気になる。
「.....何かあったの?」
トレーナーのその表情に少しだけ、好奇心が湧きトレーナーに話し掛けた。
「あー、会議の連絡。 ほら、明日から新学期だし何か教員以外にも、トレーナーの方でも会議があるらしいから」
「ふーん、そうなんだ....」
トレーナーのその言葉で先程の顔をしかめていた理由と結びつく。
アタシに言ったように、トレーナー自身も新学期が始まる前日は普通に明日に備えて体を休めたかったに違いない。でもそんな所に会議の連絡。それだけで顔をしかめるのには十分だろう。
「ああ、まあ仕方ない、これが悲しきサラリーマンの定め」
そんな事をぼやきながらスマホをポケットに入れなおすトレーナー。
というかそもそも、トレーナーの職業はサラリーマンなのだろうか、そんなどうでもいい疑問が頭をよぎるが口には出さない。
「そんな事を言う暇があるなら、早く帰って会議の準備しなくていいの? 」
汗を拭く手を再開しトレーナーに話し掛ける。
「ああ、そうするよ」
そう言うとトレーナーはそそくさと帰る準備を整え終え、帰る準備をしているアタシに向けて一言、
「あ、それとタイシン、明日はいつも通りトレーニングだけど、明後日も会議があるから一人でトレーニングするっていう事を頭に入れといてくれ」
「ん、了解」
そう言葉を返すと、トレーナーは颯爽という言葉が似合うような速さで、練習場を立ち去って行った。
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「うん、イイ感じ」
ということで午後からフリーになった夏休み最終日。
流石のアタシでも今日はトレーナーに内緒でオーバーワークをする気が起きない。かと言って、部屋に帰っても夕食の時間まで特に何もすることがない。だからアタシは今。
「今度はこっちからのアングルで──」
公園に来ていた。
そしてアタシは今スマホを構えて写真撮影をしている。
実は最近、アタシは写真撮影にハマっていた。
きっかけは些細な事で、その日アタシはむしゃくしゃしていて、スマホを取り出しゲームをしようとした時に、間違えてカメラが立ち上げてしまったのだが、何の偶然かその時、偶々トレーナーがゴールドシップに簀巻きにされて運ばれてるのを目撃し、その時の写真を撮ったのが始まり。
その撮った写真を確認すると、たたただトレーナーがゴールドシップに抱えられている写真。そんな下らない写真だったが、その写真を見ているとむしゃくしゃしていた気持ちが少しだけ軽くなった気がした。それ以来、アタシはこうやって時たまに写真撮影を出掛けるようになった。
「よく撮れてるね──あ、そうだあそこ行ってみようかな」
実はこの公園は初めて訪れた訳ではない。
訪れた理由は凄く単純、昼寝スポットを探すためだ。最近はよくトレーナー室とかで昼寝はしていたけど、それはあくまで外が暑かったからだ。しかしこれからは秋になっていく為、外での昼寝が解禁できる。だけどトレセン学園内で昼寝をすると、ほぼ九割の確率で邪魔をされるのだ。だからこうやって昼寝の場所を探す必要があったのだ。
そんな事を思い出している内にこの前見つけた昼寝スポットに辿り着く。
そこには──
「先客が居るね」
日向ぼっこをしている
するとアタシに気付いた一匹が足元に近づいてくる。どうやら人懐っこい猫のようだった。アタシの足元をぐるぐる回っている様子を見ると、『撫ででくれ』と言われたような気がしたのでしゃがみ込み頭を撫でた。
すると猫は直ぐに喉をゴロゴロと鳴らし始めた。
そんな猫の様子に思わず言葉を漏らす。
「.....アンタみたいに全員、お気楽ならいいのにね」
──にゃあ~ん?
猫が不思議そうにこちらを見ながら傾げてくる。
そんな猫に微笑みを返す。
「何でもない、よしよし」
そう猫に返し、その後も猫と戯れながら写真撮影を楽しんだ。
いずれこの場所を、別の子と一緒に訪れるようになるのはそんな遠くない話だ。