バ鹿と天才は紙一重   作:ワッタン2906

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タイシンはかわいい(挨拶)
どうも、ワッタンです。
遅くなってしまった。
まあ、僕を知ってる人からすると日常茶飯事なんで許してくだせぇ。

それでは、最新話をどうぞ。


タイシンとコーヒー

「コーヒーミルなんて初めて見たんだけど」

正確には現物を、しかもトレーナーの変のこだわりで電動のものではなく手動の物をだが。

 

段ボール箱に梱包されているコーヒーミルを手に取ってまじまじと見つめる。他にも中を見た感じ、

箱の中にはドリッパーやフィルターなどコーヒーを一杯作るのに必要な道具、

それもかなり本格的な物が入っていた。

 

「まあ、普通は見ないよな。というか一式揃えるのに、結構お金が消し飛んだな」

 

箱の中と財布の中をわざとらしく見比べながら、トレーナーが呟く。

そんな様子にアタシはため息をついた。

 

「何も一式、まるまる揃える必要は無かったんじゃないの? 必要な道具は何処からか借りてくるとかさ」

 

「ふっ、分かってないなタイシン。こういうのは形から入らないと」

 

そう言いながらトレーナーはドヤ顔をしていた。

その様子にウンザリしながら、再びため息をつくのだった。

そもそも何故、こんなものを買ったのかそれは一週間ほど前に遡る。

 

 

 

 

「.....トレーナー、これ何? 」

 

その日、トレーナーを呼びに行く為に、

トレーナー室に行ったら見覚えのない物がテーブルに置かれていた。

それはコーヒー豆。

 

この便利な世の中、一般的にはインスタントのコーヒーが主流の中、コーヒー豆というのは珍しかった。

 

「ああ、それ貰い物だよ。飲めないから上げるってさ」

 

「貰い物....誰から?」

 

「モルモ──タキオンのトレーナーから」

 

「今なんか、変な事言わなかった?」

アタシのその言葉に、トレーナーが頭を左右に振った。

 

タキオン──もとい、アグネスタキオン。

噂によると彼女は変人、そしてマッドサイエンティストらしい。

 

なんでも、「ウマ娘の肉体」に強い関心を持ってるらしく、授業や先発レースそっちのけで、勝手に占拠した理科室で研究をしているらしい。

 

ただまあ最近そんな彼女もトレーナーと契約したらしく、度々そのトレーナーが彼女の研究の実験台になっているそうだ。

そして看過できないことが一つ。

 

それはアタシのトレーナーも、彼女の研究の被害にあっていることだ。

度々、簀巻きにされて研究室に運ばれその度に逃げ出してくる。

全く誰の許可を得て、勝手にトレーナーを占有してるんだ。

 

「で、貰い物だからといって、正直嫌な予感しかしないんだけど」

 

彼女の事だ。

コーヒー豆の中に何か良からぬ物が混ざっているかもしれない。

いつぞやか、トレーナーが貰った薬品も、服用すると身体が発光するという代物だった。

 

「いやそれがな。 もとはといえば、タキオンも貰ったらしんだよ、その豆を」

 

「えっ、そうなの?」

その言葉に驚く。

 

 

トレーナーの説明によると、なんでも彼女の知り合いからコーヒー豆を貰ったはいいが、

彼女自身がそもそもコーヒーを飲めない。そしてそのトレーナーも彼女同様、コーヒーが飲めなかった。

 

だからといって貰い物を処分するわけにはいかない。

ということで、アタシのトレーナーがそのコーヒー豆をタキオンのトレーナー経由で譲り受けた。

 

しかしコーヒー豆からコーヒーを作るのはそれ専用の機材が必要になる。

ということで、機材を注文し一週間後の今日。

ようやくコーヒーを作れる環境が整ったわけだ。

 

 

 

 

「それじゃあ、試しに作ってみるか」

 

そう言うとトレーナーは、

コーヒーを作るための準備を始めていた。

アタシはというと、ソファーに座ってスマホをいじりながら眺めていた。

正直コーヒー作りに興味は無い。

 

「タイシンもコーヒー飲むか?」

 

「....アイスコーヒーなら飲む」

ただまあ、作ってくれたのは飲むかというのは別の問題だ。

普通に喉も乾いている。

 

「アイスコーヒーね、了解」

 

トレーナーがそう言うと、

ゴリゴリ──と、コーヒー豆を挽く音が部屋に響く。

そしてその音はアタシの鼓膜を揺らす。

何というか、不思議とずっと聞きたくなるような音だった。

その音をスマホを弄る時のBGM代わりにしていると、

 

 

大体、五分位経っただろうか。

響いていた音がピタリと止んだ。

 

「めちゃくちゃ疲れるんだけど、これ」

 

そう言いながら、

手首をプラプラと解すトレーナー。

 

「トレーナーがこだわって、手動のコーヒーミル買うからでしょ」

 

「うっ....」

 

反論を言われ、トレーナーが渋い顔を浮かべる。

 

「それで、コーヒー豆挽けたの?」

 

「いや、それがまだ一人分しか....」

 

「そんなに大変なの?」

 

「ああ、思った以上に時間が掛かってな」

 

なるほど。

コーヒー豆からコーヒー一杯分挽くには大体五分程かかるのか。

でもトレーナーの様子から察するに、もう一杯分作るには五分以上掛かると思う。

 

──仕方ないか。

 

それにワガママ言ったのはアタシだ。

本来だったら、トレーナーは一杯分しか作らなくても良かったのだから。

ソファーから立ち上がり、コーヒーミルを手につかみコーヒー豆をセットする。

さっきトレーナーの準備を見ていたおかげもあってコーヒーミルのセットは容易だった。

 

「タイシン?」

 

急なアタシの行動に首を傾げるトレーナー。

 

「....アンタは、先に自分の作って飲んでなよ、アタシは自分で作るから」

 

「いや、でも...」

 

「いいから、早く作ってきなよ」

 

これ以上トレーナーにとやかく言われる前に、

コーヒーミルのハンドルを回す。

またゴリゴリというと音がトレーナー室に響く。

トレーナーが回すのに苦戦していたようだが、正直そんなに回す時に力を入れる必要はなかった。

それどころか、

 

──意外と....楽しいかも。

 

コーヒー豆を粉へと挽く感覚は、

何とも言えない、幸福感?

それを感じながらハンドルを回していく。

と、突然頬っぺたに冷たい物が当てられる。

 

「冷たっ!!」

 

咄嗟にその頬っぺたに当たったものを振り払う。

そしてこんな事をするのは状況的に考えて一人しかいない。

冷たい物を当ててきた犯人を睨み付ける。

 

「ちょ、危ないって。タイシン」

 

「アンタ!! いきなり何すんの!?」

 

「あれ、タイシン気づいてないの?」

 

「何が?」

 

そこまで言うと、トレーナーはアタシが怒ってるというのに

何故か笑ってる。

 

「もう、挽き終わってるよ。 だからお疲れ様、タイシン」

 

「えっ? 噓でしょ、もう? 」

 

そう言うと、手元のコーヒーミルを見つめ、ハンドルを回す。

確かにそこからはもう、あのゴリゴリという特有の音は聞こえてこなかった。

どうやら、回すのに熱中しすぎて挽き終わっていたというのに、気が付かなかったようだ。

 

「気が付かなかった.....」

 

「そんなに熱中してたのか。まあ何はともあれ.......ほれ、タイシン」

 

「えっ、これって」

 

トレーナーのその言葉と共に渡されたもの。

それはアイスコーヒーだった。

 

「自分で作るって言ったのに、何でこれ....」

 

「流石に、担当の子より先に飲む訳ないだろ、それにさ.....」

 

「それに?」

 

そう言いながら、トレーナーからアイスコーヒーを受け取る。

先ほども感じたひんやりとした質感が指先に伝わってくる。

 

 

「折角タイシンが挽いてくれたんだから、そのコーヒーを飲みたかったというのもある」

 

「.....何それ。同じ豆なんだから味は一緒でしょ。ほら、早く作って来たら?」

 

「おお、そうしてくるわ」

 

そう言いながら、トレーナーは給湯室の方へと行っていた。

ポツンと取り残されるアタシ。

アイスコーヒーを一口飲む。

砂糖もミルク何も入っていない、ただのストレート。

 

「.....味なんて、変わるわけないでしょ」

 

そう言いながら飲んだ、アイスコーヒーの味は少しだけ甘かった。





今回も難産でした。
どうして、ウマ娘はネタがこんなにも思いつかないんでしょうかね。
まあ、単に妄想力不足なんで頑張っていきますかね。
それとこの話をもちまして、週一投稿にしますのでよろしくです。

それでは、次のお話でお会いしましょう。

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