どうも、ワッタンです。
遅くなってしまった。
まあ、僕を知ってる人からすると日常茶飯事なんで許してくだせぇ。
それでは、最新話をどうぞ。
「コーヒーミルなんて初めて見たんだけど」
正確には現物を、しかもトレーナーの変のこだわりで電動のものではなく手動の物をだが。
段ボール箱に梱包されているコーヒーミルを手に取ってまじまじと見つめる。他にも中を見た感じ、
箱の中にはドリッパーやフィルターなどコーヒーを一杯作るのに必要な道具、
それもかなり本格的な物が入っていた。
「まあ、普通は見ないよな。というか一式揃えるのに、結構お金が消し飛んだな」
箱の中と財布の中をわざとらしく見比べながら、トレーナーが呟く。
そんな様子にアタシはため息をついた。
「何も一式、まるまる揃える必要は無かったんじゃないの? 必要な道具は何処からか借りてくるとかさ」
「ふっ、分かってないなタイシン。こういうのは形から入らないと」
そう言いながらトレーナーはドヤ顔をしていた。
その様子にウンザリしながら、再びため息をつくのだった。
そもそも何故、こんなものを買ったのかそれは一週間ほど前に遡る。
「.....トレーナー、これ何? 」
その日、トレーナーを呼びに行く為に、
トレーナー室に行ったら見覚えのない物がテーブルに置かれていた。
それはコーヒー豆。
この便利な世の中、一般的にはインスタントのコーヒーが主流の中、コーヒー豆というのは珍しかった。
「ああ、それ貰い物だよ。飲めないから上げるってさ」
「貰い物....誰から?」
「モルモ──タキオンのトレーナーから」
「今なんか、変な事言わなかった?」
アタシのその言葉に、トレーナーが頭を左右に振った。
タキオン──もとい、アグネスタキオン。
噂によると彼女は変人、そしてマッドサイエンティストらしい。
なんでも、「ウマ娘の肉体」に強い関心を持ってるらしく、授業や先発レースそっちのけで、勝手に占拠した理科室で研究をしているらしい。
ただまあ最近そんな彼女もトレーナーと契約したらしく、度々そのトレーナーが彼女の研究の実験台になっているそうだ。
そして看過できないことが一つ。
それはアタシのトレーナーも、彼女の研究の被害にあっていることだ。
度々、簀巻きにされて研究室に運ばれその度に逃げ出してくる。
全く誰の許可を得て、勝手にトレーナーを占有してるんだ。
「で、貰い物だからといって、正直嫌な予感しかしないんだけど」
彼女の事だ。
コーヒー豆の中に何か良からぬ物が混ざっているかもしれない。
いつぞやか、トレーナーが貰った薬品も、服用すると身体が発光するという代物だった。
「いやそれがな。 もとはといえば、タキオンも貰ったらしんだよ、その豆を」
「えっ、そうなの?」
その言葉に驚く。
トレーナーの説明によると、なんでも彼女の知り合いからコーヒー豆を貰ったはいいが、
彼女自身がそもそもコーヒーを飲めない。そしてそのトレーナーも彼女同様、コーヒーが飲めなかった。
だからといって貰い物を処分するわけにはいかない。
ということで、アタシのトレーナーがそのコーヒー豆をタキオンのトレーナー経由で譲り受けた。
しかしコーヒー豆からコーヒーを作るのはそれ専用の機材が必要になる。
ということで、機材を注文し一週間後の今日。
ようやくコーヒーを作れる環境が整ったわけだ。
「それじゃあ、試しに作ってみるか」
そう言うとトレーナーは、
コーヒーを作るための準備を始めていた。
アタシはというと、ソファーに座ってスマホをいじりながら眺めていた。
正直コーヒー作りに興味は無い。
「タイシンもコーヒー飲むか?」
「....アイスコーヒーなら飲む」
ただまあ、作ってくれたのは飲むかというのは別の問題だ。
普通に喉も乾いている。
「アイスコーヒーね、了解」
トレーナーがそう言うと、
ゴリゴリ──と、コーヒー豆を挽く音が部屋に響く。
そしてその音はアタシの鼓膜を揺らす。
何というか、不思議とずっと聞きたくなるような音だった。
その音をスマホを弄る時のBGM代わりにしていると、
大体、五分位経っただろうか。
響いていた音がピタリと止んだ。
「めちゃくちゃ疲れるんだけど、これ」
そう言いながら、
手首をプラプラと解すトレーナー。
「トレーナーがこだわって、手動のコーヒーミル買うからでしょ」
「うっ....」
反論を言われ、トレーナーが渋い顔を浮かべる。
「それで、コーヒー豆挽けたの?」
「いや、それがまだ一人分しか....」
「そんなに大変なの?」
「ああ、思った以上に時間が掛かってな」
なるほど。
コーヒー豆からコーヒー一杯分挽くには大体五分程かかるのか。
でもトレーナーの様子から察するに、もう一杯分作るには五分以上掛かると思う。
──仕方ないか。
それにワガママ言ったのはアタシだ。
本来だったら、トレーナーは一杯分しか作らなくても良かったのだから。
ソファーから立ち上がり、コーヒーミルを手につかみコーヒー豆をセットする。
さっきトレーナーの準備を見ていたおかげもあってコーヒーミルのセットは容易だった。
「タイシン?」
急なアタシの行動に首を傾げるトレーナー。
「....アンタは、先に自分の作って飲んでなよ、アタシは自分で作るから」
「いや、でも...」
「いいから、早く作ってきなよ」
これ以上トレーナーにとやかく言われる前に、
コーヒーミルのハンドルを回す。
またゴリゴリというと音がトレーナー室に響く。
トレーナーが回すのに苦戦していたようだが、正直そんなに回す時に力を入れる必要はなかった。
それどころか、
──意外と....楽しいかも。
コーヒー豆を粉へと挽く感覚は、
何とも言えない、幸福感?
それを感じながらハンドルを回していく。
と、突然頬っぺたに冷たい物が当てられる。
「冷たっ!!」
咄嗟にその頬っぺたに当たったものを振り払う。
そしてこんな事をするのは状況的に考えて一人しかいない。
冷たい物を当ててきた犯人を睨み付ける。
「ちょ、危ないって。タイシン」
「アンタ!! いきなり何すんの!?」
「あれ、タイシン気づいてないの?」
「何が?」
そこまで言うと、トレーナーはアタシが怒ってるというのに
何故か笑ってる。
「もう、挽き終わってるよ。 だからお疲れ様、タイシン」
「えっ? 噓でしょ、もう? 」
そう言うと、手元のコーヒーミルを見つめ、ハンドルを回す。
確かにそこからはもう、あのゴリゴリという特有の音は聞こえてこなかった。
どうやら、回すのに熱中しすぎて挽き終わっていたというのに、気が付かなかったようだ。
「気が付かなかった.....」
「そんなに熱中してたのか。まあ何はともあれ.......ほれ、タイシン」
「えっ、これって」
トレーナーのその言葉と共に渡されたもの。
それはアイスコーヒーだった。
「自分で作るって言ったのに、何でこれ....」
「流石に、担当の子より先に飲む訳ないだろ、それにさ.....」
「それに?」
そう言いながら、トレーナーからアイスコーヒーを受け取る。
先ほども感じたひんやりとした質感が指先に伝わってくる。
「折角タイシンが挽いてくれたんだから、そのコーヒーを飲みたかったというのもある」
「.....何それ。同じ豆なんだから味は一緒でしょ。ほら、早く作って来たら?」
「おお、そうしてくるわ」
そう言いながら、トレーナーは給湯室の方へと行っていた。
ポツンと取り残されるアタシ。
アイスコーヒーを一口飲む。
砂糖もミルク何も入っていない、ただのストレート。
「.....味なんて、変わるわけないでしょ」
そう言いながら飲んだ、アイスコーヒーの味は少しだけ甘かった。
今回も難産でした。
どうして、ウマ娘はネタがこんなにも思いつかないんでしょうかね。
まあ、単に妄想力不足なんで頑張っていきますかね。
それとこの話をもちまして、週一投稿にしますのでよろしくです。
それでは、次のお話でお会いしましょう。
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