バ鹿と天才は紙一重   作:ワッタン2906

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タイシンはかわいい(挨拶)
どうも、ワッタンです。

遅くなり申し訳ございません。
色々とごたついてました。

それでは、最新話をどうぞ。



トレーナーとの休日 後編

 

「お、終わったのか?」

 

アタシの事を待っていたトレーナーから声を掛けられる。

現在アタシ達が居るのはデパートの中にあるウマ娘用の蹄鉄店。

蹄鉄を決め、そのお金と加工代のお金を払って丁度店から出てきたところだ。

 

「うん、後は出来るまで待つだけ」

 

「そっか、お金は大丈夫だったか?」

  

「なんとか。....『自分が払う』とか言わないでよね? これは()()()()()()なんだからトレーナーが払う必要なんてないから」

 

お金の事を聞いてきたのでトレーナーに釘を指しておく。

トレーナーの事だから、自分が払うつもりだったのかもしれない。

 

正直蹄鉄はかなり良い値段がする。

今日買った蹄鉄は一つだけだが、加工費も含めるとかなりの出費になる。

ただこの店は、トレセン学園の生徒だったら割引が効く。しかも加工費含め破格の五十パーセント引き、アタシらウマ娘にとっては非常に有り難い。それを使えば学生のお小遣いでも充分に買える。だから別にトレーナーが払う必要なんて本当に無いのだ。

 

「あー、本当にいいのか?」

 

「いいの、こう言うのはちゃんとしたいから」 

 

きっぱりと告げる。

尚もトレーナーは葛藤していたようだが、

やがて心が折れたように「──分かった」と肩を落としながら呟いた。

 

「ん、さてと」

 

スマホを取り出し時刻を確認する。

蹄鉄の加工が終わり、シューズが完成すると言われたのは大体二時間後。

それまで時間を潰さなければいけない。

 

──面倒くさいけどどこかで時間を潰すかな

 

そう決めトレーナーにその旨を話す。

ここまでアタシに付き合う必要ない。

だけどその直後トレーナーからとある提案をして来た。

 

「じゃあ暇なら、俺の買い物に付き合ってくれないか? 」

 

──────────────────────

 

「トレーナーもしかしてアタシに今日着いてきたのって....」

 

「ああ、ちょっと買いたい物があったんだよ、まあ他にも理由があるんだけどさ」

 

──ほかの理由?

トレーナーの言葉に首を傾げる。

デパートに買い物来る以外に何か理由があるのだろうか?

少し考えてみるがアタシには分からなかった。

 

「っと、ここだな」

 

「ここって、家具屋?」

 

「そうそう、パソコンで作業してる時の椅子が欲しくてさ」

そう言いながらトレーナーは肩をぐるぐると回す。

 

その様子とトレーナーの言葉でトレーナー室に置かれている椅子を思い浮かべる。

トレーナー室に置かれている椅子は学園の支給品だったはずだ。

どこにでもあるような平凡なパイプ椅子。

トレーナーにもよるが、アタシのトレーナーはタブレットで記録したトレーニング結果を、パソコンに移しそれを纏めたり、他にも敵となりえるウマ娘のデータとかもパソコンとかで管理もしている。

 

それにトレーナー業というのは本当に激務だ。 

ほぼ毎日働きづめに、アタシらウマ娘のサポート。

そんな激務の中、毎日パイプ椅子で作業するには億劫で少しでも労働環境を整えたいのだろう。

そして化粧品で隠してあるがトレーナーの目にはうっすらと隈が......。

 

──本当にトレーナーは......

 

「ふーん、そうなんだ。 でもそれアタシ居る必要ある? 」

 

「ああ、折角だからタイシンに選んで貰おうと思ってさ、タイシンもあの部屋を使うから意見を聞きたいと思ってさ」

 

「.....そんなの自分で選べばいいんじゃないの」

 

「いいからいいから、さ、行こうぜ」

 

というアタシの言葉は届かず、トレーナーはお店の中に入っていく。

その様子にため息をつき、アタシもトレーナーの背中を追いかけた。

 

「いやあ、助かったよタイシン。 ありがとな」

 

「はあ、今回だけだからね」

 

結局あのまま、トレーナーと一緒に椅子を選んだ。

そして思った以上にお互いに熱中し、椅子選びに一時間ほど使ってしまった。

しかも最終的には自分も楽しんでしまっていた。

 

「おう。....あと一時間か、タイシンはどこか行きたい所あるか? 」

 

「別に何も、アタシ的はブラブラしたい。 店に入らずに見て回りたいかな」

 

「そっか、了解。 じゃあ、俺の用事も終わったしこっからは加工が終わるまで別行動にするか」

 

「分かった、じゃあまた後で」

 

そのままトレーナーと別れる。

そしてアタシがやってきたのは地下一階。

所狭しと惣菜やらスイーツならではの商品が並んでいる。

 

「うわっ、人多いな....」

 

そしてデパ地下というのは人が凄く集まりやすい。

なんでも食料品といった集客力のある商品を陳列することにより、

お客が上のフロアにも足を向けることが期待できる効果「噴水効果」を実現するためにこんな事をしているらしい。

そして人が多いと理解しているのに、わざわざデパ地下に来たのかそれはアタシの視界に映る天井からつるされている横断幕。

 

「りんごスイーツフェア」

 

それが目当てだ。

昨日このデパートの開店時間を調べた時に、スイーツフェアが開催されていることを知った。でも最初は行く気なんてさらさらなかったが、今日のトレーナーの様子を見て気が変わった。

 

『りんごスイーツフェア、目玉商品、まるごとりんごケーキ、ラスト10個でーす!! お求めの方はお急ぎくださーい!! 』

 

スイーツフェアの担当が多い声を張り上げる。

 

──売り切れるとまずい

 

その声が聞こえた瞬間、アタシは急いで店員の下に急いだ。

 

──────────────────────

 

『これにて売り切れでーす!!』

 

どうやらアタシが買ったので最後だったらしい。

アタシの手にはケーキが入った箱を持っている。

『まるごとりんごケーキ』と言うだけあってそれなりの大きさがあった。

 

「よし、後はこれを持って.....」

 

集合するだけ.....とそこまで言いかけた時だった。

後ろから衝撃が襲う。

 

「うわ!? 」「ひゃあっ.....!!」

 

慌てて落としそうになるケーキの箱をしっかりと掴む。

体制を整えると箱の中のケーキを見る。

 

──よ、良かった....

 

ケーキが崩れていないことに安堵する。そして振り返り襲ってきた衝撃の原因を確認する。

 

「ごごごっ、ごめんなさいごめんなさい!! ケ、ケガしてないですか.....!?」

 

そこに居たのは、アタシと同じ位の身長の、黒いウマ耳に外側に跳ねる癖っ毛のウマ娘だった。そしてトレセン学園の制服を着ている。そしてさらに特徴的なのは頭に斜めにかぶった帽子。そこに青い薔薇が刺さっていた。

そしてアタシはそのウマ娘に見覚えが無かった。

 

「や、ちょっとぶつかっただけだから....」

 

「はわ.....よ、よかったぁ。本当にごめんなさい....じゃあ、えっとさようなら....」

 

アタシに深々と下げた彼女はどこか慌ててた様子で去って行く。そんな彼女に少しだけ興味がわき、彼女が去って行った方向に目を向ける。

彼女が向かった方向。そこはさっきまでアタシが居たレジ前だった。

 

「あ、あのぉ、『まるごとりんごケーキ』ってありますか.....?」

 

「申し訳ございません。先程もう売り切れてしまいまして」

 

「そ、そうですか.....ありがとうございます.....」

 

遠目からでも分かるようにさっきの彼女の耳が後ろに倒れ、落ち込んでいる様子が分かる。つまり状況から察するに彼女は先程アタシが買ったこのケーキを買いにきたらしい。だけど、アタシが最後の一個を買ったがために、彼女は買え無かった....ということ。

 

「.....はあ、仕方ないか」

 

少しだけ考えた後、彼女に向かって歩き出し声を掛ける。

 

「ねぇ、アンタ」

 

「は、はいっ!! って、あなたはさっきの.....!! も、もしかしてライスのせいでどこか怪我したんじゃあ...」

 

突然、話し掛けたアタシも悪かったが、自分の事をライスと呼んだ彼女がアタシの姿を見るなり、怯えたような目を向けられる。そんな彼女に少しだけ笑みを浮べ、自分が買ったケーキを差し出す。

 

「....やる」

  

「えっ、えっ!? .....ど、どうして!?」

 

彼女が驚いたように目を見開く。

理由は.....。

 

「理由はそうだね.....なんかアンタの事を放っておけなかった。 ただそれだけ」

 

口から出た言葉は、以前のアタシからは考えられなかった言葉。こうなったのはあのトレーナーのせいだろう。でもそれを差し置いても、彼女は放っておけなかった。運命という言葉を信じるわけではいがそれ程までに、彼女の悲しむ顔を見たくない、そう思ったのだ。

 

「で、でも.....」

 

それでもアタシからケーキを頑なに受け取らないようとしない彼女。

アタシはそんな彼女の手を取り、無理やり箱を握らす。

 

「しっかり渡したからね、美味しく食べなよ? 」

 

「あっ....」

 

そしてアタシはそのまま呆けている彼女を置き去りにし、デパ地下を後にした。

 

──────────────────────

 

「お、タイシン。遅かったな、何かあったか?」

 

「ちょっと迷った、遅れてゴメン、トレーナー」

 

集合場所に行くとトレーナーがもう待っていた。

 

「迷子って、大丈夫だったのか?」

 

「当たり前でしょ、もう子供じゃないんだし」

 

語気を少しだけ強めトレーナーに言葉を返す。

そんなアタシの様子にトレーナーは苦笑いを浮かべる。

 

「それもそうか。じゃあ蹄鉄を取りに行く前に.....ほれタイシン」

 

「なにこれ」

トレーナーから紙袋を渡される。

 

「いやさ、折角タイシンがメイクデビューに勝ったのに、なにもご褒美上げて無かったなあって」

 

「別に要らないのに....」

 

紙袋を目の前でギュッと抱きしめる。

 

「まあ、要らないなら返してくれよ」

 

「別に要らないとは言ってないでしょ、ほら行くよ、トレーナー」

 

トレーナーにそう言うと加工屋へと向かう。

気を抜けば振ってしまいそうになる尻尾の動きを抑えながら。

 




はい、ということで出したかったウマ娘をようやく出せました。
一応彼女はもう一人のヒロインとしてキャラ付けしてますのでよろしくです。
ちなみに終盤の描写は史実を知っていると二度楽しめます。
 
それでは、次のお話でお会いしましょう。

(タイシンが二連続ティッシュは心にくる.....)


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