ズザザッと顔で5m程滑った後、上がっていた足が地面にパタリと落ちた。
この光景にグラウンドにいたウマ娘達の空気が凍った。
その中で俺は大爆笑していた。
「フハハハハ! あんな漫画みたいなの初めて見た!」
腹を押さえて大爆笑
笑いながらもスマートファルコンに近付く。
「ふふっ、大丈夫か? ふっ!」
笑いが止まらないまま、一応聞いてみる。
よく見ると、あの盛大な滑り方も恥ずかしいのか、地面に伏した状態でプルプル震えている。
そして、ガバッと起き上がったかと思うと、
「ぶえぇぇぇん!」
ウマドル目指してる奴とは思えない泣き声と表情をして泣き出した。
しかも、鼻出血付きで………。
今度から、スマートファルコンじゃなくて、マチカネファルコンにでもするか?
「だから言っただろうに。足には気をつけろよってさ。」
何故あんな転び方になったのかは理由がある。
1つ目は、重りを外した事による急激な重さの減少
2つ目は、足の流れによる空回り。
3つ目は、走り出しが前傾姿勢過ぎたところだ。
「お前さぁ、まだ重りを外した身体に慣れてないのに、スタートから前傾姿勢で行き過ぎなんだよ。」
おそらく走り出したスマートファルコンは驚いたはずだ。
前傾姿勢過ぎたばかりに、足が地面じゃなくて空中を蹴ったんだから。
確かにコイツの持ち味は素晴らしい反射神経によるスタートダッシュだが、それも現在の身体に慣れている状態でようやくできる芸当だ。
それをほんの2時間程度重りを付けて走っただけで、こんなに容易く崩れてしまう。
「スマートファルコン、もう一度だ。スタートは少し上体を起こして走れ。そして、走ってる間に身体が慣れてきたら徐々に前傾姿勢にしていけ。そしたら重りをつけて走った2時間の意味がわかる。」
スマートファルコンは頷くとゲート位置に戻る。
勿論、その時に鼻血を拭う事と、泥を払う事も忘れずにしている。
さっきまで鼻血ブーで泣いていたのとは違うよなぁ。
そしてスマートファルコンはゲートに入り構える。
「よし、準備はいいな?」
「はいっ!」
「用意、スタート!!」
ゲートが開かれ、スマートファルコンは飛び出した。
さっきよりは上体を起こした形で走っている。
そして、すぐに第1コーナーに入った。
速度が慣れてきたのか、ほんの少しずつではあるが、上体が倒れてきている。
そして、第2コーナーを曲がり終わる所で少し加速した。
直線に入るとさっきスタートで転んだとは思えない走りでどんどん加速していく。
さて、1000m通過タイムはどうかな?
「は? いや、え?」
ありえねぇ………。
俺が追い回しただけでこんなに変わるもんか?
呆気に取られていると、第4コーナーを曲がり終わって直線に入った所だった。
そして、そこから更に加速する。
「いやいやいや、まだ上がんのかよ。」
そしてスマートファルコンはゴールした。
俺はスマートファルコンの所に行く。
「足、なんともないのか?」
「うん! ファルコは大丈夫だよ!」
しっかりと見てみるが異常はない。
「タイムだが、入り1000mが57秒8だ。そして、ゴールは1分58秒7だ。」