ありえないスピードに対して疑問に思い、少しスマートファルコンの全身を見てみると、練習前に比べて筋肉量が増しているのが確認できた。
え?
この短期間でこんなに伸びるのか?
「筋肉量が増えてる。何故だ?」
「ウマ娘は人間と比べて、代謝が何倍も高いのですよ。」
後ろから声を掛けられた。
この声は………。
「緑の悪魔」
「な、何ですかそれ!? し、失礼ですよ!?」
あの秘書がいた。
「んで、何か用事でも?」
「いいえ、どの様な練習をされているのかと思って見学に。」
「左様ですかい。」
「あと、緑の悪魔ではなく、『駿川たづな』と言います。」
「分かりましたよう。で、練習を見ての感想は?」
俺は尋ねてみる。
「正直、これで4日後に間に合うのかというのが本音です。」
それを言われた瞬間に、俺はさっきのストップウォッチを投げ渡す。
「それ、2時間追い回したスマートファルコンがさっき出した記録だ。これを見ても間に合わないと言うのか?」
秘書たづなは、ストップウォッチを見て少し焦っている。
「え? 今出したのですか?」
「そうだ。ついでに目で見たが、何処にも異常はない。しかも、筋肉量が練習前に比べてかなり増えている。」
「それで、あの呟きですか。」
置いてけぼりを食らってるスマートファルコンはオロオロしている。
「ファルコ、何かしちゃった?」
ちょっと泣きそうになってる。
「いや、何もしていない。ただ、タイムが頭おかしかっただけだ。」
「酷くない!?」
「え、ええ。このタイムは流石に頭がおかしいかと。」
よく考えてみろ、歴代最速は1分56秒1だ。
その記録は、芝での記録かつ、熟練したウマ娘によるタイムだ。
それをデビュー前のウマ娘が、ダートで、2時間追い回された後に出した記録だ。
これを頭おかしいと言わずに何という?
「むしろ、頭おかしいを通り越して狂娘だな。」
「あ、ひっど〜い! ファルコそんなにおかしくないもん!」
俺はスマートファルコンの頭を撫でる。
そこから徐々に押さえつける様に力を入れていく。
「デビュー! 前の! ウマ娘がっ!! 1000mを58秒切って!! しかもダートで!! 2分切って普通はゴールしねぇよバカ!!!!」
「き、教官?! ファルコの背が低くなっちゃう!?」
押さえつけた後に、俺は大きな溜息を吐く。
「スマートファルコン、後2日は風呂と寝る時以外は重りを着けて生活しろ。そして、重さを2倍にする。」
「え?」
「答えは、はい又はYESだ。」
「選択肢がない?!」
「3日後には走らせてやるから。あと、スマートファルコンの練習は今日の分は終わりだ。これ以上走ったら自分で足を壊してしまう。」
「分かりました!」
「しっかりと柔軟して、疲れを取ること。あと、重りを着けて行動するということは、無意識に身体に力が入っている状態だ。身体を作る為にも、食事制限とかはするなよ?」
「はい!」
「よし、そしたら軽くジョギングを2周して終わりだ。」
「今日はありがとうございました!」
そういうと、スマートファルコンは軽く走り出した。
「1日でこの成果はすごいな。」
「全くですよ。あとはウララちゃんですね?」
「そろそろ、次の段階に行きたいんだがなぁ。」
さて、ハルウララはどうなったかな?
この時間で、自分自身と向き合えてたら次のステップに移れる。
歴代中距離芝2000mの最速はトーセンジョーダンの1分56秒1で東京競馬場で出してます。
しかも、G1レースである天皇賞秋で出してます。
この時のトーセンジョーダンは5歳とだったと思います。
ダート2000mは、ワンダースピードで2分1秒0です。
一応、JRA公式サイトより引用してます。