元軍人トレーナー   作:ユウ0725

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第16話

次の日、俺はグラウンドの端でカセットコンロに火を入れておでんを作っていた。

 

気になった生徒に何回か話し掛けられたが、その時の顔が怖すぎたのか怯えた様にそそくさと去っていかれた。

 

ところで、何でおでんを作っているかって?

 

それは勿論負けた時の罰ゲームに決まってるでしょう?

 

熱々おでんを口に放り込む、コレはシンプルかつ凶悪で、なおかつ笑いも取れるという優れモノだ。

 

しかも、春に差し掛かり若干昼時が暑くなってきたこの頃からすれば、なんともないかもしれないが、

 

「沸騰させるに決まってるじゃん。」

 

グツグツと鍋蓋が暴れ出す。

 

内心笑いを堪えるのに必死だ。

 

調理していると2人が来た。

 

「おはよ〜、教官!」

 

「今日もいい天気だね教官!」

 

「お、2人ともおは〜。」

 

鍋から目を離さずに挨拶をする。

 

「教官何してるの?」

 

気になったのかハルウララが聞いてくる。

 

「ん? お前らが負けた時の罰ゲーム作り。」

 

「「え?!」」

 

ギョッとして、鍋を見つめる2人

 

「いや、中身は美味しい美味しい美味しいおでんだよ。ただし、めっちゃくちゃ熱いけどね。」

 

つーか、匂いでわかるだろうに。

 

変なものは一切入れてない。

 

コイツらの為にも、野菜がメインで入ってるしな。

 

「中身は、人参、大根、つみれ、餅巾着、煮卵、白滝、ちくわだよ。」

 

「それって……。」

 

お、予想ついたかな?

 

「うん、口の中に入れた瞬間に汁による火傷の可能性大の具材ばかりだよ。」

 

「「…………。」」

 

2人はムンクの叫びみたいな顔になってる。

 

「いや、何で負ける前提なの? 勝てばいいじゃん。」

 

「そう易々と言わないでよぉ!」

 

「プレッシャー大きいんだよ!」

 

「シャラップ、お前らが気持ちで負けてどうする? お前らは、あたおかコンビなんだからさ。」

 

「「私、頭おかしくないもん!!!」」

 

食い気味で叫んだ。

 

おおぅ、少しびっくりした。

 

「スマン。じゃあ、頭のネジが飛んでる?」

 

「「結局は頭おかしいって言いたいの!?」」

 

息ぴったりじゃん。

 

「うん、大丈夫そうだね。」

 

これだけいじり倒せば、緊張も取れるしね。

 

それよりも、この2人はこなくそ精神が強い。

 

絶対に見返してやるって気持ちが強い。

 

特にスマートファルコンは俺よりも強い。

 

ハルウララは変わったからね。

 

「まあ、走る前にこれを飲みな。」

 

俺は錠剤を1つずつ渡す。

 

「「これって?」」

 

「これは、安定剤だよ。緊張に弱い人とか気絶したりするでしょ? そう言った人の為に作られたやつ。違法でもないから大丈夫だよ。でも、効果はちょびっと強いから、乱用はお勧めできないよ。」

 

「教官、ありがとう!」

 

「あと、競争まであと2時間ある。2人ともゆっくりとしてなさい。」

 

そう言って2人を見送った。

 

余談だが、勝手におでんを食おうとしてた、スラッとした芦毛のウマ娘がいたので、熱々の大根を口の中にねじ込んでやったら、口を押さえながら地面に転がった。

 

それを俺は見てゲラゲラ笑っていると、その芦毛を回収しに来た芦毛に謝られた。

 

「ホンマすまんなぁ。」

 

「いいって、いいもん見れたし。」

 

「助かるわ。」

 

それだけ言うと、首根っこを掴んで回収していった。

 

 

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