元軍人トレーナー   作:ユウ0725

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第19話

俺は空になった鍋を持ちながら理事長室に向かっていた。

 

理由は結果を知らせる為と、今後の予定を話す為だ。

 

「理事長入るぜ?」

 

「了承! 入ってよし!」

 

ちっちゃいながらも、椅子に座り威厳を保とうとしている子供理事長の声が響いた。

 

扉を開けて入る。

 

いつも通りの2人がいた。

 

俺は本題を切り出した。

 

「4日後って言ったけど、もう競争しちゃった☆」

 

「「はい?」」

 

理事長と秘書は見事なアホ面をした。

 

「い、今何と仰いましたか?」

 

この際だ。

 

まとめて伝えるか。

 

「いや、4日後って言ったけど、2人が仕上がっちゃったから、今日やってみたら圧勝しちゃった☆」

 

理事長はこめかみを抑えながら溜息を吐く。

 

「了解、誰と走ったのか教えてもらえるか?」

 

「確か、女男と似非ルチャ・ドーラだったぞ。」

 

「「は?」」

 

信じられないというか、状況が飲み込めないといった返しだった。

 

「すみませんが、その2人に勝ったと言うことですか?」

 

「おん。嘘だと思うならおハナさんに聞いてみたら?」

 

「では失礼して」

 

秘書たづなは、早速電話をかけ出した。

 

少し話した後、こちらを向いてきた。

 

頭を押さえて。

 

「話は本当のようですね。理事長、勝った相手は『フジキセキ』さんと『エルコンドルパサー』さんです。」

 

「なっ!?」

 

信じられないと言った表情だ。

 

「女男は幼児退行して、似非ルチャ・ドーラは真っ白に燃え尽きてたぜ?」

 

アレは傑作だったな。

 

その後に追い討ちで、おでんを口の中にねじ込んでやったがな。

 

去り際には、『ピンクとおでん怖い』しか言ってなかったな。

 

「どうよ? 理事長さん? 育てるのには自信があるんだぜ? 4日もいらなかったな。」

 

「ふむ………確定! 貴殿をトレーナーとして迎え入れよう! そして、トレーナーになるからには、この学園のトレーナー寮に入ってもらう!」

 

よし、第一関門突破だな。

 

「それはありがたい。が、もう1つある。」

 

「確認! 何だ?」

 

「俺は担当を取る気はないぞ?」

 

それだけ言うと2人は固まった。

 

少しして理事長がプルプルと震え出した。

 

「憤怒! 何故そうなる!!」

 

「ちゃんとした理由はあるよ。」

 

俺は理事長を一旦落ち着かせる。

 

「俺が育成するのはいい。たが、それをすると他のトレーナーの仕事が無くなる。で、その分が俺に押し寄せてくる。それだけは勘弁してほしいな。」

 

「そうですね。教えを受ければ、必ず勝てるようになるということですからね。」

 

秘書たづなは理解してくれている。

 

「そうだ。だから担当は持たない。だが、俺の元に自ら訪ねてきた者は必ず担当する。その為にも、おハナさんを通じて噂を流してもらう。」

 

「どういったものでしょうか?」

 

俺はニッと笑い答える。

 

「教えを受ければ必ず勝てるようになるが、性格が変わると言ったふうに流してもらう。」

 

「何故そのように?」

 

俺はリギルのメンバーに話したことと同じことを伝えた。

 

すると2人の顔が引き攣っていた。

 

「こ、個性的な女性の方ですね……。」

 

「困惑、随分と個性的なのだな?」

 

2人はリギルのメンバーと同じ反応をしていた。

 

「それもあるから、俺からはスカウトしないし動かない。」

 

理事長は、顎に手を当て考えている。

 

「了承!! そう言うことなら理解した! 本当にその噂でいいのか?」

 

「勿論! まあ、来ると考えるのは相当切羽詰まってるか、本気で伸び悩んでる奴だけだろうからな。」

 

「では、こちらで手続きをしておきます。」

 

秘書たづなはそこに、『では』と付け加えた。

 

「歓迎!! トレセン学園へ!!」

 

「ようこそ、トレセン学園へ!!」

 

2人から歓迎された。

 

まあ、言葉は揃ってないが、タイミングが揃っていたのが気に食わなかったので、マズイと言われているジンギスカンキャラメルを、2人の口の中に捩じ込んだ。

 

2人は青い顔をして理事長室を飛び出していった。

 

まあ、その後めちゃくちゃ怒られた上に、1週間の謹慎になった。

 

それもそっか。

 

 

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