謹慎が終わって理事長室に行き、今後はこんな事がない様にとありがたいご指導を受けて、グラウンドに来てみた。
「お〜、やってるやってる。」
1週間前見てやったスマートファルコンとハルウララが一生懸命に練習をしてた。
「ほお?」
よく見るとスマートファルコンは重りを付けて練習をしていた。
「ふむ、いい心掛けだが無理し過ぎて疲労が抜けてないな。」
少し考えていると、スマートファルコンがこちらに気付き、手を振りながらこちらに駆け寄ってきた。
「おはよう教官!」
「おう、少し無理しすぎだな。」
「あはは。」
「疲労が抜けてないから練習強度が下がっている。2日休みを取れば元に戻るぞ。」
「やっぱり教官には敵わないね。」
力無く笑う。
「教官に教えてもらって、模擬レースの申し込みとかされて受けたんだけど、あの日以来中々勝てなくて……。」
「そりゃそうだろ。あの日が俺が仕上げた最高の状態だったからな。」
スマートファルコンの目が点になる。
「あくまで調整だぞ。育成じゃないんだ。そりゃあの日を過ぎたら落ちていくだけだしな。」
「なにそれ!!!」
育成と勘違いしていたスマートファルコンに俺はある動きをする。
片足を上げて肘から上を胸あたりに持っていき、手首を曲げて左右に振る。
「教官、馬鹿にしてるのだけは分かるよ?」
「ダダダダ駄目ファルコン笑」
「教官!!」
俺は笑いながらその動きを続ける。
「頭がおかしいのはアイデンティティさ笑」
「むー!!」
スマートファルコンはむかれた。
それを見て満足した俺は動きを止める。
「んで、用事は何だ?」
俺はふざけるのを止めて本題を聞く。
「私を勝てる様にして下さい。」
スマートファルコンは頭を下げてきた。
「ふむ、お前は他の奴らの所に行ったのか?」
スマートファルコンは頭を上げてこちらを見る。
「何人かは行ったけど、どうしても練習内容が合わなかったの。」
俺は冷や汗が止まらなくなった。
ヤバいよヤバいよ。
え?
たった1日でここまで扉を開きかける?
「アレよりキツくなるぞ?」
「え? アレよりも?」
若干顔が引き攣っているが、嬉しそうな色も混ざっている。
失敗した。
完全に扉開いてるじゃん。
「はぁ、分かった。シニア期までにはポン帝や怪物に負けないように鍛えてやるよ。」
「ありがとう教官!」
「教官じゃない。もう、トレーナーだろう?」
「!? はい! トレーナー!」
スマートファルコンは嬉しそうな顔を浮かべると練習に戻っていった。
俺は携帯を取り出し、おハナさんに電話をかける。
3コールもしないうちにおハナさんは出た。
『貴方から電話なんてどうしたの?』
「また、出来てしまいました。」
『は? 何の話なのよ?』
「ドMが出来てしまいました。」
電話越しにガシャーンと音が聞こえた。
「どうしましょう。」
『私はなにも言えないわ。因みにどの娘?』
「スマートファルコンだ。」
『………どんまい。』
「どこで失敗したんだ! 調整は完璧だった筈だ!」
『私に言われても知らないわよ。あと、謹慎前の約束ほったらかした事に関しては許さないからね?』
それを最後に電話が切れた。
「憂鬱だ。ダダダダ駄目トレは俺でしたっと。」
まあ、何とかなると思いながら仕事に向かっていった。