俺がスマートファルコンを受け持って、しばらくした頃理事長が不在した。
不在の間業務を受け持つことになった、理事長代理の『樫本理子』が今日着任した。
美人で狐目にクールな雰囲気の代理だ。
というのは、周りの感想だ。
俺からしたら、あからさまに苦手な分野を隠そうと必死になっているようにしかみえない。
それが何なのか思い出せないのが腹立たしい。
今は、他のチームのトレーニングを指導中みたいだ。
俺は数メートル離れた所で、スマートファルコンを待ってる。
「ん? んん? ん〜?」
首元まで出かかってるのに悔しいな。
「理事長代理を見てどうしたのトレーナーさん?」
考えているとスマートファルコンが来た。
「いや、ちょっとな。」
なんだったっけ?
ん〜、ウチの部隊に似た様な奴が居たから思い出せそうなんだけど……。
「ん〜、何だろうなぁ?」
何だっけなぁ?
「トレーナーさん、トレーニングに行こう?」
「そうだな。今日はダンストレーニングだな。」
俺はそれを見逃さなかった。
ダンスという単語を聞いた瞬間、理事長代理の肩が少し跳ね、表情が引き攣ったのを。
俺はそれを見て思い出した。
「ヤハッ!」
「トレーナーさん、悪い顔してる。」
いやぁ、最近はポン帝も、女帝も、男女も、盗み食いを弄っても面白い反応が無かったからなぁ。
いいおも……いや、おもちゃ見つけた。
「ンフフ。いやぁ、退屈しなさそうだなぁてね?」
「トレーナーさん?」
「いや、トレーニングに行こうか。ダンスにね、ダンスに!」
ダンスの単語のたびに跳ね上がる理事長代理
いやぁ、見てて飽きないね。
スマートファルコンのおかげで思い出せたよ。
あの反応は、運動が全くと言っていいほど出来ないタイプだ。
6歩歩いて2本足を挫きますというタイプだ。
それぐらいに運動神経が皆無の人種だ。
「スマートファルコン、一緒にブレイクダンスでもする?」
「トレーナーさんどうしたの? すごく上機嫌だね!」
「いや、こんな感じにさ。」
俺はかなり難易度の高いブレイクダンスを即興で踊ってみせる。
それも、理事長代理の視界に入る所で。
「わぁ! トレーナーさん凄い! ファルコにもできるかな?」
「ちょっと練習すれば出来るぞ。ウマ娘は運動神経がいいからな。逆に運動神経が無いと全く出来ないからな!」
お〜、理事長代理さんよ、こちらを見てどうしたんだ?
「ん〜? 理事長代理さん? どうかされましたか?」
俺は笑いを堪えつつ話しかける。
「い、いえ、何もありません。」
「声が震えている様ですが、如何なさいましたか?」
「気の所為です。」
お〜お〜、気丈なこって。
「さいですか。んじゃ、練習に戻りますので、ブレイクダンスの!」
理事長代理の表情が更に引き攣る。
ヤハハッ!
いやぁ、これでもかってくらい面白いな。
他に言って回るのは、俺の弄る時間が減るから言わんでおくけど。
しばらくはこれで揶揄うよ。
俺はグラウンドを後にした。
ちなみに、ダンストレーニングはスマートファルコンと一緒にアクロバティックブレイクダンスをしました。
これはジャブです。
次の話からコンボからの右ストレートいきます。