元軍人トレーナー   作:ユウ0725

4 / 34
第4話

言われた通りに行くと、喫煙所があった。

 

俺はタバコを取り出し、火をつける。

 

「はぁ〜。」

 

紫煙が口から吐き出される。

 

「喫煙所がここだけというのも難儀だと思わないか? 色物チームのトレーナーさんよ?」

 

俺は双眼鏡でグラウンドを見る人物に声を掛けた。

 

「生憎と、俺は吸わないもんでね。」

 

そう言って、咥えていたアメを俺に見せる。

 

「そら失礼した。」

 

俺はもう一度煙を吸い込んで吐き出す。

 

「あんた若え割に様になってんな。一体いつから吸い始めたんだ?」

 

マジマジと見ながら尋ねてくる。

 

「ふむ、20歳からと答えたら信じるか?」

 

俺は尋ねる。

 

「信じはしねぇが、納得はする。」

 

「なるほどな。」

 

俺はそのトレーナーを観察する。

 

「なるほどねぇ。」

 

「何がだ?」

 

トレーナーは訝しげに聞いてくる。

 

「あんた。いや、沖野トレーナーと呼ばせてもらおうか。」

 

俺は首から掛けている沖野トレーナーの身分証を指差しながら言う。

 

「どんだけ目が良いんだよ。羨ましいを通り越して呆れるぜ。」

 

「まあ、目だけはかなり良い方だからな。」

 

俺はまた、紫煙を吐き出して答える。

 

「沖野トレーナーがかなり優秀なのは見ただけで分かった。腹が立つよな? 個性の強い奴らを納得させて、かつ効率の良い練習も考えなきゃいけない。でも、そのメニューは理解されない。」

 

「へぇ?」

 

双眼鏡を目から外しこちらを向く。

 

「しかも、殆どが言うことを聞かないときた。自主性に任せてるのは良いとするが、もうちょっと気を付けないと内部分裂を起こしかねないぞ?」

 

「それは意見か? それとも忠告か?」

 

俺は薄ら笑いを浮かべて答える。

 

「どっちに取ってもらってもいいさ。ただし、頭の片隅には置いておいた方が良いかもな。」

 

俺は最後に紫煙を吸い込み吐き出す。

 

そして、火を揉み消す。

 

「アドバイス、ありがとよ。」

 

俺は薄らと笑う。

 

「ま、俺も過去に癖の強い奴らを育てたりしたからな。」

 

俺は思い出しながら苦笑する。

 

思い出すのは殆どが俺の部下たちだけどな。

 

かなりの曲者ばかりだったなぁ。

 

キレて上官殴り飛ばした奴、遅刻の常習犯、命令違反の常習犯、性格の変わるトリガーハッピー、1日の3分の2は寝てる狙撃手、フリーフォールをパラシュート無しで飛び降りるアホ、熱中したら銃で撃たれても気付かない爆弾魔とか。

 

あれ?

 

思い返してみると曲者というより、問題児ばっかじゃね?

 

「そうか。お前にもそういう時期があったんだな。」

 

「あるとも! こう見えて20代後半なんだぜ?」

 

トレーナーは驚いた顔をする。

 

「ま、アドバイスと思ってくれよ?」

 

俺は去ろうとするが、トレーナーに腕を掴まれる。

 

「俺何かした?」

 

「お前、受験生だよな?」

 

少しトレーナーの目つきが鋭くなる。

 

「そうだが?」

 

「すまないが、理事長室にお呼び出しだぜ。」

 

トレーナーは、受信したメールの画面を俺に見せてきた。

 

内容は、『至急! この者を見つけた者は私の所まで連れてきて欲しい!』とあり、ご丁寧に写真まで添付してあった。

 

「なるほどね。では、案内を頼めるかな?」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。