あの後から理事長室に2人を呼んで貰った。
「説明! 彼女達は『ハルウララ』と『スマートファルコン』だ!」
俺は2人を頭から足まで見る。
「ほう! ほうほう!」
やっぱり目に狂いはなかった。
「ファルコだよ〜! ウマドル目指して頑張ってま〜す!」
「うっらら〜! ハルウララだよ!」
2人とも元気がいいな。
「ハルウララちょっといいか?」
「ん? なに〜?」
俺はハルウララの腕、足を軽く触ってみる。
「あははっ! くすぐったいよぉ!」
ハルウララは身を捩る。
「あっと、すまないな。」
俺は触るのを止める。
「ちょっと全身に力を入れてみてくれるか?」
「いいよ! はいっ!」
今度は触らずに、ハルウララの周りを一周する。
「もういいぞ。」
ヤバい。
こんなに身体が頑丈な奴初めて見た。
「次はスマートファルコンいいか?」
「本当は、お触りは厳禁だけどいいよ。」
次はスマートファルコンの手足を軽く触る。
「よし、全身に力を入れてくれ。」
「は〜い!」
スマートファルコンの周りを一周する。
ふと、気になったことがあった。
「スマートファルコン、足を少し突くぞ?」
俺は脹脛を軽く突く。
「ふむ、なるほどねぇ。もういいぞ。」
俺は少し考える。
2人ともポテンシャルは悪くはないが、何せバランスが悪すぎる。
「ほうほう。2人のことは良く分かった。」
「確認! 2人を4日だけ受け持つというのに変更はないか?」
理事長は再度聞いてくる。
「勿論。こんな逸材を4日だけでも受け持てるのは嬉しい。」
「了承! では、こちらを渡しておく!」
手渡されたのはトレーナーバッジだった。
「ん、では練習に入る前に、2人に自分の身体のことをしっかり理解してもらう為に少し話すぞ。」
2人は真剣な眼差しになる。
理事長と秘書は耳を傾けている。
「2人とも適性はダートだ。しかし、スマートファルコンについては芝も走らないこともないが、今回はダートに趣を置いてもらう。何故なら時間が足りないからだ。4日という短い時間の中で、2人には勝てるようになってもらう。」
「「はい!」」
「いい返事だ。まずは、スマートファルコンからだ。」
「ファルコから?」
「おう。お前は足の左右のバランスが悪い。バランスが悪いということは、レース後半に足が疲れて伸びなくなる。あと、腕の筋力が足りてない。だから、この2点を重点的において練習する。」
「はい!」
「次は、ハルウララ。」
「うっらら〜!」
「ハルウララは、走り方が悪いのと、気持ちが足りていない。」
「え?」
「走り方は改善できるが、気持ちの面は自分自身と向き合うか、命の危機に襲われて、生存本能を全開にするかしかない。だから聞く。走るだけで満足か?」
「………ウララは勝ちたい。」
「よし! それを聞けただけで十分だ。4日間は本当にキツい練習になると思うが、付いてきてくれるか?」
「「勿論!」」
2人は真っ直ぐに俺を見つめてきた。
ならば俺も本気でやってやる。
「よし、俺もちょっとスイッチを入れますかね。」
普段から仕事いや、任務をしていた時の空気を滲ませる。
雰囲気が変わったのが分かったのか2人は怯え、理事長と秘書は冷や汗を流している。
「これが仕事の時の空気だ。2人とも生存本能を全開にしたら、これ以上の鋭い空気になるぜ。」
2人は頷くだけだ。
「よし、これより任務を開始する。2人ともFollow me」
「「い、Yes sir!!」」