転生は好きな『物語』でした 二世代目   作:二世代目シャトス

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加賀さんが調べていた姫野家と神代家の情報は霧崎さんが調べていた事になってます。あらかじめご了承ください。

え、何でって?そりゃ氷室さんも加賀さんも怪異に巻き込まれっぱなしで話書いたたので、調べる時間がねぇなこりゃ…って事に気付いたからです!だから全部霧崎さんの手柄にしました。許してね加賀ちゃん!


呪術の家系

 

 

「呪術の家系…そりゃ一体どういうことだぁ!?」

 

あまりに予想外な言葉に、加賀は困惑している。驚くのは分かるけど、呪術系統の家柄なら姫乃さんが不思議な力を使えるようになったのにも、一応は納得がいく。

 

驚き呆然と…いや、思考していると言う方が正しいのか。姫野さんの身の回りに起こり始めた怪異と、これまでの一連の流れを照らし合わせてみると腑に落ちる事がいくつかある。恐らくその点に気付いたのだろう。

 

「呪術って、呪いの専門職の事ですよね…。私、今までそんな話を聞いた事が無いんです。お父さんもお母さんも知っているようには見えなかったし。美琴は?」

 

「え、私!?うーん…」

 

これまで普通の生活を送ってきた2人にはまったくと言って良いほどの無縁の話だろう。姫乃さんも知らない感じだ。可愛らしく人差し指を頭にちょんちょんと突っついている。

 

何も答えが出せないままでいる姫乃さんに、霧崎さんはしょうがない事だと励ましをかけた。

 

「そもそもな話、神代家と姫野家の呪術はすでに途絶えているんだ。それも400年も前に」

 

「…400年前に途絶えた、だと?そして今の今までその情報が伝えられることはなかったと言うのか」

 

「だがよぉ、その途絶えた情報をよく翔太は見つけてこれたなぁ。お前探偵に向いてるんじゃねぇのかぁ?」

 

加賀のお節介には興味がないのか適当にあしらう霧崎さん。

小野さんはずっとコーヒー飲んで寛いでるし、俺も隣に座りに行こうかな。どうせこの後の展開も知ってる事だしな。

 

「それじゃあ俺は関係なさそうですしコーヒー飲みながら端っこでゆっくり聞いておきますね〜」

 

「ちょっと引道くん…はぁ、相変わらず好き勝手するんだから。ちゃんと話聞いていないといけないよ?もしかしたら関わりのある事があるかもしれないし」

 

「残念だが引道には今回の話と関与する事が無い」

 

ほらぁ。と言う事で話は聞いておきますね〜ズズズ

 

「だがお前個人のことに関してはある程度調べた。それは後で話すから覚悟しておけよ」

 

小野さんって結構猫舌なのかな。ちょうど良い温度に見えるのにまだフーフーしてる。可愛い……って、

 

「へ?俺を調べたんですか?」

 

「あぁ、悪いが調べさせてもらった。だが今の話を混同させるわけにはいかない。先に姫野家と神代家の関係について話す」

 

そういうと今度こそ誰も話さなくなり、霧崎さんの発表会となった。

 

「まず神代家についてだ。神代家は渡来系の『巫医』。つまりシャーマンの家系として数百年もの歴史を持っていた」

 

渡来系。日本独自の発祥ではなく、海外からやってきた人が日本人に呪術を伝えたと言うこと。俺も詳しくは知らないが、日本と海外とでは呪術師としてのあり方や呪術が異なると言うことを何かの漫画かバラエティで見たことがある。

 

俺は未だ手元で熱を放つコーヒーを見つめながら呟くように聞いた。

 

「巫医ってことは、要は巫女と医者の両方を兼ね備えたパーフェクトヒューマンじゃないですか。呪いとは逆に無縁なように思えるんですが」

 

「さっき霧崎が話した通り、呪術という括りは大きい。信仰や治療、洗脳に奇跡。その用途は多岐に及ぶ。勿論、巫医だって例外じゃない」

 

「ああ。氷室が言ったように、巫医にも呪術の応用が効く。そしてそれに特化していたのが神代家、だったと言うことだ」

 

マジかよ、呪術優秀すぎん?そんだけ幅広く使われるなら現代でも仕事として普及してるように思えるんだが…生憎ニュースとかではオカルト話として信じられてない様子だし、広まってないのか。

 

「でもさ、本当に私何も知らなかったんですよ?お父さんも知ってる感じしなかったし、なんならそれに関係のある手掛かりだった家にあるかどうか…」

 

心配そうに俯く神代さん。いきなり自分の家系を知り受け止められていないのだろう。その点、姫野さんは意外にも落ち着いている様子だ。『表情のない女』の一件以降、少しだけ凛々しくなったかのように見える。

 

「でもよぉ翔太。さっきも言ったけど、お前この情報をどこで仕入れてきたんだ?400年前に呪術が途絶え、現当主であった『神代 初』ですら知らなかったんだぜ」

 

「もっともな意見だ。だが、面白いのはここからだ」

 

そう言うと霧崎さんはホワイトボードの前まで歩き、ペンを持って何かを書き始めた。

 

「実は意外な事実が分かってな。どうやら今ある神代家ってのは、とある田舎から移り住んだ後の神代家らしい。それで、その『旧・神代家』に住んでいる『神代 由香』の祖母……『神代 伊織』に話を聞く事ができた」

 

おお、っと全員が口を揃えて霧崎さんの成果に驚いた。自分の調査に反応をくれた事が嬉しいのか、クールとして知られる彼にも少し笑みが浮かんでいる。

 

「由香はお婆ちゃんのこと、知ってるよね」

 

「うん。…でも会うことはほとんど無かったの。記憶に残ってるのでも、私が小学校に上がったばかりの時ぐらいだったから」

 

そう言うと霧崎さんは少し困ったような顔をして口を噤んでいた。

 

あー、これあれか。確か神代さんのお婆ちゃんが働いてる旅館って、VIPな人達がコソコソ利用するラブホみたいな感じとかだった気がする。そりゃ霧崎さんも伝えるの躊躇するし、ご両親も神代さんを連れて行こうだなんてしないな。

俺がその立場なら連れて行ってもらって、あわよくば乱行パーリナイしたいなんて言い出しかねん。…多分、うん。

 

「…ま、まぁそれも仕方がない。それに神代 伊織でさえ、過去に祖父に聞かされただけで、大それた事ではないと思っていたらしい」

 

すると氷室さんは一つの答えが出たのか、ホワイトボードまで歩き『神代家』と書いてある文字を赤ペンでグルグルと囲った。

 

「…神代家には呪術師としての力があった。その末裔、神代 由香が『ひとりかくれんぼ』と言うなの呪術を施してしまった」

 

赤ペンで囲われた神代家から、新たに一本線が伸びる。その先には今回の怪異の事件の総称が書かれてあった。

 

「そして、とてつもない怪異を引き起こしてしまった。それが今回の怪異…『怪異症候群』の真相だ」

 

「その通りだ。氷室は理解が早くて助かる」

 

 

 

 

 

 

長い時間話し合っていたからだろう。外はすでに日が落ちかかっていた。眩しい夕焼けが、室内を焦がしている。

 

小野さんがソファーから立ち上がり、カーテンを閉める。そして霧崎さんの方へ向き、一つの疑問を吐露した。

 

「神代の血が今回の怪異を膨大にさせたのは分かりました。ですが肝心の姫野さんの家系についてまだ聞いていません。怪異に巻き込まれ続けた姫野さんが、どうして何事もなく済んでいるのですか?」

 

今度は姫乃さんの家系について話が始まった。

この調子だと、話が終わるのは21時とかになるだろう。原作ならこの後に残るのは能面だけだが、悲しいかな。この世界ではどうやらイレギュラーが起こっている。俺と言う存在もそうだが、『表情のない女』もその一つだ。

 

正直…ここの警察署で怪異が襲ってきてもおかしくない。そう思った俺は席を立ち部屋を出ようとした。

 

「ちょっと待て引道。俺たちは今重要参考人としてここにいる。勝手な行動はよせ」

 

ドアに手を添えた俺は少し考えてから振り向いた。

 

「少し買い物がしたいのでコンビニに行ってきます。他の職員も一緒に連れて行くので安心してください」

 

「なら職員に買いに行かせればいい。お前が行くことはないはずだ」

 

「えー!いいじゃないですか、一番くじしたいんですよぉ!自分が引くことに意味があるんですから」

 

そう言うと俺はガッツのポーズを取って職員さんを呼びに行く。

その背後では、姫乃さんと氷室さんが難しそうな顔をしていたが俺は気付かないフリをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほ、本当に行ってしまいましたね、引道くん」

 

「あのバカっ!私達の状況の重さが理解できてないんじゃないの!?」

 

姫野は困惑し、神代は苛立ちを見せていた。勿論、それは自分勝手な行動を取ってる引道に対するものだ。

だが氷室は引道を一度呼び止めたものの、二度は言わなかった。

 

その考えを分かっている加賀が先程の、姫野家についての話を掘り返す。

 

「話を戻すけどよぉ、確かに俺も美琴ちゃんが今回の怪異を生き残れてることに驚いてるんだ。翔太、勿論そこについても答えが出ているんだろ?」

 

「あぁ、数100年前の話だ。筑紫地方に姫野と呼ばれる一族がいた。その一族は有能な呪術師として、古来より伝わる家の秘伝を代々受け継いできた」

 

夕方5時のチャイムが鳴り出す。外は夕焼けの色が濃くなり出していた。

 

「だが先も言った通り、呪術師と言ってもそう一括りにはできない。主に祈願、疫病封じといった類らしい。……だが面白いことに、姫野家の呪術師としての歴史もまた、400年前を境に闇に消えていった」

 

「同じだ……神代家の歴史と」

 

点と点が繋がってき始めたことを、この場にいるもの全てが感じとっている。だが依然として、当事者である姫野美琴はこの事実に驚きはせず、静かに事を見守っていた。

 

霧崎は姫野家の歴史を一通り語り合えると、姫野に視線を向け一つの仮説を解いた。

 

「俺がまず疑問に思ったのは彼女と引道だ。先日、菊川市で起きた集団発狂事件。彼女と引道だけが生き残ったその事実が、俺にはどうしても引っ掛かった」

 

「今までの経歴から考えれば、死んで当然ですね。ですが、それでも『姫野 美琴』に流れる血が、怪異の影響を緩和させたと言うのなら説明はつく。と言う事でよろしいでしょうか」

 

再びソファーで寛いでいる小野が霧崎の考えを代弁する。珈琲はすでに空になっており、カップは冷たくなっていた。

 

意外にも怪異、オカルトに理解があるのか霧崎は興味を持った眼差しで小野を見て頷く。だがすぐにその視線は姫野へと向き直った。

 

「そしてまた、姫野くんも神代家と同様、その歴史を知らされていなかった」

 

「そうですね。両親からは何も知らされていませんし、何かある雰囲気でもありませんでした」

 

大きな力。神代と姫野。呪術師としての家系。偶然というにはあまりにも繋がりが過ぎるという事。あまりのスケールの大きさに乾いた笑いしか出来ない加賀は、ドカッ、と椅子に腰を下ろす。

 

「…なんかとんでもないことになってきたなぁ。なぁ氷室、この事件よぉ…本当に解決出来んのか」

 

加賀の、普段見せない弱気な姿勢を払拭するかのように氷室は言った。

 

「解決は出来る。出来なければ死ぬ。お前に取っても人生で最も大きいネタが入るんだ。最後まで付き合ってもらうぞ」

 

へいへいと手をヒラヒラさせながら天井を見つめる加賀。

外は完全に日が沈み、夜が訪れている。

 

「そう言えば、さっき霧崎さんは美琴と引道が生き残ってる事が引っ掛かったと言いましたよね。引道の家系も呪術絡みなんですか?」

 

ふと、浮かび上がってきた疑問。神代は今回の件に関して、自分の家系が引き起こし、そしてその影響を美琴がモロに受けた。でも姫野の血が美琴を救った。そう解釈している。

 

だが話を聞く限り、家系云々は神代と姫野しか霧崎は話していなかった。単なる伝え忘れということもあるだろうが、神代にはどうしてもそれ以外の事象が混ざっているように思えたのだ。

 

神代のこの言葉に、霧崎は目を鋭くさせた。

 

「いや、彼の家系は呪術と関係があるかどうか知らない」

 

「知らない…普通の、一般人と言うわけですか?」

 

「いいや、本当に知らないんだ。彼の家系も、歴史も、家族構成も学校も名前だって………全てが記録されていない」

 

「なんだと…!?」

 

氷室が驚き立ち上がる。加賀も見つめていた天井から対象を霧崎へと向けていた。

 

「記録されていないって…それってどういう」

 

「そのままの意味だ。俺の伝手を最大限に、いや警察の権力までもを行使して調べ尽くした。だがこの日本に『引道 新聖』という人間は存在していないんだよ」

 

人は生まれた時、役所へ出生届を提出しなければいけない。もしくは海外から移り住む、もしくは入国してくるときはパスポートの類が必要である。

事情は違うにせよ、生きて行くためには証明書が必要なのだ。私は何年に生まれました、故郷はここです、親は〇〇です。

その全てが無いとなると、出生届の未提出。不法入国等の類となり罪に問われる場合がある。

 

だが今回の引道の件はどうやら違うようでーーーー

 

「同じ苗字の人にも当たってみたが、そんな人は家にいませんと同じ返答が来た。そこで俺は一つの答えを思いついたんだ」

 

そこで唯一、今まで狼狽えもしなかった姫野の目に力が入る。

 

「ひとりかくれんぼが起きた日の神代家周辺の監視カメラを全て漁った。するとどうだったと思う?」

 

「どうだったって…」

 

無駄に溜め込む霧崎の態度に少し苛ついたのか、加賀が不機嫌そうな顔で霧崎を睨む。

 

「いきなり現れたのさ。カメラのワンフレーム、1秒のコマだってバグは起きていない。にも関わらず、彼はあの夜急に現れた。そこに何もなかったはずなのに」

 

「…つまりお前が言いたいのは、引道は怪異の類、もしくは怪異に呼び寄せられた人間ということか」

 

「そういうことだと氷室。恐らくこの世界のものでは無い、と言うのが俺が考える『引道 新聖』の正体だ」

 

興奮気味に霧崎は考えを述べる。服装も言語も、その何もかもが日本人のそれでありながら、『引道 新聖』の情報が存在しない。

 

霧崎は『引道 新聖』をパラレルワールドの人間だと位置付けた。

 

 

 

 

 

 

 

「なんか、すごいことになっちゃったね」

 

「そりゃー…前まで普通の高校生活を送っていたのに、変な事件に巻き込まれたと思ったら、自分の家系が原因だのなんだの言われて。…でも、本当は美琴の方が大変だったってこと、全部は見てないけど知ってるから」

 

腕に抱えているクッションを強めに抱き締めているからだろう。少しシワができているのが見える。

 

由香は私を気遣うように優しく語りかけてくれる。それがとても嬉しかった。

 

「ふふ、ありがとう由香。昨日からあまり慣れていないでしょ?先に寝てていいよ」

 

結局引道くんは帰ってこないまま会議は終わった。由香のお婆ちゃん家に行くことが決まったが、それは私達が充分に休んでからにするらしい。

正直ありがたかった。今日の夜中午前は『表情のない女』、昨日の夕方は『くねくね』、そして全ての始まり『ひとりかくれんぼ』。

 

全てが立て続けに起こっており、その対処に追われたこの体はすでに疲労でいっぱいだ。どこかでしっかりと休息を取らなければ、せっかく手に入れたこの力も発揮留守ことのできないまま死んでしまうだろう。

 

けれども、今は引道くんが心配。彼に会って、話をして、しっかりと次の怪異に向かいたい。それがこの世界に呼んでしまった私の役目。

 

由香は眠たそうな目をカッ!と開くと急に立ち上がり憤った様子で言った。

 

「でも引道のヤツ〜…!戻ってきたらビンタの1発でもかましてやらないと気が済まない!!美琴もどう?散々引っ掛け回されたんでしょ、1発ぐらい叩いたってアイツは『ご褒美ですもっと叩いてくださいワンワン!』っていうに決まってるわよ!」

 

「え、えぇ…」

 

いつのまにか凶暴になってる由香に、私は若干引いてしまった。確かに由香は、男子には当たりが強くはあるけどここまでではなかったはず。

それに由香自身が男子を苦手としていたんだけど…何かあったのかな。

 

というよりも、由香の中にある引道くんのイメージが、なんと言うかこう…すごく変態的になってて、それでも少し分かっちゃう部分もあるから面白い。ごめんね引道くん。

 

憤って1人やる気に満ちている由香を宥めるためか、小野さんがお茶を持ってきてくれた。

 

「彼が特殊なのは分かりましたから、ひとまず落ち着いて下さい。お茶、置いておきますよ」

 

流石の由香も大人の女性には敵わないのか、大人しく引き下がりお礼を言う。

でも私は一つ、小野さんが言ったことでどうしても付け加えなくてはいけないことがある。

 

 

 

「小野さん。引道くんは変態で、ちょっと他の人とはズレてるかもしれないですけど…私たちと何ら変わらない、ただの男子高校生ですよ」

 

呪術なんて関係ない。違う世界の人でも関係ない。彼の人柄、生活の全てが、ここにいる私たちと変わらない、何処にでもいる男子高校生であること。

 

私だけが知っている




みなさんお久しぶりです!1年半ぶり…ぐらいですかね!いやー、高校卒業して今はライン業に勤しんでいます!意外と人間関係辛くて苦労しますね…でも頑張ります!意外と給料はいいんででへへへへへへ

とまぁそんな身の上話は置いといて、「転生は好きな『物語』でした」の続きを読んでくださりありがとうございます!つい最近になっても感想が届き、こりゃ書くっきゃねぇ!!!と、あの頃の熱意が再び蘇りました!

これからもちょくちょく更新して行くのでよろしくお願いします!ではでは〜
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