ボーボボ達はレースに参加していた。まごころこめて育てたビュティが遺体を手に入れたが、それはキリストだった!

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ジョジョジョージョ・ジョージョジョ 第七部 スティール・ボール・ラン

—————————あらすじ————————

 

聖人の遺体を手に入れたビュティを捕らえた大統領

それを追うボーボボはついに汽車の中で大統領を追い詰めたのだった

 

 

 規則的な重い音が列車の中に響く。この場にいる全ての人間が、激しい威圧感となって空気を揺らす緊張を音として感じてすらいた。

 木製の床が震えるほどの声で、ボーボボは大統領に啖呵を切る。

 

「大統領! てめーはオレがブッ飛ばす!!」

 

 大きな金髪のアフロヘアにサングラス、青いシャツからは濃い胸毛をのぞかせるその男は、鼻毛真拳の伝承者ボボボーボ・ボーボボだ。

 大統領は列車の前部のビュティに目をやりつつ、油断のない顔つきでボーボボを睨み返す。

 

「『ブッとばす』……か。おまえは何もわかっていない。この『遺体』は我がアメリカ合衆国がもらいうける……それこそが『最良』だ」

 

 ブロンドの巻毛を揺らし、淡々と告げるファニー・ヴァレンタイン大統領。

 

「下がってなボーボボ! たかが政治家のオヤジくらい俺一人で十分だぜー!」

 

 直方体という他ないほどの、半透明の人型がボーボボの前に進み出た。ところ天の助。プルプル真拳の使い手で、かつては毛狩り隊Aブロック隊長の地位にすらいたことのある猛者だ。

 

「オラ死ねやーーー!!」

 

 天の助の鋭い踏み込みが、床板をしならせる。引き絞った右腕は勢いよく大統領の顔面へと打ちつけられた。

 ぷるん、と言う音を立てて、天の助の攻撃は弾かれた。天の助の打撃が、全く通用しない。

 近くの花瓶を、大統領は取り上げる。そしてそれを、自分の足に向かって叩きつけた。

 

「き……消えた!!」

 

 叩きつけたその瞬間、大統領は消滅した。その場から忽然と消え、天の助は大統領がいたはずの場所を手で探る。

 しかし彼は、すぐ隣のテーブルクロスが人二人分ほどに盛り上がっていることに気づかなかった。

 

「『D4C』」

 

 テーブルクロスの下から姿を表す大統領。彼のかたわらには、天の助が一人立っていた。

 驚愕する天の助。自分の目の前で消えた男が、今度は自分と瓜二つの人物を連れて現れたのだ。

 

「ウソ! 天ちゃんが二人!? どーしましょ!!」

 

「すでに『ケリ』はついた……『手札』を見せるのは気が進まんがな」

 

 大統領は連れてきた天の助を、元から居た天の助の方へ突き飛ばす。二人の天の助の体は、強い力で引きつけあった。

 

「うわあああ! 体が……体が四角になってく!! ひ……し……四角くバラバラになっちゃうよおおおおおおお!!」

 

 絶叫する天の助。しかし彼の魂の叫びは、ボーボボや大統領はおろか、ビュティにも届かなかった。

 同じ人物はこの世に二人存在できない。その法則を破れるのは、並行世界を行き来するスタンド能力を持つヴァレンタインだけだ。

 彼が並行世界から連れてきたところ天の助は、この世界のところ天の助と出会い対消滅を引き起こした。

 

「次はお前の番だな……ボボボーボ・ボーボボ!」

 

「うおおおおおお!!」

 

 駆け出したボーボボ。しかしその彼を、先程のテーブルクロスで大統領が自らとともに覆う。

 

「待っていろビュティ……スグに済む……そしてアメリカに『永遠の繁栄』がもたらされる」

 

 テーブルクロスは、音もなく床に落ちた。ボーボボの痕跡は、踏み込んだ足跡だけだ。床板の上のテーブルクロスは、薄く、頼りなく、列車の揺れとともに震えていた。

 

「ボーボボーーー!!」

 

 ビュティは、叫んだ。そうすることしか、彼女にはできなかった。

 

 

 

「ここは……!?」

 

「ここは『隣の世界』だ……ちょうど、()()()()()()()()がいる」

 

 まるっきり、先程までと同じ列車。そこに、ボーボボと大統領はいた。正確には、二人ずつ。

 

「ボーボボが二人いるっ!!!」

 

 並行世界のビュティの声が響く。

 

「えええっマジでぇっ!?」

 

 ボーボボと並行世界のボーボボが口を合わせて驚く。

 ボーボボの脳裏によぎるのは、先程の天の助の惨状。四角いスポンジのようにバラバラになり、跡形もなく消滅した天の助の姿だった。

 並行世界のボーボボの脳裏をよぎったのも、先程の天の助の惨状だった。スーパーの特売コーナーで黄昏れ、十円ですら買い手の付かない天の助の姿だ。

 

「完結……『遺体』はアメリカのものだ」

 

「残念だったな大統領!!」

 

 その声は、たった今大統領が消滅を確信した二人、いや一人の声だった。

 

「行くぜボーボボ!!」

 

「おうよ! もう一人のオレ!!」

 

聖鼻毛融合(ボーボボ・フュージョン)!!」

 

 対消滅ではない。それは二人が、新たな一人となる鼻毛真拳の奥義。

 そこにあったのは、大きな金髪のアフロヘア。はちみれんばかりの筋骨隆々の体を青いシャツに詰め込んだ、鼻毛真拳伝承者。

 

「バカなッ!! そんな手段でッ!わたしの『D4C』を破れるはずがない!!」

 

 二人のボーボボから生まれたその男は、生誕の鬨の声を上げた。

 

「融合完了 ボボボーボボーボボボーボボーボボ!! 覚悟しやがれ大統領!」

 

「名前なげーー!!」

 

 驚くビュティと大統領。

 しかし、大統領には覚悟があった。愛国心ゆえに、彼は決して折れはしない。

 

「……ボボボーボボーボボボボーボボーボ……だと?」

 

 おうむ返しに敵の名を口にする大統領。そしてボボボーボボーボボボーボボーボボもまた、真剣な面持ちで大統領の名を口にする

 

「……ファニー・ヴァレンタイン!」

 

 一人の大統領が頭を窓枠に叩きつけられ、動かなくなる。その犯人は、ボボボーボボーボボボーボボーボボだ。

 

「オレはボボボーボボーボボボーボボーボボだーーーー!!」

 

「違いがわかんないよ!!」

 

 ビュティの弱音に構うことなく、ボボボーボボーボボボーボボーボボは残った大統領めがけて駆け出す。逃れようとする大統領を、ボボボーボボーボボボーボボーボボの鼻毛が捕らえた。

 

「ボボボッボーボボーボッボッボボーボボーボーボボ!!」

 

 ボボボーボボーボボボーボボーボボがそう口にすると、ボボボーボボーボボボーボボーボボと大統領は並行世界から姿を消した。

 

 

 

 基本世界のその車両では、ビュティが打ちひしがれていた。

 

「そんな……ボーボボが……!」

 

 彼女は気丈ではあっても、まだ年端もいかない娘だった。ボーボボが帰ってこない。今まで何度もビュティを救ってくれたあのヒーローは、天の助のように、対消滅してその細胞一つすらこの世に残さず消えてしまったのか。

 彼の最後の名残りになったテーブルクロスは、変わらず床板の上に広がっていた。

 

「ボーボボ……」

 

 テーブルクロスに、滴が落ちた。ビュティは溢れる涙を止めることができなかった。

 

「ボボボッボーボボーボッボッボボーボボーボーボボ!!」

 

 テーブルクロスの上に出現したのは、まさにボーボボその人だった。鼻毛の先には大統領が捕らわれ、揺れている。

 

「ボーボボ……? ボーボボなの!?」

 

 消えたはずの仲間。ビュティは頬を伝う涙が弾け飛ぶほどの笑顔を見せた。

 

「オレはボーボボじゃねえ…… ボボボーボボーボボボーボボーボボだ」

 

 その口調、表情、目つき、声の調子、どれをとってもボーボボそのものだ。ビュティは、ボーボボの生還を喜んだ。

 

「……そう……でも長いからボーボボって呼んでいい?」

 

「ああ……いいぜ、ビュティ」

 

 ボボボーボボーボボボーボボーボボの大きな手が、ビュティの涙を拭う。

 今までどんな敵でも倒してきたボーボボなら、きっと大統領だって倒してくれる。ビュティは、ボボボーボボーボボボーボボーボボを信じることにした。

 

「『詰め』が甘かったなボーボボ! すでにわたしは鼻毛から抜け出しッ! 並行世界から『わたしの増援』を連れて来ているぞッ!!」

 

 ボボボーボボーボボボーボボーボボの背後から大統領が声をかける。その言葉通り、大量の大統領がこの車両を埋め尽くさんばかりにひしめいている。

 ボボボーボボーボボボーボボーボボが基本世界の大統領によって生まれた存在である以上、並行世界から別のボボボーボボーボボボーボボーボボを連れてくることはもはや不可能だった。

 

「オレはボーボボじゃねーーー!!」

 

 ボボボーボボーボボボーボボーボボが雄叫びをあげると共に、その鍛え上げた手足と鼻毛で大統領達を吹き飛ばす。

 

「ボボボーボボーボボボーボボーボボだーーー!!」

 

 大統領の半分以上が列車から姿を消していた。すでに車両の上部は吹き飛び、風の吹きさらす中での戦いである。

 

「くっ……こいつに……聖鼻毛融合(ボーボボ・フュージョン)したボボボーボボーボボボーボボーボボに勝てるのかッ! ()()()よ!」

 

「大丈夫だ……ボボボーボボーボボボーボボーボボの弱点ならすでに!」

 

 大統領がカッと目を見開く。

 

「ボボボボうるせーーー!!」

 

「ぎゃあああああああ」

 

 ボボボーボボーボボボーボボーボボの鼻毛が再び伸び、振われる。大統領はもう、一人しか残っていない。

 

「すごい……すごいよボーボボ!! あれだけ強かった大統領のスタンドがまるで問題じゃない!!」

 

 ビュティが快哉の声を上げた。しかし、大統領もまた、その口を歪めている。

 

「うぐっ……!」

 

 ボボボーボボーボボボーボボーボボが膝をついた。体からは煙が吹き出ており、まるで限界を伝えているようだ。

 

「そんな! 聖鼻毛融合(ボーボボ・フュージョン)の時間切れなんて……!」

 

 あと少し。あと少しで大統領を倒せるのに。ビュティは歯噛みした。

 大統領が、笑みを深くして勝鬨をあげる。

 

「『ツケ』を支払う時が来たな……融合が解ければきさまは『対消滅寸前の二人のボーボボ』に戻る。危うかったが……『アメリカ合衆国の勝利』だ!!」

 

「ぐ……うあああああ!」

 

 ボボボーボボーボボボーボボーボボが叫ぶ。小さな爆発の土煙が、彼の体を隠した。

 そこにいたのは、二つの人影。ボボボーボボーボボボーボボーボボとそっくりな、つまりボーボボが一人。そして、もう一人は。

 

「なんだビュティじゃねーかー! どうしたんだこんなところで」

 

 にこやかにビュティに手を振る、ところ天の助だった。

 

「なんで!?」

 

「フン…… 随分しけたスタンドだったな大統領……」

 

 ボーボボはそう口にして、大統領に目をやった。がくりと膝をついた大統領は、年相応のしょぼくれた男にすら見えた。

 完全無欠にして必勝不敗のスタンドD4C。しかしその全ての策を、ボーボボは打ち破ってみせた。

 

「わたしは……わたしは『負けん』! 『遺体』を手に入れてッ!! アメリカ合衆国に『永遠の繁栄』をもたらすのだッ!!」

 

 大統領の目はまだ死んでいない。アメリカ合衆国のために。愛国心こそが、彼の震える足に力をもたらす。

 立ち上がって大統領は、以前以上に若々しく、逞しかった。傷ついた体でありながら、勝機を求めて立ち向かう。

 

「大統領……なぜそこまでアメリカにこだわる? 話してみろよ、お前の過去を」

 

 ボーボボの言葉には、不思議と棘はない。落ち着いた声の調子からは、攻撃の意思は見えなかった。

 大統領はしばしの沈黙の後、一枚の古びたハンカチを取り出す。何やら文字が刺繍されている。

 

「……わたしの父は……」

 

「浸りすぎーーーー!!」

 

 ボーボボの拳が大統領の顔面を捉えた。殴りつけられた大統領は床を転がり、扉に体を打ちつける。

 

「大統領!! テメーの腐った性根はオレの『D4C』で叩き直してやるぜーーー!!」

 

 ボーボボの周囲から溢れる闘気がビュティ達の目にも見えた。

 足元から湧き上がるそのオーラが、ボーボボの力の象徴だ。

 

「いくぜ!! 一つ目のD!!」

 

 ボーボボは大統領めがけて駆け出す。大統領は蹴倒した机と床で自分を挟み、傷を癒した新たな大統領となって、ふたたび列車に現れる。

 

「一つ目のDはーーー!! 木ノ下大八のDだーー!!」

 

「バカモーン!」

 

「知らん人出たーーー!!」

 

 大統領の背後の男が、大統領を蹴りつける。気配もなく、音もなく、いつのまにかそこに出現したとしか言い表せないほどに、彼は大統領の背後に居た。

 

「バ……バカなッ!!」

 

 スーツを着た初老の男大八は大統領を殴り続ける。D4Cのスタンドでの防御も、大八の怒涛の攻撃を止めることはできない。

 

「クッ……!」

 

 大統領の拳銃が火を吹いた。懐に潜んでいたその銃は、大八の足を止める。

 だが、相手が銃を持っていて自分が素手であろうとも、大八には許し難い理不尽への怒りのパワーがあった。

 素早く距離をとった彼は、自らに最も合った武器を手にした。

 天の助の背後に回り込む際の全く無駄のない足運びは、武道家が見れば感嘆の息を漏らすほどだ。大八の拳によって打ち付けられた天の助の体の一部のところてんが、大統領めがけて飛んでいく。

 

「ところてんマグナム!!」

 

「ぐああああ!!」

 

「大八つえーーー!!」

 

 悲鳴をあげる大統領と天の助。ビュティもまた、大八の強さに心を奪われた。

 傷ついた体を押さえながら、大統領はふらふらと立ち上がる。

 

「な……なぜだ……なぜ()()()()()になる!!」

 

「テメーのように理想に凝り固まった奴にはわからねーだろうな!! 大八さんの強さの理由も怒りの理由も!」

 

「八百長じゃー!!」

 

 大八の前蹴りが、大統領のみぞおちにめり込む。呼吸を阻まれた大統領は再び、地面に膝をつく。

 

「大八さんはなー! タイガースが昨日負けたから怒ってんだよ!」

 

「そんな理由!?」

 

 ボーボボは大統領へと駆け出しながら、「D4C」の続きを叫ぶ。

 

「二つ目のDはーー!首領パッチのDだーーー!!」

 

 ボーボボを飛び越えて彼の背後から現れた、トゲトゲの球体。太陽のようなフォルムの彼は、アルプス山脈の天然の水のみに棲息する水の妖精だ。

 

「ドンパッチソード!!」

 

 両手のネギを振りかぶって叫ぶ首領パッチの両足を、ボーボボが掴んだ。

 

「バカ爆弾!!!」

 

「ぎゃああああ!!」

 

 勢いよく振り抜かれた首領パッチは、大統領の頭をに衝突し、勢い余って転げ回る。地面にその顔を突っ伏す羽目になった大統領は、傷だらけの顔を上げてボーボボを睨んだ。

 

「やれ! 『D4C』!」

 

 近距離パワー型のスタンドには射程距離がある。ボーボボが完全に射程距離内に入ったこのタイミングをおいて、他にない。

 彼のそばに現れたのは、機械のようでありながら手足の長い美しいフォルムのスタンドではなく、スーツと帽子を身につけ手に拳銃を持った、出っ歯の男。

 

「アケミはオレが守る」

 

「変なスタンド出たー!!」

 

「何だこれは!! わたしの……わたしの『D4C』が!」

 

 狼狽える大統領。彼の肩口には、一つトゲが刺さっている。

 恐怖を感じて振り向いた大統領の視線の先では、立ち上がった首領パッチが不敵な笑みを浮かべている。

 

「首領パッチエキスを注入した……安心しな、『思考』が()()()()()()()()()()()

 

「お……おのれえええええ」

 

 怒りに顔を歪ませる大統領。これまで何度も彼を勝利に導いてきたスタンドが、とうとう奪われてしまった。

 

「ちなみにそのスタンドの名前は純情でっぱ刑事だ」

 

「三つ目のD!大統領選挙のDだーーーー!!」

 

 列車の外側を並走するようにスクリーンが現れる。アメリカ合衆国の地図が大きく映し出されるそのスクリーンの右下には、小さくボーボボ達の名前がそれぞれの色とともに記されていた。

 ボーボボは黄色、首領パッチは赤、天の助は青、大統領は白がそれぞれに割り振られている。

 

「取った選挙区がソイツの色に染まる! 敗者は当然電撃のお仕置き付きだーーー!!」

 

 ボーボボの威勢のいい声に、首領パッチ達も盛り上がる。

 

「アメリカ初の女性大統領になるのはこの私よ!!」

 

「オレのところてんファースト政策こそが有権者の心を掴むんだー!」

 

 スクリーンのアメリカの色が変わり続ける。勝者は誰か。固唾を飲んで見守る四人。

 

「新大統領は……!」

 

 緊張の一瞬。ビュティもまた、手を合わせて祈った。

 

「木ノ下大八だーー!!」

 

「みんなありがとう」

 

「なんで!?」

 

 大八は微笑んで有権者に手を振った。

 

「バカなあああああああ」

 

 ヴァレンタイン元大統領が電流を浴びる。怒号を上げて無効選挙と騒ぎ立てる首領パッチと天の助はもちろん、ボーボボもその電撃の餌食になった。

 痛みをかき消すようにボーボボは咆哮する。

 

「うおおおおおお! 続けていくぜー! 四つ目のDはーー!」

 

 元大統領は焦った。あと二度もこれだけの攻撃を喰らえば、耐えられるはずがない。逃げなければ。

 

「木ノ下大八のDだーーー!!」

 

「一個目とカブってるーーー!!」

 

 ふたたび車両に現れた木ノ下大八。先ほどと違う点といえば、彼が数人の黒服を連れている点だった。

 葉巻を咥えた彼は、目を閉じて指を鳴らす。それを合図に、黒服達は小銃を取り出して、車内へ乱射した。

 

「ぎゃあああああ!!」

 

「大八ヤベーーー!!」

 

 かろうじて難を逃れたビュティは椅子の陰で頭を抱える。

 大八が去って行った後、傷だらけのボーボボと元大統領が立ち上がった。

 

「『幸運』だ……わたしがこれ以上……『不幸』をこれ以上おっ被ることはない!」

 

 今の傷だらけのボーボボでは、元大統領が何かにはさまろうとしても止めることはできない。

 立ち上がり周りを見渡した元大統領は凍りついた。

 

「元大統領! オレは無駄に今まで暴れてた訳じゃねーー!」

 

()()()()()ものが……ない!」

 

 電撃に続いての、大八の銃撃。それに合わせてボーボボは自らの鼻毛を用いて、大統領に利用されうる物を全て除外していた。

 

「そして最後のCーーー!」

 

 ボーボボの熱い魂はさらに燃え上がる。

 

聖鼻毛融合(ボーボボ・フュージョン)のCだーーー!!」

 

「C入ってねーーーー!!」

 

「毛の痛みを思い知れ! 大統領!!」

 

 首領パッチと天の助がボーボボに駆け寄る。

 かつて天の助を圧倒したボボパッチ。あるいは、物質ハジケ融合を操るパッチボボ。数億分の一の確率で誕生する最強の合体戦士、大人の女横浜の純子。平和主義者でありながら驚異の戦闘力を持つ天ボボ。マジで・タイムによって相手を封殺するボボパッチの助。

 彼ら三人の融合はまさに無限大。

 唯一の弱点である一分間という短い制限時間も、トドメの一押しがあればいい今では弱点にならない。

 

「トランスフォーム! アメ玉!」

 

「プルプル真拳奥義! 極上料理!」

 

 首領パッチはアメ玉へと姿を変え、ところ天の助は皿の上に寝そべる。

 

聖鼻毛融合(ボーボボ・フュージョン)!!」

 

 眩い閃光。

 目を開けていられず、ビュティは目を覆った。

 光と舞い上がった土埃が収まった頃、ビュティはようやく、その融合戦士の姿を目にする。

 

「バ……バカな!」

 

「そんなことが……!!」

 

「ウソ……でしょ……?」

 

 百九十五センチの高い身長でありながら、筋肉質なその体型。前を開けた学生服は改造が加えられており、襟からは鎖が垂れている。学帽から覗くエメラルドグリーンの瞳は、冷静でありながら悪を許せない熱い魂を象徴しているようだ。

 

「融合完了 大統領・領ー領領……やれやれだぜ」

 

「オレ達置いてかれたーー!!」

 

「スゴい人来たーー!!」

 

大統領・領ー領領 変身時間は七年三ヶ月!

 

「首領パッチ! オレ達がこれまで歩んできたSBRレースの旅路の重さを知りな!!」

 

 首領パッチと天の助は恐怖のあまり抱き合った。

 

星の白金(スター・プラチナ)!!」

 

 領ー領領のそばに現れ立った、パワーのある像。ボディビルダーを遥かに超える肉体を見せる、逆立った髪の大男。顔つきはどこか領ー領領に似ているものの、かなり野生的だ。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

 

「ぎゃああああああ!!」

 

 星の白金(スター・プラチナ)の拳の連打が首領パッチと天の助を襲う。一撃で大型トラックを止めるほどのパワーが、何度も彼ら二人に打ち付けられる。

 とどめの一発で吹き飛ばされた二人。しかし彼らは幸か不幸か、ビュティのすぐそばに吹き飛ばされていた。

 下衆な笑みを浮かべ、彼らは立ち上がる。

 

「領ー領領! ビュティの命が惜しけりゃあそのスタンドを消しな! ゲヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

 

 天の助はすぐさまビュティを人質に取った。背後から腕を回し、木片をその喉元に突きつける。

 首領パッチに至ってはビュティの体を小突き回している。

 領ー領領は迷うことなく、星の白金(スター・プラチナ)を消した。

 

「領ー領領!! 私はいいから!早く逃げてーー!」

 

 一歩一歩近づいてくる彼の表情は、帽子のために読み取れない。

 

「オイ! それ以上寄るんじゃねー!」

 

 領ー領領は言われた通り足を止めると、顔を上げて目を見開いた。

 伸びる黒い毛。それは、鼻毛だった。

 

「鼻毛真拳奥義!!」

 

「や……やめろおおおおおお」

 

「ジョジョジョージョ・ジョージョジョ!!」

 

 鼻毛の一撃が、天の助と首領パッチの闘志を打ち砕いた。床に倒れる二人を飛び越えて、ビュティは領ー領領に抱きつく。

 

「てめーの敗因はたった一つだぜ……首領パッチ」

 

 領ー領領は倒れた二人を見下ろし、ゆっくりと言葉を吐く。

 

「てめーは俺を怒らせた」

 

 

首領パッチ 『ハジケリスト』

ところ天の助 『プルプル真拳』

  ————完全敗北  再起不能(リタイア)

 




To Be continued

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