灼炎の皇女と紡がれし未来   作:咲野 皐月

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 皆さま、おはこんばんにちは……バトスピやら何やらに現抜かしてた上、仕事の疲労で執筆どころの体調では無かった咲野 皐月でございます。大変長らくお待たせ致しました。


 さて、今回は少し本編の主人公sideから視点を変わりまして……新キャラの視点からお届けしようと思っております。このキャラクター達は、後々に主人公側のチームとの絡みを持たせようと思いますので、把握の程をよろしくお願いしますm(_ _)m

 そして……いつもの様に5000字近くで描いております故、割と場面転換などのやり方には気をつけているつもりです(本音はめちゃくちゃ不安)。


 それでは、本編スタートです。

 今回からキャラクターの容姿などにも触れておりますので、近いうちに登場キャラクターを一纏めにして何話かに分けてご紹介しようかと考えております。やる時期は未定ですので、ご参考までにお願いします。


春を告げる五人の騎士:①

「……」

 

 

 本格的に春の陽気となって来た4月のこの頃……僕は自宅にある、自分のベッドで眠っていた。年度末の学校も終わって、春休みに入ると……朝から部活があったのはまあわかるのだが、問題はそれを超える程のお仕事だった。

 

 

 世間一般的な学生の春休みと言うのは、学校の先生から出された課題をこなしながら、部活やら新年度の準備やらで大忙しになると思うのだが、僕の場合はちょっとだけ違っていた。

 

 小さい頃から一緒に居た幼馴染の影響で、芸能事務所に所属しているのだ。それもマネージャーとして……である。それ故に学校へ来れない事も多々あり、周りの人にお世話になった事も一度や二度では無い。

 

 

 一応……初めましてです、と言う人も居るかもしれないし、ここら辺で自己紹介をしておこうかな。僕は盛谷(もりや) 颯樹(さつき)。私立春ヶ峰学園高校に通う二年生で、先にも述べた様に普通の高校生とはちょっと違った生活を送っている。

 

 

 趣味は音楽鑑賞と読書の二つで、部活は何に入っているかと言うと……ヴァンガード部、なる部活に所属している。最初こそ、部活としてあるのが引っ掛かりこそしたけどね。

 

 ヴァンガードは小学生の頃から始めていて、そこそこ引けは取っていないのでは……と思っていたりする(気の所為であって欲しいが)。

 

 

「起きて下さい、颯樹」

 

 

 そして、そんな僕を眠りから引き摺り出すかの様に、凛としていて……それでいてハッキリとした優しい声が、僕の耳朶を否応無くくすぐった。……この声には聞き覚えがあるし、学校などでよく顔を合わせる女性の声だ。

 

 

「ん、んん……」

「おはようございます、颯樹。よく眠れましたか?」

「あ、おはよう……千歌。お陰様で」

「ふふっ、それは良かったです」

 

 

 僕の隣で優しく微笑んだのは……グレーの髪を腰の位置まで伸ばし、瞳はサファイアの様に蒼く澄んでいる少女──千歌こと、水澄(みすみ) 千歌(ちか)だった。彼女とは中学時代からの付き合いで、何かと色々な事で世話を焼いていたりする。

 

 そして身に纏っているのは、紺色を基調としたブレザーの校章が着いた女子用の制服な事から、通学の途中に立ち寄って来たのだと言う事が分かった。

 

 

「朝からごめんね、起こして貰って」

「いいえ、気にしないでください。私が好きでやっている事なので、これくらいは。それに……颯樹のお母様には、事前に話を通してありますし」

「そうだったんだ……って、ちょい待ち」

「はい、何でしょうか?」

 

 

 僕は布団から身体を起こして、未だに微笑んでいる彼女の方を見る事にした。……のは良いのだが、何点か聞いておかないといけない事があった為、千歌に質問をしてみる事にした。

 

 

「一点目。今、何時?」

「今は朝の六時です。貴方の従来の起床時間ではありませんか」

「……合ってる。次に二点目だけど、どうやってここまで来たのかな? 千歌の家から僕の家までは、ちょっと距離があったはずだよ?」

「歩いて来ました。離れていると言っても、30分も歩けば辿り着ける距離……であれば、モーニングコールをしに行くのが当然かと」

 

 

 僕の投げかけられる質問に、スラスラと模範解答の様に千歌は答えて行った。ここまでは希美──僕の幼馴染である女の子、愛川(あいかわ) 希美(のぞみ)がうっかり喋ってしまいそうな事柄だったので、特に何も不自然は無かったのだが……三つ目の質問の答えを聞いた瞬間、驚愕する事になってしまった。

 

 

「三点目。こんな朝早くにここに来て、親御さんは何も言わなかったの?」

「はい。それどころか……父と母は喜んで私を送り出してくれました」

「……あ、あの人たちはぁ……」

 

 

 千歌から告げられた言葉に、僕は少し頭痛がする感覚を覚えてしまった。彼女の両親は有名な音楽家らしく、父親が有名な音楽団体の指揮者で……母親がソプラノ歌手と言う、いつ聞いてもツッコミどころしかない一家なのだとか。

 

 それ故に、千歌も小さい頃から音楽の英才教育を受けて育ったらしいのだが……母親からの勧めでヴァンガードを始めた際、父親からこう言われたのだとか。

 

 

『私たちの願いは、千歌が心身共に健康でのびのびと育ってくれる事……だから、お前の気の赴くままに生きなさい』

 

 

 その時の千歌にかけられた言葉の真意こそ、僕の窺い知る所では無いが……本人曰く『「音楽家の娘なのだから、音楽に携わっているのだろう」と言う偏見を、これで綺麗サッパリ払拭できる』との事だったらしく。

 

 こんな事まで教えて貰って良いのかと、聞いた当初は不安こそ抱いたのだが、本人も気にしてない様だったので、僕はこれ以上の追求をしない事にしている。

 

 

「さあ、早く朝食を食べましょうか。そして……あの寝坊助な希美を、一刻も早く起こしに行かなければ」

「そうだね。制服に着替えたら降りて来るから、一階で待っててくれるかな」

「分かりました。では、食事の用意をしてお待ちしてますね」

 

 

 そう軽く話をした後に、僕は布団から起き上がり、寝間着から制服への更衣を始め……千歌は朝食の用意をしに部屋から退出して、階段で一階へと降りて行った。

 

 ……まあ、着替えるのにはそこまで時間もかからなかったので(女子よりも男子の方が着替えは多分早い……かな)、その後に軽く洗顔を済ませた後、彼女の用意してくれたご飯を一緒に食べて登校する事になった。

 

 

「全く、希美と来たら……いつになったら時間通りに起きられるんですかね」

「まあ……希美は昔からあんな感じだし、下手に矯正させる必要も無いかなって思って、そこまであまり言わなかったんだけど……」

「颯樹は甘すぎます!」

「……返す言葉も無いよ」

 

 

 ……そう。僕が常々千歌から言われるのは『人に対しての甘さ』だ。彼女自身は、真面目な性格故に曲がった事を好まないし、言い方も簡潔で尚且つ正直なのだが……僕はどちらかと言うと、確かに面倒な事は避けたいと思うんだけど、あまりそれに対してストレートに言えない性格なのだ。

 

 僕としてはあまり人からの反感は買いたくないので、できるだけ穏便に済ませる事を心掛けていたりする。だからかもしれないが、大抵泣き付かれて早々と折れてしまうのが関の山だったりするのだ。

 

 

「そう思うなら……普段から常に責任感のある行動をする様に、希美に心掛けさせたら良いのです。出来ない様じゃ本人の為になりません」

「んな事言ってもなぁ……っと、人の家の前で口喧嘩はあまりしない様にしようか。そろそろ希美を起こしに行くよ」

「……分かりました。颯樹は希美の方をお願いします。私は希美のご両親に挨拶をして来ますので」

 

 

 そんな言葉を交わした後、僕と千歌は行動を起こす事にした。彼女の両親の事は希美の家族も知っているので、本人の寝坊癖があると言う事に関しての、注意喚起……みたいなのを千歌がする事になった。

 

 

 まあ、こうなってしまうと僕が一番本当に苦労するんだけどね……精神的に。希美とは小さい頃から幼馴染をやって来てはいるのだが……これに代わる苦労を、今の所は経験した事が無い。

 

 彼女自身はそこまで気にもしてないので、僕も咎めこそしなかったのだが……千歌からこう言われた以上、腹を括って何とかするしかあるまい。

 

 

 そう意気込んだ僕たちは、希美の家のインターホンを押す事にした。何処の家でも聞こえる呼び出し音が鳴り、中から呼び掛けに答える様に声が聞こえて来た。

 

 

『はい、愛川です。何か御用ですか?』

「えっと……盛谷です。希美を起こしに来まし『待っててね、今娘を起こして来るから!』あ、はい」

『あ、そうそう。颯樹くんなら家の合鍵を持っていると思うから……それを使って入ってらっしゃいな。一緒に居る子も遠慮しなくていいわよ』

「すみません、ありがとうございます」

 

 

 そんな事を言った後、先程応答してくれた女性──希美の母親は、料理をしている途中だったであろう手を止めて、直ぐ様階段を駆け上がって行った。その様子からも慌てていた事が分かり、余程不味い事をやってしまったと言う旨が見て取れた。

 

 

「……颯樹、どうしますか?」

「……まあ、ああ言われたらね……。とりあえず、叔母さんからの許可も貰ったし、中に入ろっか」

「……そうですね」

 

 

 僕たちは少し呆然としながらも、家の鍵を開けて入る事にした。ちなみに希美の家の合鍵を持ってる理由なのだが、これが非常にシンプルで『将来、希美を貰ってくれる人だから!』と言う事らしい。

 

 

 ……おいおい、さすがに警戒心ゼロ過ぎじゃない? 

 

 もしこれが僕じゃなく、誰の馬の骨とも知れん野蛮な男共の誰かだったとしたなら……と、考えてしまうと身震い物である。

 

 

「お邪魔しま〜す」

「お邪魔します。……そう言えば、希美のお父様がいらっしゃらない様ですが……何かあったんでしょうか?」

「たぶん、仕事じゃないかな。前に一度、朝早くから出て仕事場に向かう所をちょっとだけ見たことがあるから」

「なるほど……」

 

 

 千歌とそんな話をしつつも、僕たちはリビングの方に向かった。するとそこには、途中で止められている料理の痕が見えていて、まだ終わってない事が窺えた。

 

 

「全く、希美は相も変わらず……」

「まあ、それが希美だから仕方ない『希美、いい加減に早く起きなさい! 颯樹くんが呼びに来てくれたわよ!』やっぱりこうなったか」

 

 

 僕たちが溜め息を吐いた後、間髪入れずに叔母さんからの呼び出しがかかった。希美も疲れてるだろうし、寝かせてあげたいのはやまやまだが、今日は生憎とそこまでしてあげられる程の余裕が無いのだ。

 

 仕舞いには部屋のドアをノックし始めたので、僕はこの場を千歌に任せて、希美の部屋の前に行く事にした。

 

 

「小母さん、少し冷静になってください」

「あら、颯樹くん。希美を起こすのを手伝ってくれるのかしら?」

「ええ。……と言うより、僕自らの手で起こします。小母さんは料理の途中だった様なので、其方の方に」

「助かるわ〜。それじゃあ、お願いね?」

 

 

 そう言って希美のお母さんは一階へ降って行き、僕は部屋のドアを3回ノックする事にした。3回ノックするのは、所謂『中に人が居るか確かめる為』の行動なのである。

 

 中から声が聞こえたら、その件の人物は室内に居る事がわかるのだが、反応が無い場合、再びノックをするか時間を空けてもう一度来るかの二択になってしまうのだ。僕としてはそこまでしたくない為、成る可くこの呼び掛けだけで答えて欲しいのだが。

 

 

「希美〜、起きてる?」

 

 

 僕が部屋の中にいる希美に声をかけるも、中からの応答は聞こえて来なかった。その代わりと言うには心許無いが、寝返りを打つ様な声が聞こえて来た。

 

 

 ……この分だと、まだ夢現な状態らしい。

 

 あまり無理矢理にはしたくないが、ここで何かあれば千歌のお説教を食らう羽目になるので、僕はもう一度ノックをするのと同時に、ドアノブの方にも手をかけた。

 

 

「希美、起きてるなら返事を……あれ、空いてる」

 

 

 ダメ元で回してみたドアノブから、ドアが開いたのを確認すると、僕は希美の部屋の中に一言告げてから入る事にした。室内は電気が消されているので、全体的な色合いなどは分からないのだが、近くに本棚や箪笥があり、その近くにはベッドと勉強机と言う、至って基本的な物だった。

 

 

 そうして進んで行くと、目の前にピンクで花柄の模様をした羽毛布団が目に入った。僅かながら膨らみが見えていたので、これはまたいつものだと察してしまった。

 

 

「希美〜、朝だよ〜。起き……ろ?」

 

 

 そう声をかけながらも布団を捲ると、そこに希美の姿は影も形も存在していなかった。僅かな膨らみが布団に残っていた為、まだ寝ているのかと思っていたのだが、今回は彼女に完璧にしてやられた。

 

 そう思いながらも、僕は後ろを振り向いて一階へと降りようとしたのだが。

 

 

「えい♡」

 

 

 突如として聞こえた声に反応が遅れてしまい、僕は不意に抱き着いて来た人物を受け止める事しかできなかった。この手の脅かしをして来るのは、僕の考える限りではたった一人しか思い当たらなかった。

 

 

「……おはよう、希美」

「えへへ〜。おはよう、颯樹くん♪」

 

 

 そう言って抱き着いて来たのは、僕の小さい頃からの幼馴染の女の子……愛川 希美、その人だった。髪は明るめな茶髪を腰まで伸ばしたロングヘアで、それを普段は両サイドで少し括ってツインテールにしている。瞳はルビーの様に深紅な瞳、とまでは言えないがそこそこ赤い眼をしている。

 

 

 昔から元気は人一倍あって、たま〜にうっかりドジをして二人とも親からミッチリ怒られるという事も何度かあった。その度に僕の所へ来て慰めてもらうのがお決まりの様で、双方の両親からはこんな話があったのだとか。

 

 

『もういっその事、結婚してしまったら?』

 

 

 ……今思い出しても頭が痛くなる案件である。

 

 そして、僕は寝起きの希美に構っていたからか、この後に迫る妙な寒気を覚えるほどの威圧感に、全く気づく事が出来なかった。

 

 

「颯樹、希美……」

『……あ』

 

 

 ……すっかり忘れてた。

 

 

「いい加減にしなさい、二人とも! 何をモタモタしているのです……早く支度して行きますよ! 特に希美! 年頃の女子がそんな無防備に抱き着くなど言語道断……直ぐに着替えて支度して下さい! 京介さん達を待たせているのです、少しの遅れも許しませんよ!」

「ご、ごめんって千歌〜!」

「言い訳無用、早くしなさい!」

 

 

 こうして僕と希美は、すっかり怒り心頭な千歌の催促を受け、身支度や朝ご飯を済ませて(僕は既に千歌と食べていたので問題無し)、今回の待ち合わせ場所であるカードショップに向かう事になったのだった。




 今回はここまでです。如何でしたか?

 サブタイトルに数字が振られてある事からお察しできる様に、次回はこのお話の続きでございます。最後にちょこっとだけファイトシーンを載せようかとも計画しておりますので、お楽しみにして頂ければ。


 それでは次回に……待て、しかして希望せよ。


 そして、今回は初めての……後書きでの新キャラプロフィール公開をしたいと思います。既にデータが出来上がっているメンバーは逐一載せて行こうかと思ってますが、公開ペースは不定期になりますのでご注意ください。


───────《オリキャラプロフィール》─────

【名前(読み仮名)】 水澄 千歌 (みすみちか)
【性別】女性【年齢】16【学年】高校2年生

【在籍校】私立春ヶ峰学園高校
【身長】160cm【体重】46kg【血液型】O型
【誕生日】6月3日

【設定】
 お淑やかで何事にも物怖じせず、真面目でストイックな性格。多少恥ずかしがり屋な面こそ見せるが、基本的には常に冷静沈着。困ってる人を見つけると放っておけない気質
で、場合によっては自分より格上の存在であっても怯む事無く接する。それが所以してか、 周りからの人望もかなり厚い。

 家族が音楽関係で有名な事もあり、 幼少期から音楽の英才教育を受けて育つ。ただ本人の夢に関 しての厳しい干渉は無いとの事らしく、 自分が何 になるかを模索中。

 颯樹とは中学の頃からの同級生であり、 彼の過去を知る数少ない人物の一人。 きっかけは颯樹が体育祭の時に大怪我を負い、それをお仕事で多忙だった希美の代わりに手厚く看病したからと言う物。

 その事と普段からの成績が優秀で状況判断に長けている事から、チーム内では参謀を任されていて、 颯樹の為に勝利を届けると言う、絵に書いた様な心酔っぷりを見せている。

【スリーサイズ】 80/56/82
【趣味】各種楽器、料理
【使用クラン】《ネオネクタール》
【分身】《白百合の銃士セシリア》
【イメージCV】福原 綾香 (台詞イメージは『プリンセスコネクト!Re:Dive』のチカ)

ファイトの描写について

  • 第2話と第3話の形式が良い
  • 第6話(最新話)の形式が良い
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