これはびっくり大穴ウマ娘 作:キングヘイロー↙️↓↘️➡️↗️⬆️
またメジロか……とも思いましたが、当時のメジロはすごいのです。
「ひゃー、明日はついにG1っすか。ノってますね、アルビレオ!」
「まあ、ノって……ますかね?」
新年度からダイユウサクにルームメイトができた。
ダイユウサクは数ヶ月ひとり部屋だったのだが、新年度の部屋割で2才年下のメジロパーマーがやってきたのだ。
どうやら彼女のルームメイトは早々と中央に見切りをつけ、地方トレセンへと転校したらしい。ままある話ではある。
メジロパーマー。気さくでほどよく距離感があり、つき合いやすいウマ娘だ。
癖のある鹿毛に細い流星が特徴的で、ふるまいにも良い意味でメジロ家の令嬢らしさがない。
トレセン学園の寮が相部屋なのは意味がある。
群れる習性のあるウマ娘は独りでいるとストレスを溜めてしまう。その緩和のために同居人がいるのが望ましいとされるのだ。
また、体調不良やトラブルがあっても早期発見や報告ができるように、との意味もあるらしい。
事実、ダイユウサクはパーマーが来てから気分の浮き沈みが落ち着いた気がしている。
「そりゃもちろん! ユウサク先輩が高松宮記念出走! ワースさんが障害レースで連勝! スペインランド先輩が前半戦13出走! アルビレオは評価されなかった才能が集まったトレセンアベンジャーズだって密かに注目してるウマ娘は多いんですよ! なんて言うか『自分もがんばろっ』って勇気づけられるんですよね。私もそうですし」
メジロパーマーの言葉に「アベンジャーズ?」とダイユウサクは首をひねる(当時ウエスト・コースト・アベンジャーズ展開中)。
興奮しているのか、メジロパーマーは凄まじい早口である。
「力を発揮できず涙を飲んでいる多くのウマ娘たちの代弁者! ついに反逆の狼煙をあげた怒れる3人のウマ娘! ……まあ、入りたいかは別ですけどね」
「うーん、チームメイトは募集中なんだけどな……やっぱり初めから3等星は入りたくないですよね。あと私たち怒ってないです」
そうなのだ。
ウマ娘たちだって初めから3等星のチームに入りたいわけではない。
トレセン学園に入学する優駿たちはそれなりに自信家だ。
まず1等星を目指すのは必然。条件戦がメインになりがちな3等星は『思うようにスカウトされず余裕がなくなった』状況にならねば視野に入りづらいだろう。
初めから3等星を希望すれば、自分の器が『そこまで』と宣言するに等しい。そんなウマ娘は初めから中央トレセン学園には来ないのである。
その点、ツキノコガネは変わり種なのだ。
それゆえに、アルビレオにチームメンバーが増えるとすればスケジュールが進んだ年末くらいになるだろう。何度も選抜レースを繰り返し、どうにかスカウトを、どこでもいいからチームに、となってからの話だ。
新規チームの所属ウマ娘が少なくても特例で猶予期間がある理由はここにある。単純に集まらないのだ。
「パーマーさんはチーム決まったんですよね?」
「はい、レグルスです」
メジロパーマーはさすがメジロ家出身と言うべきか、早くも1等星チームからスカウトを受けたらしい。
レグルスは近年めだった活躍がないが、歴史ある強豪チームだ。
「すごいですね」と素直にダイユウサクは感想を口にした。
「いやあ、たはは……それがまあ、コネというか。身内がレグルスで活躍したウマ娘なんで口利きがあったみたいなんすよ。メジロ家ってそんなとこあるし、私は大したことなくて」
きっと、アルビレオに入る前のダイユウサクなら、この言葉に嫉妬していただろう。
才能や結果ではなくコネで貴重な席が埋まる。それが許せないウマ娘も多いはずだ。
だから、おせっかいとは思いつつダイユウサクはパーマーをたしなめることにした。
「パーマーさん、それを言うのはダメです。秋になればチーム探しで苦しむウマ娘に恨まれます。あなたも、チームも、メジロ家も」
「あっ、そうですよね……スミマセン」
打てば響くと言うのだろうか。
メジロパーマーは実に察しがよく、口下手なダイユウサクの意図を汲み取ってくれた。
口先だけの反省でないのは耳を見れば分かる。彼女の耳は張りを失いペタリと頭にくっついているのだ。
「私はワースさんを見てますからメジロ家ってすごいって知ってます。レグルスに選ばれたパーマーさんも、きっとすごいんですね」
ダイユウサクの言葉にパーマーは「いや、まいったなあ」と頬をかいて照れている。
自分でも意外だが、ダイユウサクはこの後輩がかわいい。
「でもマジで私は大したことないんですよ。今年はメジロ期待のライアンって努力の天才みたいなスゴいのでますし、分家のマックイーンもゲキヤバなんです。だからちょっと焦るって言うか、卑屈になってたみたいで……はは、私は何て言うか、まあ、そんな感じで」
言葉を濁すのは先ほどのやりとり故だろうか。
自信がないのはダイユウサクも同じ、他と比べてしまう彼女の気持ちはよくわかる。
しかし、メジロパーマーには悪いが、ダイユウサクの気は先ほどの名前に惹きつけられていた。
(……メジロライアン、メジロマックイーン)
なぜか、その名前に運命的な何かを感じる。
理屈ではない、本能が、ウマソウルがその名前に共振したのだ。
高松宮記念、前日の夜はふける。
☆
高松宮記念当日、天気は曇り。
(すごい、これがメインの控え室か)
もう何度目かになる中京競馬場、初めて通される個室にダイユウサクは驚いていた。
「あっはっは、俺も使わせてもらって悪いなあ!」
「はあー、クーラーまであるなんてすごいですねえ」
スペインランドとツキノコガネが喜んでいるが無理もない。設備や待遇が他レースのロッカールームとは全然違うのだ。空調にドリンクを冷やす冷蔵庫、まさにいたせりつくせりの待遇である。
ちなみにスペインランドはダイユウサクの1つ前、10レースの飛騨特別に出走予定だが、ダイユウサクの希望もあり一緒に個室で待機していた。
「今回のレースプランだが、まずスペインランドからいこうか。1200M、芝はやや重くなってるようだがーー」
「あら、1番人気のドリームランドさん『黄金のウマ娘、ハギノカムイオー』先輩のお身内ですのね」
トレーナーとメジロワースもどこか浮かれている……と言うよりも、自分に気を使って明るい雰囲気にしているようだとダイユウサクは感じた。
「くあーっ、12番人気かよ! 低すぎんだろっ! こいつはせちがらいぜ」
「最近は結果がでてないからな。いいとこ見せてダイユウサクに繋げてくれよ」
スペインランドの口数が多いのも緊張をほぐそうとしてくれているのだろうか。
やはり重賞――それもG1ともなれば周囲の雰囲気からして違う。
独特の空気感がピリピリと肌を刺激してくるようだ。
(私は緊張するほど余裕がないというか……復帰戦は緊張したけど、あれよりましかな)
意外だが、本人はわりと落ち着いている。
なんだかんだでダイユウサクも10戦のキャリアがあるのだ。自信も着いてきた。
ヘナヘナだったバ体はふた回り以上サイズアップし、食事だって3食たべられる。
チームメイト以外にもメジロパーマーのように応援してくれるウマ娘もできた。
「……私も不人気(11番人気)だけど恥ずかしい走りはできません。応援して損したみたいに思われたくないし、最後まで食らいつきます」
「おうっ、俺も負けてらんねえな! そんじゃパドック行ってくるぜ!」
スペインランドが退室すると、他のメンバーも応援のためにそちらへ向かう。
きっと、これもダイユウサクへの気づかいだろう。
「ユウサク先輩、ファイトです」
ツキノコガネがエールを残して退室した後、メジロワースが振り向いた。やや緊張した面持ちだ。
「ユウサクさん、メジロアルダンにはお気をつけください。彼女はーー勝利のためならプライドを捨てられるタイプのウマ娘ですわ」
「……メジロ、アルダンさん」
メジロワースは軽く頷き「勝利を願っております」と目礼してパドックに向かった。
(……強敵なんだ、メジロアルダンさんも)
負けたくないと爪先まで闘志がみなぎる。
心の底から勝ちたいと本能が叫んでいる。
「よっし、行くぞっ!」
ダイユウサクはパァンと両手で顔面を叩き、スイッチを切り替えた。
【史実馬紹介】
メジロパーマー
平地競走36戦8勝
障害競走2戦1勝
主な勝ち鞍
GI宝塚記念、GI有馬記念、GII阪神大賞典、GIII札幌記念、GIII新潟大賞典
早い段階で2勝したが、怪我などもあり障害レース転向。しかし、障害飛びがあまりに下手なために平地競争に戻されたという散々な目にあっている……これが復帰後に宝塚記念、有馬記念と制したのだから競馬は分からない。
個性的な頭の高い走りやド派手な大逃げ作戦など、妙に記憶に残る馬だった。
長くなってしまいましたので分割しました。
キリがわるくて申し訳ない
ダイユウサクのチームに加入するのは原作キャラとオリジナルのウマ娘、どちらが良いでしょうか
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原作メイン級のウマ娘
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原作モブウマ娘
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オリジナルのウマ娘(史実馬アリ)
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架空のウマ娘(史実馬ナシ)
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新メンバーは不要
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その他(感想などでお伝えください)