これはびっくり大穴ウマ娘   作:キングヘイロー↙️↓↘️➡️↗️⬆️

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ダイユウサクは繋養牧場でニッポーテイオーと仲良しでした。


17話 ニッポーテイオー

高松宮記念の翌月。

 

8月、ダイユウサクは久しぶりに独りで寝込んでいた。

アルビレオは夏合宿を行い、チーム総出の小倉競バ場への遠征中。

ダイユウサクはそこで熱発したのだ。

 

(はづき賞、出たかったな……)

 

G1高松宮記念のケガも治り、心機一転とトレーナーはダイユウサクとスペインランドを同じレースにエントリーしてくれていた。

 

(……私っていつもこうなんだよね)

 

本番のレースではあるけれど、合宿中に遠征……どこかフワフワした非現実感があり、ダイユウサクはイベントのように楽しみにしていたのだ。結果はご覧のとおり。

体の弱かったダイユウサクはイベントをよく病欠していたのを思い出し、ため息がもれた。

直前の出走取り消しとなっただけに残念である(不戦敗あつかい)。

 

(あーあ、合宿だけでも完走したかったなあ。夏まつりとか)

 

当たり前だが熱発したウマ娘が合宿所にいられる筈もなく、ダイユウサクはトレセン学園に戻されていた。

ここは体調不良のウマ娘を隔離する保健室である。

 

「客が来てるのか?」

 

ダイユウサクがふて腐れていると、ガラリと保健室の引き戸が開いた。長い鹿毛、前髪に星が入っている。切れ長の目、大人びた印象のウマ娘だ。

入ってきたのはニッポーテイオー。マイル戦線で活躍したが昨年引退。今はトレーナーの資格を取るために学園の手伝いをしながら勉強中なのだとか。

普通車の免許も持っており、ダイユウサクを合宿所まで搬送してくれた先輩である。

 

ニッポーテイオーはキョロキョロと部屋を見渡し「耳のせいか?」と不思議そうな顔をしている。

 

「……すいません、それ私です」

「ああ、キミは独り言のクセがあるのだったな。他に利用者もいないし、気にすることはない」

 

ニッポーテイオーは「差し入れだ」とビニール袋をポンとベッドに置いた。

見れば雑誌やスポーツドリンクにニンジンとリンゴが入っている。

 

「あ、すいません。気を使わせて……」

「気にするな。こっちも熱発したウマ娘のケアを実地で学べるからな」

 

ニッポーテイオーは「ふ」と薄く笑って雑誌を示す。

その表情はずいぶん大人びて見えて、ダイユウサクはなぜか照れてしまう。

彼女はダイユウサクより2才年上だ。ティーンエイジャーの2年間は精神的にも肉体的にもかなり差があるものなのである。

 

「高松宮記念の記事もあるぞ。暇潰しにな」

「あっ、本当だ……ありがとうございます」

 

ニッポーテイオーはダイユウサクの検温表などをチェックし、食事や睡眠など、いくつか質問しながらメモをとっていた。

 

「まあまあだな。私はトレーナーではないから勝手にトレーニングはできないが、もう少し良くなったらランニングくらいは一緒にやろうか」

「……は、はい。ご迷惑でなければよろしくお願いします」

 

弱り目に看病されるというシチュエーション。しかもG1を3勝したレジェンドウマ娘に。

どうやらダイユウサクは自分でも自覚するほどにニッポーテイオーにすっかりやられてしまったようだ。

懐いてしまったのである。

 

それに、現役を引退しても次の目標にチャレンジする精神力……ウマ娘はこの手の努力やチャレンジ精神を好む傾向にある。

おまけに主体性が弱いダイユウサクはこうした頼りがいがあるタイプの人が好みだった。

 

「また午後も顔をだす。なにかあれば私かミノルさんにでも声をかけてくれ」

「はい、ありがとうございます」

 

ニッポーテイオーは「また」と軽く手を上げて保健室から静かに退出した。

 

「……ミノルさんて誰、だろ?」

 

ダイユウサクには聞き覚えがない名前だが『たぶん知ってる職員だろう』と納得した。

ウマ娘には人間の見分けがつきづらいのだ。

 

(ニッポーテイオー先輩はすごいなあ。トレーナーになるってことは『人間の仕事』だし、顔も名前もちゃんと覚えてるんだろうな)

 

日本のウマ娘に職業差別は『建前上』存在しない。

人間がトゥインクルシリーズに出場することも『制度上に種族は名言されていない』ので『あくまで理論上なら』可能ではある。

 

だが、歴史をさかのぼればウマ娘の身体能力が軍事利用されたり、強制労働させられたような負の歴史もあり『うるさいウマ娘権団体』が騒ぐために就労が難しい職業は多い(軍人、性産業、単純な肉体労働などは特に世界規模で風当たりが強い)。

また、能力的な問題からウマ娘と人間が同じ職場で働けばトラブルになりがちなのは事実だ。ゆえに一般企業はウマ娘の採用には慎重にならざるをえない。

 

ウマ娘には年金が与えられ、社会の片隅で耳を隠し、変名を名乗りながらマイノリティとして慎ましやかに生活する。

こうした社会情勢をうれいてシンボリルドルフなど著名ウマ娘は『すべてのウマ娘が自らの意思で幸福を追及できるように』と社会運動を行っている。

 

そうした中で近年はニッポーテイオーのように積極的に社会に進出しようとする若いウマ娘も増えてきた。

ダイユウサクのように『これは人間の仕事』『こちらはウマ娘の仕事』と区別する考え方は古くなっていくのかもしれない。

 

(月刊トゥインクルか……ウマ娘の記者もいるんだっけ)

 

差し入れの雑誌、気になるのはやはり高松宮記念の特集記事だ。

目だつのは勝者メジロアルダンの扱いだが、ダイユウサクとの接触についてもインタビューされている。

 

――接触は故意だとする声もあるが?

『短距離のスピードに対応するために大跳びに近いフォームで走った。他者と接触する可能性が高まることは理解していた』

 

――あれがなければダイユウサクが勝っていた?

『それは答えようがない。負けたかもしれない、勝ったかもしれない』

 

ーー大事故に繋がる可能性もあったのでは?

『それは間違いない。レース中の事故は恐ろしい』

 

――療養中のダイユウサクにメッセージを

『またターフでまみえましょうとだけ』

 

これを読んだダイユウサクは『やっぱりわざとだ』と確信した。

腹もたつし、悔しい。

 

だけど、ダイユウサクは『とられない反則はテクニックだ』『自分が甘かった』と反省している。

どうしても自分がラフプレイに弱いのを自覚したのだ。

 

『対応するためのトレーニングができなかったのは俺の責任だ』

 

トレーナーはそう言ってダイユウサクに頭を下げた。

 

『これからはたまに防ぐ練習しましょう。知っていれば警戒することは簡単にできますわ』

 

メジロワースはそう言って励ましてくれた。

メジロ家ではラフプレイに対応するための練習もあるらしい。

 

(メジロアルダン……次は、こうはいかない)

 

口からキリリと歯軋りの音が漏れた

泣きごとは言いたくない。

今回は経験不足、次は勝つ。

 

「あら? もうお加減はいいんですか?」

 

雑誌を読んでいると緑の人が声をかけてきた。

合宿期間中は保険の先生が合宿所にいるので、こうして様子を見にきてくれるのだ。

 

「ふふ、月刊トゥインクルですね。せっかくですから、スクラップにしたりご両親に送ったりしても記念になると思いますよ」

 

緑の人は「私も自分の記事はスクラップにしてるんですよ」と教えてくれた。

 

たしかに、月刊トゥインクルに自分の記事が載るのはすごいことだ。

ダイユウサクは両親に送ろうかとも考えたが『ダイユウサク負傷、緊急搬送』の文字を見つけてやめることにした。

心配させたくはない。

 

「そうですね……勝ってから、勝った記事が載ってから送ります」

「はい、その意気です。応援してますからね」

 

緑の人はにっこり笑って「応援してますよ」と励ましてくれた。






感想でウンコなげられたので気分がのるまでお休みします。
ただで読んでるのに文句いわれてもねえ

ダイユウサクのチームに加入するのは原作キャラとオリジナルのウマ娘、どちらが良いでしょうか

  • 原作メイン級のウマ娘
  • 原作モブウマ娘
  • オリジナルのウマ娘(史実馬アリ)
  • 架空のウマ娘(史実馬ナシ)
  • 新メンバーは不要
  • その他(感想などでお伝えください)
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