これはびっくり大穴ウマ娘   作:キングヘイロー↙️↓↘️➡️↗️⬆️

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史実のダイユウサクも放牧から帰ってきたら、いきなり併せ馬でぶっちぎったそうです。

それと、ウマ娘の障害レースを想像したのですが、パルクールをしながらウマ娘がレースをすると考えたら面白そうだなと。
不人気なのは過激なエクストリームスポーツとして認識されてるのかもしれませんが……




7話 本格化

(期待以上だ)

 

スペインランド、メジロワースと併せて走るウマ娘の姿を見て平田はほくそ笑んだ。

ダイユウサク、彼がスカウトしたウマ娘がチームメイト2人を抑えて先頭を走る。

無論、スペインランドは過密ローテの調整中だし、メジロワースは故障明けといった事情はあるが、それでも速い。

 

(これはやはりタイムオーバーをくらうウマ娘じゃない。放牧に出ていたのは正解だった)

 

平田はただ休んでいたダイユウサクの成長を確信した。

 

トレーニングもしていないウマ娘が速くなるのか?

ーーその可能性はある。

 

本格化、と呼ばれる現象だ。

 

生物としてのウマ娘の成熟と言ってよいだろう。

身体の成長とともにバ体が充実して脚力が増す。精神の成長とともにレース運びが落ち着き、かかり癖やソラを使う癖が治る。

目に見えて競走能力が向上し、その才能を発揮はじめるピークの訪れ、それが本格化だ。

 

本来ならばもう少し早い時期に起きるのが普通ではあるが、ダイユウサクのそれは遅かった。

いわゆる晩成ウマ娘なのだ。

 

(バ体も細いが弱さを感じない。長期休養で体質改善されたか)

 

彼女の母もレーサーだったという。体質改善や成熟期に必要な栄養を気にして与えてくれたのかもしれない。

 

「軽めでもう1本! 次はダイユウサクが逃げて2人が追う形にしてくれ! 脚質を試したい!」

 

平田が指示を出すと「ハイッ」と返事が返ってきた。

 

ダイユウサクはかなり賢いタイプのウマ娘らしい。こちらの指示の意図を理解し、勢いよくハナをきった。

学業優秀と聞いているし、レースに慣れればかけひきも覚えるだろう。

 

「悪いね、内藤さん。これはアタリだ」

 

彼女を見いだしたミラのトレーナーはベテランらしい確かな相バ眼(ウマ娘の素質を見抜く眼力)の持ち主であった。

ただ、ダイユウサクはデビューの時期が1年早かった。それだけのことなのだ。

 

「あとはフィジカルか……カイ食いが細いとは聞いているが、どうしたもんかな」

 

トレセン学園で提供される食事はウマ娘にとってバランスのとれたものだ。

だが、それも食べなければ意味がない。

補う必要があるが、サプリメントよりはカロリーバーのような形のほうが精神の安定にも繋がるだろう。基本的にウマ娘は薬嫌いが多いからだ。

 

「オーケーだ! ランドとダイユウサクはクールダウンしてからあがれ! メジロワースはハードルとバーでフォームを確認する!」

 

平田は走りきったウマ娘たちに声をかける。

軽いメニューだが、ダイユウサクは体調に不安を感じているらしく無理は禁物だ。

 

「おい、トレーナー。なれてねえだけだとは思うんだけどよ、ユウサクがちょっと落ち着きねえから声かけてやってくれよ」

 

スペインランドがドリンクをとるふりをしながら、さりげなく平田に伝える。

彼女は弟や妹の世話をよくするらしく、わりと細やかな気配りをするリーダータイプだ。

お嬢様育ちだが、負けん気が強く抜けたところのあるメジロワースとは良いコンビだと平田は感じている。

 

(さて、こちらはどうなるかな)

 

見ればコースの隅でしっかりストレッチをしているダイユウサクだが、左右の耳がバラバラにせわしなく動いている。

これはウマ娘が不安を感じているサインだ。

 

「ダイユウサク、ストレッチをしながら聞いてくれ」

 

平田が声をかけると「はい」と素直な返事が来た。

反抗的なところはなく、大人しくマジメなウマ娘はトレーナーとしてはやりやすい。

 

「今日は初日だからオマエさんの動きを確認するのが目的だった。見た感じ体調に問題はなさそうだが自分ではどうだ?」

「はい、自分でも……不思議なくらい調子がいいんです。もう少し走りたいくらいで」

 

やはりそうか、と平田は頷く。

長期休養による回復と本格化による成長は本人も感じるほどの変化をもたらしていたようだ。

それを伝えるとダイユウサクは「これが本格化」と目を丸くした。

 

「これからは身体づくりに力を入れたトレーニングも増やしていこう。少し補助食品を渡すから普段の食事に加えて食べれるときに食べるように。間食でいいぞ」

「気をつけます」

 

ダイユウサクにあまり愛想がないのは賢さゆえだろうか。

トレーナーとしては性格や好みを把握してレースで調子をあげてやりたいが、彼女は急に距離をつめられるのは苦手なタイプに思える。

 

「脚質は足を長く使うよりキレで勝負するのが向いているな。なれてきたら後ろからの競馬を覚えていこう。あせるなよ、しばらく自主トレはランニングくらいまでにしておくように」

 

話を区切り振り返ると、メジロワースがハードルを準備し、スペインランドがそれを手伝ってバーを運んでいた。

ハードルといってもウマ娘のパワーに耐えるためにかなりゴツい。

本当なら平田が準備してやりたいが、人間が運搬するのは骨がおれるシロモノだ。

 

「フォームのチェックだ。ハードルとバーを1つずつ、低めに設定してくれ」

「了解ですわ」

 

メジロワースが少し離れた位置から軽く走り、ハードルをふわりと飛越。

続いてバーに手をつき、ヴォルトと呼ばれる動きで飛び越えた。

 

ウマ娘の障害レースは生け垣、竹柵、水濠、バンケットなどを乗り越えるためパルクールに近い動きもある。

海外のレースになると罠にしか見えない凶悪なコースもあり危険な競技だ。

ゆえに障害レースは自主トレは許可されず、トレーナーがつきっきりとなる。

それを嫌い、障害レースを練習するチームは意外と少ない。

メジロワースがアルビレオに移籍したのも前のチームが障害をやっていなかったからだ。

 

「いいぞ、ゆっくりでいい。フォームを固めろ、続けていけ!」

「望むところですわ!」

 

平田が見るかぎり、メジロワースのセンスはかなり高い。

レースでも結果を残すだろう。

 

(今年は忙しくなりそうだな)

 

ハードなローテーションでレースに出まくるスペインランドを含め、楽しみなウマ娘たちだ。

 

(決して一番星じゃないが、コイツらはどこまで輝くのかな)

 

平田はつい自らの口許が歪むのを知覚した。




この話ではダイユウサクは前のチームの内藤トレーナーの名前を覚えてないという設定です(顔や匂いは覚えており「前のトレーナー」などと認識はしています)。

ウマ娘がトレーナーのことをトレーナー、主治医のことを主治医としか呼ばないのって、あんまり人間の区別ついてないというか、人間とは違う個の認識なのかなと妄想した結果です。人間も慣れてないと馬の区別つきませんし。
トレーナーをキタハラと呼ぶオグリはそれだけ強い絆があるんだなと。

勝手な独自解釈ですが、本筋にはあまり関係ないですし、ここではこれでよろしくお願いいたします

作中の時代、大阪杯や高松宮記念はGIIでした。ウマ娘時空ということで現代風にGIに統一するのが良いか、それとも当時のままGIIにするか、どちらが良いでしょうか。よろしければ回答お願いします

  • ウマ娘時空を尊重、G1にする
  • 時代背景を尊重、G2にする
  • ややこしいので当該レースの描写は飛ばす
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