パナケイアダンガンロンパ2   作:ろぜ。

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非日常編

 

「………い、いのり………?」

「周防さん…………」

後ろへと倒れたいのりに、周りは恐々と声をかけるが、返事はなく。

 

口元から溢れた血と虚に変わった瞳で、いのりの死はもうわかっていたはずだ。

 

目の前で人が殺されたんだ。

 

さっきまで、本当にさっきまで、彼女は生きていたはずなのに。

 

死の瞬間を目撃したショックは、いつになってもきっと消えやしない。

 

「また、捜査と裁判だ」

もういい加減にしたい、とでも言いたげな憂鬱顔で慎一はヘッドフォンを押さえ、暗い顔で席を立ち上がる。

 

「ボク達も捜査しなきゃねえ」

椅子を元の位置に戻しながら、緒丑は言った。

「ああ」

そっといのりの死体に近づく。

 

「ないわね……」

「どこかこの辺に落ちてたりしてないかな」

視と月玖が、テーブルの下やいのりの死体周辺、かがみ込んでは何かを探しているのが聞こえる。

 

「2人してどうしたんだ?」

「周防さんのピアスが見当たらないんだよねー。忘れてきちゃったのかな」

「ピアス……?」

「ええ、いつもつけてるじゃないあの子。だからないのが気になったけど…この辺にはないみたい」

 

俺と緒丑の問いかけに、2人はそれぞれ不可思議そうな顔をして答えた。

確かに、思い返せばいのりはピアスをずっとつけていた。今日に限ってつけていないのは、少し不穏で不可思議だ。

 

「ボク、周防さんの自室見てこようかぁ?」

「ワタシも行くわ。2人はこの辺を捜査してて頂戴。あとで共有しましょ!」

そう言うと、緒丑と視はパタパタと食堂を出て行ってしまった。

まあ、1人で見に行くよりは効率もいいし、証言に使いやすいだろう。

 

「残されちゃったけど、どうしよっか」

「とりあえずいのりの死体をもう少し見てみるか…」

残された俺達2人の方だが、もう一度いのりの死体を観察することにした。

 

いのりの側には割れたティーカップが。

踏むと危ないだろうからよけてやりたいのだが、現場を片付けてしまうのは良くないのでぐっと抑える。

中身は紅茶で、液体は殆ど床に染みてしまっていた。

 

死体に他気になるような不自然な点はない。

 

「ちなみに食堂に来た順番とかってわかるか?」

「どうだろう…僕が来る前には周防さんはいなかったと思うけど。詳しい順番なら、風桐さんに聞くのが早いと思うよ」

 

ということで、俺達は紗環の元へ。

聞きたい内容を説明すると、紗環はすぐにパッドを取り出した。

 

「待って頂戴、思い出すから」

紗環はメモ画面を出すと、一人一人の名前の横に順番を書いていく。

 

15時前からいたのは紗環と囚、そしてその後に緒丑、月玖、優成、らいあ、薫。

15時頃に実花と春子、慎一。

少し過ぎて視が到着。

 

時間にルーズだったいのりは、視の後に来たようだった。そして最後が俺という順番らしい。

 

「ああ、でもケーキ作りを手伝ってくれたのは、いのりなのよ。その後どこに行ってたのかは知らないけど…」

「ついでに聞くけど、それ以外にこのセッティングを手伝った人間はいる?」

 

「ほぼ私がやったけど………………。……強いて言うなら、ケーキを運んでくれたのは神戸ね」

「緒丑が?」

「ええ、手伝うことはないか?って」

 

「あ、いたいた!優クン、月玖クン!」

紗環との会話の途中、視に名前を呼ばれ振り返る。

いのりの自室の捜査が終わったようだ。

 

俺は紗環に礼を告げると、2人の元に戻った。

「どうだった?」

 

「ピアスならいのりチャンの自室に置いてあったわ!」

「忘れてたのかな?」

「さぁ…それはわからないけど……」

「それで…捜査の方はどう?」

「ああ、今から2人に話すよ」

 

俺は捜査内容を緒丑と視に共有する。

「成る程ねぇ……」

視が一つ一つ考え込むように、頷いたその時、

「さーて!裁判のお時間ですよ!」

意気揚々としたモノクターの放送がかかった。

 

「行かなきゃ」

 

今日も、地獄の炎を焚きながら。

 

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