「次は…」
バスに揺られ30分、修行とはいえ剣術や忍術についての修行であるが都心からそこまで離れてはいないのであまり遠くはなく奴良組の傘下だ。
……正直俺も詳しくは知らないんだがどうやら北条と徳川きっての忍びであり、今は剣術道場として過ごしているとか。
同じ年の子供さんがいるとも聞いているし少し楽しみであることには違いない。
「人間50年。妖1000年か。」
ぽつりと呟く。俺は色々とこの十一年で大型連休を使い色々と修行に出ていた。
京都、九州、四国、遠野が比較的多く、昔父さんがお世話になったところらしい。
そのおかげで修行としてはかなり捗ったものになった。そのついでに自分自身の組みも
一応俺の島に入っているため自由にしてもいいと父さんから言われている。夜も出入りは自由で比較的に自由だというのだ。
妖術を使うかは任せると言ったが恐らく使わない方がいいだろう。
それがリクのためでもある。組みの安定をとるには俺という存在が邪魔なのだ。組の内戦に費やしたらいけないのは俺の判断による我儘であり、
目的の家に着くころにはお昼を少し過ぎた頃になっており人もそこそこでていく。
桜の花が咲き、季節が移り変わっていくのだろう。
「…てかでけぇ。」
うちの組も家はかなり広いと思うのだが。八重樫家もかなりでかいな。
まぁ、道場が同設しているので当たり前かと思っているとかすかに人の気配がする。
う〜ん。まぁここは普通にはいるか。
と呼び鈴を探そうとしたら唯一機械的なインターフォンがある。どこか和風な家にインターフォンは少しだけ違和感がある。
……ここら辺は俺らの家と同じなんだな。
と思いつつそれを鳴らす。
簡易的な音がなりしばらくなるとプツっと音がした。
「はい?どちら様でしょうか?」
どうやら出たのは女性の人らしい。俺は早速話しかける。
「すいません。今日からお世話になる及川氷河って者ですが。」
「及川?えっと?道場への参加者でしょうか?」
「えっと?……確か……たかぞうさん?しゅうぞうさん?すいません。ひいじいちゃんから聞いてきたのでお名前がどちらなのか分かりませんが、その方がうちのじいちゃんと知り合いで今日から居候をさせてもらう予定になっているんですが……」
「えっ……?」
「えっ?」
数秒間空白が生まれる。
「しょ、少々お待ちください!!お爺ちゃん!!どういうこと?」
とどこかに掛けていく音が聞こえる。
もしかして聞かされてないのかと思っていると。
「あれ?もしかして君が及川くんかい?」
「えっ?あっはい。そうです」
すると反射的に頭を下げる。見知らぬ土地だから俺も少し不安だったので俺は知っている人がいたと思って少しだけホッとしたのだ。
だがよくよく考えるとこの人の気配は全く掴めなかった。本当にいつのまにか話かけられ驚いてしまう。その男性の頰には切り傷がつけられた渋い男性だ。年齢は40代くらいだろうか?しかしどこか雰囲気がある。
「僕は八重樫虎一。ここ八重樫流の師範代を務めさせてもらっている。君のひいお爺ちゃんとはもう四百年くらいの付き合いでね。実は一度あったことがあるのだけど。」
「すいません。記憶にないですね。」
「だろうね。まぁ、入って。裏の道場には君と同じような人がいっぱいいるからね。」
同じような人たち。即ち妖怪ってことは明らかだろう。
表があれば裏もある。こうやってこの人たちはこの街を守ってきたのだろう。
中に入ると整備された日本庭園が存在しており、これじゃまるで本家の庭と似ている。
客間に通されるとすると日本風の豪邸といった方がいいだろう。いかにも和風という雰囲気があっている。
「とりあえずここの部屋は自由に使っていいよ。」
「えっ?」
「元々来客は多いけどリクオくんの息子なんだろう?それも十分剣が立つって聞いている。こういった修行は初めてではないんだろう?」
「…一応。えっと?」
「雫がいない場所では普段通りでいいよ。ぼくも父さんも知っているから。」
「……雫さんですか?」
俺はさっきの何も聞かされなかった女性を思い出す。
もしかしてあれが他の人が話していた場合蔵かどこかに隠されていたのか?
「うん。雫の前では裏のこともなるべく話さないでくれないかな?そういうのは一切伝えないようにしているから。」
「……えっと。もしかしてですが。」
「うん。君には八重樫の名を継いでもらいたいって思っている。苗字は変えなくてもいいから。事実上の養子ってことになるかな?元々僕たちは奴良組と大阪城の変以上の長い付き合いなんだ。先祖様が元々の総大将であるぬらりひょんと義兄弟のちぎりを交わす程度にはね。」
「それ初めて知りました。」
初耳である。というよりそれをなんで教えてくれなかったと聞きたいんだが。
するとそれを笑っている
「多分リクオくんも知らないんじゃないのかな?いや、若い世代の人は恐らく知らないだろう。でも、人間でも組のためにできることがある」
「そういえば父さんとは」
「小学生から高校まで護衛をやっていたんだ。リクオくんとはそこまで話さなかったからあっちは覚えてないだろうけどね」
なるほどな。
確かに俺が知る限りはかなり仲がいいグループが小学生のころからずっと形成されていたこともあるんだろう
「そういう氷河くんは大丈夫なのかい?八重樫の名を継ぐってことになっても。」
「俺にとってはありがたいですよ。半妖の俺にも居場所ができますし。それに俺の特技もどちらかといえば戦闘寄りなんで。」
「表の道場にも表向きは参加してもらうけどいいかね?一応門下生とさせてもらうけど……」
「実際剣術については何も分からなかったんでありがたいです。」
俺は戦闘ばっかりで技術面的なことはよく分からなかったしな。こういうのは少し楽しみだ。
「それじゃあ、八重樫の門下として、登録しておくよ。」
「はい。これからお願いします。」
と頭を下げる。思ったよりも優遇されているなぁって思いながらも俺は少し嬉しく思ってしまう。
そして、その後家族の紹介と家の案内をしてもらい、俺はその日の午後に届いた自分の荷物の整理をすることにより初日は過ぎていった。