女神と妖 改訂版   作:孤独なバカ

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夜中の会合

「……」

 

俺は深夜目覚めると見知らぬ天井が俺の前に立ち塞ぐ。

いつもの騒がしい様子は既になく、ただ静かな夜が広がっている

 

「こんなに寂しいものなのか。」

 

一人での夜はかなり寂しい。いつもなら夜に付喪神と遊んだり、酒盛りをしているのだが

……はぁ。

客間だけあって綺麗であり、整理整頓がなされている

 

「夜中であれば振ってもいいって言っていたな。」

 

愛刀である祢々切丸を取り出す

俺の護身刀であり毎日のように振ってきた

5歳くらいに夜の父さんから剣の腕褒められ俺はいつの間にか夜の街に多くのめり込み、小学生三年になるころには早いと言われたが自分のシマをもらうことになったのだ。

元々は俺一人だったが、地方を巡るうちにいつの間にか付き従う者は多くなっていった。いつからか、そこは境界のない国として俺は俺なりのシマを作っていったのだ

……やっぱり自分だけが傷つくやり方はらしくなかったかな

百鬼夜行。言わずもがな俺も一部隊として父さんの百鬼に加わっていた

……少し外にでるか

俺はしばらくは妖怪ではなく人間として暮らすことになる

庭に出ていると春に近づいているにも関わらず闇の中は北風が吹いていた

冷たい風は俺にとってかなり気持ちがよくそしてしばらくの間その風を感じていた。

 

「いい風だな。」

 

夜中にポツンと声が響くとがさっがさっと足音が聞こえてくる。

 

「ん?誰かいるのか?」

「お邪魔したかしら?……何しているのかしら?あなた」

 

するとポニーテールの女性が現れる。えっと確か八重樫雫さんだったかな?

 

「夜風に当たっているんだよ。涼しくて気持ちいいだろ?」

「こんな深夜に?」

「あぁ。夜が好きなんだよ。だから時々起きて夜中にぶらぶらしているかな?」

 

俺はそういうと八重樫さんがジト目で見てくる。まぁ当たり前だろう。普通なら

 

「えっと」

「私のことは雫でいいわよ。これから一緒に住むわけだし。」

「じゃあ俺も氷河でいいぞ。前の家でもそう言われていたしな。雫はなんでここに?」

「あなたが出てきたから迷ったんじゃないかって思って。私の家広いから。」

「あ〜。そりゃ悪いことしたな。つーか気づいたのか?」

「えぇ。」

 

と苦笑してしまう。俺の妖気と相性が悪いのかどうやら気配を消していたにも

 

「まぁ、こうやって闇夜に浮かぶ月を見るのが自分のとっての気休めになるんだよ。」

「月?」

「あぁ。月夜に浮かぶ桜が好きでよく父さんと見てたんだよ。たまに剣で打ち合ってくれて……楽しかったなぁ。」

 

偶にであるが、かっこいい父さんに憧れて

「剣が好きなの?」

「剣が好きっていうよりも、父さんと母さんが好きだったかな。優しくて、

 

俺は少しだけ見上げる。

 

「まぁ明日から早速学校と道場があるから早めに寝るけどな。軽く素振りでもしとこうかなって思ったんだよ。どうやら剣道の道場が表向けなんだろ?剣術については個別に教えてくれるらしいから」

「剣術?……剣道を習いにきたんじゃないの?」

「俺は剣道はやったことないな……元々俺がやっているのは人間を相手じゃないし」

 

俺は苦笑してしまう。すると雫はキョトンとしているが知らない方がいいだろう

と思った矢先だった。どこか妖気に見られているような気がした

 

「っ!避けろ!!雫!!」

「へ?」

 

俺は一瞬の反応が遅れた雫を押し倒す。するとその瞬間大きな鳥が俺たちの真上を通り

……ヤベェ付けられていたのかと思っていたらすぐにその妖怪が現れる。

特徴をあげるのであれば人面鳥であることには……脳内の妖怪図鑑から俺はどんな妖怪か探り当てる。

そして今まで殺気に敏感な俺が気づかなかった理由が視線を見たら明らかだった。

こいつ俺を命を奪うっていうより、俺と雫の両方に目がいっているらしい。

 

「へ?な、なに?」

「野良の姑獲鳥だな。……お前狙われているらしいぞ?」

「こかくちょう?」

「妖怪の一種だよ。妊婦が死した後変じたもので、その恨みから人間の子供を攫っては自分の子として育てる妖怪だな。危害は少ないけど……どうやら結構計画的な犯行。雫を狙っていたぽいけどな。」

 

妖怪という言葉に雫がキョトンとしていた。まぁ俺ですら初めて見る妖怪。まぁ妖怪もどきが近くにいるのだが雫にとったら何が起こるか分かってないんだろう。

 

「あら?そこの坊ちゃんは知っているのかしら。」

「生憎妖怪については人一倍詳しくてね。」

 

なんせ元々後継者として何かあった場合俺が継ぐことになっていたことや近隣勢力についてや、他の地域の妖怪は頭の中に入っている。

 

「……んで?一度避けられた相手にまた仕掛けるのか?元々あんまり戦闘力を持っていない妖怪だったはずだ。あんたら組に入っていたら別だがどうせ野良妖怪なんだろ?」

「あら?あなたたち二人で、それもあなたはここの門下生になりたて。そんな美味しい二人が夜中にさまよっていたらさらうしかないでしょ?」

「……に、逃げましょ?氷河。」

「逃げるってどこにだよ。家特定されているから既に逃げ場はないんだぞ?」

 

と俺は懐から鞘を取り出し刀を抜く。

いつも俺の愛刀片手に

 

「あら?あなた英雄気取り?子供が何ができるって思っているの?」

「…雫。怖いのなら俺から放さず目を瞑ってろよ。」

「……へ?」

 

俺は片手で雫を持ち上げる。雫は顔を真っ赤にし少しだけ訳が分からないって感じだが頷く。

 

「弱者にしか襲わない弱い妖怪なんか俺の足元にも及ばないさ。かかってこい鳥女。てめぇを地獄に送ってやるよ。」

「………後悔するといいわ。あなた、絶対に私の子にしてみせるわ。」

 

すると大きな羽毛を広げ俺たちに向かって襲いかかってくる。本当バカな奴だ

このシマの総大将の息子くらい知っておけよ

俺はぬらりひょんとしての畏を発動させる

鳥女は俺のさっきまでいた場所に飛びかかっていたが既にはいない。

ぬらりくらりと近づいて、冷たい刃を届かせるだけだから。

 

「えっ?」

「言ったろ足元にも及ばないってな。酒がもったいないが仕方ない。」

 

酒を向けると冷たい氷の霜が妖刀に巻きつかれる。本当にいい刀だよ。この刀は。

 

「闇夜に桜と雪の演舞、呪いの吹雪と共に全てを凍らせろ」

 

妖気が漏れ剣先から冷気が流し始め俺は剣を振るう

 

「明鏡止水”斬”雪桜」

 

俺は一瞬のうちに鳥女の腹部を斬り冷気によって傷口が全て氷に包まれる

俺が畏をぶった斬るために作った技であり、俺の本質と言える技だ。

 

「ガハッ!!」

「運が悪かったな。

 

鞘を収めそしてその妖怪を見る。

よそ者の妖怪ってことは、この付近にナワとしての妖怪はいないのか?

と色々考えていると

 

「氷河?その格好は?」

「ん?……まぁ。今回はしゃーないか」

 

俺はいつのまにか妖怪の姿に変化していたらしい。元々は雫を守るために斬ったことを思い出す

視点が高く、髪の毛が父さんのようにではなく爺ちゃんに似た、いや母さんににた黒髮の軽く天然パーマが入った髪は最初の俺の姿とは全然異なる

人間の姿で妖術を扱い切れていないのかと少し反省しつつまぁ嫌われるかもなっと小さく息を吐いた。

 

「俺は半妖なんだよ。いや。半分以上妖怪の血が流れている」

「……半妖?それって氷河も妖怪ってこと?」

「7割はな。ぬらりひょんと雪女の血が流れている。俺って体温低いというよりかなり冷たいだろ?残り3割は人間の血が流れているって感じか。……つーか怖くないのか?お前を襲おうとした妖怪の仲間なんだぞ?」

「……」

 

すると無言を貫く雫。ただ困惑しているって感情をしていたが少しだけ俺の和服の襟をギュッと掴む

 

「怖くはないわよ。氷河は私を助けてくれたから。」

 

俺は助けたというより巻き込まれたって感覚が強かったんだけど

笑顔を振りまこうとしているが握っている襟の

多少震えていることから怖かったことは本当のことだろう

……そういえば昔にたようなことあったよな

あれは初めて妖怪に襲われた時だったかな?俺は昔から好奇心旺盛でどこか歩き回るような子供だった。多少剣の腕もあったので余計に油断していたのだ。

その時に妖怪に襲われたのだ。……俺にとっても怖く、今でも畏れてしまった

そんな時に父さんが助けに来てくれたのはいうまでもないがその後母さんに抱きしめられその胸で思う存分泣いたのだ

だから異性の抵抗があったのもあるんだが俺は剣を一度落としその手で雫の頭を撫でる

 

「……氷河?」

「いや。お前強いなって思ってな、俺も同じような経験があった時は母さんに慰められて胸でずっと泣いていたから」

 

怖いはずがない。さっき襲われかけたのだ。

妖怪とは悪である。いい妖怪や神がいることは知っているが基本的には悪と呼べるのであろう

 

「今度も俺が近くにいたら悪意からは守ってやる。俺は妖怪で雫は人間だろ?……俺は何百年と生きるけど雫は百年も生きられない。その間はずっと守ってやる」

「……私を?」

「あぁ。そうしないとお前は結構危ない性格ってことがよく分かったからな。怖いときにちゃんと怖いって言えるような奴は必要だろ?」

 

その一言で雫が明らかな動揺が見られる

本当にこの家族は面倒くさい人間が多い。その典型例が虎一さんだ。

なんで俺を八重樫に呼んだのか、そしてなんのために雫に伝えなかったのかがわかってしまった

俺が家族が好きだから奴良組から離脱したように、雫のことを少し過保護なくらいに大好きなのだ

妖怪も、忍術も必要最低限しか教えなかったんだろう

そしてこの雫にもちゃんと面倒な性格は遺伝されているようだ

 

「…だからお前が死ぬまで俺が守ってやる。八重樫の門下生は全員を家族として扱うのだろ?だから家族のことを守ることは可笑しいことではないだろ?」

「……」

「どうした?顔を真っ赤にして」

「い、いえ。何もないわ。えぇ。何もないわよ。」

 

俺は小さくため息を吐く。

まぁ、話たくないことなら別に聞きやしないけどな。

 

「そう。……俺はしばらく外で涼んでおくけど雫はどうする?」

「もう少しだけ居てもいいかしら。一人になるのはまだ……」

「ん。それじゃあ抜け出して夜の散歩と行こうか。しっかり捕まっておけよ。

「えっ?ちょ、ちょっと!!」

 

と俺はしばらくのあいだ雫を持ち上げながらフラフラとのらりくらりと歩き始める。ぬらりくらりと夜風に揺られながら俺たちは夜中の街を回るのであった。

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