委員会総代とか、給料とか。
まあこの世界線のトレセン学園はこうってことでよろしくお願いします。
「・・・」
ぺらぺらと紙をめくる音が部屋に響く。
ここは生徒会室。ここでは私とルドルフ、その補佐でエアグルーヴとナリタブライアンが仕事に当たる。ブライアンは結構な頻度で居なくなるから、外回りの仕事を押し付けることが多いかな。
この学園では、基本引退をしない限りずっと学園に居座れる。引退してもまだ居座れることもある。そんななので、余裕で3年を超えて居座っている私とルドルフ、それにエアグルーヴとナリタブライアンは、もう授業もすべて終えてしまっているため、みんなが勉強をしている時間毎日生徒会室で仕事をしている。というか、こうでもしないと終わらない仕事量っていったい何なの・・・。
「総代、目安箱に委員会についての要望が」
「ありがとう、こっちで処理するわね。あ、これはあと生徒会の決済が必要だからよろしく」
「わかりました」
委員会の細々したことは私が、学園全体のことはルドルフが処理をする。委員会といっても学内だけではなく、学外の委員とのやり取りも基本私が担当しているため、結構やることは多い。もちろん電話でのやり取りも多いので、基本仕事をするときは携帯に繋いだウマ娘用のインカムをしている。
そうしてしばらく仕事をしていると、ルドルフが声をあげた。
「よし、ここらで休憩にしないか?」
時計を見ると、お昼まで半分というところ。
「ええ、そうしましょうか」
書きかけの書類を終わらせ、そのままルドルフと二人で席に座ったまま伸びをする。
「よし、じゃあお茶入れてくるわね」
「ああ、頼んだ」
「では私はお茶菓子を」
私が備え付けのティファールでお湯を沸かして紅茶を入れる間、エアグルーヴがクッキーを棚からだし、応接テーブルにセット。紅茶を入れたら応接テーブルに並べて、私、隣にルドルフ、体面にグルーヴの位置で座る。
「んっ、我ながらおいしいわね♪」
紅茶を一口。いい感じに入れることができてなんとなく顔が緩む。
「ほんと、あなたがいれるようになってから、お茶が楽しみになりました」
私が総代としてここで仕事するまではグルーヴがいれてたらしいけど、味は中の中くらいだったらしい。私がいれると、それが上の下から上の上の間のどこかになるって言われたわね。
「ああ、ほんとだ。私のために毎日紅茶を入れてほしいくらいだよ」
とルドルフ。ちなみにこれは毎日味噌汁を~を捩った付き合ってアピールなのだが、慣れている私とグルーヴは華麗にスルーをする。
「にしても、最近ほんと仕事増えたわよねぇ。ちゃんとお給料出るようになったから文句はないのだけれども」
そう、私達がほぼ一日学園の生徒会室で仕事をするようになってから、秋川理事長の采配である程度のお小遣いという名のお給料が出るようになった。そのおかげで、仕事にもちゃんと身が入る。
「ああ、そうだな。まあしかし、これもウマ娘にとっての理想の環境を作ることに繋がると思えば、放ることなどできんさ。それに私とレイが一緒に仕事できるんだ。文句などでないさ」
「はいはい、ほんとルナは私のことが好きよねぇ」
「当たり前だ。私はレイという存在に心奪われたウマ娘だからな」
そんな好き好きアピールを軽くあしらう。最初こそグルーヴはこれを聞くたびにやる気をなくしていたが、今はもう慣れたのか平然としている。
「あ、そうそう。ルナに聞きたいことあるんだった」
「何だろう? あ、私のスリーサイズか? それなら・・・」
「この前あげた備品の購入申請書、どうなってるの?」
「ああそれでしたら私が。既に理事会での決済も終え、今は発注する業者の選定中ですね。来週にはカタログが届くので総代の方で選んでいただければと思います。予算額についてはカタログと共に伝えられるはずです」
「それならいいわ、ありがとう、エアグルーヴ」
「いえいえ」
とりあえず変なことを言うルドルフを空気にしてグルーヴと話していると、途端にルドルフが拗ねだした。
「レイが私を空気にしてグルーヴと盛り上がってる・・・私のことなんかどーでもいいんだー」
ほんと面倒なウマ娘よね、ルドルフ。
「はいはい、真面目に答えないあなたが悪いのよー」
とは言え、ここで甘やかすとそれはそれで面倒なので、更に突き放す。
「うぅ・・・レイが冷たい・・・」
ついに膝を抱えてぐすんと軽く泣き始めた。最初はこうじゃなかったのに、ほんとなんでこんな仕事はできるポンコツになっちゃったんだか。
「はいはい、よしよし」
これ以上放置して面倒になるのもなんか跡がめんどくさそうだったので、適当にルドルフの頭を撫でる。するとすぐに顔が笑顔になって、ニコニコしだす。
「えへへ、撫でてもらえた♪」
それを見ていたグルーヴが苦笑しつつ一言。
「会長、ほんと総代といるとルナちゃんモードに入りますね」
「ほんとねぇ。まあかわいいのは否定しないけど、この時のルドルフはめんどくさいのよねぇ」
そう、生徒会メンバーと私にだけ見せる構ってちゃん。それが通称ルナちゃんモード。
そうして、ルナちゃんモードのルドルフを適当にあやしながらお茶をすすり、20分くらい。
「さて、それじゃ続きの仕事に戻りましょうか」
「はい」
「うー」
私とグルーヴがカップとお皿を片付けようとすると、撫でる手がどいたルドルフが不満そうな顔をする。
「ほら、ルナも続きするわよ」
「はぁ~い」
すっごい腑抜けた声で返事するルドルフだが、自分の椅子に戻るとスイッチが切り替わり、即座に続きの仕事を片付けていく。私も後片付けをグルーヴに任せ、自分の席に戻り仕事の続きをする。ほんと、ルナちゃんモードと寒い洒落さえなければ完璧なのだけどね、ルドルフは。
ちなみに、外から帰ってきたブライアンのために、ちゃんとクッキーの残りと冷めてもおいしい紅茶を一人分残しておく私達であった。