ミッションやり忘れて、トレセンに入ったダイヤちゃんの口調とかなにも把握できてないとは言えない(震え声
「あ、お疲れ様です」
私が夕飯とお風呂とを済ませて部屋に戻ると、いつも通りサトノダイヤモンドがテーブルにノートを広げて私を待っていた。サトちゃんには部屋の合い鍵を渡してあるから、勝手に入って待っててくれるのよね。え、この呼び方? いろいろあって、私だけが呼んでいい渾名だそうよ。
「サトちゃんもお疲れ様、待たせちゃったかしら?」
「いえいえ、姉様、私も今来たところですから」
この姉様というのは私のこと。いつぞや、何かの小説を読んだらしく、その時以来私のことを二人きりの時は姉様って呼んでくるようになったのよね。一応、色々相談に乗ってくれるし、遊んだりもしたしで姉みたいだって理由もあるらしいけど、なんかそれとは別に大きな理由がある気がするのよねぇ。
まあそれはさておき。なんでサトちゃんが私の部屋に来ているかというと、勉強でわからないとこはもちろん、それ以外でもサトノ家を将来継ぐにあたって知っておいたほうがいいことなんかを私が教える勉強会を二人でやっているの。私が教えるだけじゃなくて、サトちゃんからの質問に答えることも結構。にしても、その内容がサトノ家の今後の話だったり、収支決算の話だったり、部外者の私が見ちゃいけないんじゃないかって帳簿まで出してくるのは大丈夫なのかしら?
「さぁ姉様。今日も勉強会を始めましょう」
「そうね、始めましょうか」
テーブルに私が座り、真横に椅子を持ってきたサトちゃんが座る。真横の椅子というか、半ば私の椅子にはみ出して座るので、密着しているような形になる。まあ別に私は邪魔じゃないから良いんだけども・・・。
そこからとりあえず1時間。あまり根を詰めすぎてもよくないので、大体1時間ごとに休憩を入れる。
「ん、とりあえず宿題のわからないところはそれくらいね。じゃあ休憩にしましょうか」
「はい、ここまでありがとうございます、姉様」
そうして二人一緒にぐいーと背を伸ばす。動作がぴったり過ぎて、二人で顔を見合わせてくすくすとつい笑ってしまった。
「そういえば、例のアレは順調なの?」
「ああ、アレですね。もう思いっきり順調に進んでます♪ このおかげでサトノ家はまた大きくなれそうですし、やっぱりクレナイ姉様にはサトノ家に来てもらいたいです」
アレというのは、サトノ家の事業拡大について悩んでいたサトちゃんに私がアドバイスしたもので、まあ具体的には語らないのだけど、成功したら結構いい利益が出るプラン。まあその相談をされたときは、何でサトちゃんがそんなでっかい話を考えてるのとか、部外者の私にその話していいのとか、私の意見そのまま採用していいのさすがに責任取れないわよとか色々悩んだものだけど、まあうまくいったなら、いいのかしら?
「ほんと姉様、うちに来ませんか? 家も大きくて安泰だし、不自由させることは無いですし、何かしたかったらなんでもバックアップできますし。こんな優良物件、他にはないですよ?」
そう言いつつ、サトちゃんが私の腕をつかんで、ぎゅーっと抱きしめてくる。そうされると、私の腕がサトちゃんのまだ中学生なのに豊かな胸に挟まれてふかふかで気持ちい・・・ってそうじゃないそうじゃない。
「いつも言ってるけど、私は大きい家の舵取りなんて向いてないし、まだまだ走り足りないの。少なくとも走れなくなるまでは、誰のとこにも行く気はないわよ」
その言葉をあらわすように、サトちゃんの胸の間から腕を抜き取る。こんな大きいのでスキンシップされるとたまに理性が飛びかけるからほんと心臓に悪いわ。
「ふふっ、それは残念です」
まあこうやってサトちゃんが誘って私が振るのもいつものことね。
ふと思いついたのだけど、これデジタルに見せたらどんな反応するのかしら。無性に興味がわいてくるわね。そんなことを考えていたら、無意識にサトちゃんの胸を凝視してしまっていた。それに気づいたサトちゃんは両手を胸の下にやって持ち上げ
「揉みます?」
と事も無げに言ってきた。
それで正気に戻った私は頭をぶんぶんと振って邪念を追い払う。ふぅ、落ち着いた。
「さて、それじゃあ続きをやりましょうか」
「はぁい」
少し残念そうにするサトちゃんと、色仕掛けには絶対に乗らないと謎の決意を秘めた私は、そのあとも日が変わる少し前まで勉強会件相談会を続けた。
そして私と一緒に寝ようとするサトちゃんを部屋に送り返し、私の一日がようやく終わった。