スズカを保護してから数日。あれ以降、スズカはほとんど反応を示さないままだった。
ご飯を食べるのも私がスプーンで口元までもっていくと小さく口を開けるし、お手洗い行きたいときも私の服の裾を引っ張るようになったが、まだしゃべることは無いし、耳や尻尾もほとんど動かない。
おかげで毎日私がご飯とかお風呂とか着替えとか、全部の世話をしている。嫌じゃないし、スズカが骨折したときも似たようなことはやったから問題ないのだけれども。まあ当時と違うのは、ご飯食べさせることと、なんでかずっと私についてきて離れないことかな?
スズカの身の潔白についてはもう証明されたようなもの。ここはルドルフや秋川理事長の手腕のたまものである。であれば。あとは時間がスズカの心を癒してくれるだろうし、それまでは私が面倒を診ればいい。
それはさておき。
悪いことというのは、重なって起こることが多いのではなかろうか。日本のことわざでも、泣きっ面に蜂というものがあるが、得てして泣きっ面に蜂を差されて大泣き、その帰り途中に財布やカギを落として更には何もないとこで躓いて転ぶ、なんてこともまれに起こるのではないかと思う。
いえ、なんでここまで悪いことは重なるという話をしたかというと。
そう、もう一人、ずぶ濡れの来訪者が現れたのである。季節は梅雨だし、大雨もたくさん降るのは良いけど、何でこう何かあると私の部屋に来るのかしら。いえ別にいいのだけれどもね?
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私がスズカのお風呂を終えて、布団に寝かせた後。部屋の勝手口の扉がノックされた。不思議に思いつつも扉を開けた時には、スズカの時と同じようにずぶ濡れになったサトノダイヤモンドがいた。
スズカを経験していたのであそこまで驚くことはなく、とりあえず腕を引いて部屋の中に入れ、まだ湯舟があったかいことを確認。スズカが寝付いているのも確認して、サトちゃんの服を全部脱がす。抵抗せず脱がされたサトちゃんと一緒に私は二回目のお風呂に。全身くまなく洗って湯船でしっかりあったまった後、サトちゃんの体を拭いて適当に私が持っている服を着させる。・・・胸がぱっつんぱっつんになってるのにちょっとした不満じみたものを感じる。スズカの時はこうならなかったのに。確かに、全身洗うときにまあ重いきっきり揉むような形になったけれど、ほんと柔らかいし重量あるし、すごいわね、あれ。何を食べて何をしたらああなるのかしら。それとも遺伝的な何か?
まあそれはさておき。そのままリビングの椅子に座らせまでしたとこで、携帯が鳴った。これは、サトノ家のサトちゃんのお母さん?
「はい、クレナイです。いつもお世話になってます」
そうして電話で用件を聞いてサトちゃんがこうなった原因を知る。
サトノ家の前当主。サトちゃんから見ておじいちゃんに当たる人が亡くなられたらしい。しかもその方はサトちゃんを大事にしていて、結構優しかった最愛のおじいちゃんだったらしい。その方がなくなられて、サトちゃんは茫然自失、ということらしい。
まあ、重い話ではあるが、私が何か動かないとということではなさそうだ。これも時間が解決してくれることであるし、それまで私がスズカと同じように世話をすればいい。そうして、私がスズカとサトちゃんの世話をする日々が幕を開けた。
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ところでその後。私がスズカとサトちゃんを保護して数日たったある日のこと。また大雨が降る日に、またも勝手口のドアをノックする音が。またかとため息をつきつつ扉を開けると、今度はうつむいてずぶ濡れのキタちゃんとルドルフがいた。が、そこで私はある異変に気付いた。二人とも耳がぴくぴく動いていて、尻尾もぶんぶん動いているのである。とはいえ、このままでは風邪をひいてしまうから、二人の手を取って中に入れると、こう力を意図的に抜いているような印象を受ける。これは絶対茫然自失になっているわけではないと二人の前で仁王立ちし、試しに片手をあげて二人を殴るそぶりをすると。
「なんでわかった!?」
「やめてっ!」
二人とも頭を押さえて蹲った。
話を聞くと、私が面倒を診ているスズカとサトちゃんが羨ましかったようで、自分たちもお世話されたくてこうしたらしい。正直、これ以上世話する相手が増えると世話に困るというか、手が足りない。なので二人にはさっさと部屋に帰ってもらい、明日生徒会メンバーと寮長組に説教してもらうことにした。