それからの行動は早かった。この人生が二度目である理由はやはり思い出せそうにないけれど、そんなことよりもいーちゃんのことだとパソコン前に座った。
しかしどう調べてもいーちゃんのことは出てこない。記憶にあった飛行機事故のことさえも無い。いや、飛行機事故は起こす理由がないのだから、なんら不思議はないのだが、しかしそこにいーちゃんの妹らしき人物が乗っていた痕跡すらない。あの玖渚友が三日三晩調べてもなんの結果も出てこない。これは可笑しなことだ。
それは、この方法ではいーちゃんは見つけられないということを示すことだと言っても、過言ではなかった。
「まぁ、いーちゃんだし。そこまで予想外でも無いかな。」
「……どうしよ。とりあえずサブプランで行こうかな。」
サブプラン。第二の策は要するに、いーちゃんがいなくとも、物語を滞りなく進めるための行動。あの狐面の男はたしか、バックノズルだったか、ジェイル・オルタナティブとか呼んでいたっけな。いわく其れは、この世のすべての物事は、時間や人物に縛られず、代替可能であるというしょうもない、といより言ったところでどうしようもない論理。たぶんだけれど、この考え方はそれの利用と言って差し支えない。
と、独り言を呟いてみたところ、兄の九渚直が部屋に入ってきた。
「どうした、高貴な私の高貴な妹よ。」
「直くん。」
そこで玖渚友は前々から考えていた計画のことを話した。
「ねぇ、直くん。僕様ちゃんは今から玖渚機関から絶縁を受けに行くから、できれば直くんはさ、それを邪魔しないでほしいの。」
玖渚直は、そんな妹の突飛な発言に絶句___などしなかった。玖渚直、化け物と呼ばれる程の天才な妹をもつ兄であり、そしてその妹に負けど劣れど天才である玖渚機関直系の子。それが意味することは、玖渚直はその一言だけで妹の言わんとすることを理解し、それに賛同したと言うことに他ならない。天才の思考をトレースできるものもまた、天才足りえる人物であるがゆえに。
「そうか、高貴な私の高貴な妹よ。それでは私が玖渚機関を支配するまで、絶縁することにしましょうか。とても、口惜しいですけれど。」
「うん。やっぱり直くんはわかってるね。」
そしてそんな数度言葉を交わしただけで玖渚直は全てにに納得し、家族としての別れを済ませたのだった。しかしそれが家族愛の薄さを表すかと言えばそうではなく、むしろその愛情は深いものだと言うのは、玖渚兄妹にとっては当たり前のことだったのだ。
「うん、それじゃあ、ばいばい。」
そう言って玖渚友は家を離れ、計画通りの人生を進めることにした。手始めに