現在、玖渚友、十五歳。
高校入学の年。
玖渚友が計画を開始させてから、約二年の歳月が経った。計画といっても別に特別な事ではない。起こるべきだった物事を、順々に起こしていっただけ。二度とミスを起こさないように積み重ねていくだけ。そう言うものだった。
だからこそ、その起こすべきの中には≪
つまるところ。玖渚友は極々自然に、非常に当たり前のことに、希望ヶ峰学園に入学することになったという話だった。
「……どうしよっかな」
「どうしたの、くーちゃん」
「あ、ちーたん。いつからいたのさ」
「最初からだけど……」
ちーたん。本名、不二咲千尋。ちーくんこと綾南豹がつれてきた、予定外の天才。私の憶えている世界にはいなかった存在。
でも別に、この子が特別、記憶にないわけじゃない。世界中で頭角を現しつつある才能の芽、その大半に見覚えがなかった。表にも、財力にも、政治力にも、暴力にも、これらのどんな世界にも、私の知らない圧倒的な天才たちが存在している。私や潤ちゃん程のレベルのはまだ見ないけど、それでも天才と評して問題ない存在だ。
そのなかでも最も大きな存在しなかったもの。私立希望ヶ峰学園、超特権的な学校で、この世のありとあらゆる才能の研究機関。これに似た存在で言えばいーちゃんがいたER-3プログラムとかが相当するのだろうけれど、それとは比較にならないほどメディア露出が多く、また才能に関する研究ということで、その研究対象は学問的な分野に縛られない。
今年の新入生だけでも、野球にアイドル、格闘家、スイマー、変わり種では探偵や御曹司なんてものもあるほどだ。というよりも御曹司は才能の一種なのだろうか。いや、直君のこととか赤神イリアさんとかみてると少し納得するかも。高貴であることが、他人を見下すことが当然であるという態度と存在感。これは確かに才能と言えるのかもしれない。
そういえばそれに関連したことで、結構大きな変更点がもう一つあった。壱外、弐栞、参榊、肆屍、五砦、陸枷、七を飛ばして捌限、玖渚。そしてそれに新興の十神財閥が加わって、九つに勢力が分かれるようになっていたことだ。実質的には玖渚が十神以外を統治している形だから、玖渚機関と十神財閥という形になる。さすがにまだ玖渚機関には及ばないけれど、それでもそれ以外のいくつかの家をすでに超えているし、まだ玖渚に取り込まれないその気位の高さも特筆すべき点だろう。
それにあともう一つ予想外のことがあったとするなら、斜道卿壱郎博士、
今思えば圧倒的な違和感が生まれた時からあったのかもしれない。存在していたはずの疑念が、存在しないという違和感が。
なぜならそれは____。
「それで、なにをどうするの?また何か別のこと始めるの?」
「うーん、いや、そういうのじゃなくてさ。希望ヶ峰のことだよ。」
「希望ヶ峰って、希望ヶ峰学園?学校いまさらいくの?」
「そうしてみようかなって」
「えっと、それはなんで?」
「ちょっと興味。あと知りたいことがたくさんあるから、かな。」
ちーたんはそれを聞いて、少しふくれっ面になった。
「それなら、ここでもいいじゃん」
「無意味だよ。だってちーくんにとっくの昔に頼んでるもん。それでも出ないなら、わざわざ私がここに残る理由がない」
ちーたんはそれを聞いて驚いて、暗い顔になって黙りこくってしまった。
「あ、ちーたんもいっしょに来てもらうからね。」
「え?」