追放されるんだからそれなりの理由があるんじゃね?と思って書きました。

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よくあるステータスのレベルとかって怠けてたら下がったりしないの?


パーティーから追放される奴が有能な訳がない。

「ロド。すまないが、君は僕達のパーティーから抜けてくれ」

 

 この冒険者パーティーのリーダーでありこれまで苦楽を共にしてきた幼馴染みであるレイスから突然の解雇要請にロドは目を丸くした。

 

「おいおい、何の冗談だ? お前が冗談を言うなんて明日は雨か?」

 

「冗談じゃないからね。今までどうにかフォローしてきたけど、もう限界だ。君の面倒は見きれない」

 

「……まるで俺がお前達の足を引っ張ってるみたいな言い草だな」

 

「そうではなくて?」

 

 同じテーブルに座っていた精霊使いの少女ルルンが軽蔑の眼差しを向けて発言する。

 

「今回の依頼であるドラゴンゾンビ2体の討伐。貴方は何か役に立ったかしら?」

 

「それは……! ゾンビ系の……それもドラゴン相手だと剣は効きづらいのは知ってるだろ!?」

 

 バンッとテーブルを叩くロド。

 死者であるゾンビ系は死んだ時の姿に体が固定され、どれだけダメージを与えても時間が経てば元に戻ってしまう。

 死者を葬るには神官等の法力に依る浄化や、聖なる力が込められた武器が必要だった。

 ロドの反論にルルンは溜め息を吐く。

 

「そうね。だから貴方とレイス、2人で1体を足留めして私が精霊術で1体を拘束。聖女であるサフィが浄化の術でドラゴンゾンビを撃退する算段だった。尤も、誰かさんがすぐに重傷を負うから、サフィがその度に治療の法術をかけた結果、余計な負担で今は寝込んでいるのだけれど」

 

「そ、それは……」

 

 ルルンの言い様にロドは口ごもる。

 項垂れるロドにレイスが問いかける。

 

「……僕達3人はレベル50目前だ。今の君のレベルは?」

 

「レベル……23……」

 

 言葉にした数値に2人が重たい息を吐いた。

 その様子が堪らずにロドは癇癪を起こして叫ぶ。

 

「1年前まで俺がレベル37で1番強かったんだ! だからすぐに追い付いて……!」

 

 1年前まではロドが4人の中で1番レベルが高く、レイス達は30にも届かなかった。

 しかしこの1年と少しの時間で力関係は完全に逆転していた。

 その理由は────。

 

「僕達が強くなるために努力している間、君は酒や女、ギャンブルに溺れてレベルを下げていった。何度も忠告したにも関わらず、だ」

 

 自分だけが見れるステータスはレベルという自らの強さを数値化し、それらの総合評価としてレベルの数字は上下する。

 鍛えて強くなれば上に。

 怠けて弱くなれば下に。

 決して強さを固定化する物ではないのだ。

 

「君は本当に強かった。きっと僕達の中で抜きん出た才能が有ったんだと思う。だけど君は堕落した。これまでは君が1番強かった時に僕達の事を何度も助けてくれた。だから僕達が恩を返す番だと思った。けど、どんどん堕落するロドを見て、今回のクエストで確信した。君はもう、故郷の村に帰った方が良い」

 

 その誠実な人柄から都合が良いとパーティーのリーダーとして登録していたが、故郷で昔から弟のように思っていた幼馴染みにそう言われてロドは歯軋りする。

 だが反論出来なかった。

 自分が落ちぶれていっているのは理解していた。

 だけど、自分ならすぐに巻き返せる。だからもう少し、もう少しと仲間に甘えて弱くなっていった。

 その結果として仲間の足手まといという現実を突き付けられている。

 何も言い返さないロドにレイスは辛そうに告げる。

 

「君が作った借金は僕が返済しておく。故郷への路銀も渡す。だからロドは帰るんだ。幸い家業を継げば、生活に困ることも無いだろう?」

 

 そう言って、まとまった金が入った袋を渡して────。

 

「っ!!」

 

 だがロドはその袋を払い除けた。

 中に入っていた金が床にばらまかれる。

 

「馬鹿にすんじゃねぇ!! レイスのくせに! お前なんて俺が誘わなきゃ、冒険者になんてならなかったくせに!!」

 

 レイスは元々廃れた剣道場の跡取りだった。

 だけど門下生は少なく、いつ潰れてもおかしくないオンボロ道場。

 ロドもそこに通っていた。

 レイスはどうにか道場を建て直そうとしていたが、それは勿体無いとロドが冒険者に誘ったのだ。

 自分達ならもっとデカい事が出来ると。

 

「後悔するなよ!! 俺が居なきゃ、お前らなんてすぐに死んじまうんだかな!!」

 

 強がりを喚き散らす。

 そんなロドの暴言にレイスもルルンも怒らず、ただ憐れむような視線を向けてきた。

 

「クソがっ!!」

 

 ロドは酒場の外へと消えていく。

 周りの客達の視線が集まっていた。

 すると宿部屋になっている2階から休んでいたサフィが下りてきた。

 先程までの会話を聞いていたのだろう。未練を残した顔で頭を下げた。

 

「ごめんなさい。もっと私が上手く出来ていれば」

 

 自分を責めるサフィに2人はそれは違うと首を振る。

 

「何を言っているの。貴女は良くやってくれたわ」

 

「そうだよ。ロドの事は、サフィが責任を感じることなんてないんだ。今回の事は仕方がなかったんだよ」

 

 肩に手を置かれるがサフィの表情は晴れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッ!! 馬鹿にしやがってぇ!」

 

 夜に町を出たロドは魔物を相手に剣を振るっていた。

 酒で弱った内蔵は容易く悲鳴を上げており、ゲロを吐き出したい衝動を堪える。

 

「こんな奴、少し前なら、簡単に……!!」

 

 角の生えた熊のような魔物。

 1年前なら1人でも倒せた筈の魔物にロドは歯が立たなかった。

 

「クソ! 死ね! 死ねよ!!」

 

 雑に振るった剣は魔物の肉を斬らず、襲いかかる腕はロドを死へと誘ってくる。

 回避行動で不様に転がる。

 こうなってしまったのはいつからだったか。

 最初はレイスと2人で、簡単な依頼を成功させるだけで楽しく、嬉しかった。

 次第に2人だけでは限界を感じ、頭を下げて回って勧誘したのがルルンだった。

 彼女も今ほど遠慮の無い物言いじゃなくて、男2人の勧誘に警戒もしていた。

 それでお試しとして合同で受けた依頼の道中でサフィと出会った。

 子供でも倒せそうな弱小の魔物にパニックになっていたところを助けたのが切っ掛けで、治療役としてパーティーに入ってもらった。

 それから何だかんだとウマが合い、協力して依頼を受け続けた。

 実力を上げ、大きな依頼を受ければそれだけ多くの報酬が手に入る。

 旨い酒に美女を一晩買い、ギャンブルに金を注ぎ込む。

 故郷では味わえない刺激にどんどんのめり込んだ。

 次第に受け取る報酬で、どう遊ぶかしか頭になくなってしまった。

 仲間の忠告すら煩わしくなって。

 魔物の太い腕が剣に当たり、折れてロドの体を簡単に吹き飛ばした。

 

「おえっ!?」

 

 背中が木に激突して痛みが走る。

 その隙を魔物は見逃してくれるわけもなく。

 

「俺は……おれはっ!!」

 

 折れた剣を構える。

 

「俺はぁあああああああっ!!」

 

 全速力で魔物に向かい、その喉に剣を突き立てた。

 その反撃が意外だったのか、魔物は呻き、動きが鈍るとロドは何度も喉に向かって折れた剣を振るう。

 何度も斬り付けて、動けなくなるまで吐き気を堪えた。

 魔物の死を確信して剣を手から落とす。

 しかし、そこには達成感はまるでなかった。

 こんな雑魚相手に何をしている? 

 情けない。

 みっともない。

 どうしてこうなった? 

 

「うう……」

 

 雨が降ってきた。

 それと同時にロドは膝をついて涙が溢れる。

 

『私の精霊が絶対に貴方達を死なせないわ。思うがままに戦いなさい』

 

「オレは」

 

『どんな怪我をしても、私が必ず治します! だから、負けないで下さい!』

 

「おれは……」

 

『ロドの背中は、僕が守るから。だから、ロドは僕達を守ってね』

 

「俺は! もっと、あいつらと冒険がしたいぃ!!」

 

 もう遅い慟哭。

 雨の中ロドは、一晩中その場で泣き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝がくると同時に雨が止んだ。

 ロドは新たな決意を胸に立ち上がる。

 今はまだ、仲間のところには戻れない。

 もう足を引っ張らないと確信出来る強さを得るまでは。

 

 仲間と別れた町の反対方向にロドは歩きだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




こういう追放物が読みたい。

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