「それでね、パイパイちゃん・・・」
「白蓮だ!もういい加減間違えるなよ!」
またもや真名を間違う劉備はもう間違わないと謝る。
「はあ~、二度と間違えないんだったらいいよ、もう。で、なんだ?」
「実はね、お願いしたいことがあるんだ」
急に真剣な空気に代わり残りの3人も毅然とした態度をとる。
内容は義勇軍を創るため金や兵を貸してほしいとのことだ。今まで4人は賊を見つけ次第に討伐するがその賊も4人だけでは勝てない数になり、自分等だけではどうすることもできないと感じたからだ。4人が悩んでるなか壊友隊を思い出したらしい。我らも壊友隊と同様義勇軍を作れば良いのだ。しかし、そんな金も武器もなく、村から貰うわけにもいかなかった。そこで、劉備の友、公孫賛の所に行こうということになったらしい。
「なるほどね、だいたいの事情は分かった」
「本当!?じゃあ貸してくれるんだね?」
劉備は貸してくれると思っていた。しかし、そんな希望も打ち砕かれる。
「いや、すまないがこっちも手が足りてない状態でな、現に兵の数も少ないんだ。貸すことはできない」
それはそうだ。さっきの賊の件で壊友隊があの場にいなかったら公孫賛軍は負けていただろう。
民は重税に耐えられず、賊へと獣化し、村を襲う。その数は以前より数倍に増え、今も増えている。
村人が襲われるということは税が取れなくなるということだ。つまり、損害が多ければ多いほど、税金は少なくなる。だからどの国でも支援することは難しく、自分の領土を守ることだけで精一杯なのである。
それなのに、義勇軍を作るから金を貸してくれなどと抜かすのは言語道断である。一歩間違えれば斬首もあり得ない話でもない。
しかし、公孫賛はお人好しでありながらも、
「貸すことはできないが、義勇軍を作るのは自由だ」
「え?」
「私はなにも見てないし、なにも聞いてない、なにも知らない。作りたければ勝手にしろ」
金を貸すことはできない。が、自ら金を得ること誰も文句は言えない。ここで金を調達してもよいということだ。
劉備らは公孫賛に感謝する。そんな公孫賛は何も聞いてないと言うそぶりを見せるのであった。
「しかし、まさか壊友隊を元に義勇軍を立てようとは何か理由がありますかな?」
趙雲の質問に対し、劉備らはそれぞれ答える。
「だって、民の間ではすっごく有名なんだよ?」
「うむ、なんでも壊友隊は優秀な2人の将がおり、見事な策と戦略指揮で賊を討伐したと聞く」
「それに兵士たちも強いって聞いてるのだ!」
「おれも同意見だね、男として憧れるよ」
それぞれ多大な評価で憧れも持ってるようだ。聞いた島師界たちは少し照れる。
「・・・だ、そうですぞ?」
「わざとらしい聞き方ですね・・・」
「さあ、どうでしょうかな?」
公孫賛がポンと手を叩く
「おお、そういえば桃花たちは知らないんだったな、そこにいる二人は壊友隊を指揮している副長と隊長だ」
「「「「え(にゃ)!?」」」」
島師界は照れながらもメガネを直し、楊儀は頬をかく。
「まさかここまで名が知り渡ってるとはな・・・なんか恥ずかしいな」
「まだまだ壊友隊は未熟な所もありますが、そう言われると嬉しくないと言えば嘘になりますね。皆も喜ぶでしょう」
彼らは実際壊友隊の名がどれくらい広がっているか、どんな評価をされているか知らなかったのだ。賊をしらみ潰しに転々と移動されていたため、噂など全く入ってこなかったから。故に初めて壊友隊の評価を聞くことは新鮮だった。
「じ、じゃあ壊友隊隊長が・・・」
島師界が答える。
「それで副長が・・・」
楊儀が答える。
劉備らは断言する、見た目で
「「「「逆じゃないのか(じゃないの(では(なのだ)!!」」」」
「またかい!? しかもひでえ!!」
島師界、哀れなり・・・
「うるさいよ!?」
しばらく経った後、劉備らは謝り、島師界はいつものことだしと許した。
「ところで島師お兄ちゃんと楊儀お兄ちゃんは強いの?」
これに島師界が答える。
「さあな、試合なんてしないし、手合わせもしないな。鍛練はするけどよ」
これに楊儀が続いて言う
「私も興味はありません。鍛練はしますけど、自分の実力を測ったことはありませんね」
張飛は島師界たちに頼み事をする
「だったら、鈴々と手合わせするのだ!お兄ちゃんたちの武を見てみたいのだ!」
関羽と趙雲も賛同し、手合わせしてほしいと言ってきた。しかし、
「悪いが、断らせてもらう」
「私もです」
呆気なくその願いは砕ける
「ほお、何故ですかな?まさか臆したとか言うのではありませんか?」
「お、わかってんじゃねーか。その通りだぜ、趙雲」
「私たちの武が貴女たちに勝てるわけないでしょう」
島師界らの返事が張飛らの憧れから怒りに変わる
「同じ武人として恥ずかしくはないのですか!?」
「そうなのだ、格好悪いのだ!」
「格好悪い?外見だけで決めるのかてめぇらはよ。俺たちは格好悪かろうが、醜かろうが民を守るために戦ってんだよ。それを外見を気にして民を見捨てることなんて俺は出来ないね」
「民を救うために我らが犠牲になろうとも救えれば本望です。貴女たちも同じではないでしょうか?壊友隊は1人で戦わず、皆で救うことを大事にしております。それに私たちは武人ではありません」
「では、武人でなければ、その武器はなんのために掲げたのですか?」
「民を守るためだ」
「私たちは民を守ればそれで良いのですから」
「それは我々も一緒だ!桃花様とご主人様の夢に惹かれ、共に民を守ろうと決めたのだ」
「そうなのだ、鈴々は馬鹿だけど、武があるのだ!武で悪いやつらを蹴散らしてやるって決めたのだ、お姉ちゃんとお兄ちゃんのために!」
関羽、張飛は劉備と本郷一刀の夢に惚れたということだろう。
ならばと、島師界は劉備、本郷一刀に問いた。
「あんたらの夢はなんだ?」
「私は、皆を救いたい・・・皆が笑って過ごせる時代にしたい!」
「無理だと分かってる、それでも、おれは桃花の夢に託したんだ。わずかな望みだけど賭けたいんだ、皆が笑って過ごせる時代を!」
甘い、甘すぎる・・・なら兵士はどうなってもよいと、賊に成り下がった哀れな民はどうでもよいと。誰だって家族がいるんだぞ、その家族は笑って過ごせんのかよ・・・。ふざけるな・・・人は皆必死に生きてんだ、生きてるからこそどうしようもないことだってあるのに、それを否定するのか!人が一生懸命生きてる姿を否定すんのかよ!
色々な負の感情がわきだし今すぐにでも殺したい島師界に楊儀は肩をおく。
首を振る楊儀に島師界は負の感情を抑えるために目をつぶった。
そしてゆっくりと目を開け目の前にいる劉備と本郷一刀を見る
「そうか・・・良い夢だな。無謀な挑戦だがやる価値はある。頑張れよ」
「は、はい!ありがとうございます!」
「ありがとう!」
劉備と本郷は島師界に礼をする。
顔をあげてくれとたじろぐ島師界であった。
そして楊儀は趙雲、関羽、張飛に向けて謝礼をする。
「申し訳ありません。貴女方の武人としての誇りを汚すつもりはありませんでした。お許しを」
「よ、よしてくだされ。我々も少し言い過ぎかもしれない。こちらも謝らせてください」
「鈴々も言い過ぎたのだ。ごめんなさい」
「ふむ、まさかここまで修羅場になろうとは。しかし、お互い民を守るもの。私も謝罪しよう」
お互い気を許したようだ。しかし、楊儀はこうも思っていた。
武だけ極めても兵を導く力がなければ救える命も救えなくなるのです。知略もなければ兵は動くことすらままならない。そんなとき貴女方はどうするのですか?
「まあ、なんだお互い道の先はいっしょやしお互い頑張ろうや!」
「はい!がんばりましょうね!」
劉備はこの時島師界をどう受けたのかは島師界のとってどうでも良いことだ。
ひとつだけ言えるのは、今の考えでは絶対に叶えることは不可能であること・・・
読んでくれてありがとうございます。