承太郎、花京院、ジョセフがテレンスとそのスタンドによって強制ボッシュートされてしまった。
「ジョースターさんは十分待て、と言ったが……」
アヴドゥルがごくりと生唾を呑み込む。
十分でカタをつけるという意味なのか、それとも戻れなかった場合を想定しての決死の覚悟なのか。おそらくはその両方なのだろう。
ノリと勢いで追いかけようとして穴に飛び込んだものの、なぜか吐き出された澪は、穴が消えてしまった以上できることもないのでノコノコとアヴドゥルたちのところへ戻った。
「おい澪! 相手がどんなヤツかもわからねーのに、迂闊な真似ばっかりするんじゃあないぜ!」
「ごめんなさい!」
考えなしにもほどがある行動に、さすがのポルナレフもご立腹だ。
澪も澪で、今の行動は自分でもうっかりすぎたと反省することしきりである。
平謝りする澪をポルナレフとシーザーが叱っている間にも時間は無情にも過ぎ、既に半分ほど経過してしまった。
「うう……あ、そういえばシーザーってスタンド見えてるの?」
「ん?」
戦闘以外で疲弊していた澪が唐突に聞いた。
今の今まで見えていること前提で行動したり話をしていたが、面と向かって聞いたことがなかったことを思い出したのだ。
ここから先は間違いなくスタンド戦になる。
館のような閉鎖空間でスタンドが見えないとすれば、敵スタンドどころか味方のスタンドに巻き込まれかねない。
それに対するシーザーの返答は、なんというか微妙だった。
「あー……見えるっちゃ見えるし、見えねぇっちゃ見えねぇな」
「え、どういうこと?」
シーザーは自分でも説明が難しいのか、考えながら言葉を足していく。
「スタンドは言うなれば魂っつーエネルギーの投影化だろ? 俺やJOJOの波紋も、種類は違えどエネルギーを扱う技術だからな」
波紋法は特殊な呼吸法で己の血流などに含まれている微細なエネルギーを集約して増幅し、操る術である。
生命エネルギーという点に関してはスタンドも波紋もそう大差はない。才能か、技術かの違いである。
「だから相手がスタンドを出していれば俺にもそれは分かるし、感じる。ただ生来のスタンド使いと同じように見えてるかと言われれば、それはわからん」
自分の視界が他人と同じかと言われれば、それは説明が難しい。なにせ証明ができないからだ。
ただ、スタンド使いの人間ならではの共通項で話が通じているだけであって、見え方は千差万別だとて何もおかしくはない。
「俺はてっきりツェペリさんにもスタンドがばっちり見えてると思ってたぜ」
「私もだ。だが、言われてみればツェペリさんからスタンドの詳細を聞いたことがなかったな」
現役スタンド使いの二人がそう言うのだから、シーザーはスタンド戦でスタンドが使えなくても動けることに間違いはなさそうだ。
「まぁ、シーザーがスタンドを避けたりできるならそれでいいよ」
「その点に関しては問題ないぜ。要はあれだ、幽霊みたいなもんだ」
物理攻撃を伴う幽霊と言われると、真っ先に貞子とかが思い出されるが、スタンドもそうそう違いはないのかもしれない。
平たく言えば、シーザーの視界で見るスタンドは脅威を感じても少しばかり現実から外れた、いわば立体映像のように映るのだろう。
「そっか」
曖昧に納得して、澪はしきりに首を傾げる。
「どうした?」
「んー、いや……」
シーザーの弁に何かがあるわけではない。ただ、さっきからひっかかるのだ。
だが、肌を突き刺す日差しや砂を孕んだ熱風。そんな環境が邪魔をしてか、なかなかヒットしない。
しかし、感じているのは違和感というより既視感が近い。まったく違うはずなのに、どこかが重なる。
この状況。この光景。同じはなくても、近いものがあったはずだ。
どこだろう、思い出せ。
眉間に皺を寄せて、頭がきんきんするほど考える。
そして、
「あ」
「?」
シーザーの顔を見て、それは唐突にフラッシュバックした。重なったのはシーザーの表情だった。
あの時は寒かった。吐息すら凍るほどに。当然だ、周囲は雪だらけだったのだから。
極寒の地で、敵の拠点を探り出し、そして──
「……そっか」
澪は思い出した。
柱の男たちのアジトにいつ突入するかで揉めた時だ。
あの時はシーザーが先走り、自分がついていってえらい目に遭ったのだ。今回はジョセフたちだ。
火を放てとジョセフは言っていた。ここに某大佐がいれば爆薬のひとつやふたつ用意してくれるのだろうが、生憎ここにはいない。そもそも頼っていても仕方がない。
しかし、正面から突入なんてしたくない。自分ひとりならその辺から上って潜入でもするが、DIOに捕まっても困る。
心強い仲間たちをわざわざ危険地帯から侵入させたくなどない。
ではどうするか。ここでぐずぐず時間の経過を待つだけ、なんてもどかしいのは御免である。
なら、簡単だ。
「ちょ、アヴドゥルさんたちここ動かないで下さい!」
言い置くやいなや、澪はその場で反転すると駆けだしてしまう。
慌ててアヴドゥルが声を張り上げた。
「おいどこへ行く!?」
「すぐ戻ります! すぐ!」
「おい澪!? チッ、イギー! ついてってやれ!」
ポルナレフの声に応えるように肩へジャンプしたイギーを危なげなく支え、そのまま澪はどこぞへ走り出してしまった。
あっという間にその姿は見えなくなる。
「この非常時に何考えてやがるんだか……」
「まぁ、澪のことだから変なこと考えてるんだろうな」
渋面を作るポルナレフに、シーザーが訳知り顔で苦笑する。
「変なことぉ?」
「そう、俺たちだとやらかせないタイプの
昔からそうだったが、澪は敵が相手だと容赦とかが一切なくなる。
今回の相手は、身内といえば身内だが、敵といえば敵だ。
どう出るつもりなのかはシーザーにも予測がつかない。
けれど、澪の思いつきは決して自分たちを害するような類のものではないことは、確信できる。
だから笑って言ってやる。
「安心しな。この期に及んで不利になるようなことを考えるヤツじゃあない」
「それは分かってるけどよ……」
ポルナレフだって分かっている。
澪は考えなしでお人好しでじゃっかんあほだが、悪ではない。
承太郎たちが館に入ってしまった以上、彼らを助けるための策であろうことくらいは予想がつく。
とはいえ、そういう予想を斜めに突き抜けるのが澪という存在なのだが。
「どちらにせよ、私たちは待つしかない」
アヴドゥルがそう結んで、結局三人は館を最大限に警戒しつつ澪の帰還を待った。
「お待たせしました!」
時間ギリギリで戻ってきた澪の手にはなぜか、プラスチック製のバケツがぶら下げられていた。
意味が分からなかった。
「おいなんだそのバケツは!? まさかこの館を掃除するってんじゃあねぇだろうな!」
いち早く思考の迷路から脱したポルナレフが思わず噛みつくが、澪はそしらぬ顔である。
「んなワケないですよ。ちょっと離れてて下さいね」
「なんだそれは?」
アヴドゥルがバケツを覗き込むと、中にはいくつかのタオルが入っているだけだった。
「いいからいいから」
何がいいのかさっぱりわからないが、ぐいぐいと背中を押され仕方なく移動する。
澪はバケツを少し離れた場所に置いて、今度はポケットから買ったばかりらしい薬品瓶のラベルをべりべりと破いた。
そして、
「息止めて下さい!」
びしゃ、と一気にその中身をバケツへとぶちまけた。
タオルに薬品がかかった瞬間、猛烈な刺激臭と白い煙が立ち上った。
「ッ!」
全員が咄嗟に手で口元を覆い、イギーなんかかなり離れた位置まで逃げていた。犬には辛いだろう。
そして、いくらも経たない内にぷすぷすと焦げるような音を立ててタオルは煤のようなものに変化する。
やがて薬品がタオルの隅々にまで行き渡り、中身がただの煤クズに成り下がった辺りでぷは、と澪が深く息を吐いた。
「もーいいですよ。あ、触らないで下さい。あとアヴドゥルさんはしばらく『魔術師の赤』出さないでください」
慎重にバケツを持って移動する澪の横から、ポルナレフが中を覗き込んで変な顔をした。
「その燃えカスみたいなの、なんなんだよ」
答えは実にしれっとしていた。
「即席ダイナマイトです。まぁ、本物よか威力は劣りますけど」
ポルナレフは一瞬思考が追いつかなかった。
今、こいつすごく物騒なこと言わなかったか?
「……はァッ!?」
澪の台詞がようやく脳に届き、ポルナレフはずさっと飛び退いた。なんて物騒なこと言い出すんだ。
しかも実物をその場で作るあたり、本気である。怖い。
「薬局なかったんで、宝石屋さんで金の純度鑑定する硝酸売ってもらってバケツとタオル買ってきたんです。あとは化学反応させました」
これは承太郎の(自称)舎弟から教わった、即席爆薬の作り方である。
こういった世の中、理科の勉強じゃ教えてくれないことが山ほどあるんだぜェ、と笑っていた不良学生は現在、保護観察処分が下っている。
仕入れた知識を自慢したくて公園のゴミ箱を爆発させたところ、通報されてあえなくお縄になったのだ。馬鹿に火薬を持たせてはいけない(戒め)。
「正面突破なんて、なにが仕掛けられてるかわかんないので、これでどっか爆破して侵入するかそれとも陽動に使うか……」
澪とて聞かせられた時は、こんな物騒なトリビアどうしろというのだ、とゲンドウポーズしたものだが今となってはありがたい。
何が幸いするか分からないのが人生である。無意味にうんうん頷き、出来映えに満足する。
「お前、まだその発破解体思考抜けてないのかよ」
説明を一通り聞いたシーザーが呆れ顔をした。
サンモリッツで柱の男のアジトを発破解体したい、とか言い出したことは忘れてない。なんでこいつはすぐに建物を壊したがるのだろうか。
澪はいい顔で親指をグッと上げた。
「三つ子の魂百までだからしょうがないよね!」
「開き直るんじゃあねぇよッ!」
反射的に突っ込んだのは、なぜかポルナレフだった。
DIOとて、自分の預かり知らぬところで義姉が自分の屋敷を爆破しようとしているなど夢にも思うまい。
言われた澪はといえば、空いている方の手を握ったり開いたりしつつ、何故かもじくさし始めた。
「だって、ここにはシュトロハイム大佐いないから……」
「なぜそこで恥じらうんだ」
「どこまで大佐が好きなんだよ……」
アブドウゥルが困惑してシーザーがげんなりした。
もはや緊張感とか皆無である。
「……ジョースターさんが待てと言った十分はとうに経っている」
揉めている間に時間は過ぎ去っていた。
いまだに穴のあった箇所から三人が出てくる気配はない。
「ポルナレフ、澪、ツェペリさん」
アヴドゥルは腕を組み、改めて周囲の面々へと視線を向けた。
「突入する前にひとつだけ言っておきたい。私は、もし、お前たちが行方不明になったり負傷したりしても助けないつもりでいる」
それは、ある意味ではごく当たり前の宣言だった。
「イギ―、お前もだ。冷酷な発想だが我々はDIOを倒す為にこの旅をしてきた……。自分の安全を第一に考えるのだ」
ひとりを助けようとして全滅するような事態だけは避けなくてはならない、とアヴドゥルは説いた。
そう、澪を除いた全員の目的はあくまでDIOの打倒であり、ホリィの救出である。
DIOもDIOで自分を倒そうとしている人間、ましてジョースターの血に連なるものを生かしておくつもりなどないだろう。
「お前たちの方も、もし、私がやられたり……お前たちとはぐれても、私を助けようとしないことを約束しろ」
互いの決意を問うような沈黙が落ちて、ポルナレフが顔を上げる。
「ああ、わかったぜ。アヴドゥル」
強く頷き、アヴドゥルとポルナレフは硬い握手を交わした。
そして問いを投げられた残りの二人はといえば、
「すいません、無理です」
「俺もだな」
ざっくりと提案を否定してしまった。
「な、澪はまだわかるが、ツェペリさんまで……」
「おいおいおい、この期に及んでそれはねーだろ!?」
瞠目する肯定組ふたりに、否定組ふたりは揃って顔を見合わせた。
「いやだって、ねぇ?」
「なぁ?」
頷き合って、同時にアヴドゥルたちを見やる。
「こんな大事なところで嘘つけませんもん。僕、誰かがぴんちだったら絶対助けるし、探しちゃいますもん。見捨てるとか無理です、無理」
もん、とか言っているが内容はちっとも可愛くない。
「アヴドゥルの意見にはおおむね同意できるが、実行できるかとなりゃ話は別だ。俺はお前たちが危機に陥った時、身体が反応しない自信がねぇ」
それに、とシーザーはどこか優しげに瞳を眇めてアヴドゥルを見やる。
「俺の見立てじゃあ、そういう時真っ先に身体が動いちまうのは──アヴドゥル、お前さんだぜ」
口調こそ軽いもののシーザーの眼差しはひたすらに真摯で、アヴドゥルをからかっているものでも、まして嘘でもないことは明白だった。
見た目が若く、全盛期に戻っていても記憶はそうではない。そこには年輪のように培われてきた経験による重みと、深い含蓄があった。
図星か、はたまた気圧されたのか一瞬言葉を詰まらせるアヴドゥルに、シーザーは更に駄目押しとばかりに一言。
「どうせ覚悟するなら、生き残る覚悟を決めやがれよ」
静かな声は水のように染み渡って、やがて気が抜けたようにふ、とアヴドゥルが呼気をもらした。
「ええ、そうですね。ツェペリさん、ですが今の言葉は撤回しません」
「頑固なのはお前の美徳だ。それでいいんじゃあねぇか?」
べつだん、シーザーは自分の行動を明言しただけで、彼の覚悟を曲げようとかそういう気は一切ない。
ただ、悲愴なまでに覚悟を決めた人間は、時に視野狭窄に陥りやすい。かつての自分がそうだったからだ。
だから、シーザーは少しだけアヴドゥルの決意に水を差した。
澪は意識しているのか、それとも単に感想を口にしただけなのか分からないが、似たようなものだろう。
できない約束は、するものではないのだ。
「じゃ、生きて出たら豪勢な夕飯をおごれよ」
「イギーにもな」
「カエル料理はイヤです」
「安心しろ、俺がとびきりの店を教えてやる」
気付けば、全員の口元が自然と綻んでいた。
身体から余計なちからが抜けて、全身が引き締まる。万全な体勢になったことが自分でも分かった。
「じゃ、人数多いので二手に分かれましょう。じょろじょろ歩いてたら的になります」
是が非でも爆破を諦めない澪に全員がじゃっかん呆れたが、確かにこの人数で玄関から入れば悪目立ちするだろう。
短く討論を交わし、結局いちばんコンビプレーに慣れている澪とシーザーが別箇所からの侵入、そして残りの面子が正面突破、という運びになった。
「では、御武運を」
「お互いにな」
こん、とポルナレフと拳を打ち付け合って、澪はイギーの方へ視線を向ける。
「親分も気を付けて、そんでもしぴんちになったら──僕を呼んで? とんでいくから」
イギーは『そんなことになるワケねーだろ』といわんばかりの顔で、ヘッと鼻を鳴らすだけだった。
そして、四人と一匹は二手に分かれてDIOの館への侵入を開始した。
☓☓☓☓☓
「澪」
「んー?」
アヴドゥルと別れ、爆薬の設置場所をわくわく探している背中にシーザーは声をかけた。
「なんか思い出すな、この状況」
「あ、やっぱシーザーもそう?」
シーザーと二人で敵アジトの回りをうろつく、なんて機会がまた訪れるなんて夢にも思っていなかった。
ちいさな背中に向けて、ぽつり、ぽつり、と。
「あの時はワムウだったが、今回の相手はDIOだ」
「うん」
「お前の義弟なんだよな」
「うん」
「どうするか、決めたのか」
「うん」
慎重にバケツから煤のように見える爆薬をさらさらと落とし、小さな小山を作る。
その量や配置を確かめてから、澪は顔を上げた。
「決めた」
表情は穏やかだった。何かを決めて、ひた走ることを決めた時のかおだった。
「そうか」
だから、シーザーもただそれだけを返した。
ゆるゆると熱い空気が動き、澪はバケツを横に置くと胸元を飾っていた羽根をそっと外して差し出した。
出立の日にシーザーが託した羽根飾り。
最初はあんなに綺麗だったのに、水気を失ってぱさぱさになっていたり、一部分が欠けているところがそれまでの苛酷な旅路を思わせる。
「ずっと守ってくれてありがとう。僕の幸運も上乗せして返すよ」
「ばか、お前の幸運はお前のもんだろうが。安売りすんな」
「利子だよ利子」
そんな軽口をたたき合って、シーザーは羽根飾りに手を伸ばし──その寸前でぴたりと指を止め、少しだけ考えてから、問うた。
「その選択は、お前がしあわせになれるものか?」
「うん!」
ためらいひとつなく、澪は頷いた。
大切な宝物を見つけたような、あかるい笑顔だった。
ジョースター一行とは異なる目的でここまで辿り着いた澪が、この旅路で何かしらの答えを見つけられたのならば、信じようと思った。
それがどんな結果を招いたとしても受け入れようと──誓った。
だから、
「なら、よかった」
シーザーはそれだけを告げて、羽根を手に取った。
小さな羽根飾りは、まるで何かを訴えるかのように彼の手の中でふわりと揺れた。
「よぉっし、シーザー!」
全ての準備が終わったのか、澪は俄然イキイキした様子で問いかける。
「シャボン液の準備は万端かね!?」
「当然」
「波紋の調子は万全かね!?」
「もちろんだ!」
「じゃあDIOのあほと、スタンド使いをボッコボコにする覚悟はおーけー!?」
「ッたりめーだろうが! 俺を誰だと思っていやがる!」
胸を張るシーザーに、澪は肉食獣めいたぎらつく瞳でにやりと笑い、いつの間に出したのか愛刀を腰に差し、片方の手には昔ながらのマッチ箱。
「待ってろよディオ! よくも僕ん家をシロアリなんぞで倒壊させてくれたな! 目には目を! 歯には歯を!」
シュッとマッチの先がすられ、火が灯る。
「規模が小さいのが残念だけど……家屋破壊には家屋破壊じゃああ! 喰らえーい!」
全身を駆け巡るハイテンションに身を任せて威勢良く大声を張り上げ、ぽーんと投げられた火の点いたマッチは狙い違わず火薬の真上に。
「ふぁいやーッ!」
刹那、爆音。
風が渦巻き、衝撃が髪をちぎれよとばかりに掻き乱す。熱波がどっと押し寄せてきた。
風向きの関係で真っ黒な煙をうっかり吸って盛大にむせていると、その間に煙は晴れ、壁のいちぶと窓ガラスが粉々に粉砕されていた。
「おお……ホントに爆発したな」
「えっ信じてなかったの?」
感心するシーザーに向き直ると、咄嗟に目線を逸らされた。まぁいいけど。
「そんなことより早く行こう! スタンド使いを索敵したり迎撃しつつポルナレフさんたちと合流!」
「ああ」
「あと壁とか窓、片っ端から破壊してもいい? ワムウさんの時みたいに!」
どうやら相当鬱憤が溜まっていたのか、刀をぶんぶん振り回しながら意気揚々としている澪を止める術が、シーザーには思いつかなかった。
「……自爆しないならな」
残念ながら手榴弾は品切れなのである。