「もしもし?」
『もしもし、ぼくだけど。今大丈夫?』
「あ、典明くんか。え、空港じゃないの?」
『うん、もうすぐ搭乗。でもその前に電話しておきたくて』
「マメだよねぇ相変わらず。おねーさんは嬉しいです」
『同い年のくせに何言ってるの。そうそう、お土産は何がいいって聞こうと思って』
「お土産ってエジプトの?」
『旅行先がエジプトなんだから必然的にそうだね』
「そんな気を回さなくても、んー……僕的には典明くんが無事に帰ってきてくれることが、いちばんのお土産です」
『ただの家族旅行にどれだけ危機感持ってるんだい? ほら、時間がなくなっちゃうよ』
「いきなり言われてもそもそもエジプトの知識が……うー、あー、分かった典明くんに任せる!」
『まさかの丸投げ』
「だってエジプトって言われたらすごい甘いお菓子があるってことくらいしか知らない……」
『意外と変な豆知識は持ってるよね、澪って』
「うう、携帯も持ってないからなぁくそう」
『携帯を……持つ?』
「おうっふなんでもないこっちの話。ともかく、典明くんのセンスにお土産を一任します。見事僕好みのなんかこう、それっぽいのを!」
『すごい、最初から最後まで何も解決してないよ』
「ごめん、でもパッと思いつかない……とにかく、楽しんできてね!」
『無理矢理まとめたね。でも、そろそろ時間だし……行ってきます』
「行ってらっしゃい。──いい旅を」
『うん、ありがとう』
そんなやり取りから三ヶ月、花京院からいまだに連絡はない。
☓☓☓☓☓
承太郎が警察に捕まって投獄されたらしい。
より正鵠を射ると、自分から牢屋に引きこもって出てこないらしい。新しいな、と澪は思った。
なんでも悪霊が自分には取り憑いているから、俺がここから出たらそいつが何をするか分からない。だから牢屋にいる、とのこと。
新手の厨二病かと一瞬疑ったのだが、彼の母によると本当に何かが見えたそうだ。彼女が言うからにはそうなのだろう、嘘をつかない人だから。
そう言われてみると、ここ最近の承太郎ケンカ祭りはやたらと荒れていた気がする。
単に虫の居所が悪いのかと思っていたのだが、いくらなんでも長すぎるかもしれない。
「澪ちゃんの言うことなら承太郎も聞いてくれるかもしれないわ!」
年齢に反して若々しく無邪気なホリィに澪は苦笑してしまう。
彼女からあんなイケメンゴリラが生まれるのだから分からないものである。
「ホリィさんでダメなら僕でも無理だと思うのですが……」
「お願い!」
両手をぱん、と合わせて拝まれてしまうとホリィさん大好きな澪は動かないわけにはいかなかった。
おっとりと優しく、心の底から家族を愛しているホリィにはいつでも尊敬と敬愛の念を抱いている。
しかし悪霊も承太郎相手ならば裸足で逃げ出すのではなかろうか、と疑問を抱きつつとりあえず澪は放課後を待って警察署に行って事情を説明しても許可をもらえなかったので、気配を消して留置場にこっそり忍び込んだ。まだ監視カメラとかあんまり設置されてないからちょろい。
猫のように足音もさせず歩いている澪は小柄な少女である。
色の脱けた雪色の髪に桜色の瞳。学校帰りなのでセーラー服のままで、全体的にほっそりと華奢なので大人しそうな印象だが内実が色々と裏切っている残念な子だった。
第一、普通の学生は警察の留置場に忍び込めない。
階段を降りると、鉄っぽい刺激臭で埃が舞い上がって鼻がちくちくした。
蛍光灯が時々明滅していて、薄暗くて視界が悪い。鉄格子の嵌まった独房がみっしり並んでいる様子は、できの悪い動物園みたいでやたらと不安を煽られる。
それでも目を凝らしてひとつひとつの部屋を覗きながら歩いていると、一番奥の独房で目的の人物を発見した。
「おっす」
ごく普通に独房の真ん前で片手を上げる澪に、空条承太郎は特に驚くこともなく読んでいた本から顔を上げた。
一言であらわすなら、巨漢である。
日本人離れした長身でケンカに明け暮れているためか無駄なく鍛え上げられている筋肉は見事な黄金律で彫像のように美しい。
だが、大概は苛々しているか無駄に獰猛な圧力を振りまいているので近寄り難い。端整な顔立ちなのに眼光は鋭く威圧的で、母譲りの外洋の海めいた瞳もわりと台無しな感じだ。ただ、その硬派な雰囲気がまたいいのだと女子高生には大人気である。
そんな大きな身体を窮屈そうに折り曲げながら、承太郎は不機嫌な様子を隠そうともせずに舌打ちをひとつ。
「……なんだ、お前まであのアマに言われてきたのか」
昔は母さん呼びだったのに、最近の呼称はこんな感じである。
ホリィは剛胆に受け止めているからいいものの、普通なら家庭不和の原因筆頭間違いなしだ。
澪としては承太郎のこんな反応も慣れたものである。長年の幼馴染みだし、お互いに遠慮する理由がないので軽く頷く。
「まぁそうだけど、悪霊に取り憑かれたって?」
「ああ」
短く答え、承太郎は視線を伏せる。
よくよく見ると、他の独房と比べて承太郎のところはやたらと快適空間だった。
ぺしゃんこになっているビール缶や、承太郎お気に入りの銘柄の煙草や電子辞書、ラジカセ。
テーブルの上にはコミックと一緒にわんさと本が積み上げられていて、そちらは揃ってオカルト関連の本だ。ラジコンまである。なんだこれ……。
「すごく快適そうだけど、持ち込んでいいの」
他の独房にはない至れり尽くせりっぷりにそのまま尋ねると、思ってもいない返答がきた。
「悪霊のやつが持って来やがるんだよ」
「え、それもはや悪霊じゃないよね。便利な運び屋さんだよね」
反射的に突っ込みを入れてしまった。
取り憑いている承太郎に害をなす、というならまだ分かるが彼の快適空間を後押ししている時点でもうそれは悪霊でもなんでもないと思う。
そういえば、と澪はホリィから聞いた話を思い出す。
悪霊の危険性を教えてやるぜ、と警察官から拳銃をぶんどって自分のこめかみを撃ち抜こうとしたところ、その悪霊が発射された弾丸を受け止めたとかなんとか。承太郎は思い切りがよすぎるだろう。
だがそれが本当の話なら、自分の中で悪霊というセンが真っ先に消える。
「分かってねぇようだが、早く帰れ。でないと悪霊がなにをしでかすか分からん」
こちらを心配しているのだろう、承太郎のぶっきらぼうな物言いには僅かな心配と驚きが滲んでいた。
おそらくは悪霊の存在をあっさり信じたこともあるのだろう。普通なら理屈をつけるか疑うものなのだろうが、澪の中では幽霊だの悪霊だのという非現実的なアレコレは些末な問題である。
知りたいことは今も昔も変わることなく承太郎の安否だ。
イケメンでガチムキで頭脳明晰なハイパーチート野郎に育っても澪にとって大事な幼馴染み。
彼にとって悪霊が本当の意味での悪霊ならば、何らかの対策を考えなくてはいけない。けれど、もし、悪霊とやらが澪の考えているものと一致しているならばその必要はなくなる。
「あーうん」
澪は分かったような分かっていないような曖昧な相槌を打って、少し考えてから頭を上げた。
「ちょっと検証実験してもいい?」
「てめぇ話聞いてねぇな」
鉄格子越しに凄まれても全く怖くないのである。
突拍子もない澪の物言いか態度か、ようやく承太郎は警戒を緩めた。
「……ここから追い出すために来た、ワケじゃあねぇのか」
「承太郎は決めたら梃子でも動かないじゃん。様子見に来ただけだよ」
ホリィにも予め言っておいたが、どうせ無理矢理叩き出したところで(叩き出すのも至難だ)相手は承太郎なのである。
納得の得られる説明、もしくは悪霊(仮)の使い方でも分かなければ自分から戻ってしまうだろう。いい奴なのだ。
「そんでさ、承太郎の悪霊ってもしかしたらハイエロさんの仲間かもしれないなーと思って」
「誰だよ。無駄に卑猥な名前しやがって」
男子高校生の脳内は桃色天国なんですね知りたくありませんでした。
ハイエロさんとは、澪の友達である花京院典明の守護霊っぽいもの──『
まぁ最近思春期にでも突入したか旅行先のエジプトで人生観が変わったのか、連絡が来なくて寂しいかぎりだが──置いておいて。
彼の守護霊は花京院の意思にそって動く。コントロールができるのだ。
似ている、というこは同じであるとは限らない。
けれど、承太郎を守るために行動しているのならば、それは悪霊よりそちらの可能性の方は高いように思える。
「ていっ」
なので、澪は無造作にポケットに手を突っ込んでとあるモノを掴み出し──承太郎の顔面めがけて指先で神速の早撃ちを見舞った。
「ッ!」
ぱぱぱしッ
「あ、見えた。えらいムキムキな腕してるね」
軽い音とともに、中空で小銭が浮いている。
指先の力だけで投擲されたそれらを全てキャッチしたのは承太郎の腕辺りから這うように伸び上がっている、蒼い肌の逞しい腕だ。
目を凝らすとほんの少し、透けて見える腕。それは花京院の『法皇の緑』とほぼ同じだ。
「テメェいきなり……ッ、今のが見えたのか?」
突然の攻撃に承太郎はさすがにムカついたらしいが、それよりも悪霊が見えたことの方に驚いていた。
「うん、検証実験させてって言ったでしょうが」
見えなかったらそれはそれで困だっただろうけれど、実際は見えたので安心する。
悪霊なのに、澪には見える。
悪霊なのに、宿主を守る。
半透明なのに、現実に影響を及ぼす。
それらが意味するものは。
「はー、そっか、ふーん」
「一人で納得してんじゃねぇよ、説明しろ」
ひとりでうんうん頷いていると、承太郎から突っ込みを頂いてしまった。
「えっと、検証実験の結果。僕個人の意見としては承太郎の悪霊もどきは悪霊じゃない、と思います」
承太郎は不服そうな顔をしたが、一通り話を聞いてみる気にはなったらしく視線で促してきた。
「受けた印象だけで言うと、どっちかというと守護霊? みたいな感じ。悪霊は取り憑いた相手を殺す手伝いはするだろうけど、手助けしたり、守ったり、パシりみたいなことしてくれないと思うので」
たとえば、今澪は小銭で承太郎の顔面──細かく言うと眼球と口を狙っていた。それが当たれば致命傷、とまではいかなくても必ず多少のダメージにはなったはずだ。
しかし、それは未然に防がれた。承太郎曰くの『悪霊』によって。
そうすると、それは悪霊ではなく『法皇の緑』との方が符号点が多い。主を助け、主の意のままに動く、主の一部でありながら肉体なき相棒。
「なんてか、オカルト文献漁るよりその悪霊もどきさんとの付き合い方とか考えてみた方が良いんじゃないかなー、というのが僕の意見です。結構優しいみたいだし」
「優しい、だぁ?」
「だって攻撃した僕を殺しにかからないじゃん」
さらっと物騒な発言をする澪である。
もし、本当に便利な悪霊で承太郎に心酔しているとすれば、何の脈絡もなく小銭ぶつけてくるような奴は排除対象になるはずだ。
それをしないということは、承太郎がこちらに敵愾心を抱いていないことが分かっている、ということである。
ならば、独房で考え込むほど物騒なものではないんじゃないかなというのが結論だ。
「……」
何やら考え込んでいるらしい承太郎に、澪は本来の目的である鞄から取り出したプリントの束を格子の間から差し出した。
「ま、気が済んだら出ておいでよ。あとこれ、授業のプリントだって。時間あるんだからやっときなね」
高校の教師陣は澪にプリント等を渡すと自動的に承太郎に渡ると思っているフシがあるので、こうして便利な運搬役にされてしまう。
「……おう」
本当に連れ出す気がない澪に毒気を抜かれたのか、承太郎は大人しくプリントを受け取った。
「そんじゃー」
片手をヒラヒラ振りながら最後まであっさりと挨拶して、澪は踵を返した。
その後で小銭の回収を忘れていたことを思い出してもう一度独房に行ったら「後先考えろ阿呆」と承太郎に怒られた。お前が言うな、である。なんでか10円増えていた。
承太郎が無事に独房から出てきた、という電話を貰ったのはその日の夜のことだった。
なんでも承太郎の祖父とその友人が協力してくれたのだとか。
「承太郎のおじいちゃんか……そういえば会ったことないな」
ホリィの話にはよく出てくるが、どうもタイミングが悪いのか承太郎の祖父が遊びに来るときになると、何故か体調を崩したり旅行してたり花京院と遊んでたりするので出会うことはなかった。
考えてみると、これだけの付き合いで一度たりとも会った試しがないというのも不思議なものである。
「縁がない人、てことかなぁ」
全然、全く、これっぽちもそんなことがないことを知るのは──明日のことである。
☓☓☓☓☓
明けて翌日、澪はめっちゃ寝坊した。
「……お?」
目覚まし時計の時間を確認して、現実が受け止められずにしばし呆然としてやがて顔色から血の気が引き──爆速で準備を整えて学校に向かった。
「起こしてくれればいいのに! 今日から学校行くって行ってたくせに! 承太郎のあほ! いやうちの父さんも同罪だくっそー!」
いや、目覚ましのセットを忘れた自分が一番悪いのだけど。しかし八つ当たりせずにはいられなかった。
悪態をつきながら今までにないくらいの全力疾走で通学路をひた走り、こっそり学校に入ってトボトボ教室へと歩く。
「気まずい、教室入るのめっちゃ気まずい……」
授業中なので教師の声と、学生の鉛筆を走らせる音だけが響く。
息を整えながら学校特有の空気の中を歩いていると、ふと、どうぶつめいた動きで首を傾げた。
「ん?」
何か、学舎には不似合い極まりない、野太い叫び声が聞こえた気がしたのだ。
「ひっ、ヒィイ!」
「先生、どうしちまったんだよぉおお!?」
立ち止まり、周囲を見回していると──果たして、二人の男子高校生が転けつまろびつ、必死で澪の横を走り抜けていった。
どちらもリーゼント頭をした分かりやすいくらいの不良スタイルだが、その表情はまるで殺人鬼に襲われた被害者のようだ。怯え、引きつり、逃げることしか頭にない。
しかも見間違いでなければ、片方の不良は片目が潰れていたような。
「……」
廊下に点々と落ちる血の跡を見咎めて、眉根が自然に寄ってしまった。
これまでの平穏な日常が今まさに崩れ始めたような、そんな不穏と争乱の気配がある。
第六感とも言うべき部分でそれを鋭敏に察した澪は、とまれ不良ペア逃亡の原因を探るべく彼らの足跡を辿り始めた。
一応警戒しつつ、人気のない廊下を歩いていると──突如として床が震撼した。
「ッ!」
足を通して伝わる震動と、首筋に走る火花のような感覚。闘争の気配。
爆発的に広がった暴威の気配の発生源はどうやら保健室のようだと当たりをつけ、校内ルールを忘れて廊下を疾走する。
そして、
「だいじょうぶですかッ!?」
澪が後先考えず保健室のドアを思い切り引っ張って飛び込んだ瞬間と、
「そこからどけぇッ!」
「ッ!?」
承太郎の前方にいる『誰か』の噴出した鉱石めいた弾丸を、彼の悪霊(?)だったはずのゴツゴツムキーンとした青い人がその攻撃を弾いたのは全く同時だった。
青い人は恐るべき防御力でそれらを全て跳ね返し、緑色の鉱石は標的を見失ってあらぬ方向へと弾け飛び、澪の眼前に迫る。
「うげっ」
飛び込んだせいで当然体勢を立て直す余裕はなく、咄嗟に防御本能で目を閉じて腕で顔を覆い、あわや流れ弾が直撃するかと思われたのだが──
ぽぉんッ!
何か、ポップコーンが弾けるような音がした。
「……うん?」
予測していた衝撃はなく、おそるおそる目を開けると、ひらひら、と目の前を何かが舞っていた。
指先でつまむと、それは緑色の鉱石ではなくて、ただの緑色の葉っぱだった。
みっつに分かれてて、四つ葉だと幸福のおまじないになるそれは幸福のしるし、もとい。
「シロツメクサ?」
つまんだ葉っぱをしげしげ眺めていると、不意にそれは泡のように消えてしまった。
「……どういうことだ?」
承太郎のいぶかるような声で我に返り、改めて見ると保健室は大惨事だった。
「うわぁ」
部屋中の物は壊れて吹っ飛び戸棚な滅茶苦茶。嵐でも来たような有様だ。
そして床には奇妙な体勢で倒れているこの学校の女医と──最近連絡のなかった友達が血達磨でぶっ転がっていた。
どういうことだ。
「なにこれ、典明くんぶっ倒したの承太郎?」
「知り合いなのか?」
「うん、ともだち」
迷いもせず頷くと、承太郎はいきなり苦虫でも噛み潰したような顔をした。
「そいつが襲ってきやがったんだよ。スタンドでな」
「スタンド?」
机とかに置くアレですか?
「こいつだよ。お前にも見えてるだろ」
言うが早いか、承太郎の背後に出てくる青いムキムキ背後霊。これスタンドっていうのか。
状況を整理すると、花京院が何故か承太郎に保健室で『法皇の緑』をけしかけて襲撃し、それを承太郎が撃退した、ということのようだ。
「この三ヶ月で何があったよ……」
不良デビューするにしても、相手が悪すぎだ。
旅行後からの三ヶ月を想像してげんなりしていると、承太郎は花京院を担ぎ上げてそのまま窓から出て行こうとしていた。
「ちょ、承太郎」
「学校はフケる。お前も来い」
「なんで」
「テメーにもスタンドがあるかもしれねぇ」
今の、なんかよく分からない葉っぱのあれだろうか。
「……それに、うちのじいさんがお前に聞きてぇことがあるそうだ」
承太郎の祖父には会ったことがない。それなのに聞きたいことがあるとは、何やら不安である。いやな予感がする。
しかし、と澪は保健室の惨状を見回してから首を振った。
「事後処理してから後で行く」
奇跡的に無事だった電話で119番をプッシュしつつ、思考を巡らせる。上階から響いてくる騒音は非常ベルだろう。
怪我した女性を放置するのは気が引けるし、そこそこの言い訳をしないとあとで承太郎が困る。
だから、と澪は真摯に承太郎を見つめた。
「典明くんのことお願い。ともだちなんだ」
言ってみれば被害者である承太郎に頼むのはわがままかもしれない。
それでも、言わずにはいられなかった。
「……やれやれだぜ」
承太郎は帽子を下げながらいつもの口癖を呟き、花京院を担いだまま窓から脱出した。
「早くしろよ」
それだけ言い残して。
「さーて、どう言い訳するかな」
ガス爆発と女医の怪我を関連づけるストーリーをでっち上げるため、澪は脳味噌をフル回転させた。