貞操逆転あべこべ世界TS転生男の娘ヒロイン精神的BLもの 作:後ろに敵が
1.
今週の水曜日、帰り道に寄り道をして関口くんに会った。その翌日の木曜日関口くんにクッキーをもらい、お昼にご飯を食べた。そしてさらにその翌日の金曜日は関口くんの接触がなく過ぎ去った。
さて、今週のことを誰かに説明するとすればこんな感じだ。関口くん以外のことが平凡過ぎてそれしかいうことがない。
私は、前世を含めたところでさして恋愛経験が豊富というわけではない。わかりやすいぐらいに恋をしているような反応をする関口くんは、私の前世の価値観でいえば漫画にでも出てくるヒロインのようだと思う。……関口くんは男だが。
今も、週の後半に登場した割には今週の私の印象を全て持って行った関口くんのことを考えているわけだけど、こんな風に一人の異性のことを考えているとまるで私が恋をしているようだ。
と、過去のこと――すなわち今週のことを振り返ったところで今後の話――すなわち今日の話をしよう。朝起きて、朝食を食べ、だらだらとリビングでスマホを見ながら過ごす私の今日の予定のお話だ。今週の出来事に比べ、全く密度のない今日の予定を頭に浮かべようとする。
――なにもなし。
残念ながら私の今日の予定は密度のないどころか何もないのであった。――いつものことだけど。土曜日曜と二日休みがあるのだから一日ぐらいはだらけて何もしなくてもよいか、なんてことを土曜の朝の段階ですでに決意しかけている。
「ふわぁ……おはよー」
リビングへあくびをしながらひよりが入ってくる。こくこくと頭を揺らしながら冷蔵庫へ向かって歩き、取り出した牛乳をコップへ注ぎ一気飲みをするひよりを何気なしに眺める。
――ひよりも、割と美少女だな。
ひよりは美少女で、見た目でいえば『かわいい』
この『かわいい』という感想は、前世の価値観でも今の価値観でも同じく『かわいい』だ。
「今日は随分と眠そうね」
「うーん、昨日夜更かししちゃってさー、そいで眠い」
「……そう、夜更かしもほどほどにね」
ういー、なんて言いながらひよりは私の前に座り机に身体を突っ伏す。
普段は部活やら友人付き合いやらで割と早起きで、そこから必然早寝であるひよりが夜更かしというのは、なんだか珍しい話。
おおよそ夜中までだらだらと起き続けてしまう私とは大違い。
「いやー、今日別に早起きしなくてもいいって思ったら夜更かししちゃったのだよね」
「ああ、テスト期間だからね。テスト期間のほうが普段よりダラダラできるっていうのはなんかだ変な話ね」
「たしかにー!ま、私は割と普段から少しだけど勉強してるしテストだからってそんな焦ることもないからね!お姉ちゃんに似て勤勉なのだ!」
「……私に似て、ね」
その特徴はむしろ似ていない部分である、と言いたいところではあるが表面上であればそれは正しい。私はそもそも勉強が大好きというわけでもなければ、予習復習を欠かさないような真面目人間ではなかった。
真面目人間でないというのは前世の私の話で、ひよりはそれを知らない。
で、今の私はそれを後悔して子供のころからある程度の勉強は欠かさなかった。私は二週目であるから、勉強の重要性にまあ気づいていたわけだ。
ゆえに最初から、一週目であるはずなのに、姉の真似をして勉強をするひよりは私なんぞに似ているわけもなく、勤勉な人間であるわけだ。
「お姉ちゃんは今日出かける予定とかあるー?」
「あー……今のところ特にないかな。もしかしたら買い物にぐらいは行くかもしれないけど」
「そっかー。お姉ちゃんが一人でどこか行くならついてこうと思ったんだけど。今日は一日暇な気がするなー」
「……別に、買い物とかなら付き合うけど。別に行きたいところもないの?」
「そうさねー……」
体を左右に揺らしながらそう呟いて天井を見上げる。
「あ、欲しいものあったな。それ買いに行くついでにとこか行こうかな」
「…欲しいもの?」
「うんー、下着が欲しいんよね。最近ちょっちきつくなってきた気がする」
「……なるほど?」
ふと、ひよりの胸元を見つめ考える。こちらの世界でも女性は下着や肌をあまりみだらに出すものではないという価値観はある。というか男女ともに出すべきではないという考え方。
そういった部分の男女差に特に変化はないようにも思える。今、ひよりが欲しがっている下着にしたって、これは前世の女性と同じものだ。ーーゆえに、私は最初につけたときはかなりの戸惑いを覚えたのだが。一応前世男としての尊厳が若干ーーいやかなり削られた瞬間ではある。
ひよりは、私から見て特別に大きいわけではないが、小さいわけでもない。まあ今後に期待といったところだ。私も同じようなものだけどーー年齢的には私のほうが成長の余地なしかな。
「そーそー、このままいけばお姉ちゃんみたいな『ないすばでぃ』になれるかもだよ!」
「いや、別に私はそうでもないと思うけど」
「えー、そりゃもう嫌味だとおもうよー?お姉ちゃん背も結構高いし、足も長いし、バランスいいよねぇ。私はお姉ちゃんに背で勝てる気がしないし。せめて胸の大きさぐらいは……」
「……そう?」
私はさほどナイスバディというわけではない。どちらかといえばスレンダーだ。ーー私からいえばという言葉はつくけど。
この世界の女性はどちらかといえばスレンダーな方が好まれるようだ。前世の私の価値観からすれば、異性に好まれるのは胸などが大きかったり、所謂ところのボンキュボン的な体系であって、私のようなポンキュスッといった感じではないと思うのだが、この世界ではスレンダーで、前世的にいえば『かっこいい女性』の体系のほうが好まれるようだ。
これは、まるで私の前世の男のようだ。女性にモテるのはムキムキよりも細マッチョ……みたいな。
その証拠とでもいうようにこの世界には『巨乳フェチ』といった言葉がある。前世男の私の価値観からすれば、男は全員そうなのだからそんな言葉を作る必要すらないだろうと思ってしまう。どちらかに言葉を作るのなら『貧乳フェチ』のほうがしっくりくる。
さて、そんな細かいあべこべ事情もあり、私のようなどちらかといえばスレンダーである体系もこの世界では『ナイスバディ』と呼ばれる。(妹のひいき目も否定はできない)
「そうそう!私もお姉ちゃんぐらい背が伸びるといいんだけど、これから10cm以上伸びる見込みない気がするしなぁ」
「ああ、あれかしらね。運動して筋肉がついていると背が伸びにくいとかいうの。都市伝説かもしれないけれど」
「あー、聞いたことあるかも。そういうのもあるのかー」
姉妹二人で世間話している休日の朝。
そんなこんなで私は、ひよりの下着とついでに背が伸びそうな何かを買いに行くこととなったのだった。
2.
ーーさて、ここで残念なことが一つ。
前世の知識として、女性同士でキャッキャッと話しながら下着を買うシーンを漫画かアニメで見たことがある。
大きいねーなんて言いながらサービスショットを見せつける、そんなお話の回を私とひよりに期待することは残念ながらできない。
以下が、下着を買いに行った時の私とひよりの会話だ。
「えー、サイズはここだから……これでいっか」
「うん、いいんじゃない」
「おー、じゃあ買ってくるからちょっと待っててー」
ーー以上。
まあ、これはこの世界でいえば女性的な買い物だ。前世でいえば男らしい雑さなのだが。
ここで、ついでに私も下着を新調したのだが、そこについては特に会話すらない。ひよりがレジに並んでいる間に適当に選んで、ひよりの後ろに並び私も購入。
さて、前世の男であった私としては標準的な買い物の仕方ではあるが、この世界に来た時には少し戸惑った。てっきり女性になった私は、所謂『買い物が長い女性』的な買い物をすることになると思っていたからだ。この世界においては買い物が早いのは女性で遅いのは男性だ。荷物持ちも女性だし。
「どしたのお姉ちゃん。急に考え事?」
「え?ああ……そろそろお昼だから何か食べていこうかと思って」
「そうだね!どこかファミレスでもよろっか!お姉ちゃんのおごりね!」
「……まあ、別にそれはいいけど。どこがいい?」
やったー!なんて言いながら近くのファミレスのほうへ歩き出す。
ちなみに今回の場合は荷物持ちはひより。理由は私が姉だからというわけではなくひよりが荷物持ちを買って出たからなのだが、ふと思えばそれは私にご飯をおごらせる為の布石なのかもしれない。
過去まで遡ればひよりは私に対してそういうことを良くしていた気もする。荷物持ちやら家での片付けやら、家事も変わってもらったこともある。
それが狙ってやっているかどうかは別として、そういうところが可愛がられる後輩力に近い部分なのかもしれない。――私には欠けていそうだ。
前世では一人っ子。今は長女。下の子の方が上司に好かれやすいなんて話はこの世界でも同じなのかもしれない。
近くにあったファミレスにて席につき、鼻歌でも歌いそうなぐらいに嬉しそうにメニューを選ぶひよりを見れば、私もかわいい妹だと思う。昨今テレビ等でたまに見かける『子犬系女子』というのは、こういうものなのだろうか。
「お姉ちゃんはどれにするー?」
「私は…おろしハンバーグにしようかな」
「おー、定番ながらおいしそう。私はオムライスにしよっかなー」
「いいんじゃない。あとドリンクバーとかで」
「うん!じゃあそうしよっかな!」
すいませーん!と一言近くの店員へ声をかける。
さらりと注文もひよりが行っているわけだが、こういった所を自然と行っているのは、実は私がパシリ的にやらせているからなのかもしれないとふと思う。この世界の姉妹は大体姉の横暴に妹がさらされるものなのだろう。それは仲が悪いとは別の話なのだろうけど。
「前にこんなこと聞いた気がするけどさー」
「ん?」
「お姉ちゃんって彼氏とかいないの?」
「……いないけど」
「そっかー、お姉ちゃんは見た目もいいし彼氏できそうだけどなー」
ひよりは頭を横にふりふりとゆらしながら私の顔を観察するように視線を向けそういった。
「……私は別に、そういうの興味ないからね」
「負け惜しみっぽいよね、それー?お姉ちゃんでも高校で彼氏が出来ないとなると私も難しい気がしちゃうからなー」
「そんなことは、ないと思うけど。ひよりは中学でもモテそうだし」
「そう?別にそんな実感はないけどねー」
……鈍感、というやつか。明るい性格故に相手のことを単に異性の友達だと思っているとか。
それは別にしても、私が男に対して恋愛感情を持てそうにないことは、ひよりにも両親にも言っていない。マイノリティーであると思われたくない、というわけでもないのだが、単に説明が難しいのだ。私は前世が男故に一種の性同一性障害ともとれるわけだが、生まれたときから女であるという意識もある。体が女性であることに違和感などはまったくないのだからそこは不思議なところだが。
なんにせよ、この世界のあべこべ具合もあいまって私の状態は誰にも伝えてはいない。
「お姉ちゃんより私のが友達多いのは事実だもんね!」
「まあ、そうね。ひよりの方が社交的だもの」
「お姉ちゃんの彼氏とか一度みてみたいなー!どんな人が好きなのかも気になるし……」
「……そう」
ふと、会話が切れる。
「私、ドリンクバー取りに行くけどひよりは何がいい?」
「コーラ!」
はい、と一つ返しスマホを取り出そうとするひよりをわき目にドリンクバーの方へ向かう。
…やっぱりひよりは姉使いがうまいのかもしれないなと、そう思った。
3
席からすこし離れている場所にコップとドリンクバーの機械が置かれている。その前に立ち飲み物を選びながらふと考える。
姉の彼氏などみたいものかと、返事をした時には思った『姉だから』ではなく『立花こよりだから』なのかもしれない。私も、私の恋人が見てみたいところだ。一般的にも、あまりそういうことに興味がなさそうな人の恋人というのは、さてどういう人間なのかと気になってしまいそうだし。ひよりの分のコーラを注ぎ、私の分のグレープジュースを注ぎながらそう思いにふけっていると――
「立花……さん?」
ふと、私を呼ぶ声がした。
交友関係が広くない私にとってみれば、私を見つけ話しかけてくる人というだけで、大体特定できてしまう。その声の方へ顔を向ければ案の定だ。
「……こんにちは、関口くん」
そこには、驚いた顔を浮かべる私服姿の関口くんがいた。
ゆったりとした白のパーカーを来ている関口くんは、男子というよりはボーイッシュな女子のようだ。
「奇遇だね、関口くん。こんなところで会うなんて」
「そ、そうですね!奇遇です!」
私とこんなところであったからなのか急にカチカチと音がなりそうな程に緊張した様子を見せる。
「関口くんも買い物?」
「は、はい!」
…すっ、と沈黙。
私の記憶の中に強烈に残っている関口くんではあるが、私たちは初めて話してからまだ一週間も経っていない。それでいて、多分関口くんは人見知りのようでもある。
で、口数が少ないのは私も同じなわけだ。
「…飲み物、いれないの?」
「…え?……あっそうですね!」
私がそういえばまた慌てた様子で飲み物を入れる。麦茶。
と、その横でわたしも先程入れたグレープジュースにジンジャーエールを混ぜる。(これは私の趣味、だ)
「立花さんも、買い物ですか…?」
「うん、買い物だよ。で、ちょっと疲れたからお昼がてら休憩中かな」
「そうなんですね、僕はさっきここにきて…買い物はこれからです」
「そっか、何買いに来たの?」
「えっと、洋服を見に来ました。あと、本屋とかに行こうかと…」
入れた飲み物を少し飲みながら私と話す関口くんと自分の分と麦茶を入れながらそうなんだ、返事をする私。若干、きまずい。
私は普通に返事をしているつもりで、話すために何度か関口くんの顔を見ればそのたびにぷいっとドリンクバーのほうへ顔を向ける。あいかわらず小動物のようだけど、もしかして私は実は嫌われていて、助けられた恩があるから仕方なく話しかけているのではないだろうか。そんな妄想or真実が頭をよぎる。
「立花さんっ!」
話の切れ目に関口くんは私の名前を呼ぶ。
――意を決したときに名前を呼ぶのは関口くんの癖だろうか。
「こ、この後暇ですか!?良かったら…」
「あー、ごめん。今日私一人じゃなくて…妹と一緒に来てるんだ」
そういうと、あからさまにガーンと方を落として「そうですか…」とつぶやく。
…罪悪感がすごい。私は意外と関口くんに弱い部分があるなと思う。普通に立てば私と同じくらいの身長のはずだけど、今の関口くんの頭は私の視線の下にある。感情が出やすいのかなんなのか。うーむ。
男性は動きがある人に目を向けやすいと前世で聞いたことがある。
なんでも、かつて狩りをしていた頃の記憶として獲物などを見つけるためにそういう風にできているとか。
故に現代でも、動きがない女性よりもちょこちょこと小動物のように動く女性の方が目に入りやすくなり、結果として魅力的に見える、らしい。(真偽はマユツバかもしれないが)
さて、これがこの世界の女性にも同じことが言えるのか、それもと私の考え方が前世の男性と同じだからなのか、あるいはその両方、相乗効果なのかはさておいて、
感情がそのまま動きに出るような関口くんを見ていると――
「……また都合のいい時に一緒に買い物でも行く?」
つい、そういってしまった。
この場に香織が居たら、ずっと囃し立てられそうだと思いながら言ってしまったものはしょうがないとも腹をくくる。
別に、関口くんのことが嫌いということはないのだから、くくることなど何もないけど。
ただ、関口くんにとってはかなりの衝撃だったようだ。さっきまで私の視線の下にあった関口くんの頭が視線の上にいき、目線が私と同じ高さになる。
「ぜ、ぜひっ!」
コクコクとうなずきながら関口くんはそういって笑顔になる。
――私は、前世でも別に恋をしたりはしていない。
これはかっこつけているわけではなく、モテなかったから言い訳として好きな人はいないからだと言い聞かせた結果だ。
でも、こうして関口くんとはなしていると――
「じゃあさ、いつ行くか決めたいから連絡先きいていい?」
また、ふと気づけばそう言っていた。
「あ、えっと…い、今教えますねっ!」
「うん、ありがと。じゃあ今日にでもかえって都合のいい時間がわかったら教えるね」
お互いにスマホを取り出し連絡先を交換する。
終わった後、ぽー、とでも言いそうな感じでスマホを見つめる関口くんをみて、ふと自分のスマホに目を落とせばそこにも関口くんがいる。
何かのキャラクターのぬいぐるみのアイコンと、その横にある『ゆうき』の名前をみて、再び関口くんに視線を戻す。
「じゃあ、またこんどね」
「は、はいっ!」
そういって、私はグラスを二つもちひよりのいる自分の席へ戻る。
ふと気になって後ろを振り向いてみればぽへー、といったかんじでスマホを見る関口くんがいた。
「はい、コーラ」
「おねーちゃん、ありがとねー」
間延びした返事をしたひよりはその後、私の顔をみて首をかしげる。
「…お姉ちゃんさ、なにかいいことあった?」
「なんで?」
急に聞いてくるひよりの質問に対し私もひよりと同じように首をかしげる。
「いや、なんか笑ってるからさ。ちょっと珍しいな、と思って」
「…そう、それは気づかなかったな」
左手で自分の口を触り確かめても、今は結ばれた口があるだけで、ゆがんでいるかはわからなかった。
「そういえば、さっき私の恋人の話をしてたでしょ?で、どういう人が好きかって話」
「うん、してたねー」
「それを、さっきふと思ったんだけど――」
「――私は、かわいい人が好きかな」
それに対しひよりはさっきよりも深く、首をかしげるのだった。
4
――連絡先交換しちゃった……!
こんなにラッキーなことがあっていいのかと、連絡先を交換したときの僕は思った。
それで、幸運すぎてきっと夢だとも。
でもなんど自分のスマホを確認してもそこには「こより」の文字がある。
「ふへへへ」
なんだか、気持ち悪い笑みがこぼれてしまった気がする。
いつもなら、休日はあまり出かける方ではない、趣味が読書ぐらいだし本はいつも学校帰りに買っているから。
今日は服を買いに行ったが、べつにファッションとかが好きなわけでもない。なんとなく家で着ているパジャマがかなり前に買ったものだと思って買いに行っただけ。
それで、それをお父さんに行ったら、お昼ご飯を作るのが面倒だからついでに食って来いといわれ、まずファミレスに行った。
たまにこういうことはあり、そのたびにお父さんのことを『面倒くさがりめ』と思いちょっとあきれていたりしたものだが、今日に関してはファインプレー、感謝してもしきれない。
…帰ってきたときにそれを思って、なぜかお父さんにありがとうございますと言った僕を不思議そうな顔をしてみてはいたけど。
にしても、今日の立花さんは前に会った時に比べかっこよく見えた。
ぼけーと、しながらなんでだろうな。と思っていたときに、僕の頭に稲妻のような閃光が走る。
立花さんに会って連絡先を交換した幸福感で忘れかけていたことがあたまの中ではっきり思い出される。
今日は休日だった。学校じゃない。つまり今日会った立花さんは――
――私服だったっ!
今更そんなことを思い出し、そして僕は戦慄するのだった。
立花さんは多分、そこまでキメてはいなかったような感じだった。
ゆったりとした白いシャツと黒のスキニー。
なんてことはないファッションではあったけど立花さんのスラっとした体形に合っていて――
――かっこよかったのである。
のである、なんて言い方をしながらもう一度今日の立花さんを思い出しもう一度「ふへへへ」と気持ち悪い笑い方をしていると、ふと一つの音が耳に入る。
――ピコン
軽い電子音が鳴り、バッと僕はその電子音の
ごくり、と一つ唾をのみこみ慎重に
こより『今大丈夫?』
そんな一言みて、僕は三度目の笑いを浮かべる――
――ベットの上で足をバタバタとさせながら笑う僕をこっそり見ていたお父さんはだいぶ気味悪がっていたけれど、そんなことは些細な話、である。
下着を買うやらなにやらで思ったけれど、この世界のアニメは男性キャラクターが「大きいねー」(ナニとはいわない)とか言いながら更衣室で着替えるシーンなどあるのだろうか。
全員男の娘なら、そういうシーンも見てみたい。(ゆがんだ性癖)