ゴブリンの女王は死にたくない   作:フリーズドライ

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マジの初投稿です。


第1話

 気が付けば、異世界に転生していた。

 

 

 こいつ何言ってんだ?とお思いの諸兄、いかがお過ごしだろうか。新型コロナはもう終息したのだろうか。

 

 異世界転生なんて話は「やろう」ではもはや飽きられて久しいくらいによくあるものだが、いざ自分がその境遇に放り込まれてしまうと、もうどうして良いやら、途方に暮れるしかない。

 

 軽く現状を説明してみよう。

 

 まず、俺はどうやら死んだらしい。死んだ記憶はさっぱりないし、神様にも会ってないが、現状をみるに、死んで転生したとしか考えられないのだ。

 

 次に、俺は前世の記憶を持ち越した。俺は元日本人のいわゆるオタクだ。社会生活が忙しくてどっぷりとまでは浸かってなかったが、オタクかと問われれば胸を張ってそうだと答えるくらいにはオタクだった。ちなみに好きなのはガン〇ムとかのSF、ロボット物である。

 

 そして、俺が異世界に転生したと断言できる理由なのだが。

 

 なんと、俺は、ゴブリンっぽい生き物に転生してしまったのだ!

 

 いくらなんでもこれは酷くないだろうか……?

 

 え? いくつか作品もあるし、ゴブリンでも成功してるって? まぁまぁ。酷いというのは別に理由があるんだ。

 

 なんと、俺は、ゴブリンの『メス』に転生してしまったのだ!

 

 確かに、TSも一大ジャンルだし、異世界転生とは親和性が高くてよくセットにされている。でも、ゴブリンとはセットにしちゃダメなやつだろう……?

 

 

 ゴブリンという種がどんな生態をしているか、大方の諸兄は容易に思い浮かべられることだと思う。そうだね、ゴブ〇ンスレ〇ヤーだね。あれに出てくるエロモンスターとほぼほぼ同じだと思っていい。

 

 緑色の体、長い耳、鋭い牙。体躯は人間の、10歳程度の子供くらいだろうか? 数が多く、好色で暴力的。洞窟に棲み着き、狩猟生活を送っている。武器や簡単な道具を使う程度の知能はある。たまに人里とかを襲っているのか、人型の女性をさらってきては、口に出すのもはばかられる行為をして、増える。

 

 あと、ゴブリンの子は全てゴブリンとして生まれてくる。少なくとも俺が物心ついた以降に生まれた子は、親が何の種族であれ、ゴブリンだった。人間でもエルフでも獣人でもだ。人間の丸い耳も、獣人の獣の耳や毛皮も持っていなかった。どうもゴブリンには、混血とかハーフという概念はないらしい。さらにいうと、全部オスだった。周りにいるゴブリンも全部オスだった。

 

 こいつらの遺伝子がどうなってるのかまったくわからない。ファンタジー世界で科学的な理屈をこねても意味がないのだろうか…。

 

 と、ここで一つ、諸兄も疑問に思うことだろう。生まれてくるのはオスのみ、でも俺は(断言するのも悲しいけれど)どうみてもオスの象徴がない以上、メスだ。

 

 じゃあ俺は一体何なんだ?というと……おそらくは、非常にレアなゴブリンなんだと思う。

 

 確かに、俺の父親がゴブリンかどうかなんて知らないし、さらに言えば母親が誰かもわからない。俺が自我を確立したときには既に、この薄暗い洞窟の奥で、この体で生きていたからだ。

 

 しかし、俺が別の種族っていう可能性は、多分ない。なぜなら、ゴブリンどもは光源氏計画なんてものはしないからだ。やつらにとって、我が子以外の生殖能力がない動物は全て餌なんだ……俺がこの答えに至った光景を見た瞬間のことは、さすがにカットさせて欲しい。トラウマなんだ……。

 

 

 それと、いくらゴブリンが粗野で粗暴で粗雑だと言っても、自分らの子供くらいはちゃんと面倒を見て大切に育てる。そして、巣穴のゴブリンどもは俺に対して非常に友好的な態度をとるんだ。そう、大切な大切な子供を育てるような態度だ。

 

 ……というか、それ以上の扱いを受けているようにも感じる。

 

 他の子ゴブリンは子育て部屋と俺が勝手に呼んでいる部屋で一緒に育てられているのに、俺には専用の個室が与えられている。それに、ゴブリンの子供も大きくなれば勝手に歩き出すし、部屋から出ようともするが、すぐに連れ戻されて部屋からは出されない。が、俺は基本的にどこへでも自由に行ける。そこらを出歩いてる俺を大人ゴブリンが見つけても、私室に連れ戻されず、たまに警護するかのように後ろをついてくる。行く手を阻まれることも、基本的にはない。

 

 もちろん放っておかれてるわけじゃないぜ? 食事は1日2回黙ってても出てくるし、水も汲んできてくれるし、俺のわがままは基本的に何でも聞いてくれる。

 

 そういうわけで、俺は高確率で、ゴブリンである。

 

 ゴブリンの巣穴の奥で、大切に育てられている、ゴブリンの「メス」である。

 

 

 ……ところで、俺が、育ったら……具体的には、初潮が来たら……俺は、どうなると思う?

 

 ヒントはさっき言ったゴブリンの生態だ。配点は5点くらいだな。ぶっちゃけ易問だろう。

 

 ……想像するだけで吐きそうだ……。

 

 俺の人(?)生お先真っ暗である上に、現在進行形で俺の精神もヤバい。というのも、ゴブリンに生まれたといっても、前世の記憶がある俺の人格は、当然ながら普通の人間がベースである。それも現代日本のオタクの。某世紀末な世界を闊歩するモヒカン連中のようなヒャッハーな趣味嗜好はしていないし、できない。

 

 ところがゴブリンの巣穴に住んでいると、週1どころか日1くらいの確率で女性の痛ましい悲鳴が聞こえてくる。ゴブリンどもの下卑た笑い声なんて、もはやBGMレベルである。

 

 周りは醜悪なツラのゴブリンだらけ。部屋には俺独り。俺の魂を削ってくるかのような女性の悲鳴。そして、いつ俺の番が回ってくるか。

 

 そう、こんな、まるで小説の地の文のような独り言を、頭の中で延々考えていないと、気が狂ってしまいそうなんだ……。

 

 

 つらい

 

 こわい

 

 だれかたすけて……

 




誤字脱字その他諸々の感想お待ちしております。

21/7/2
住み着き→棲み着き
誤字報告ありがとうございました。
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