ゴブリンの女王は死にたくない   作:フリーズドライ

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日曜日に投稿したかったけど、一日ずれ込んでしまいました。
追記:しかも時間指定投稿を失敗する奴。このままにしておきます……。


第11話

 今日もどこかの世界線からこんばんは。ニエラハーサです。

 突然だが、諸兄はどうしてもイラっとくることはないだろうか? 俺は、寝ないとダメな奴である。睡眠不足とか、寝起きの時とかは、何気ない一言にもイラっとくることがままある。あるよね?

 

 

 して、現在はゴブリン時間では朝。昨日、1人の獣人女性を助けられず、そして他の女性たちとの接触を大成功に終わらせたところ。サーラさんの話し合いに結構時間がかかり、寝たのはだいぶ夜が更けてからだったので、寝不足気味だというのに……朝も早々に、陰険野郎が俺の私室に凸って来やがった。しかも今日は取り巻きの量が多い。

 そして開口一番、これだ。

 

『クク。そいつを返せ』

 

 寝不足+寝起きで非常に不機嫌な俺を、さらに不機嫌にさせる発言。寝起きに松明がまぶしいのもイラッとくる。眠気で頭が回らず、さらにはそのイライラも重なって、無駄に挑発的な言動をしてしまった。まぁ、サーラさんを引き渡せるわけないし……是非もないよネ?

 

『嫌』

『……クク』

『渡すわけがない』

 

 サーラさんにがっしりと抱き着き、物のついでにサーラさんの首輪に繋がる鎖で、俺らをぐるぐる巻きにしてやろう。ほーれ、これで簡単には引きはがせんぞぉ。

 

『クク。朝、女性が1人、減った。繁殖部屋の女性は、2人。足りない』

 

 陰険野郎の言葉に一瞬ひるむ。と同時に、獣人の女性の死を数の増減としか捉えない陰険野郎の言い草に、身勝手ながら怒りを覚えた。陰険野郎の態度が、聞き分けのない子供に言い含めるかのように見えるのもムカつく。

 

『もういいだろう? 返せ』

『ヤダ』

『……』

『絶対、ヤダ』

 

 陰険野郎は深く深くため息をつくと、いつも手に持っている杖を頭上に振り上げた。その杖、先が枝分かれしていて小動物の頭蓋骨が3個紐で鈴みたいにくっついている、もう見た目完全にイービルな杖といった感じのもの。バットとまでは行かないがまぁまぁの太さで、これで殴られると痛いだろうなーとは思う。まぁ正直、俺は殴られるとは微塵も思っていなかった。そしてそれはある意味正しかった。

 

 喉奥で唸るような抑揚のある声と、怪しい身振りで杖を振り回す陰険野郎に、俺とサーラさんは思わず息を呑んだ。可能性としては考慮していたものの、どうにもならんからといって思考の外に放り投げていたもの。

 魔法だ!

 

『ここに、安らかナ、眠りをもたらセ……≪眠りの霧≫』

 

 ぎゃあああ、やっぱり持ってやがった状態異常! つーかそれは遺失呪文じゃ……

 あ、やばい、ねむい……意識が……

 まて、ここで、寝たら、サーラさんが――

 

 脳裏にフラッシュバックする、俺の魂を削るような悲鳴

 物言わぬエルフの女性を抱きしめて泣くサーラさん

 獣人の女性の体の硬さと冷たさ

 

 おれが、ここで、ねちまうと……サーラさんが、そんな目にあう……壊される――

 そう思った瞬間、俺の目の前が真っ赤に燃えた。

 

「――――ぁぁぁぁあああああ!!」

 

 気が付けば俺は吠えていた。腹の奥底でぐるぐると渦を巻き、全身を震えさせ、今にも吐きそうになる感情の赴くままに。

 なぜかゴブリンどもの悲鳴と怒号が聞こえる。

 時間にすれば数十秒といった程度だと思うが、ようやくまともに見えだした俺の視界に映ったのは、やはり赤色だった。ごうごうと燃える炎だった。何が燃えているのか、どこから現れたのか、どうやって燃えているのか、俺にはさっぱり分からない。だが1つだけ確信していることがある。

 こいつは俺と同じく、怒っているのだ。

 

「キサマら、でてけえぇぇぇ!!」

 

 俺の叫びに呼応して、生ける炎が脈動し、熱波をまき散らす。文字通り気炎を立てる炎に追い立てられて、陰険野郎の取り巻き連中他多数のゴブリンどもは転げるように逃げ出した。陰険野郎? 後でサーラさんに聞いた話では、炎が顕現した瞬間に逃げ出したらしい。あいつほんと逃げ足早いな。

 で、不機嫌な状態に怒りという油を追加されて大炎上した俺はというと、何だか全身から生気が抜けたような気怠さと、酷い頭痛で、前世を含めて生まれて初めての失神を経験するのだった。

 

 :

 

 ……あー……何か、温かい……でも頭はひんやりと気持ちいい……。

 んん……? えーと、何してたんだっけか……っ!!

 

 先ほどまでのやり取りを思い出した俺は慌てて体を起こしたところ、何かが俺の頭の上から転がり落ちていった。でもそんなことには目もくれず、周囲を見回そうとして、後ろから伸びてきた手に捕まってまたも仰向けにされた。そんな俺を覗き込むさかさまのサーラさんの顔と、頭の後ろに感じる柔らかさと温かさ。どうもサーラさんに膝枕をされていたようだ。

 

「ニエラ、おはよう」

「おはよう、サーラ」

 

 と、サーラさんが何かを俺の額の上に乗せた。とたんに額に広がる冷たさと、なんとも言えない感触。思わず両手でその何かを捕まえて、持ち上げてみると……短い手をじたばたさせて、俺の手から逃れようと頑張る……青い、小さな……なんだこれ?

 ひんやりと冷たくて、感触は掴めるくらいに硬い水。何と言えばいいか……ビニール袋にパンパンに水を入れたもの、ただし感触は水、と言った感じ。造形はデフォルメされた可愛らしい少女だ。この水製少女、俺が目を見開いているのを見て、じたばたするのをやめてこっちを見つめ返してきた。何だか知性を感じる。

 

「これ、ヒュンカ。水のヒュンカ。ヒュンカ、助ける、私」

 

 サーラさんが水製少女のほっぺたをつつきながら説明してくれた。おそらくは、できると思われていたサーラさんの魔法の一種なんだろう。ヒュンカ……魔法生物、精霊、召喚獣、このどれかか? 今流行りのスライムをテイム、ってのはないか。こんなところにスライムが入ってこないだろうし、この子は“竜の冒険”的なスライムにも、“洞窟&竜”的なスライムにも見えない。

 ともかく、サーラさんがこの子を使役しているのか、協力を取り付けているのか、どちらかは分からないが、戦力にはなってくれそう……なんだけれど、この子、片手サイズなんだよな。小さい……。

 水、水かぁ……水瓶の水を足せばもうちょっと大きくなったりするかな? よし、善は急げ、と水瓶の方に移動するために立ち上がろうとしたが、今度は体を起こしたところでめまいがした。と同時にやっぱりサーラさんに引き戻されてしまった。

 

「ニエラ、だめ。寝る」

 

 サーラさんが両手で俺の頬を包み込むと、ごにょごにょと聞き覚えのない文章をしゃべり始めた。そして、

 

「≪トゥフトヴォ フンカ クストヴィース≫」

 

 何かしらの呪文を唱えたと思ったら、ほわほわと、体温よりも温かい熱が俺の頬から体内に染み込んできた。サーラさんの体温ではない。その熱は俺の体の中で異様な存在感を放ちながら、ゆっくりと顔から首、体へと拡散していった。

 なんぞこれ。

 この体の中の熱に意識を集中していると、あることに気付いた。体の中をゆっくりと流れる熱と同じように、俺の体の中にも熱のない……いや、俺の体温と同じ温度の、重い液体が流れていることに。それは血液のように心臓から末端へ、末端から心臓へと、体の中を循環していた。この流れに乗ってサーラさんの熱は体全体に行き渡り、薄れ、やがて一体化した。

 文字にしてみると、俺サーラさんに侵食されてね?って恐ろしくなりそうだが、俺はこの時、年甲斐もなくワクワクしていた。肉体的には幼女で、前世的にはいい歳こいたおっさんなんだけど、心は少年なんだよ……我ながらブレブレだな。

 いや、俺の精神年齢なんてどうでもいいことは置いといて。これって、魔法を使う際の1stステップである、自身の中に流れる魔力を認識してみようってやつだよな? よし、そうと分かれば魔力の操作の練習だ。

 

 :

 

 そうして自分の中で魔力をこねこねすること数十分。色々なことが分かったし、ついでにサーラさんがしてくれていたことも分かった。

 まず魔力の操作だが、これはもう感覚的なことしか言えないのだが……筋肉に力を入れないように力むと、魔力を体外に押し出すことができた。力まずに力む……哲学かな?

 次に、俺は魔力が極端に減った状態にあった。というのも、サーラさんからの熱が体に同化するにつれて、俺の体の中に流れる液体の量がだんだんと増えていっていることに気付いたのだ。つまりサーラさんは俺に魔力を分け与えてくれていたんだ。“剣の世界”的に言うと精神力譲渡だな。何故魔力が極端に減っていたかというと……まぁ、さっきの炎しかないよな。無意識的に魔法を使ったということなんだろう。いや、暴走とか暴発って言った方が正しいかな?

 また、魔力は精神を落ち着けて休息すると、急速に回復するようである。満タンがどれくらいかは分からないので、魔力の放出は慎重にせねばならない。魔力の枯渇が失神を引き起こすのなら、下手をすると命に係わるかもしれんからな。

 とはいえ、図らずもこの体は魔法が使えることが分かって、内心はウッキウキである。やはり正規の魔法を使うには、先ほどのサーラさんのように呪文を詠唱しなければならないんだろう。覚えられるかな? 発音とかシビアだとどうしようか。もしかして無詠唱とかできてしまったり? 夢が広がりんぐである。

 

 で、かなり体調も良くなったので、当初の目標であった水を少女にあげるを実行しようと思ったのだが……覗き込んだ水瓶は空だった。あっれー? 昨日水汲みしてもらって、それからあんまり使った記憶はないんだが……さっきの炎の騒動でゴブリンの誰かがひっくり返したか?

 などと首を傾げていると、サーラさんが俺を呼んで一言、「水」、と指差したのは水製少女。ほーん……本当に水でできた少女だったでござる。水瓶の水量はたかが知れてるし、水の有無は生き死にに直結するから、今まで使わなかったのかな? でもできればもうちょっと早くに知りたかったです。

 うーん、また水を汲んできてもらわないとならないが、さっき火の魔法を暴発させた手前、頼みにくいんだよなぁ……っと、考えていたら通路の方からゴブリンの足音が。ひとまずサーラさんのところまでダッシュで戻るぜ。

 入口から顔を覗かせたゴブリンは手に皿を持っていた。そういえばまだ朝食も食べてなかったわ。あんなことがあった後なのに、律義に食事を運んでくれるゴブリンに感謝しようとして、ふと気付く。あのゴブリン、皿を1つしか持ってない。

 

『クク、飯だ』

『……1つ?』

『そうダ』

『なんで?』

『ギャギャ、文句は“陰険野郎”に言いナ』

 

 あの野郎、兵糧攻めとは……名前に相応しい陰険な方法を採りやがった。察するに、このご飯は俺の分だけで、サーラさんの分が欲しければ繁殖部屋に帰れということなんだろうな。

 食事の量が減るのはキツイ。ただでさえサーラさんの体力維持のために俺の分からも出してるのに、サーラさん自身の分がなくなれば、衰弱の一途を辿るばかりだ。これは早急に動かねばならない……っと、そうだった、水汲みをお願いしないと。

 

『ご飯はこれでいい。水を汲んできて』

『ギ?……ないナ……分かっタ』

 

 流石に水まで半分にするなんて言わないよな? なんて思ってたら、ゴブリンが汲んできた水は本当に水瓶の半分程度しかなかった。マジかよ……これは流石に水製少女のパワーアップとか言ってる場合じゃない。

 俺はサーラさんに向き直ると、サーラさんの手の中でこちらを見ていた水製少女、水のヒュンカを指差して、俺も俺も!と手を挙げる。はいはーい。先生、俺もそれ欲しい! が、サーラさんの表情は渋い。まぁ、さっき暴発させたばっかりだしね。しかも魔力欠乏で倒れるまで行っちゃったし。でもそんなこと言ってられる状況じゃないんだよなぁ。

 多分、俺には火の魔法の素質がある。さっきの炎が魔法の暴発なのか何なのかはさておき、俺の意図と関係なしに発動した魔法に俺の素質が全く係わっていないというのは考えにくい。もし俺に火の魔法が使えれば、脱出の可能性はぐっと高まる。ここは押しの一手だ。

 

 そして、一向に諦めそうにない俺の圧力に、とうとうサーラさんが折れた。やったぜ。

 

 俺がサーラさんに聞きたいのは、火のヒュンカの出し方だ。火のヒュンカを使えば裏口を塞いでいる木格子を破壊できそうだからだ。流石に木格子全部を燃やすのは無理だろうが、錠前の周辺のみを燃やしてやれば簡単に脱出できるって寸法よ。それ以前に、さっきゴブリンどもは生ける炎に逃げまどっていたし、むしろ正面突破も可能かもしれん。

 ……ちょっと待てよ。水のヒュンカは水でできていた。ということは、火のヒュンカは火でできていることになる。あー、陰険野郎が来たときの炎は、松明の火からできていたのか。そうすると、火のヒュンカを作るには、大広間の焚火か、適当なところに置かれてる松明が必要になるわけで、その傍にはもれなくゴブリンがいるわけで……つまり、火のヒュンカを作れば脱走が即座にバレるということに他ならない。

 いや、そもそも大広間のゴブリンの目を掻い潜れるかどうかが既に怪しかったんだ。それならばいっそのこと先手取って、焚火を囲んでるゴブリンどもを火のヒュンカでちょっと焦がしてやればいい。あいつらならすぐ逃げるだろう。ただ大騒ぎにはなるだろうから、表口に向かうルートは、正直無理だと思う。ということで裏口だ。その先が本当に出口かは分からないが、今を逃せばジリ貧でしかなくなってしまう。

 というわけで、サーラさん! 火のヒュンカの出し方オナシャス!

 

 何なに。呪文を教えていただける、でもモーガン…火は2回まで? 3回はダメダメ、と。

 うーむ、モーガンというのは魔力のことかな? 魔力量を心配されているようだ。まぁしょうがない。タマゴの殻をつけたヒヨッコどころか、タマゴから産まれてすらいないようなこの幼女の身で、2回も魔法が使えるなら御の字よ。

 大きく頷いて、任せておけと薄い胸を叩く。何故か頭を撫でられた。解せぬ。

 

 で。火のヒュンカを呼ぶ呪文を教えてもらったんだが……これがまた長いし難しいし……今までもそうだったけど、エルフ語って日本語とかけ離れた単語ばっかりなせいで覚えるのがしんどい。ここはひとまず、耳コピでカタカナ化して地面に書いておこう。

 え、どんなのか知りたいって? しょうがないにゃぁ……。

 

 ティラヒュンカ、ヴォストー、オーヌーン

 ホリオン、サニン、ティルヴォン、イレス

 オンノン、サニッル、モーガヌンヴェアモン

 ヴォラオアコアスタ、エルローン ユードゥッソ

 

 一番最初のティラは火という意味だ、なので火のヒュンカ、そのままだ。あと、ところどころでちょっと分かるような分からないような、といった感じで……単語を習ってきて思ったことなのだが、どうもエルフ語は活用によって単語の語尾が変形するようで、例えばサニンとサニッルは別の活用の……いや、今は言語学の話はどうでもいいか。

 とにかくこれを丸暗記して正確に言えるようにならないといけないのだ。それも早急に。この体が子供なおかげで記憶力が良いのが不幸中の幸いよ……こんなことで転生してて良かった、なんて思いとうなかった……。

 それと、上のに加えて、ファイアーアローみたいなのとファイアーボール(爆発する?)みたいなのの2つの攻撃呪文を教えてもらった。みたいなの、という理由は、サーラさんの絵が味わい深すぎるのが原因で、俺がちゃんと内容を理解できているか怪しいからである。

 こちらは短かったので憶えるのは簡単だった。

 

 さて、ぶっつけでしか試せないのが不安ではあるが、一応俺自身の戦力化の目処は立ったと言えよう。次のステップは、サーラさんとの詳しい脱出プランの共有である。というわけで地面にお絵かきタイムである。俺も絵心はないが、地図を画くくらいならいけるんだよ。

 と、俺が地面をガリガリやってるのを見てサーラさんが横に並んで座り込んだ。呼ぶ手間が省けたね。

 

「サーラ。脱出、こっち」

 

 そう言いつつ裏口を指差す。サーラさんも同じ意見なのだろう、うんうんと頷いてくれている。

 

「夜。女性、助ける。1、右。2、左」

 

 右は繁殖部屋。左は子育て部屋だ。繁殖部屋が先なのはゴブリンがいる可能性が低いから。逆に子育て部屋は確実に1匹はいるから、逃げるとなればここで確実に騒ぎになるだろう。っと、そういえば頸枷をされている2人の女性をどうやって助けるか……何かしらの工具でもないとあの頸枷は壊せないだろうし、火のヒュンカを使うなんて以ての外だ。かといって、鍵はおそらく陰険野郎が持っているはず。奪いに行くのは多分無理だろう。

 子守役が持ってるんじゃないかって? ないない。ゴブリンに鍵なんて小さなもの持たせたらソッコーで失くすよ。子守役が鍵を持ってるところを見たこともないし。ところで“即行”って漢字で書くとコレジャナイ感ハンパなくない?

 なんて、現実逃避気味にうんうん唸ってると、サーラさんが俺の頭をポンポンと撫でてくれた。サーラさんを見上げてみると、優しい表情をしていて、一言、「大丈夫」と。なんだ、サーラさんには助ける術があったのか。それならそれで説明が欲しかったけど、俺らの間で難しい会話はできないし、しょうがないか。

 じゃああとの話は楽だ。子育て部屋のゴブリンは子供から離れないので、子供に危害を加えるようなことをちらつかせば、邪魔も追跡もしないだろう。やってることは外道だなぁ……ただ、騒ぎはすると思う。とはいえ、子育て部屋は子ゴブリンがよく騒ぐので、そう簡単には大広間の歩哨が異変を察知することはないと思うけれど……ここは速攻を仕掛ける。なにせ大広間の焚火で火のヒュンカを作る呪文を唱えないといけないからだ。

 はっ、そういえば射程とかあるのかな……TRPGみたいに射程:視界内とかであることを祈るか……ここにきてお祈りとかすっげーヤダー!……仕方ない、できる限り近付こう……。

 俺が大広間で呪文を唱える都合上、俺が先頭。俺ならゴブリンどもから即攻撃を仕掛けられることもないだろう、という願望の混じった予想もあるが、火のヒュンカを先頭である俺が連れることで、暗視がない人間の女性たちを先導できるという点もある。殿は水のヒュンカを連れているサーラさんにお願いする。

 木格子は火のヒュンカに頼んで錠前の周辺を燃やしてもらう。ここで攻撃呪文を切ったとしても、大広間とで2回、サーラさんの忠告の範囲内である。

 

 と、以上のことを絵に書いたり、書きながら説明したりして、サーラさんと脱出プランの共有を果たしたぜ。

 

 何だか一生分くらい頭を使った気分だよ……あとは、夜になってゴブリンどもが寝静まるまで、待つだけだ。

 

 ――さぁ、一世一代の大脱走だ。




プロットではこの回で脱出まで行くつもりだったのに、辿り着けなかった……。

21/8/2
炎が魔わ法の暴発なのか→魔法
見直し不十分で誤字脱字あるとは思ってたけど、これは予想外
誤字報告ありがとうございます。

-/-/3
火のヒュンカが使えば裏口を→ヒュンカを
格助詞を訂正
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