ガバがガバを呼ぶRTA…始まります(白目)
えー、前回は……何でしたっけ?
一体何が起こって……
「リーリー、それは…どういう意味で言ってるの」
「どういう意味とは?…ああ!そうでしたそうでした、皆さんは覚えてないんですもんね!
こちらのカッコいい人は谷崎俊稀君と言って、私の運命の人で…」
……なぁーんでこっちの本名がバレてるんですか(困惑)
しかも、皆さんは覚えてない!?え!!?まさか…いや、でも……嫌じゃ!!嫌じゃ嫌じゃ!!それだけは…それだけは嫌だ、それだけは嫌だ!!小生やだ!!
「何度やり直しても必ず私を助けてくれる、ヒーローさんなんですよ♥️」
グリフ○ン○ォォォォォォルゥ!!!!
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ!!
フザケルナァフザケルナァ!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ!!ばがやろぉぉぉ
ヴぁぁぁぁぁ!!チャートがぁぁぁぁ、ボクのチャートがぁぁぁ!!
何でぇぇぇぇぇ!!どぼじでぇぇぇぇ!!
「落ち着け!!
リーゼ、無力な俺達に代わりルーナを救ってくれたことにまずは感謝する!
しかし、君の言う事は少し抽象的に過ぎるな…もう少し俺達にもわかり易く言ってくれないか?」
………わかり易くもクソも、こっちのニューゲームがバレてるだけだろ…
よくよく考えれば[前進]やらを使えば可能と言えば…可能なの…か?
えー、リーゼちゃんがどれだけ今までの試走の記憶を覚えているかがまるで不明の為一切の対策が取れません。
しかし、焦ってはいけません!
俺は常にクールな男…そう、けっして焦ったりなんか…
「別に、お礼なんかいいんですよ。
ただ、皆さんに静かになって欲しかっただけですし…
あと、皆さんにもわかり易く…でしたよね。」
「うーん、事情が事情ですので難しいんですけど…
俊稀君は死んじゃうとまた最初からやり直す事が出来る能力者…とでも言えばわかり易いですかね?
俊稀君の言葉を借りるなら、ハッピーエンド以外でクリア出来ないってことらしいですよ?」
あぁ、こっちの目的まで解ってるんですねぇ…
どどどどどどどどど、どぅ、どう、どうどうしましょうかね……
いや、別にぜぜぜぜ、全全全然然焦っても動揺もしてないですよ????
「別に、俊稀君の邪魔なんかしませんよぉ?
私はただ、前みたいに俊稀君と学園祭で踊りたいだけなんです…ダメですか?」
………かなり覚えてるみたいですねぇ。
彼女と最初に学園祭で踊ったのは7回目なので…最悪そこまでは覚えていると…
ちょうど彼女が[前進]を自覚したタイミングと同じだと考えると正解のように思いますね……
あれ?積んでない?
俺…そのあとにヴォエ兄貴と世界を滅ぼしたりとか、四天王全員を討伐したりとかしたんですけど……
「いいんです。俊稀君にも色んな事情があるんでしょうから、今までの事はぜーんぶ水に流して…また一から私にいろんなコト、教えて下さい…ね♥️」
…まぁ、リーゼちゃんが能力を完全に使いこなせるようになっているのは間違いなくプラスですし、本人がこう言っているのでこっちを糾弾したりはなさそうです。
それに、こっちに好意を寄せてくれてるようなので……
はい!!ここでオリチャー発動です!
このまま、リーゼちゃんのご機嫌をとりながら[学園]の生徒を全員能力で延命してもらいましょう!
本来なら、ヴォエ兄貴との戦いでこの世界の能力者の出生率や医学の発展による高齢化とそれに伴う高齢者の間引き等々…[学園]の外も外で立派なディストピアである事を理解して初めて[停滞]を自覚できる訳ですが、今回はもう使えるので先に生徒全員救いましょう!!(人命を優先する走者の鑑)
巧く飴をちらつかせつつ馬車馬の如く使っていきましょう。
こうなれば学園祭もしましょう!少しでもリーゼちゃんの好感度を稼いでご機嫌を伺う事が最重要です。
ではまず、四天王達があまりの出来事にえぇ…(困惑)となってるので発破をかけていきましょう。
ホラホラ、急いで急いで!RTAなんだよ!!?
特にキャムちゃん!君はこの学園祭成功の鍵…どころか土地の権利書まで握ってるんだから頑張って!!
ほら、ルーナ姉貴も!マンパワーはいくらあっても良いんだよ!!!
キルト君も……いや、キルト君は……
君は、隅っこで水分補給の準備でもしててくれ。
脱水は怖いからね、チカタナイネ。
はい、じゃあ皆!解散!!頑張って!!
じゃあ、俺はリーゼちゃんとイチャついてますね…
あっ、でもその前にトイレだけ良いかな?
チャート崩壊のストレスでポンポンがペインなんだ。
キルト君!君、随分暇そうにしてるねぇ…オッスお願いします!(案内)
いやー、早いですねぇ…もう出店やらキャンプファイアーの組み木やらが出来てるじゃないですか!
やっぱ最多の四天王と最弱(笑)の四天王は伊達やないんやなって…
ところでキルト君…君は何かしたの?
…ああ、お茶汲み?…そう
それって、最優の四天王の仕事なんですかね?
……じゃあ、キルト君にはヴォエ兄貴に許可を取りに行ってもらいましょうかね?
ここまでの作業を無許可でやってたというのも脱帽ものですが、流石に学園祭を無断決行するのは不味いので…
ちなみに、この段階ではヴォエ兄貴は絶対にこちらを攻撃してきません。
彼はあくまでも生徒達を研究対象として見ている為、無意味な殺戮をする意味がないんですね。
これがもう少し後だとヴォエ兄貴の全人類能力者計画の為に能力者は資源扱いされ誰彼構わず脳内の結晶を収穫されます。
ですが、色んなことがありましたがまだ今日は初日のままなんですね…
しかも、今日の昼前にヴォエ兄貴から[賢者の石]をパクったばかりなのでおそらくヴォエ兄貴は[賢者の石]の盗難にもまだ気付いていないため、万が一キルト君を襲っても返り討ちにできるんですね!
という訳で、ヨロシクゥ!
「俊稀くーん、こっちに来て少し手伝ってくれませんかー?」
リーゼちゃんが呼んでますねぇ。
へへへ、もちろんすぐ行かせてもらいますよ姉御。
…オラッいつまでボサっとしてんだ速く行きやがれこのイケメンが!!
夕暮れ特有の茜色が眼を刺すように刺激する中、一人の青年が扉をノックしている。
「不肖、キルト・イェシャラディン!恥を承知で帰って参りました!!」
礼儀正しく3回のノックをした後に透き通るような声で話しかける。
扉越しであることを考慮してもあまりあるその声量に眉根を寄せながら部屋の中の人物が入室を促すとこれまた選手宣誓のような声量で失礼します!と一礼しながら青年は部屋へと入る。
「今回は、私の軽率な行動で理事長殿に迷惑をお掛けして誠に申し訳ありませんでした!」
そう言うや否や、青年は折れ曲がるように深々と頭を下げる。
一体、どれ程そうしていただろうか
青年には数分とも数時間ともとれる沈黙を破り理事長と呼ばれた男が笑った。
「フフフ、いや失礼したね…
君を嗤ったのではないよ?
ただ、どうやら元気そうだったのでね。君の無事を確認できてつい安心して笑ってしまったよ」
そう言いながら人の佳い笑顔を見せる男はともすれば善き教師と見えるかもしれない
しかし、目の前の人間の裏側を知っている青年は心の裡を見せぬよう慎重に喋る。
「理事長におかれましても壮健なようで何よりです。」
「ふむ、そのようなおべんちゃらはおいて先ずは互いの再開を祝そうじゃないか…
君が出ていったあの日から、私は胸が裂かれたような思いだったよ…私があの時こうしていれば、あの時こんな言葉をかけてやれれば…
後悔が押し寄せては自分の不明を恥じるばかりだった
しかし、それでも君は帰って来てくれた。
その事実が私は嬉しいのだよ。」
この男を初めて見る人間に、今の会話はどう思われているのだろう
生徒を心配する模範的な教師か…
その教師の心に触れ、胸を打たれた生徒か…
「今回の件で理事長殿にお掛けした心労やご迷惑、考えることも憚られるようです。
しかし、不躾であることは百も承知で今日は伺いました!」
「まさか、生徒が訪ねる事を不快に思う教職者など居ないよ。」
大袈裟に肩を竦めながらそう言うと男はさて、と一息つき続ける
「しかし、キルト君…君もまさか挨拶をしに来た訳でもあるまい?
私に何の用かな?」
「恐れいりました、まさかこちらの考えまで全てお見通しとは…
戻ってきたその日に何を言うかと笑ってください!
私は今日、学園祭を開きたく理事長殿に会いに参りました。」
「ふむ、学園祭か…
もちろん、構わないよ。君たちの自主性を軽視する程狭量ではないつもりだ。」
男は微笑みながらそう返すと青年に背を向け窓の外を眺め始めた。
「キルト君、私は今とても良い気分なんだ
それこそ、君の脱走とそれに連なる他の生徒の脱走も不問にしていいとすら思っている」
その言葉に肩を震わせながら青年が尋ねる
「それは、本当ですか!
あいつらの事を不問にしていただけるのですか!!」
「フフフ、自分ではなくまず仲間の心配かね?
本当に、優しいのだな君は。」
そう言いながら男は青年へと振り返る。
その顔は裂けたように嗤っていた。
「私とて、長年の理想が目の前まで来ているんだ
その材料諸君にだって、少しの慈悲くらい与えてやらんとね?」
「材…料?まさか、貴様っ!!」
「ああ、そのまさかで違いないだろう。
私の理想の為に、君達の頭の中身…
言うや否や男は鈍く輝く立方体を青年に向け投擲する。
「っ!そんなもの…がふっ!?」
その立方体は弧を描きながら青年の腹部に直撃した。
「不思議そうだね?差し詰め、何故能力が使えないんだ?というところかな」
片側の頬を引き上げ嗤うその顔は先までの人の佳さの欠片も見れずただただ恐ろしく見えた。
「馬鹿な…[賢者の石]はたしかに…」
「ふむ、捜し物はこれかな?」
男はそう言うと上着から赤黒い野球ボール程の塊を取り出した。
「何故それが此処に…まさか!」
「フフフ、まさかとは思うが彼の事を知っているのがリーゼ・チェレステ女史一人だけだとでも?」
手のひらで[賢者の石]を転がしながら男は誇るように語りだした。
「全てを知ったのは他でもない、君のお友達のお陰だよキルト君
キャム・カンパネル女史の[解析]を元にした情報収集端末が、面白いものを拾ってね」
「面白い…もの、だと?」
「ああ、[勇者RTA]というんだ」