ウマ娘が何を言ってるかわからない(困惑   作:勝利確信からのNT1攻め継覚醒640完殺

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G1勝利 誰もが認める栄光の証
たった一度ですら歴史に名を遺すというのに
様々な距離、バラエティに富んだコース
何度も違う条件でG1を走り、全てに勝利したまさに伝説の王者が存在した



その名はキングヘイロー


競バ史に刻まれた伝説はいつまでも色褪せる事なく燦然と輝いている


キングヘイローのみた夢

 

私は夜に夢を見る

 

私では無い私がトゥインクルシリーズを走り数々のG1を勝ち抜いていく夢だ

 

プライドの塊と言える私が新人のトレーナーと組み、泣き、笑い、母に認められず三年間走り抜く夢

 

夢というにはあまりにもはっきりしていていつもまるで現実に起きたように感じてしまう

 

現実の私はトゥインクルシリーズを制覇するどころかトレセン学園に入学してもいないのに

 

 

走って、走って、走り続けて勝利し続ける夢の中の私

 

勝っても、勝っても、母は認めてくれず苦しい重いが積み重なる

 

少しは褒めてくれても良いのにと、どうして認めてくれないのかと思い

 

これでも認めてくれぬのならとさらに勝ちを重ねていく

 

G1朝日杯を勝利し、G1を勝利したなら流石に認めてくれるはずだと母に報告をすれば母は才能がないから辞めろという

 

ホープフルステークスを勝ち抜けば他のウマ娘を褒めて私には見向きもしなかった

 

皐月賞を勝ち抜き、偶然ではない事を証明したと思えば同時に走ったスペシャルウィークに勝てたのは偶然だと言われた

 

NHKマイルカップに勝利した時には自分の後を追えば苦しくなると、もう辞めろと再三言われた

 

 

勝利を重ね続け、尚認められず、苦しい想いは重なっていく

 

そうして遂に勝利しても母に連絡する事無く、なじられるだけだと電話に出なくもなった

 

辛いという思いがあふれ出す

 

勝利の為の努力は苦しい

 

それでも努力したのはいつか認められると無邪気に信じていたからだ

 

しかしその思いも勝つたびに裏切られ、ついには無駄な努力だと思うようになってしまった

 

理由が無ければ苦しい努力はできず、ただただ暗い顔をして俯く事しかできなくなる

 

しかし、そんな夢の中の私には幸運な事に最高のトレーナーがいた

 

彼はただ、キングヘイローというウマ娘を信じてくれた

 

私が模擬レースに敗れた時、他のトレーナーは私に見向きもしなかった

 

当然だ、実力だけが物を言うターフの中で私は負けたのだ

 

しかし私のトレーナーは私以外に目もくれず熱烈なスカウトをした

私に勝利したグラスなんて頭の片隅にも無かった

 

レース前になるといつも同期のスペやグラス、エルを見て常に勝てるかどうか不安になった

 

彼女たちの差し足は強力・・・という事もある

 

しかしそれ以上に彼女達の勝利への執念はいつも私の不安を煽った

 

当然だ、私の勝ちたいという心はいつもぐらぐら揺れている

 

でもそうしていつも不安になっている私とは反対にトレーナーはいつでも私の勝利を確信していた

 

控室で少しの不安も感じてないトレーナーを見ると、不思議と自分も落ち着いて心が凪いでいく

 

トレーナーの様子を思い出しつつゲートに入る頃にはいつも緊張は解けていた

 

そうして勝利を重ねて行く私の隣にはトレーナーが傍にいていつもそっと寄り添ってくれた

 

 

私を応援してくれるファンが居て

 

私を心から心配してくれるライバル兼親友が居て

 

何よりトレーナーの献身に気づいた

 

多くの人に支えられて応援されている事に気づいた私は、その人達に何かを返したいと思った

 

散々考えたけどできるお返しはひとつだけ、レースで勝つ事だ

 

私は走る理由を、絶対に勝ちたいという思いを、誰かに思われるという幸せに気づき、手に入れた

 

そうした事に気づいた後に走ったレースは全てが

 

楽しくて、楽しくて、楽しくて

走って、走って、走って、走って

それでもまだ走り足りない、もっともっと走りたいと思うような素敵なレースばかりだった

 

 

あんなに苦しい想いをして走っていた孤独で苦しいターフは

 

気付かなかっただけで声援に溢れ、トレーナーの思いがあり、勝負する者同士の熱に溢れていた

 

 

熱い、熱い想いは留まる所を知らず、私はノンストップで走り続け

 

走る楽しさに任せるままにG1での勝利を重ね続けた

 

そうして勝利を重ね続けて訪れた三年目の有馬記念

 

そこでも勝利を重ねた私はついに母に認められた

 

私の毎夜続く夢はトレセン学園に入学する前日に最高のハッピーエンドを迎えた

 

素敵な夢だった、夢なのに目覚めても忘れる事なくその記憶は私の中に刻まれるくらいには

 

これから入学式に向かうトレセン学園でそんな三年を過ごせたら良いなと思いつつ私は学園へと向かう仕度をして家を出た

 

その道中ではウマ娘をじーっと見る男がいた、傍目にはもう不審者でしかない

 

しかしその男はキングヘイローの夢に出てきたトレーナーにそっくりだった

 

普段なら夢に出てきた人に似てるというだけで絡んだりはしないが、少し夢の余韻に浸って男をからかってやろうと思った

 

 

「あなたこんな所で他のウマ娘を見るくらいならもっと見る相手がいるでしょう!そう・・・この世代のキングをね!」

 

 

「それじゃ行くわよ!私の名前は?」

 

勿論トレセン学園に入学しても無い自分の名前をこたえられるはずがない

 

だからコールが無い事を怒ったフリをして自己紹介をするつもりだった

 

コールが来るはずが無いのに・・・ キングコールは最後まで完遂されてしまった

 

最後まで完遂されてしまった

 

理解が追い付かない、わけがわからない・・・が

 

しかし目の前の男を逃がしてはいけない気がした

 

その感情に従い男を追いかけたが、原付バイクに乗っていた男に振り切られてしまった

 

夢で見ただけの男のはずなのに、ちょっとした悪戯のはずだったのに

 

キングヘイローの興奮と心臓の鼓動といえば治まる事を知らなかった

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