序章、開幕です。
トレーナーになんてなる気はなかった。
昔からテレビでやってたウマ娘の試合。
皐月賞、日本ダービー、有馬記念、天皇賞。
なぜか興味が湧かなかった。
アイドルで英雄のウマ娘も好きになれなかった。
どれだけ速い走りを見ても、
「で?」
と終わらせてしまう。随分と生意気なガキだった。
陸上だ。ウマ娘ブームの最中でもオリンピック競技として脈々と受け継がれている。
しかし近年、戦国時代と化したウマ娘ブーム。
シンボリルドルフ、ナリタブライアン、ハルウララ。
陸上はかなりの速度で衰退の一途を辿っている。
それでも、俺は走るのが好きだった。
好きで好きで好きすぎて、世界一を目指した。
幾度となく栄冠を手にし、数多の壁を乗り越えてきた。
俺は死ぬまで走り続けたかった。
あの時までは。
3月某日、中央トレセン学園、会長室。
「俺に何をしろと?」
「宣告ッ。君にはウマ娘たちのトレーナーをしてほしい。」
「ハッ、ライセンスを取らせて貰ってなんだが、なると言った覚えはないぜ秋川理事長。」
「渇望ッ。今のトレセン学園は慢性的なトレーナー不足ッ。陸上競技出身の君のチカラが欲しいッ!」
「もう5年も前の話だ。リハビリはとっくに諦めてる。それに、陸上は人間単位での話だ。ウマ娘とは比較にならんぞ。」
「否定ッ!足腰のチカラ以外なら形は人と変わらないッ。今、我々は有無を言ってはいられないッ!」
「俺が目指す理由は無いだろう。・・・帰るぜ。ライセンスなら返却するよ。」
「阻止ッ!君の夢をまた追いかけられるとしてもかッ!?」
「ッ!・・・もう、終わった夢だ。」
「再開ッ!君の、新しい陸上人生を、ウマ娘たちに賭けてみてくれないかッ!?」
「・・・・・・・・・条件がある。」
4月某日、中央トレセン学園、入学式。
『続いて、新しく就任されましたトレーナーのご紹介です。』
会場がざわめく。
そりゃあそうだ。こんな奴がトレーナーなんだから。
「新しく就任した、
『あ、ありがとうございました。では、座席へお戻りください・・・』
正直、こんな怪しいチームに来るのは相当なヤツだけだ。だが、世界を動かすのはそんなヤツだ。
「ほう、なかなか興味深いな。」
「カイチョー行ってみる?ボクは楽しそうだから行ってみたい!」
「しかし、かなり大胆なことをしたな。」
「そこまでして何を集めるかだよね。」
「梶谷トレーナー・・・これは楽しみだ。」
「あの時から、変わらないな。」
これが俺の、俺達の栄冠への話。その序章だ。
ヒロインを模索中。出して欲しいウマ娘募集中です。