ウマ男 新たな歴史を創る者   作:アフターヌーンティー

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  それでは、どうぞ


怪鳥との手合わせ。NHKマイルカップ

  〜東京レース場・燈馬side〜

 

 

 『細江さん。今回“NHKマイルカップ”に出走するウマ娘達の注目するべきところはどこでしょうか』

 

 『そうですね。今回の出走ウマ娘達はマイルレースで重賞を取っているウマ娘達ばかりですからね。白熱したレースが期待出来そうです』

 

 『そうですね!それになんたってこのレースには彼女(・・)が出走するんですからね!』

 

 「(騒がしい奴らだな)」

 

  クラシック期のみ走れるマイルレースが今回開催されるNHKマイルカップだ。

 

 「(とりあえず、今はこのレースに集中するとして後は…)」

 

 「とぉおうッッ!!!」

 

 「?」

 

  と謎の掛け声とともに後ろから天高く飛び上がるウマ娘がいた。

 

 『おおっと!!彼女の入場だ!!!』

 

 「フッ!!」シュタ!!

 

  と綺麗に着地するウマ娘。肩甲骨辺りまで伸び一部分を纏めた髪。それに黄色の服と青のスカート、赤の大きな上着に身を包み、そして特徴的なマスクを着けたウマ娘だ。

 

 『“怪鳥”エルコンドルパサーの入場だぁあ!!!』

 

 「世界最強のウマ娘!ここに!入・場・デース!!」

 

 

  《big》《b》ワァアアアアア!!!

 

 「エルコンドルパサー!!!」

 

 「頑張れーーー!!!」

 

  とエルコンドルパサーへの声援が集まる。

 

 『凄い歓声ですね、彼女自身も気合いが入ってると思われます』

 

 「モッチロンデスとも!!なんたってエルは世界最強なんですから!!!」ハハハッ!!!

 

  と高々と笑うエルコンドルパサー。そんな彼女を他のウマ娘達は「今日勝つのは私だ、お前じゃない」と言わんばかりにエルコンドルパサーを見ていた。それもそうだろうな、ここまでの人気なら実力もそれに見合ってるに違いない。

 

 「(俺も気を引き締めないとな)」

 

  とレースが始まるまで待った。

 

 

  〜⏰〜

 

 

 「それでは、ウマ娘の皆さん名前を呼ばれた順からゲートへ入ってください!まずは─────。」

 

  と名前を呼ばれたウマ娘達が次々へとゲートへ入っていく。

 

 「あれ?燈馬じゃん!」

 

 「?」

 

 「やっほ〜、燈馬〜」ヒラヒラ

 

  と声のする方を見ると勝負服に身を包んだ2人のウマ娘がいた。

 

 「…誰だ?」

 

 「“トキオパーフェクト”だよ!、覚えてない!?」

 

 「…」ウ~ン

 

 「トキ〜、この感じだと忘れてるんじゃな〜い?あ、ちなみに私は“フィールドフラワー”。よろしくね〜」

 

 「あ、あぁ…」

 

  誰だっけコイツら。全く思い出せない。

 

 「燈馬、この次に日本ダービー控えてるんじゃないの?こんなことしてていいの?」

 

 「問題ない。次のレースに支障は出ない程度で走る」

 

 「ふーん、このレースは日本ダービーへの“踏み台”ってことね。ますます負けられないわね」

 

  とトキオパーフェクトの表情が変わる。フィールドフラワーも同様だった。

 

 「ほゥ、誰がダービーの踏み台のレースだってェ?」

 

 「…“エドワード”」

 

  と少し厳つい格好のしたウマ娘がこちらに近づいて来た。

 

 「ヨォ〜燈馬、久しぶりだなァ〜」

 

 「……誰だ?お前」

 

  ズコッ!

 

  3人が転ける。ん?どうかしたのか?

 

 「…っ、“シンコウエドワード”だよ!覚えてねェのか、あァ!?」

 

 「何処かで会ったか?」

 

 「“デビュー戦”で走っただろ!!」

 

 「……?」

 

 「テメェ…!!」ピキピキ

 

  シンコウエドワードとかいうウマ娘の額に血管が浮き出る。

 

 「なぁ、俺はコイツに何かしたのか?」

 

 「…燈馬って、もしかして…天然?」

 

 「てん、ねん…?」

 

 「いや、いい。忘れて」

 

  とトキオパーフェクトは額に手を当てた。フィールドフラワーも「あらら〜…」と少し汗をかいていた。

 

 「テメェ燈馬、クラシックのG1勝ったからっていい気になんなよ?テメェなんかあの時みたいにブッ潰してやってもいいんだからなァ…!」

 

  とシンコウエドワードは俺の顔にまで近づき力強く睨んでくる。

 

 「このレースで勝つのはこのオレだ。そして、テメェがこのレースに出たことを後悔させて、2度とその減らず口を叩けねェようにしてやるッ!」

 

  とシンコウエドワードは自分のゲートへと入って行く。

 

 「…相変わらずだね、エドワードは。何かと燈馬に突っ掛かるんだから」

 

 「まぁそれだけ分、ライバル視してるってことじゃないの〜?」

 

  とトキオパーフェクトとフィールドフラワーはシンコウエドワードを見つめながらそういった。

 

 「まぁでも、エドワードの言うことも一理あるかもね。燈馬、このレースには私の想いが詰まってる。“最強スプリンター”としての夢の為に私はこのレースで絶対に勝つ。だから、負けても恨まないでね」

 

 「そうだね〜。まぁ、私も負けるつもりは全くないけど」

 

  と2人が真剣な表情になる。

 

 「なら俺も負ける訳にはいかない。俺自身の為にな」

 

 「それじゃあ、行こうか」

 

  と俺達はそれぞれのゲートへと入って行く。

 

  ※枠順書いておきます

 

1枠1番 シノン

1枠2番 フィールドフラワー

2枠3番 ジムカーナ

2枠4番 キュンティア

3枠5番 シンコウエドワード

3枠6番 エルウェーサージュ

4枠7番 スギノキューティー

4枠8番 トキオパーフェクト

5枠9番 エルコンドルパサー

5枠10番 ロードアックス

6枠11番 マイネルラヴ

6枠12番 アマロ

7枠13番 スノーボンバー

7枠14番 ゲイリーセイヴァー

8枠15番 キングオブジェイ

8枠16番 エアジハード

8枠17番 ダブリンライオン

 

 『さぁ、全てのウマ娘がゲートに入りました。クラシックマイルレースの頂点を決めるこのレース、一体どのウマ娘が頂点に輝くのか!』

 

 『今、絶好調のエルコンドルパサーの走りにも期待です』

 

 『出走の準備が整いました。NHKマイルカップが今!』

 

  パァン、ガコン!

 

 『スタートです!各ウマ娘、綺麗なスタートをきりました!』

 

 「っ!」ダッ

 

  ゲートが開くのと同時に走り出す。隣のゲートにいたフィールドフラワーが前に出ようとしていた。俺はそれを見ながらゆっくりと後ろへ下がっていく。

 

 『トキオパーフェクト好スタートです。エルヴェーサージュ、内からキュンティア3人が並び先頭を走ります』

 

 「(アイツ、あんなにも前にいて大丈夫なのか?)」タタタ

 

  トキオパーフェクトが先頭を譲らんと走っているのが見えた。そしてフィールドフラワーとシンコウエドワードも前方のバ群の中にいた。俺はというと最後方からすのスタートとなった。

 

 『そして、注目のエルコンドルパサーも好位置に付けています!ここからどう這い上がってくるのか!!』

 

 「エルが世界最強ってところ、見せてみせマース…!」タタタ!

 

 『外からアマロ、内からキングオブジェイが上がっていきます。後方にはダブリンライオン、ロードアックス、スノーボンバーなどが前を狙っています』

 

 『勝負はここからですよ』

 

 『さぁ、1000mを通過し全員が第3コーナーを回ります。先頭はアマロ、1バ身。内からエルウェーサージュ、トキオパーフェクトがその外。4番手にエルコンドルパサー。第4コーナーに近づき、後続達もスパートをかけて行きます!』

 

 『ここから一気にレースが動きますよ!』

 

  第4コーナー手前で前方にいるウマ娘達がスパートをかけていくのが見えた。

 

 「(俺も行くとしよう)」

 

  俺はスパートをかける為に外へと移動する。バ体はやや内気味、外はガラ空き。スパートをかけるには持ってこいだ。

 

 『最終コーナーを曲がり先頭はアマロですが、差はほぼありません!エルコンドルパサーが上がってくる、先頭はエルコンドルパサーになるか!トキオパーフェクトはやや苦しい、ここまでか!シンコウエドワード、スギノビューティーも内から上がってくる!』

 

 「…!」

 

 「ッ!!!」

 

  外から上がっていくとトキオパーフェクトと一瞬目が合った。彼女の表情はとても苦しそうだった。それは当然だ、何せ最初からハイペースだったんだ。落ちて当然のことだ。

 

 「…」

 

  俺はトキオパーフェクトから視線を外し、前を向く。

 

 『先頭はエルコンドルパサー!エルコンド…、いや!大外から!大外からシノンが上がってきた!エルコンドルパサーと並んでいる!!』

 

 「ケッ!?」

 

 「悪いが勝たせてもらう、怪鳥とやらよ」

 

  と俺は再び踏み込みに力を入れ、更に加速する。

 

 『先頭はエルコンドルパサーからシノンへと変わった!エルコンドルパサー、懸命に追いかける!だが、差が縮まらない!!ここまでか!?』

 

 「ハァアアアアッ!!!!」ダッ

 

 「負けてたまるか、燈馬ァアッ!!」ダッ

 

  後ろからエルコンドルパサーとシンコウエドワードの声が聞こえる。だが…。

 

 「言ったはずだ、勝たせてもらうってな」

 

 『ゴール!!シノン、一着でゴールイン!!!クラシックにおけるマイルレース、NHKマイルカップを制しました!2着にはエルコンドルパサー、3着にはシンコウエドワードです!』

 

 「「ハァハァ…」」

 

 「…」スタスタ

 

 「ま、待て…」グイ

 

 「?」クル

 

  振り返るとシンコウエドワードが俺の服を掴んでいた。

 

 「…オレは、こんな負け方…、認めねェ…!」ハァハァ…

 

 「次会ったらまた走ろう、シンコウエドワード」スタスタ

 

 「く、そ…ッ!」ハァハァ…

 

  と俺はシンコウエドワードが掴んでいた服を優しく離し、ある場所に向かう為その場を後にした。

 

 

 

 

  〜トレセン学園・理事長side〜

 

 「たづなよ、こっちの書類は出来ているか!」

 

 「はい、もう出来ていますよ」

 

 「うむ!なら、少し一息着くか!」

 

 「そうしましょうか」

 

  と私はペンを置き、大きく背伸びをする。トレセン学園と取引をしている企業の契約内容の確認や生徒達の出るトゥインクルシリーズの出走レースの集計などの書類整理をたづなと行っていた。

 

 「理事長、お茶です」コト

 

 「感謝!いつもすまない、たづな!」ズズズ…

 

 「いえいえ」フフフ

 

  私はたづなの入れたお茶を飲む。たづなも自分のマグカップにコーヒーを入れ、ソファに座り一息着いていた。

 

  ガチャ…

 

 「理事長、居るんだろ?入るぞ」バタン

 

 「む、燈馬か」

 

  部屋のドアが勝手に開いたと思ったら、燈馬が入ってきた。相変わらずノックはしないんだな。

 

 「燈馬さん、前にも言いましたけど入室する際はノックを必ずして下さいね」

 

 「なに、話しはすぐ終わる」

 

  と燈馬は私の目の前に来て一枚の紙を机の上に置いた。

 

 「コイツの出走許可を貰いに来た」

 

 「これは…!」

 

 「!!」

 

  燈馬が持ってきたものはクラシック期のみ出れるレースの出走許可証だった。

 

 「空いてるんだろう?一枠。なら出させてもらうからな」

 

 「…」

 

 「理事長…」

 

  燈馬が出ようとしているレースは確かに一枠空いている。いや、正確にはURAに頼んで一枠空けてもらっていたのだ。彼が出るやもしれぬからという理由で。

 

 「ちゃんと約束は守ってもらいますよ」

 

 「…わかっている、ちゃんと一枠空けてある」カキカキ

 

  と私はペンを握り、出走許可証に私の名前を書く。

 

 「これで後はURAに提出すればこのレースに出走出来る。頑張るんだぞ、燈馬」

 

 「どうも。邪魔をした、それじゃあな」バタン

 

  と燈馬は紙を持ったまま部屋を出ていった。

 

 「理事長、本当によろしかったのですか?」

 

  とたづなは心配した顔を私を見た。

 

 「肯定。構わないさ。何せ承諾したのはこの私だ、彼の要望にきっちり答える必要がある」

 

 「それはそうですけど…。でも…」

 

 「わかっている。彼に何が起こるか分からない。その為にも…」

 

  その為にも、彼を支えてやらねばな…。

 

 「たづな、これから忙しくなるぞ」

 

 「…はい」

 

  と私とたづなは残りのお茶を飲み干し、執務に取り掛かるのだった。




 最新話もこのあと投稿します。

 それでは、また〜
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