ウマ男 新たな歴史を創る者   作:アフターヌーンティー

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 3日目、はっじまるよ〜!


合同合宿 3日目

  〜ホテル自室・エアグルーヴside〜

 

 ピピピピ…ピピピピ…ピピピピ…

 

 「ん〜…」カチッ

 

  目覚ましの音が部屋に鳴り響き、目が覚める。目覚ましの音を止め、時間を見る。今は6時50分だ。

 

 「(朝食は7時半だから、まだ時間はあるな)」

 

  とベッドから立ち上がり、化粧台まで行き髪と尻尾を解かす。そして、ポーチから化粧箱を取り出す。

 

 「…」サラサラ

 

  と鏡を見ながらアイシャドウを描き、リップクリームを塗る。

 

 「…よし、今日もちゃんと描けているな」

 

  と鏡でアイシャドウを確認し、服を着替える────。

 

 「ん?」

 

  着替えるのだが、服が入らない。主に胸が。

 

 「(おかしい、こんなにも服が小さい訳がない)」グッグッ

 

  と何度か服が着れるか試してみる。

 

 「(…よし、何とか入ったな。少しキツいが…)」

 

  と苦戦するも服を着ることが出来た。

 

 「今は7時15分か。少し早いが食堂へ向かおう」

 

  と部屋を出て食堂に向かった。

 

 

  〜食堂〜

 

 「おはよう、エアグルーヴ」

 

 「おはよう御座います、会長」ガタッ

 

  食堂に着くと会長が先にいらしていた。会長は腕を組んで朝食の時間が来るまで待っていた。誰よりも一番に来るとは…流石会長、と思っていると他のウマ娘達も続々と食堂に入ってきた。

 

 「よし、みんな来ているな」

 

  と最後にトレーナーがやってきて、今日の予定を話す。

 

 「今日の予定は昨日と同じ9時からだ。今日は海でのトレーニングを行う為、水着で来るように」

 

 「「「「はい!」」」」

 

 「それでは、朝食を食べよう」

 

 「「「「いただきます」」」」

 

  と食堂に居るウマ娘達が箸を持って食事をしていく。

 

 「今日のご飯も美味しいデース!!」パクパク

 

 「おかわりを貰ってこよう」パクパク

 

 「今日のご飯も精が出るな」パクパク

 

 「はい、会長」モグモグ

 

  と食べ進めていく。

 

 「…おはようございまーす」スタスタ

 

 「遅いぞ、遅刻だたわけ」

 

 「おはよう燈馬。そんなにも眠そうにどうしたんだ?」

 

  と燈馬が遅れてやって来る。全く、時間はきっちり守らんか。

 

 「いや、余り寝付けなくてな」パクパク

 

  と会長の隣に座り、ご飯を食べ始める。

 

 「それより燈馬、君に聞きたいことがあるんだ」

 

 「なんだ?」

 

 「何故君の方から───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エアグルーヴの匂いがするんだ?」ハイライトオフ

 

 「「「「え?」」」」ハイライトオフ

 

  ブライアン、シービーさん、マルゼンスキーさん、フジキセキが反応する。

 

 「ん?あぁこれか?エアグルーヴが洗濯してくれててな。それでじゃないか?」モグモグ

 

  と食べながら燈馬が説明する。

 

 「ほ〜う、エアグルーヴが」チラッ

 

  と会長がこちらをチラリと見る。

 

 「燈馬がキチンと休んでいるか確かめに行ったんです」

 

 「だったら、洗濯する必要はないんじゃないのか?」

 

 「いえ、余りにも汚れていたので洗濯させて頂きました」

 

  と昨日なぜ燈馬の服を洗濯したのかを説明する。

 

 「それとさ、エアグルーヴ」

 

 「なんだ?」

 

 「お前、俺の服(・・・)着てない?」

 

 パキッ!

 

 「「「「「は?」」」」」ハイライトオフ

 

  箸の折れる音が響く。やはりか。

 

 「やはり、お前の服だったか。どうやらあの時に間違えたようだ」

 

 「そうか。…んでなんで着てるの?」

 

  と聞いてくる。少しからかってやろう。

 

 「てっきり私のものかと思ったんだ」

 

 「だったら着る段階で気づくだろ」

 

 「気づかない時だってあるんじゃないのか?」

 

 「…はぁ。後で返してくれ」ガタッ

 

  と燈馬は食べ終えて、食堂を出て行った。

 

 「どうして、君が燈馬の服を着ているんだ?」

 

 「燈馬に私のものと間違えて渡してしまったんです。それで朝は私のものだと思って着ていたんですが、燈馬の言葉で合点がいきました」

 

 「嘘では…なさそうだな」

 

  と会長も朝食を食べ進めていくのを見て、私も食べるのを再開する。

 

 

 

 「ほら。お前の服だ」

 

  私は食堂を出た後、燈馬の部屋に向かい服を返しに行った。

 

 「どうも」

 

  と燈馬は私が着ていた服を受け取る。

 

 「それで?私の服は何処だ?」

 

 「えーっと…」

 

  と燈馬は私の服を探し始める。

 

  〜⏰〜

 

 「おい、まだか」

 

 「いや、確かにここに仕舞ったんだがな」ゴソゴソ

 

  あれから燈馬はずっと私の服を探している。自分で片付けたのなら場所くらい覚えていろ。

 

 「(ん?待てよ…)」

 

  と食堂での会話を振り返る。確か、おかしな会話が一つあったはず──────。

 

  “何故君からエアグルーヴの匂いがするんだ”

 

  ──────そうか。

 

 「燈馬」

 

 「なんだ?」

 

 「お前、私の服(・・・)を着てはいないか?」

 

 「まさか。そんな訳……」ピラッ

 

  と燈馬が服のタグを確認する。

 

 「……」

 

  確認するなり、燈馬が固まってしまう。

 

 「どうした。何か言ったらどうなんだ」

 

  というと燈馬は口を開く。

 

 「………すまん。お前のだったわ」

 

 「…やはりか」ハァ

 

  道理でおかしいはずだ。今、燈馬の服は私が持っているのに何故燈馬から私の匂いがするはずがない。考えられるとすれば私の服を着ているくらいだ。

 

 「すまん。洗って返す」

 

 「いい。それにもう時間がないしな」クイッ

 

  と時計を指す。今8時45分だ。今から取りに帰ろうとすると時間がない。

 

 「いい訳ないだろ。第一、男が着てるんだぞ。その後に着たいなんて言う奴がいるか?」

 

 「まずいない。だが時間がないんだ、早く寄越せ」

 

 「だったら「いいから寄越せ」…わかったわかった」

 

  と燈馬は服を脱いで私に渡してくる。

 

 「全く、着る時に気づくんじゃないのか?」

 

 「お前の食堂で言った言葉、そっくりそのまま返す」

 

  と燈馬は私から受け取った服を着る。それを見て私は脱衣場へ移動し燈馬から返してもらった服を着る…のだが。

 

 「(あいつが一度、この服を着ているのか…)」ドキドキ

 

 「(ってな、何故私はドキドキしているんだ!あいつが一度着ているくらい造作もない…はず…)」ドキドキ

 

  もらった半袖シャツを広げる。多少シワがあるがそんなことなどどうでもいい。それに少しいい匂いがする。

 

 「(ええい!覚悟を決めろ!私は女帝エアグルーヴだ!あ、あいつが着た後の服一枚や二枚、着れないことなんてないんだ!)」ドキドキ

 

  と恐る恐る右腕を袖に通し、左腕も通す。後は頭を通すだけ。

 

 「(着るぞ、着るぞ着るぞ!私は着るぞ!私は着るんだ!)」

 

  と頭を入れ、襟から顔を出す。

 

 「(き、着てしまった…。それに燈馬の匂いが…)」スンスン

 

  と服についた燈馬の匂いを嗅いでいると。

 

 「エアグルーヴ、まだか?」

 

 「ひゃあ!///き、急に話しかけるな!たわけ!!」

 

 「いや俺達、時間ヤバいぞ」

 

 「時間?」

 

  と時計を見る。

 

      只今の時刻 8時57分

 

  私は脱衣場を飛び出して、集合まで全力で走った。

 

 

 

  〜海辺・燈馬side〜

 

 「それでは、合宿3日目のトレーニングを始める。全員水着に着替えたな?」

 

 「「「「「はい!」」」」」

 

 「では各自、ストレッチやウォーミングアップを始めてくれ」

 

  とリギルのトレーナーが言うとウマ娘達はバラけてウォーミングアップを開始した。

 

 「僕達は2人一組でストレッチをやってね」

 

 「う〜ん!う〜ん!」ググッ

 

 「頑張れライス。まだいけるぞ」グイッグイッ

 

 「タイシンちゃ〜ん!ちゃんと伸ばさないとダメですよ〜」

 

 「わかってるよ、それくらい」グイ〜

 

  とトレーナーの指示のもと、俺達はストレッチをやっていた。

 

 「みんな張り切ってるね〜」

 

 「そうだな」

 

  俺はシービーと組んで、ストレッチをしている。

 

 「それよりも燈馬」

 

 「なんだ?」

 

 「なんで燈馬だけジャージ着てるのさ!脱いでよ!」

 

 「別にいいだろ、始まる時に脱げばいいし」

 

  良くない!と言いながらシービーはムスッとした表情をしていた。何がいけないんだよ。

 

 「だって、男の人の裸なんて見たことないもん!」

 

 「見たことないって本気で言ってるのか?あんなにも抱きついてきたくせに」

 

 「服の上からなんてわからないもん」

 

 「小さい頃とかに見てるだろ」

 

 「私、親の都合で幼稚園と小学生の時は周りみんな女子だったよ」

 

  そうだった。こいつの親はあのトウショウ家だ。トウショウ家とは昔からある名家の一つで他にもシンボリ家、アグネス家、メジロ家、スキー家、サトノ家などウマ娘界や俺達一般人でもわかるような家柄だ。けどもう一つ、家柄といえば家柄だがさっき挙げられた名家よりも古いある一族(・・・・)が存在していたとかなんとか。まあでも、その一族は滅んだとは聞いたがな。

 

 「じゃあトレーナーの身体でも見てこい」

 

 「やだ!私は燈馬の身体が見たいの!!」

 

  どういった神経をしているんだ、こいつ。頭が痛くなってきた。

 

 「全員集合!これよりトレーニングを始める」

 

 「ほら、行くぞ」スッ

 

 「……。わかったよ」スッ

 

  とリギルのトレーナーのところへ集まる。

 

 「これより、お前達には遠泳をやってもらう。ここからあの島まで往復で30kmあり、それを3時間で泳ぎ切ってもらう。いいな?」

 

  とリギルのトレーナーは今いる反対の島を指差す。

 

 「「「「「はい!」」」」」

 

 「そして風間、お前は皆から30分遅れのスタートで泳いでもらう。いいな?」

 

 「了解」

 

  実質2時間半か。行けないことはないな。

 

 「よし。それでは全員海岸沿いに並べ」

 

  とウマ娘達全員が並ぶ。

 

 「遠泳、はじめ!!」ピーッ!!

 

 

 ザバーン!!!

 

  と笛の合図でウマ娘達が次々と海へ飛び込んで行く。

 

 「そんじゃ、俺は筋トレでもしとくわ」

 

 「サポートするよ」

 

  と30分が経つのを待った。

 

   〜⏰〜

 

 「時間だ。行け」

 

 「はいよ」ザバーン

 

  と俺も海の中へと飛び込む。海の中は冷たく気持ちがいい。

 

 「(さて時間がない。急ごう)」

 

  俺はクロールで向かいの島まで泳いで行った。ついでにアレがあるか確認もしておこう。

 

 

 

  〜2時間50分経過・トレーナーside〜

 

 「よし合格」

 

 「は、はい〜…」バタ

 

  と次々にウマ娘達が帰ってくる。さっき帰って来たのはライスさんだ。

 

 「遠泳となればやはり疲れが顔に出ていますね」

 

 「そうね」

 

  とオハナさんと一緒に帰って来たウマ娘達の表情を見る。シンボリルドルフさんやシービーさん、マルゼンスキーさんなんかも顔がしんどそうだ。タイキシャトルさんなんか、もう死にそうな顔をしている。

 

 「あとはあの子だけね」

 

 「はい」

 

  と燈馬君の帰りを待っていた。燈馬君はみんなから30分遅れてスタートしていて、さらにみんなと同じ3時間以内に帰って来ないといけない。普通に考えて絶対に不可能だ。けど────。

 

 「けど、不可能を可能にするのが燈馬君なんだよな〜」

 

  この合宿で幾度となく不可能と思われる課題をクリアしてきた。だからこの遠泳も必ずクリアするという確信がある。

 

 「ん?あれは…」

 

  とオハナさんが海の方を見つめる。そして海から人影が現れこちらに近づいてくる。

 

 「立花、今の時間は?」

 

 「2時間58分です」

 

 「クリアってことね」

 

  と段々と近づいてくる人影───燈馬君が帰ってくる。

 

 「ハァハァ」バシャッバシャッ

 

 「おかえり燈馬君」

 

  と燈馬君は僕の横を通り抜けていく。

 

 「凄いね、服を着たまま泳ぐなんて。結構体力使ったでしょ」

 

 「まあな。いいトレーニングになった」

 

  と服を脱ぎ始める。因みにだけどジャージの下は水着だ。

 

 「ふぅ〜」

 

  と燈馬君は大きく息を吐きながら服を置きに行った。

 

 「凄いわね、あの子の筋肉。ホントに高校生なのかしら」

 

 「ええ。左右均等にとれた筋肉、無駄のない脂肪、腹筋に背筋、そして腕の筋肉量。素晴らしいです」

 

  燈馬君の身体はボディービルダーとまでは遠く及ばないがアスリート並みの筋肉量はある。そしてそれを見たウマ娘達は…。

 

 「「「「……」」」」ジィ〜

 

  と燈馬君を見ていた。その中でもシービーさんやシンボリルドルフさんなどはというと…。

 

 「「「「…///」」」」ジィ〜

 

  顔を赤くして燈馬君の身体を見ていた。そりゃあ男の裸なんて見る機会なんてないしね。

 

 「(それにしても燈馬君、若干疲れてないかな)」

 

  遠くからだけど燈馬君の顔に少し疲れが見えている。合宿の疲れが溜まってきたのかな。

 

 「燈馬、その…」

 

  とシンボリルドルフさんが燈馬君に近づく。

 

 「どうした?」

 

 「その…身体を、触らせてはくれないだろうか///」モジモジ

 

 「何言ってんだ。普段から抱きついてくるじゃないか」

 

 「そ、それとこれとは別じゃないか!///」

 

  とシンボリルドルフさんが燈馬君に身体を触らせて欲しいと懇願する。ウマ娘なら特に有名な名家だったら触る他、見ることなんてそうはないよね。ていうか抱きつかれてるなんて初めて知ったんだけど。

 

 「お前達、次のトレーニングをするぞ。集まれ!」

 

 「「「「はい」」」」

 

  とオハナさんの掛け声とともにウマ娘達が集まってくる。

 

 「ほら行くぞ」

 

 「〜!絶対に触らせてもらうからな!」

 

  と燈馬君とシンボリルドルフさんも遅れてやってくる。シンボリルドルフさん、どうしてそんなにも燈馬君の身体に触るのに必死なんだ。

 

 「では、次のトレーニングに移る」

 

 

  〜砂浜・燈馬side〜

 

 「よ〜い…どん!」バッ

 

 「「!!」」タタタッ

 

 「構えて〜…。よ〜い、どん!」

 

 「「!!」」タタタッ

 

  と俺達は砂浜でダッシュ走をしている。直線300mをひたすらに走り続ける鬼のダッシュ走だ。

 

 「次はあんたかい?」

 

 「アマさんか」

 

  おうよ!と気合が入っているのはアマさんことヒシアマゾン。美浦寮の寮長でみんなからヒシアマ姐さんなんて呼ばれてる。頼れる姉御肌ってところか。

 

 「あんたとはタイマンしてみたかったんだ!」ビシッ

 

  と指を指してくる。タイマンとは文字通り一対一のタイマン勝負。アマさんは口癖の如く、強い相手にはタイマンタイマンと言い放っている。俺もその内の一人だ。

 

 「レースでのタイマンはしないのか?」

 

 「これはこれ、レースはレース。アタシはどんな時だってタイマンだ!」

 

  と訳のわからないタイマン論を口にする。本当にタイマンが好きだな、こいつ。

 

 「それじゃあ二人共、構えて〜…」

 

  とトレーナーの声でスタートの構えをする。

 

 「よ〜い、どん!」

 

 「「!!」」タタタッ

 

  スタートを切る。今はアマさんが僅かに前。

 

 「ッ!」ダッ

 

  と足に力を入れてスピードを上げる。

 

 「なに!?」

 

  とゴールまであと100mのところで俺が前に出る。

 

 「負けるかぁああ!」タタタッ

 

  とアマさんも上げてるくるが────。

 

 「一着、風間!」

 

 「ハァハァ…クッソォォォオオ!!」

 

  一着でゴール。アマさんは寝転がって悔しいそうにする。

 

 「50回やって負けなしとは流石だな、風間」

 

 「ありがとうございます」

 

 「あんた、負けなしって本当かい!?」

 

 「ああ。今のところな」

 

  現在、砂浜ダッシュを一人50回やっているが一度も負けてない。ルドルフやマルゼンスキーなどともやったがどれも全て勝っている。

 

 「ではヒシアマゾン、腕立て伏せ用意」

 

 「クッソ〜〜!次は絶対に勝つからな!!!」

 

  と叫びながら腕立てを始めるアマさん。

 

 「頑張れよ」

 

  とエールを送って俺はスタート位置に戻る。このトレーニングは負けたほうは腕立て伏せ30回と中々ハードなものだ。ペアは自由、誰と組むかはその人次第だ。

 

 「次は私とやってもらおうか、燈馬」

 

 「ブライアンか」

 

  俺の次の相手に現れたのはブライアンだ。

 

 「いいのか?また腕立てだぞ?」

 

 「お前を今度こそ負かす」フッ

 

  と俺を負かすことに張り切っていた。確かブライアンは俺との競争で12連敗だっけ。

 

 「他の奴とも組んでやれよ」

 

 「他の奴は全員、一度勝ってる。あとはお前だけだ」

 

  へぇ、ルドルフやシービーにようやく勝ったと。

 

 「わかった、やろうか」スッ

 

 「望むところだ」スッ

 

  とスタートの構えをする。

 

 「それじゃあラスト、いくよ!…よ〜い、どん!!」

 

 「はぁあああ!!」ダッ

 

  とブライアンがロケットスタートをかます。

 

 「こいつは不味いな」

 

  と足に力を入れてスピードを上げる。差はほぼハナ差、ブライアン優勢。

 

 「ッ!」ダンッ

 

  更に力を入れて加速。

 

 「はぁああ!!」ダッ

 

  ブライアンも加速する。

 

 「差せ!ブライアン!」

 

 「いけるぞ!」

 

 「いっけぇえええ!」

 

  とブライアンの声援が強くなる。残り50m。

 

 「フッ!」ダンッ

 

  再び加速。

 

 「ゴール!勝者、風間!」

 

 「チッ!クソ!」ハァハァ

 

  とブライアンが悔しい声を出す。ほぼハナ差でゴール。正直言って危なかった。あの瞬間、加速しなかったら間違いなくブライアンが勝っていた。

 

 「惜しかったな、ブライアン」パチパチ

 

 「燈馬もナイスランだったよ」パチパチ

 

 「うんうん!二人共チョベリグな走りだったわよ!!」パチパチ

 

  と見ていたウマ娘達に拍手が起こる。

 

 「次はレースだ。必ず勝つ」

 

  とブライアンが強い眼差しで見てくる。

 

 「俺も負けないように頑張るよ」

 

  とお互いに次はレースで走ることを約束し、今日の合宿は終了した。

 

 「いい感じに終わらせたと思うなよブライアン。お前、負けたんだから腕立て忘れんなよ?」

 

 「チッ」

 

  とブライアンは腕立てを始めたのであった。

 

 

 

  〜夜〜

 

 「は〜い、今日もここまで。お疲れ様」

 

 「「ハァハァ…」」

 

  合宿のトレーニング後、俺はミチルさんのところへ行ってトレーニングをしていた。今日も今日とてハードなメニューだ。

 

 「ったく、こんな暗い時に海を泳がせる奴がいるか!」ハァハァ

 

  と栄一がミチルさんに言い放った。

 

 「いいじゃない。島の往復じゃなくて周りを泳がせたんだし、遭難しないから大丈夫でしょ」

 

 「そういう問題じゃない!」

 

  夜の海は危険だ。方角は愚か、遭難してしまえば帰ることすら出来ない。ホントヤバイなこの人。因みに今日のトレーニングはこの合宿場を1周泳ぐだけだが、周りだけで約80kmありハードにも限度があるって言うくらいだ。

 

 「大丈夫大丈夫。こうやって帰って来てるんだし、気にしない気にしない」

 

 「ハァ〜〜…」

 

  と栄一は大きな溜め息を吐く。

 

 「それより燈馬、あんたまたアレやるの?」

 

 「まぁな。英道や淳もやるって言ってたし頼むわ」

 

 「了解。それじゃああんた達、早くホテルに戻りなさいね〜」

 

  とミチルさんはホテルへと帰って行った。

 

 「今年もアレをやるのか。よく生きて帰ってこれるな」

 

 「まあ、やっていれば慣れたもんだぞ」

 

  と息を整えながら会話をする。

 

  ♪〜

 

 「電話だぞ」

 

 「あぁ。誰からだ?」

 

  と携帯を見る。一件のメッセージが来ていて、送り主はスズカだ。

 

 『ごめんなさい、今から会えるかな。ホテルの前で待ってる』

 

  とのこと。一体なんだろうか。

 

 「悪い、急用が出来た。先に帰る」タタタッ

 

 「おう、またな」

 

  と携帯を閉じてホテルまで走って移動した。

 

 

  〜ホテル前〜

 

 「スズカ」タタタッ

 

 「あ、燈馬君」

 

  とスズカがこちらにやってくる。

 

 「ごめんね、急に呼び出しちゃって」

 

 「構わない。それでどうしたんだ?」

 

 「実はね…」

 

  とスズカの口がもごもごし始める。どうしたんだろうか…あっ。

 

 「もしかして、トレーニングのことか?」

 

 「え…」

 

  そういえば、学園で約束していたな。それでだろうな。

 

 「約束してたもんな。今からだったら砂浜のトレーニングが出来るかもしれない。行こうか」

 

  と砂浜に向かって歩こうとした─────。

 

 「待って!」ガシッ

 

  とスズカに腕を掴まれる。

 

 「トレーニングなら早めにやったほうが「違うの!」え?」

 

 「だから違うの。トレーニングじゃないの」

 

  トレーニングじゃない?どういうことだ。

 

 「あのね、実は…」

 

 「実は?」

 

 「実は明日の夏祭り、一緒行かな…行きませんか!」

 

  祭り?

 

 「ここの近くでお祭りがあるの。この辺りじゃ有名でね、花火もあって綺麗だって言うの。だから」

 

 「だから俺と行きたいと」

 

  コクリと頷くスズカ。そういえば、ホテルに貼り紙があったな。

 

 「祭りか…」

 

 「もしかして、お祭りって苦手…?」

 

 「いや、そもそも祭りに行ったことがないんだ」

 

 「そ、そうなの!?」

 

  とスズカが驚く。

 

 「あぁ。なんせ祭りには縁がなかったからな」

 

 「だ、だったら尚更行くべきだよ!行こう!」ズイッ

 

 「お、おう」

 

  とスズカに圧されて行くことが決まった。

 

 「スズカ、トレーニングの件はどうするんだ?」

 

 「トレーニングなんだけど、ごめんなさい。夏祭りに誘おうと思って間違えて言っちゃったの…。怒った?」

 

 「いいや、誰にでも間違いはある。怒ったりなんかしない」

 

 「ありがとう。それじゃあこの山の上に神社の鳥居があるの。そこに夜の6時でいいかな?」

 

 「わかった」

 

 「また明日ね!燈馬君」タタッ

 

 「またな」

 

  と上機嫌に走って行くスズカの背中を見送って俺はホテルへと入って行った。

 

 

 

 

 「さて、燈馬。何処に行っていたのかな〜?」ハイライトオフ

 

  と俺の部屋にいたフジに何処にいたのかを聞かれ、夜遅くまで外出していたのと夕食の時にいなかったことについて軽く説教を食らったのは言うまでもなかった。




 読んで頂きありがとうございます。


 いよいよ合宿も折り返し!頑張ります!


  それでは、また〜
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