ウマ男 新たな歴史を創る者   作:アフターヌーンティー

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 合宿もいよいよ最終日!

 それでは、どうぞ


合同合宿 5日目

  〜合宿所前・燈馬side〜

 

 「では、これより合宿最終日のトレーニングを行う!」

 

 「「「「はい!」」」」

 

  合宿最終日。俺達はリギルのトレーナーの指示で海辺に来ている。

 

 「最終日は私と立花が考案したトレーニングを行ってもらい、合宿を終了とする。今日のトレーニングはかなりハードな為、準備運動を怠らないように」

 

  さて、どんなトレーニングなのかな。

 

 「本日最後のトレーニングは、“ウルトラマラソン”だ」

 

 「あのウルトラマラソンとは、なんですか?」

 

  とグラスワンダーが挙手をする。

 

 「ウルトラマラソンは普通のマラソンの42.195kmを超える距離を走るマラソンのことであり、24時間走や100km走なんてものもある。国際的にも有名な競技だ」

 

 「ひゃ、100km…!」ゴクッ

 

  と唾を飲み込む音がする。周りのウマ娘達もトレーナーの説明を聞いて顔つきが変わる。普段、俺達が走る距離は最大でも3km程度だ。その距離よりも数倍、数10倍もある距離を走らされるとなると…想像がつかないだろうな。

 

 「だが、君たち一人(・・)に100kmを走れとは言わない。そうしてしまうと酸欠を起こしてしまう可能性が非常に高い。まだ身体が出来ていないものもいるからな」

 

  恐らく中等部のエルコンドルパサー、グラスワンダー、テイエムオペラオーのことを指しているんだろう。あいつらはまだ身体が出来てはいない、100kmなんて走らせれば身体を痛めてしまう可能性だってある。────となると…。

 

 「じゃあどうやってマラソンを?」

 

 「言っただろう“一人”で100kmを走らせないと…。つまり「“全員で100kmを走れ”って言いたいのか?」そういうことだ。風間」

 

  俺とトレーナーの会話にザワザワしだすメンバー達。

 

 「要はチームに分かれてチーム全員で100kmを完走しろって言いたいんだろ」

 

 「風間の言う通りだ。君達には1チーム4人に分かれて競ってもらう。距離は一人40km、合計160kmのチーム対抗ウルトラマラソンだ」

 

  なるほど、チーム対抗戦のマラソンか。面白そうだな。

 

 「因みに負けたチームは?」

 

 「今ここでは発表しない。まず君達にやってもらうのは順位の前に完走してもらうことにある」

 

  確かに遅かろうと早かろうと完走するのが一番の目的だろうな。

 

 「ではチームメンバーを発表します。1班────。」

 

  とトレーナーがチームを発表していく。因みにこれが発表されたチームだ。

 

 1班 ナリタブライアン、オグリキャップ、テイエムオペラオー、フジキセキ

 

 2班 グラスワンダー、俺、シンボリルドルフ、タイキシャトル

 

 3班 ミスターシービー、ライスシャワー、エアグルーヴ、マルゼンスキー

 

 4班 ヒシアマゾン、エルコンドルパサー、スーパークリーク、ナリタタイシン

 

 

 「トウマ!よろしくデ〜ス!」

 

 「よろしくお願いします、燈馬先輩」

 

 「よろしく。タイキ、グラスワンダー」

 

  とグラスワンダーとタイキがやってくる。

 

 「私を仲間外れにしないで欲しいな、燈馬」スッ

 

 「別に仲間外れにしているわけじゃない」

 

  近くにいたルドルフが身体を寄せてくる。全く、こいつは。

 

 「では、チーム内で出走の順番を決めてくれ。10分後にスタートする」

 

  とトレーナーが解散を告げ、他のウマ娘達もチームで固まって話し合っている。

 

 「では、私達も話し合おうか」

 

 「まずは誰が最初を走るか、ですね」

 

  とルドルフが俺達を呼び、集まってくる。まずは第一走者を決めるために俺達は固まって話し合う。

 

 「ワタシ、40kmも走れるかどうか、ワカラナイデ〜ス…」シュン

 

 「誰だって未知数さ。私もトレーニングで40km走るのは初めてだしね」

 

 「私も同じです。タイキ先輩」

 

 「でも、チームの足を引っ張ってシマウかもしれないデスシ…」

 

 「その時は彼がカバーしてくるさ。だろ?燈馬」チラッ

 

 「何故俺なんだ。…わかった、タイキの遅れは頑張って取り返そう」

 

 「そうなると、出走の順番は…」

 

  とルドルフが地面に名前を書いていく。

 

 1番目 タイキシャトル

 2番目 燈馬

 3番目 グラスワンダー

 4番目 シンボリルドルフ

 

 「よし、これで行こう。では各自、準備運動を行ってくれ」

 

  とルドルフはトレーナーのところへ行ってしまった。

 

 「ちゃんと走れるでショウカ…」

 

 「まずは完走しましょう。時間はかけてもいいんですし、お互いに頑張しょう。タイキ先輩」

 

 「…ハイ」

 

 「(タイキの奴、大丈夫だろうか)」

 

  タイキの不安そうな顔を横目に俺は準備運動を行った。

 

 

  〜⏰〜

 

 「では、1番目並べ」

 

  とトレーナーの声のもと4人のウマ娘がタスキをかけて並ぶ。

 

 「エルコンドルパサーにテイエムオペラオー、ライスシャワーか。強敵揃いだな」

 

 「まあな(タイキの奴、本当に大丈夫か?)」

 

  タイキの顔がさっきより暗くなっているような気がする。

 

 「コースの先導は立花が行う。皆しっかりついていくように。それではチーム対抗ウルトラマラソン、開始!」ピッ!

 

 「それでは先導します。皆さんついて来て下さーい」

 

  とトレーナーが自転車を使って先導していき、その後ろを4人のウマ娘がついて行く。

 

 「タイキ先輩、大丈夫でしょうか…」

 

 「無事に完走してくることを祈ろう」ポン

 

  と心配するグラスワンダーの肩をルドルフが優しく叩く。どうやらこいつらもタイキの様子のおかしさに気づいていたようだ。

 

 「燈馬達の最初はタイキなんだ」

 

 「まあな、そっちはライスが一番手か」

 

  まあね〜と言いながらシービーが近づいてきた。

 

 「ライスは長距離型だから今のうちに長距離を慣れさせておこうかなって思ってね」

 

 「スタミナだったらあの中じゃあ一番だな」

 

 「そうね。他のチームの順番見る?」ピラッ

 

  とシービーから一枚の紙を貰う。そこには走る順番が書かれていた。

 

 1班 テイエムオペラオー、オグリキャップ、ナリタブライアン、フジキセキ

 

 3班 ライスシャワー、エアグルーヴ、マルゼンスキー、ミスターシービー

 

 4班 エルコンドルパサー、ヒシアマゾン、ナリタタイシン、スーパークリーク

 

 「クリークがアンカーか。アマさんも思い切ったな」

 

 「クリークもライスと同じで長距離型だからね。スタミナもあるし」

 

 「お前達3班が一番ヤバいと思うが?」

 

 「そんなことないよ。ライスはスタミナはあるけどスピードが心配なところがあるし、エアグルーヴだって長距離は得意ではなさそうだもん」

 

  マラソンは持久力が試される競技であり、持久力を鍛えるトレーニングでもある。

 

 「(けど、タイキのあの自信のなさは何なんだ?)」

 

  タイキは持久力はある方だと思う。何回か一緒に走ったがそれなりには持久力はあると見える。やはり足を引っ張ると思っているのだろうか。少し心配だな。

 

 「なあ、リギルのトレーナーさん」

 

 「ん?どうした、風間」

 

 「コースの地図ってあるか?」

 

 「あるにはあるが、どうする気だ」

 

 「ちょっとチームメイトのことが気になってね」

 

 「チームメイト…タイキシャトルのことか。あいつは問題ない、はずだ…」

 

  どうも歯切れが悪そうだ。仕方ない。

 

 「借りてくぞ」パシッ

 

 「お、おい!風間!お前は次に走るんだろ!?だったら残れ!」

 

 「なに、軽いウォーミングアップさ」タタッ

 

  と俺は地図を頼りにコースを走って行く。

 

  〜⏰〜

 

 「(今で15km時点に来たが、俺の考え過ぎだったか)」タタッ

 

  と走っている道中に。

 

 「ん?」

 

 「ぅぅ…」

 

  蹲っているウマ娘を見つけた。

 

 「何やってるんだ?タイキ」

 

 「ぇ…」スッ

 

  と蹲っていたタイキの顔が上がった。

 

 「マ…

 

 「あ?」

 

 「トウマ〜〜〜〜〜〜!!!」ダキッ!

 

 「ぐはっ!」ドサッ!

 

  タイキが俺に気づくなり、勢いよく抱きついてきて俺はその勢いに負けて倒れる。

 

 「…なんだよ、思ってたより元気そうじゃないか。心配するほどでもなかったな」グイッ

 

  と俺は抱きついたタイキを引き剥がす。全く、スタートから飛び出して来た俺の気持ちを返せ。

 

 「じゃあ俺は戻るわ。頑張って完走しr「トウマ!Please stop!」うぁ!」

 

  と座りこんだタイキに引っ張られる。

 

 「なんだよ、一人で走っ「…やなんデス」は?」

 

 「一人はイヤなんデース!!」

 

 「……は?」

 

  と俺は騒ぎ立てるタイキを落ち着かせる。

 

 「…で、さっきのどういうことだ?」

 

 「…ワタシ、途中まではみんなと一緒に走っていたのデスガ…」

 

 「途中でスタミナが切れて、走れなくなったと」

 

 「…」

 

  黙り込むタイキ。はぁ…。

 

 「とにかく、ちゃんと完走しろ。一人が嫌なら遅れてでも誰かと(・・・)一緒に走ってでも完走しろ」

 

 「誰かとイッショ…」

 

  タイキが考えこんでいるうちに退散しますか。そう思ってタイキから離れようとすると────。

 

 「でしたら、トウマと一緒に走りマース!」

 

 「は?」

 

 「だってトウマはいいまシタ。誰かと一緒に走ればイイト!だからトウマ、一緒にRUNしまショウ!」

 

  なんでだ、急に頭が痛くなってきた。

 

 「こうしてはいられまセン!早くみんなのところへ急ぎまショウ!!」タタッ

 

 「…来るんじゃなかった」タタッ

 

  と呟いて俺もタイキの後を追った。

 

 

  〜30km時点〜

 

 「おい、さっきまでの勢いはどうした。みんなのところへ急ぐんじゃなかったのか」

 

 「トウマ、とっても…very hard。待ってくだサーイ…」ハァハァ

 

  タイキと俺は30km時点まで走っていた。

 

 「ハァハァ…」タタッ

 

 「(もう2人目が行ってる頃だろうな)」タタッ

 

  とそんなことを考えていると────。

 

 ドサッ…

 

 「ん?」

 

  と何かが倒れる音がする。

 

 「どうした、タイ、キ…」

 

 「う、うぅ…」

 

  右膝の辺りを痛そうに抑えるタイキの姿があった。

 

 「タイキ!!」

 

  と俺は直ぐさまタイキの元へ駆け寄る。

 

 「おい、タイキ!膝がどうした!見せてみろ!」

 

 「ぁ…」

 

  俺はタイキの手を退けて膝を見る。

 

 「お前…」

 

 「…sorry」

 

  タイキの膝は赤く腫れ上がっていた。

 

 「タイキ、お前もしかして何処かで膝を打ったのか?」

 

 「…実はみんなから少し遅れていた時なんデスガ、堤防で遊んでいたchildrenがいましてその一人が堤防から落ちそうになったんデース。その子を…」

 

 「お前が庇ってそれと同時にケガをしたと」

 

 「…Yes」

 

  タイキの表情が暗くなる。

 

 「何で言わなかった。なんであの時に言わなかったんだ、タイキ」

 

 「だって、それを言ったらチームのみんなに迷惑をかけてシマウと思って…」

 

 「ケガをされたまま走られる方が迷惑だ」

 

 「…」シュン

 

  また一段と暗い表情になる。

 

 「…子供を守ろうとしたのは勿論、褒められることだ。怪我を隠してまで走るなんてことも、チームの為を思っての行動だろう。俺も同じ状況ならそうする。けど、怪我をしたまま走るということはその怪我を自ら悪化させているということを忘れるな。お前はこんな怪我なんかで終わっていい奴じゃない」

 

 「…」コクコク

 

 「それにお前の勇姿を見てくれているヒトだっているんじゃないのか?」

 

 「…ウン」

 

 「だったらそいつらの為にも自分の身体を労ってやれ。じゃないとお前の他にも悲しむ奴らが出てくるぞ」

 

 「ハイ…」

 

  心配して損した。来るんじゃなかった、と言ったが前言撤回だ。こいつは自分のことよりも他の奴を優先したんだ、その気持ちを俺は踏みにじるようなことをしている。だから俺はタイキの想いに応えてやろう。

 

 「ほら、立て。一緒に走ってやる」

 

  とタイキの右腕を俺の首に回し、なるべく膝に負荷がかからないようにする。

 

 「トウマ…」

 

 「一緒に走ってやる。辛抱しろよ」

 

  と俺はタイキと足並みを揃えてゴールを目指して走って行く。

 

 

  〜合宿所前・ルドルフside〜

 

 「タイキ先輩と燈馬先輩、遅いですね」

 

 「あぁ。大事がなければいいのだが」

 

  燈馬が合宿所を出て以降、帰ってくる様子が見えない。私達の班以外は既に2人目に変わっていてもうとっくにスタートしていた。

 

 「タイキ、やはりあいつには厳しかったか…」

 

  とトレーナー君から心配の声が聞こえる。タイキはチーム内では唯一の短距離型だ。私やグラスワンダーとは違って長距離走をしたことがない。

 

 「(タイキ、どんなにかかってもいい。ちゃんと帰って来てくれ…!)」

 

  そう思ってた時だった。

 

 「グラス!タイキセンパイ達が帰ってきまシタよー!!」

 

  と叫ぶエルコンドルパサーの声がする。

 

 「っ!タイキ!」タタッ

 

 「タイキ先輩!」タタッ

 

  と私とグラスワンダーはエルコンドルパサーのところへと駆け出し、エルコンドルパサーの指差す方を見る。

 

 「ハァ…ハァ…」

 

 「頑張れ、もう少しだ」

 

  と走るタイキと彼女を支えながら走る燈馬の姿があった。

 

 「タイキ先輩!もう少しです!」

 

 「頑張れ!タイキ!」

 

  彼女に声援を送る。そしてようやく────。

 

 「ハァ、ハァ…ゴ、ゴール…デス…」ハァハァ

 

 「おう、お疲れさん」

 

  とタイキを壁のところへと運び、燈馬がゆっくりと下ろす。

 

 「タイキ!よく帰って来てくれた!」

 

  とタイキが帰ってきたことにトレーナー君も安堵していた。

 

 「ルドルフ、手の空いている奴に氷を持って来るよう言ってくれ。タイキが怪我をしている」

 

 「なんだって!?」

 

 「軽い打撲だろうが、赤く腫れ上がっているんだ。どうも堤防で遊んでいた子供を助けた時に出来たものだそうだ」

 

  とタイキの膝を見ると燈馬の言う通り赤く腫れ上がっていた。

 

 「わかった、氷は他の者に頼もう。だが君はどうするんだ」

 

 「どうするって走るに決まってるだろ」

 

  と燈馬はタイキからタスキを取り、自分にかける。

 

 「正気ですか!?燈馬先輩は先輩が走る前に40km走ってるんですよ!それに他のメンバーだってもうスタートしてます!」

 

 「アマさんにエアグルーヴ、オグリなんだろ?心配はない。あいつらにはいいハンデ(・・・・・)だろ」

 

 「ハンデって、まさか君はあのメンバーに追いつくとでも言いたいのか!?」

 

 「かもしれないってだけさ」

 

  そんなのあり得るはずがない。彼女達はもう既にスタートをしている。今は多分、20kmくらいは行っているはずだ。それにコースを見たがショートカット出来るような場所もないのにどうやって追いつくと言うんだ。

 

 「それじゃあ行ってくる。それとグラスワンダー、走れる準備だけはしとけよ」タタッ

 

  と言い残して燈馬は走って行った。

 

 「無茶だ、燈馬は実質80km走ることになる。最初に40kmも走れば体力だってもうないはずだ!」

 

  準備をしていたフジキセキが叫んだ。燈馬の言葉を聞いていたウマ娘達はこう思っただろう、“絶対にあり得ない”と。私もその中の一人だ、不可能だと────そう思った。

 

 「本当に君は追いつくと言うのか、燈馬」

 

  と私は第2走目が帰って来るのを待った。

 

 

  〜⏰〜

 

 「3走目、準備しろ」

 

  とトレーナーの掛け声のもと、3走目のウマ娘達が並ぶ。見てみると残り2kmのところでエアグルーヴ達の姿が見えてくる。

 

 「やはり、燈馬先輩は追いつけなかったんですね…」

 

 「無理もないさ。あれだけ離れていたら追いつけるはずもない」

 

 「やっぱり、私のせいなんデス…」

 

 「タイキ、そんなことはないさ。君は十分に頑張ってくれた。その上、子供を助けたなんて見事な功績さ」

 

 「そうですよ!会長の言う通りです!」

 

 「会長、グラス…」

 

  私とグラスワンダーで泣きそうなタイキをなだめる。

 

 「タイキ、もし君がその子供助けていなかったら、その子供はきっとタイキ以上の大怪我をしていたと思う。タイキがいたからこそ、その子供は無事だったんだから」

 

 「タイキ先輩は怪我をしてしまいましたが、その怪我は名誉の勲章と言ってもいいと思いますよ」

 

 「…thank you。少し気持ちが楽になりまシタ」

 

  とタイキを元気づけていたその時だった。

 

 「グラスワンダァアアアアア!!!!」

 

 「「「!?」」」ビクッ!

 

  突然、グラスワンダーを呼ぶ声がする。

 

 「今の声って…!」

 

 「もしかして!」

 

  とエアグルーヴ達の後ろにもう一人の影が────。

 

 「トウマデ〜〜〜〜〜ス!!!」

 

 「「「「な、なんだってぇええええええええ!?!?」」」」

 

 「まだまだだな!」ダッ!

 

 「「「ッ!」」」ハァハァ

 

  残り800mというところで燈馬がエアグルーヴ達を差し返す。

 

 「ほらよ、行ってこい」ヒュッ

 

 「は、はい!!」パシッ タタッ

 

  とグラスワンダーは燈馬からタスキを受け取り、そのまま走って行った。

 

 「…どうやら、追いつけたみたいだな」フゥ

 

  と息を整えながらダウンストレッチを始める燈馬。

 

 「…風間、一体どういうことだ」

 

  とトレーナー君が近づいてくる。

 

 「どういうことって?」

 

 「とぼけるな!普通、20kmも離されていたら追いつけるはずもない!それに、お前は既に40kmを走っている!それもタイキとかなり早いペースで、体力も残ってはいないはずだ!なのに…!」

 

 「なのに、どうして追いついたのか…。が知りたいと」

 

 「あぁそうだ!」

 

 「他の奴よりも体力がある、としか言いようがない」

 

 「…だったら聞かせくれ。どうしたら、そんなにも体力をつけることが出来るのかを」

 

  と私は燈馬に投げかける。燈馬にはまだ謎が多すぎる。異常な程の体力、ミスディレクション、脚の速さなど。数多くの謎がある。だから────。

 

 「悪いが喋ることは出来ない」

 

 「っ!どうして「秘密のトレーニングとかそういう次元の話じゃない」…どういう、ことだ」

 

 「お前達では考えられないようなことだ。勿論、悪い方に手を染めるっという意味ではない」

 

 「考えられないってどういうことだ」

 

 「そもそも次元が違うって…」

 

 「そんなことより、身体が温まっている内にストレッチがしたい。ライス、手伝ってくれ」

 

 「は、はい!お兄様!」

 

  と燈馬とライスシャワーはストレッチを始めた。

 

 「(燈馬、君は何をやってきたたんだ────。)」

 

  そのことだけしか、私の頭にはなかった。

 

 

  〜燈馬side〜

 

  時間も経っていよいよ、アンカーへとタスキが回った。現在は1位が3班、2位が2班、3位が1班、4位が4班という順番になっている。それと、ルドルフに投げかけられた話。あれは喋らなくて正解だろうな。下手をすれば、ブライアンやシービー、ルドルフ辺りがやりかねないだろう。

 

 「(よくテレビで見る“彼らは特殊な訓練を受けています”なんて言っても聞くはずがない)」

 

  あいつらでは到底想像もつかないようなことを俺はやってきた。恐らく話を聞いたらドン引きするレベルだろう、それぐらいヤバい。

 

 「ラスト!あげろ!!」

 

 「会長!頑張ってください!」

 

 「シービー!食らいつきなさい!」

 

 「フジキセキ!食らいつけ!」

 

 「クリーク!頑張れ!」

 

  という声が聞こえる。アンカーが帰ってきたのか。

 

 「ライス、俺達も行こうか」

 

 「うん!お兄様!」

 

  ライスとのストレッチを終えて、みんなのところへと向かう。

 

 「よし、全員ゴールしたな」

 

 「「「「ハァハァ…」」」」

 

 「お疲れさん。ほら水だ」ポイッ

 

  とアンカー達に水を投げ渡す。

 

 「燈馬〜…。私、疲れたから口移しして〜」

 

 「何言ってやがる、自分で飲め」

 

  と寄ってくるシービーを軽くあしらう。

 

 「それでリギルのトレーナー、順位の方は?」

 

 「あぁ。順位は1位3班、2位2班、3位4班、4位1班だ。全員よく頑張ってくれた」

 

 「本当にお疲れ様」

 

  とトレーナー達からの激励の言葉をもらう。久しぶりによく走った。

 

 「そして最下位の班だが…」

 

 「「「「…」」」」

 

  最下位の1班の顔が強張る。

 

 「ペナルティはちゃんとダウンストレッチを行うことだ。いいな?」

 

 「「「「っ!はい!」」」」

 

  とトレーナー達はホテルへと帰って行った。

 

 「タイキ、脚の方は大丈夫か?」

 

 「ハイ!後日、トレーナーさんとhospitalにGoするのが決まりまシタ!」

 

 「そうか、大事にな」

 

  とタイキの脚の様子を確認した俺はホテルへと戻り、自室の荷物の整理を始めたのだった。

 

 

  〜送迎バス〜

 

 「みんな乗ってるよね」ボソボソ

 

 「あぁ。問題ない」ボソボソ

 

  俺とトレーナーはバスに乗っている人数を確認していた。あの後、遅めの昼食を取って軽い自由時間になった後、荷物を持ってバスに乗り込んだ。

 

 「今、16時だから20時位にはトレセンに着くかな」

 

 「それぐらいだろ」

 

 「それと、燈馬君ごめんね。人数の確認をしてもらって」

 

 「構わない。全員、席に着くなり寝てしまったんだ。余程、疲れが溜まってたんだろ」

 

  シービー達やルドルフ達はバスに乗るなり直ぐに寝てしまったのだ。合宿での疲れと最後のトレーニングで一気に眠気が来たのだろう、みんなスヤスヤと寝ている。

 

 「燈馬君も寝てしまってもいいよ。トレセンに着いたら起こしてあげるから」

 

 「わかった。ゆっくり休ませてもらおう」

 

  と俺は自分の席に戻ってバスが出発するのを待った。

 

  ブブッ!

 

 「(誰からだ?)」

 

  と携帯が振動したので確認すると淳からだった。

 

 淳『今回のトレーニング場所、お前知ってるか?』

 

 「(『いや、知らないな』)」ポチポチ

 

英道『今回は何処かな?』 

 

 淳『この前は確かカナダだったな。また海外か?』

 

英道『えー!?俺もうロシアとか行きたくねーぞ!あんなクッソ寒いところ、もう勘弁して欲しいぞ!』

 

 淳『流石にロシアは無いだろう。あれは期間が長いときじゃないと無理だ』

 

燈馬『そういえば、マダガスカルからアレの招待状が来てたみたいだな』

 

英道『まじ?あれでなきゃダメなの?250kmマラソン(・・・・・・・・・)

 

 淳『確かに来てたな。オーストラリアから“はトレイルランニング”だっけ?』

 

英道『来てた!来てた!他にもスペインやアルゼンチン、イタリアも。どれも開催日って近かったような…。あ』

 

 淳『英道、恐らくお前の考えは当たってるぞ』

 

英道『(´;ω;`)』

 

 「(『仕方ない、腹を括れ。短期間だけなんだ、耐えればいいだけの話だ』)」ポチポチ

 

 淳『さて、俺は準備だけしておくわ。またな』

 

英道『クッソー!!絶対に耐えてやる!またな、燈馬!!』

 

燈馬『またな』

 

  と淳達の会話を終える。今回はランニングがメインか…。万全の体制で臨まないとな。

 

 「(俺も一眠りつくか)」パタ

 

  と俺は横になり、意識を手放した。

 

 

 

 

  こうして、俺達の合宿の幕が閉じたのであった。




読んで頂きありがとうございます

 次は菊花賞なんですが、その前に2つほどお話を入れたいと思っています。よろしくお願いします。

 今日は秋華賞でしたね。アカイトリノムスメおめでとう!ソダシお疲れ様!次は1着頑張ってね!



 それでは、また〜
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