ウマ男 新たな歴史を創る者   作:アフターヌーンティー

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 マンハッタンカフェ、実装!!!

ていうかシリウスシンボリカッコ良すぎない!?推しが増えちまうって!!!







  シービー実装、待ってるぞ!!!!


笠松へ行こう

 〜新幹線・燈馬side〜

 

 『お待たせいたしました。次は“笠松”、笠松です。お出口は左側です。足元にご注意ください』

 

 プシュ〜!

 

 「ようやく着いたか。しかし、東京からは遠いもんだな」

 

  俺は今、笠松に来ている。観光とか学園の指示で来たとかそういう訳ではない、ある奴に呼ばれて来ているのだ。

 

 「この辺で待ち合わせのはずだが「燈馬ー!!」おっ」

 

  と声のする方を見ると芦毛色の髪を揺らした私服姿のウマ娘が走ってくる。

 

 「合宿以来か、久しぶりだなオグリ」

 

 「あぁ!燈馬も元気そうでよかった!さあ行こう!今日は私の故郷の笠松を案内するからな!」グイッ

 

 「わかったわかった。焦らなくても俺は逃げねーよ」

 

  と俺はオグリに手を引かれて笠松を案内してもらった。

 

 

  〜⏰〜

 

 「凄いな、灯台に公園。色々なものがあるんだな」

 

 「凄いだろ?他にも色々なところがあってだな!───!」

 

  と楽しそうに喋るオグリ。こいつがこんなにも楽しそうに喋るのを見るのは初めて見たかもしれないな。チームでは喋るのだが普段はクリークやタマモクロス、イナリワンと一緒にいるし、俺も普段はスズカやルドルフ達といるため余り喋る機会がない。だからこいつのこういう一面を見るのは中々ない。喋ってみないとわからないものなんだな。

 

 「───ま、燈馬」ユサユサ

 

 「ん?どうした?」

 

 「いや、ぼーっとしていたから…。もしかしたらつまらないんじゃないかって…」シュン

 

  と耳を垂れ下げながら、俯いてしまった。

 

 「つまらくなんてない。寧ろ、楽しそうにはしゃぐオグリを見てて意外な一面が見れたなって思っただけだ」

 

 「本当か?本当につまらなくなんてないか?」

 

 「あぁ。本当だ」コクン

 

  と頷く。実際に本当につまらなくなんてないし、さっきも言ったがオグリの知らない一面も見れたのでありがたいと思っていたのだがな。

 

 「つまらないように見えたのなら謝る」

 

 「だったら頭を撫でてくれ」

 

  とオグリが頭をこっちに向けてくる。

 

 「わかったよ」ナデナデ

 

 「ん///…。もっと撫でてくれ///」

 

  と耳がピンッと立ち、尻尾も左右にブンブンと揺れている、どうやら機嫌がよくなったのだろうな。

 

 「それで?次は何処に行くんだ?」

 

 「次はだな…」

 

  とオグリに次の場所を案内された。

 

 

  〜移動中〜

 

 「ここだ」

 

 「ここって、アパートか?」

 

  と少し古びたアパートにやって来た。

 

 「こっちだ」スタスタ

 

 「…」スタスタ

 

  とオグリの後ろについて行くと一つの部屋に辿り着く。

 

 「オグリ、まさかだと思うが…」

 

 「…」ガチャ

 

  とオグリが目の前の扉を開ける。

 

 「おかえりなさい。随分と早かったのね」

 

 「ただいま、お母さん」

 

  ────────マジ?

 

 「あら、あなたが娘の言っていた燈馬君?」

 

 「風間燈馬です」ペコ

 

 「どうも、うちの娘がお世話になっております。私、母の“ホワイトナルビー”と申します」ペコ

 

  とオグリの母、ホワイトナルビーさんが挨拶してくれる。

 

 「(クソババアから聞いてはいたが、ウマ娘の母親とその娘ってやっぱり顔が似ているんだな)」

 

  フジの時もそうだったが、子供の顔は親に似るとはこの事だろうか。いや、にしては似すぎてないか?

 

 「私とこの子の容姿が似ている、そう思っていますか?」フフッ

 

 「っ!…顔に出ていましたか?」

 

 「いえ、よく言われるんです。母親にそっくりだねって、他のヒト達からですが」

 

  ということはウマ娘の顔や容姿が似ているのは普通と思っていいのか?

 

 「ささ、立ち話もなんですからどうぞ入ってください」

 

 「お邪魔します」

 

  とホワイトナルビーさんに部屋を招き入れてもらった。

 

 

  〜オグリの家〜

 

 「待っててくださいね。もう少しでお昼ご飯が出来そうなんです」

 

 「わざわざありがとうございます」

 

 「燈馬、お母さんの作る料理は絶品なんだ!」

 

 「そうか、それは楽しみだな」

 

 「今日は腕によりをかけてますからね。たくさん食べてください」

 

  とホワイトナルビーさんはご飯が出来たのかお皿を持ってくる。

 

 「今日のお昼ごはんは“コロッケカレー”です。たくさん食べてね」

 

 「「いただきます」」

 

  とスプーンを手に取ってカレーを一口。

 

 「うまい…!」パク

 

 「お口に合って良かったわ」フフッ

 

  ホワイトナルビーさんの作ったカレーは辛すぎず少し甘く作られていて具は人参、ジャガイモ、玉ねぎ、鶏肉、ソーセージ。そしてなにより美味しいのは…。

 

 「(このコロッケか)」サクッ

 

  出来たてのコロッケは外はサクサクで中身はぎっしりと詰まっていて、手作りでこんなにも美味しいコロッケが出来るのかと思うほどだった。

 

 「お母さん、おかわり」

 

 「わかったわ。燈馬君はどうしますか?」

 

  と言われて自分の皿を見ると既にカレーは無くなっていた。

 

 「…お願いします」

 

 「は〜い!」

 

  とお皿を持って追加のカレーを盛り付けてくれる。

 

 「はい、おかわりよ」コトッ

 

 「…」パクパク!

 

 「オグリったら、そんなに焦らず食べなくても」フキフキ

 

  とホワイトナルビーさんはオグリの口周りを拭き始める。

 

 「ありがとう、お母さん」

 

 「いいのよ。気にしないで」

 

 「…」

 

 「?どうしたんだ、燈馬?」

 

 「いや、何でもない」パク

 

 「…。」

 

 

  〜⏰〜

 

 「「ごちそうさまでした」」

 

 「2人共たくさん食べてくれてお母さん、嬉しいわ」

 

 「はい、ホワイトナルビーさんの料理がつい美味しかったので」

 

 「そう言ってくれると、嬉しいわ。ありがとうね」

 

  とホワイトナルビーさんとオグリ、そして俺の皿を持って洗い場に持って行こうとする。

 

 「手伝いますよ」

 

 「いいのよ!お客さんですもの、ゆっくりしていって。ね?それにあの子のところにも行ってあげてくれないかしら。右の部屋が娘の部屋なの」

 

 「…わかりました」

 

  と俺はホワイトナルビーさんの案内のもと、オグリの部屋の扉をノックする。

 

 「お母さんか?」

 

 「オグリ、俺だ」

 

 「と、燈馬か!?ちょ、ちょっと待ってくれ!」ドタバタ

 

  と部屋の中から物を動かす音が聞こえる。

 

 「ごめんなさいね、あの子ちょっと片付けるのが苦手で」

 

 「はぁ…」

 

  オグリの部屋の前で待っていると部屋から物音が消える。

 

 「…どうぞ///」

 

 「お、お邪魔します…」

 

  と中に入る。オグリの部屋は白色の家具が置かれていて茶色のカーペットがひかれていた。

 

 「な、なぁ燈馬。余りジロジロ見られると…は、恥ずかしいんだが…///」モジモジ

 

 「すまんすまん。女の子の部屋なんて初めて入ったからな」

 

 「初めて…。私が初めてなのか…?」

 

 「ん?あぁ。寮の部屋には入ったことがあるんだが、ウマ娘の実家やそいつの部屋は無くてだな。オグリが初めてだ」

 

 「そうか、私は初めてなんだな///」

 

  とオグリの部屋を見渡す。

 

 「ぬいぐるみが多いな、やっぱり好きなのか?」

 

 「あ、あぁ。燈馬は持ってないのか?」

 

 「持ってないな。そもそも、ぬいぐるみ自体に興味がないんだ」

 

 「そうか…」シュン

 

 「けど、こうして見るとぬいぐるみを集めてみるのもいいなって思えてきた」

 

 「だったら、これがいいと思うぞ」ヒョイ

 

  と一つのぬいぐるみを渡される。

 

 「これって?」

 

 「タマ達と一緒に買ったものなんだ。確か名前は“ぱかプチ”って言ってたな」

 

  と渡されたぬいぐるみをもう一度見る。ぱかプチって確かURAが考案したぬいぐるみだったような気がする。世間からは大人気商品で種類も様々。他にも勝負服柄のTシャツやキーホルダー、クリアファイルなどの文房具にも売れているんだとか。委員長がスマートファルコンのグッズを持ってたな。

 

 「凄いな、チームのぬいぐるみも集めたのか」

 

 「あぁ。中でもシービーのは見つけるのに苦労したさ」

 

  シービーはルドルフ達と同じくらい人気が高かったような気がする。三冠を取った時にはグッズがバカ売れしたんだとか。

 

 「けど、まだ見つけていないのがあるんだ」

 

 「そうなのか?」

 

 「あぁ」ガシッ

 

  とオグリが俺の肩を掴む。

 

 「燈馬、君のぬいぐるみはどこにあるんだ!」

 

 「ぬいぐるみ?なんで」

 

 「チームみんなのものは見つけた。タマもクリークもイナリもだ。けど…燈馬のだけないんだ!」

 

 「そりゃあ、断ったからな」

 

 「こ、断ったぁあ!?」

 

  近くで叫ぶな、耳が痛い。

 

 「そもそも、売れるわけねぇだろ?考えてみろ。ウマ男のグッズが欲しい奴なんてこの世にいると思うか?」

 

 「いる!私が絶対に買う!」

 

 「えぇ…」

 

  どういった神経で買おうとするんだ。一応、説明しておくが知名度の上がったウマ娘や有名になったウマ娘、活躍したウマ娘などは理事長やURAの広報部とグッズを作るか話し合うのだ。実際にルドルフやブライアン、目の前のオグリなんかもグッズがある。結構いい値で売れて今でも絶賛発売中だそうだ。

  俺も理事長から話が来ていたのだがすぐ断った。グッズなんて誰も買わないし売れないから作る必要もない、と理事長に言ったのだが少し悲しそうな表情をしながら承諾してくれた。

 

 「今から理事長に言って作ってもらおう!そうしよう、燈馬!」

 

 「嫌だ、絶対に嫌だ。面倒くさい」

 

 「〜〜〜〜〜ッ!」プク〜!

 

  頬を膨らませてもダメなものはダメ。

 

 「そもそも、なんで欲しいんだ?」

 

 「それは…!燈馬のがあったらチームみんなのが揃うじゃないか…。燈馬だけ仲間外れみたいで、その…私は嫌なんだ」

 

  仲間外れ、ねぇ。

 

 「ぬいぐるみが無くても仲間外れじゃないぞ」

 

 「そうだが…」

 

  ─────しょうがねぇな。

 

 「…機会があったら頼んどいてやるよ。今だけは勘弁してくれ」

 

 「絶対にだからな!約束だぞ!」

 

 「わかったわかった。約束な」

 

 「よし!」グッ

 

  とオグリが小さくガッツポーズをする。オグリ、機会があったらだからな。

 

 「フフッ。青春ねぇ」ニヤニヤ

 

 「お、お母さん!?何見てるのさ!」

 

  と扉の隙間からホワイトナルビーさんが覗いていた。それに凄くニヤニヤしてる。

 

 「ここだけ熱いわ〜、エアコン入れていいかしら」

 

 「ど、どっか行ってよ!」

 

 「フフッ、冗談よ。それよりオグリ、今日はあそこに連れて行くんでしょ?」フフッ

 

 「そ、そうだった!燈馬!」

 

 「ん?」

 

  とオグリがこちらに向き直る。

 

 「今日、近くで夏祭りがあるんだ。い、一緒に行かないか?///」

 

 「夏祭りか…。いいぞ、行こう」

 

 「本当か!?」

 

 「それじゃあ、お母さんの浴衣貸してあげる。それに御粧(おめか)しもしないとね」

 

  夏祭りか、この前スズカと行った時とはまた違うものなのだろうか。楽しみだ。

 

 「オグリ、まだ案内していないところがあるんでしょう?お祭りが始まるまでに案内してきなさい」

 

 「そうだった!行こう燈馬。まだ案内したいところがあるんだ!」

 

 「わかったよ、そう急かすな」

 

  と俺はオグリの後を追って部屋を出る。

 

 「気をつけてね」

 

 「はい、行ってきます」

 

  と見送るホワイトナルビーさんに挨拶してオグリと町を歩いた。

 

 

  〜ホワイトナルビーside〜

 

 「───似てる」

 

  本当にあのヒト(・・・・)に似ている。顔立ちから立ち姿、雰囲気にそして“あのオーラ”。間違いなくあの娘の血を受け継いでる。

 

 「あの子も彼女と同じ何かしらの“約束”を持って生まれたのかしら」

 

  と私は伏せていた一枚の写真立てを手に取る。そこには笠松のトレセン時代の私ともう一人、私と同じ芦毛色より少し透き通った色の髪のウマ娘(・・・)が写っていた。

 

 「私だけじゃない。きっとあのヒトと関わったウマ娘ならきっと気づくはず、“あの子は危険だ”って」ギュッ

 

  持っていた写真立てを胸元で抱きしめる。

 

 「神様。どうか、どうかあの子に────────!」

 

  あの子に、絶望があらんことを。

 

 

  〜神社・燈馬side〜

 

  ワァワァ!ガヤガヤ!

 

 「凄い賑わってるな」

 

 「あぁ。この笠松では有名だからな」

 

  笠松の夏祭りはスズカと一緒に行った夏祭りとはまた違う盛り上がりだった。

 

 「オグリ、あれはなんだ?」

 

 「あれか?あれは御神輿といって神社の神様があの御神輿に乗って家を回って行って厄災を祓ってくれるそうだ」

 

 「厄災、ね…」

 

  降りかかってくる不幸を祓うか。神輿なんて初めて見たし、神輿にそんな効果があるなんてな。

 

 「(ま、どれも迷信だろうけどな)」

 

 「行こう燈馬、神輿もそうだが屋台の食べ物も美味しいんだ」

 

 「はいよ。今日はたくさん食べよう」

 

  とオグリと一緒に夏祭りの屋台を巡った。

 

 

  〜⏰〜

 

 「ふぉふま、ふぁべへぇうあ?(燈馬、食べてるか?)」パクパク

 

 「食べてる食べてる。あと、口の中に入れて喋るな」

 

  と屋台巡りが一段落して、俺達は近くのベンチに腰掛けていた。

 

 「焼きそばにたこ焼き、イカ焼きと綿あめ…、更にお好み焼きとは。…よく食べるな」

 

 「ング。…燈馬はよく食べる娘は嫌いか?」

 

  と上目遣いで見てくる。

 

 「いいや、寧ろよく食べる奴は好きだぞ。見ている側からすれば気持ちいいものだ」

 

  というとオグリは少し安心した顔をして、また食べ始める。オグリはチーム内ではたくさん食べるほうで、少食なのはタイシンだ。タイシンはそれ程食べなかったのだが、トレーニング後に間食でおにぎりを食べたりなど身体を大きくしようと頑張っている。そういやライスも結構な大食いだったような…。

 

 「…燈馬」

 

 「ん?」

 

 「あ、あ〜ん…///」

 

  ・・・・・え?

 

 「…急にどうした?」

 

 「タマとイナリが言っていたんだ。燈馬にあ〜んをすれば、その…イチコロだって///」

 

  あのチビクロスとイナリズシ、学園に帰ったらしばく。

 

  ナンヤテェエ、ワレゴルゥラァアアア!! ジョウトウダ!エドッコノチカラ、ミセテヤラァア!!

 

 「その情報はデマだ。鵜呑みにする必要はない」ハァ

 

 「そ、そうなのか…」シュン

 

  全く、オグリもオグリだ、そんなデマで騙されるとは。そんなのでイチコロなら世の中の男どもがイチコロされると言ってるのと一緒だろ。

 

 「で、でも!クリークが言っていたぞ!燈馬は他のウマ娘達から食べさせてもらっているって!!」

 

 「仕方なくやってるわけで聞かないとうるさいんだ」

 

  特にシービーとかルドルフとかブライアンとかフジとかマルゼンスキーとかエアグルーヴとかハヤヒデとか…ほぼ全員じゃないか。

 

 「じゃ、じゃあ私も食べてくれなかったら怒るぞ」プンプン

 

 「え〜…」

 

  それはそれで面倒なんですけど。

 

 「それに、まだ浴衣の感想も聞いてないし…」

 

 「…」

 

  人前でやるのは恥ずかしいんだが…。しょうがない。

 

 「んじゃ、お好み焼きでも食べさせてもらおうかな」

 

 「!それじゃあいくぞ。あ〜ん」

 

 「んっ」パク

 

 「ど、どうだ?」

 

 「ん〜。美味いな」モグモグ

 

 「そうだろ!」

 

  チビクロス程ではないがやはりお好み焼きは美味いな、ソースがよく合う。

 

 「そ、それじゃあ私もた、食べさせてもらおうかな///」

 

 「ほらよ」スッ

 

 「はむっ」パク

 

 「どうだ?」

 

 「うん、美味しい!」

 

  と嬉しいそうに食べる。そんなに食べさせてもらうのっていいのか?恥ずかしい他ないんだが。

 

 「それじゃあ行くか。まだまだ屋台はあるんだからさ」

 

 「ング。そうだな、行こう」

 

  と食べ終わった容器をゴミ箱に捨て、再び屋台巡りを再開した。

 

 

  〜⏰〜

 

 「リンゴ飴、美味しいな」

 

 「このニンジン飴もいけるぞ」

 

  その後の俺達はかき氷を食べたり、ベビーカステラを食べたり、唐揚げを食べたり、たい焼きを食べたり、ポン菓子を食べたり…って全部食べ物じゃねぇか。

 

 「そういえば浴衣の感想言ってなかったな。よく似合ってるぞ」

 

 「良かった。ありがとう」

 

  オグリの浴衣は全体が白で青色の紫陽花が描かれていたものだった。それに長い髪は一つに纏められていてポニーテールになっていた。

 

 「けど、私は燈馬が浴衣じゃないのが気になるんだがな」プイ

 

 「そもそも持ってないし着ない」

 

 「私は着てほしかった」

 

  と言われてもな、俺は浴衣とか着物とか動きにくい服は着たくないんだ。万が一の時に動けなかったら邪魔でしかないしな。

 

 「また、別の機会ってことでいいだろ?」

 

 「…。そうしておこう。けど、その時は絶対に着てもらうからな!」

 

 「はいはい」

 

  とリンゴ飴を食べながらぶらぶらと歩いていると…。

 

 「燈馬、夜になったら少し寄りたいところがあるんだ。いいか?」

 

 「構わないが、どこへ?」

 

 「それは秘密だ」

 

  と俺達は夜になるまで時間を潰した。

 

 

  〜夜・笠松川〜

 

 「ここだ」

 

 「ここは川か?」

 

 「正確には笠松川って言うんだ」スッ

 

  とオグリが川の側に言って座り込む。

 

 「燈馬、これ」

 

  とオグリから四角く底がない紙で出来たものとロウソクのついた板を貰う。

 

 「そのロウソクに火をつけてその紙を上から被せる。後はこの川にそれを置くと川の流れに沿って流れていくんだ」

 

 「なるほど。万灯流(まんとうなが)しか」

 

  別名“灯籠(とうろう)流し”。死者の魂を(とむら)って灯籠を海や川に流すという日本の行事の一つ。他の地域だと長崎、彦根、伏見、京都といったところでも灯籠流しをしている。

 

 「誰か亡くなったヒトがいるのか?」

 

 「いいや。毎年お母さんとやっているんだ。だから、そろそろ「お待たせ〜!」お母さん」

 

  とホワイトナルビーさんが橋の上から走ってやってくる。

 

 「ごめんね。久しぶりにあった同級生がいて、つい喋りこんじゃったの」

 

 「いえ、気にしてません」

 

 「ありがとう、燈馬君。それじゃあ火をつけてあげるからロウソク持ってきて」

 

  とホワイトナルビーさんがライターで俺とオグリ、そしてホワイトナルビーさん自身のロウソクに火をつける。

 

 「それじゃあ、その紙を被せて川に流してね。後は手を合わせてお祈りするのよ」

 

  と言われた通り、ロウソクの上から紙を被せて川に流し、手を合わせる。

 

 「「「…」」」

 

  3人の間に沈黙の時間が流れる。耳から聞こえるのは風の音と周囲の声だけだった。

 

 「お母さん、終わったよ」

 

  とオグリがホワイトナルビーさんに終わったことを伝える。

 

 「…」

 

 「お母さん?」

 

  オグリが声をかけるがホワイトナルビーさんはジッと手を合わせたまま動かない。

 

 「ねぇお母さんってば。終わったよ?」

 

 「!え?───あ、あぁ!そうね!それじゃあ帰りましょうか!」

 

  とホワイトナルビーさんが慌てて立ち上がりもと来た道へと歩いて行く。

 

 「待ってくれ、お母さん」タタッ

 

 「…」タタッ

 

  と俺とオグリはホワイトナルビーさんの背中を追って帰路についた。

 

 

  〜オグリ家〜

 

 「すみません、わざわざ泊めて頂いたうえお風呂まで」

 

 「いいのよ、気にしないで。電車が止まるなんて誰も予想がつかないんだから」

 

  夏祭りから帰ってきた俺達はそのまま駅へ向かって別れる…はずだったんだが、電車が止まってしまい明日まで動かないと聞かされた。これでは東京へ帰れないと思っていたらホワイトナルビーさんが──。

 

 「それじゃあ、泊まっていく?」

 

  という鶴の一声で泊めて頂くことになった。

 

 「それにしても、流石は男の子ね。いい身体してるわ」

 

 「ありがとうございます」

 

  とホワイトナルビーさんと対面するように座る。

 

 「寝るところだけどあの子の部屋で寝てもらっていいかしら」

 

 「はい。大丈夫です」

 

  とお茶を飲みながらホワイトナルビーさんと話しをする。

 

 「ねぇ燈馬君。一つ聞きたいことがあるのだけれど、いいかしら?」

 

 「はい、何でしょう」

 

 「君のその首からかけているネックレスについてるその指輪って誰の?」

 

 「この指輪ですか?」チャリ

 

  と指輪を触る。

 

 「───実は俺もよくわかってないんです。誰のものかわからない、けどババ…おばあちゃんから肌身はなさず持っとけとしか言われてないんです」

 

 「そう」

 

 「失くしたりしたらボコボコに殴られて、見つかるまで探したりしました」

 

 「そっか。余程、大切なものなんだね」

 

 「はい。それに…」

 

 「それに?」

 

 「これをつけてるとなんだか誰かに守られてる感じがするんです。こう、絶対に守ってやるって感じで」

 

 「そう。それじゃあ燈馬君にとってその指輪はお守りみたいな役割があるんだ」

 

 「はい」

 

  さっきの言ったことは本当だ。守られてる感じや背中を押されてる感じが日常生活やレースでも感じるのだ。

 

 「それに燈馬君のおばあちゃんも指輪を失くしたりしたら叱ってくれたり一緒に探してくれたりもする、いいヒトじゃない」

 

 「まあ、指輪も勿論なんですけど俺をずっと育ててくれてますし。なんせ俺、捨て子(・・・)なんですよ」

 

 「─────え?」ピタッ

 

  と固まるホワイトナルビーさんを無視して俺は話しを続ける。

 

 「バ…おばあちゃんの話し曰く、育児放棄された3歳の俺をたまたまおばあちゃんが拾ってくれたらしくて。それで私が育てるって言って今があるんです」

 

 「…」

 

 「その話を小学の6年の時に聞いたけど、俺は何も感じなかったです。何でなんでしょうね、普通なら怒りとか込み上げてくるものなのに何も感じなかった」

 

 「…」グッ

 

 「それに捨てた理由もぶっ飛んでました」

 

 「……どんな理由?」

 

 「“お前は人間じゃない”って。父親と母親両方ヒト(・・)から産まれたのに関わらず、足が人並み以上に速かったんです。だからそれを気持ちが悪がられて捨てたって」

 

 「…」ギリッ

 

 「だから両親を恨んでやろうと思っていました。けど、おばあちゃんに言われたんです“絶対に親を恨むな”って」

 

 「…

 

 「おかしいと思いませんか?捨てた親を恨むなって「ええそうよ」え?」

 

  とホワイトナルビーさんが立ち上がって、俺の隣に座る。

 

 「ホワイトナルビー、さん?」

 

  とホワイトナルビーさんが俺の肩を掴む。

 

 「確かに捨てられたなら親を恨んで当然。けど燈馬君、あなたは絶対に親を恨んではいけない!!」

 

 「なんで「あなたは親を恨んだら絶対に後悔する!これだけは信じて!!」…」

 

  どうしてなんだ。ババアもホワイトナルビーさんもどうしてなんだ、どうして恨んだらいけないんだ。

 

 「あなたの親は誰よりも優しいヒトなの!誰からも愛されてたの!」

 

 「…けど、そんなヒトでも捨てたら同j「違うの!あなたの親は本当に優しヒトなの!」だから、どんな奴でも…っ!」

 

  とホワイトナルビーさんに反論しようとしたら────。

 

 「お願い…、信じて…!」ポロポロ

 

  とホワイトナルビーさんが涙を流しながら訴えかけてくる。

 

 「…っ」

 

 「…」ポロポロ

 

  さっきの目はババアと同じ目だ。ババアもホワイトナルビーさんみたいに訴えかけてきた。初めてだった、初めてババアが泣いているところを見たのは。あの時のババアはどんな時よりも真剣な眼差しをしていた。

 

 「…わかりました。というより、ババアからも言われていたのでこの話は触れないようにしていたんですが、つい…。すみません」パッ

 

 「…いいのよ、気にしないで。私もつい強く言ってしまってごめんなさい」フキフキ

 

  と俺はティッシュをホワイトナルビーさんに渡し、受け取ったホワイトナルビーさんは涙を拭う。

 

 「あの、最後に一ついいですか?」

 

 「なに?」

 

 「本当に俺の親は愛されていたんですか?」

 

 「ええ。本当に優しくて、格好良くて、愛されてて。素晴らしいご両親よ」

 

 「そう、ですか」

 

  何故か納得がいかないのだが、ホワイトナルビーさんとババアが言うんだ。信じよう。

 

 「それと」

 

 「?」

 

 「おばあちゃんじゃなくて本当はババアって呼んでるの?」

 

 「え!いや、それは…」

 

  まずい、言葉に出てたか。

 

 「いいのよ。あのヒト、他のヒトからもそうやって呼ばれてるのを見たことあるの」

 

 「ババアに会ったことがあるんですか!」

 

 「ええ。“2回”だけ、だけどね」

 

  驚いたな、ホワイトナルビーさんってババアと面識あったのか。

 

 「お母さん、あがったよ」ポカポカ

 

 「ちょうど娘もあがってきたことだし。一緒に寝てきなさい」

 

 「そうします」

 

 「ん?燈馬、お母さんと何か話していたのか?」

 

 「まあな。オグリのことで話が盛り上がったんだよ。食堂探すのに2時間かかった話とかな」

 

 「あ、あの話をしたのか!」

 

 「とても面白かったわ〜」フフッ

 

 「ほ、他の話はしてないだろうな!?」

 

 「さあ?」

 

 「どうでしょう?」

 

 「燈馬〜〜〜〜!!!」ポカポカ

 

  とオグリが背中をポカポカしてくる。

 

 「それじゃあ俺は寝ます。お休みなさい、ホワイトナルビーさん」ガラッ

 

 「ええ、お休みなさい。それと私のことなんだけれども、“ルビー”って呼んでくれないかしら」

 

 「で、ですが…」

 

 「お願い、ホワイトナルビーさんって長そうだし」

 

 「…わかりました。それではルビーさん、おやすみなさい」

 

 「ええ、2人共おやすみなさい」

 

 「ちょっと待て燈馬!一体何を話したのか洗いざらい言ってもらうからな!」

 

  と俺はオグリに色々と尋問され、その後、部屋に敷かれた布団に横たわろうとしたのだが──。

 

 「罰として燈馬は私と一緒のベッドで寝てもらう」

 

  とオグリに抱き着かれながらベッドに横たわった。数分もしないうちに。

 

 「zzz」

 

  とオグリの寝息が聞こえ、俺もオグリの寝息につられて瞼を閉じ、意識を手放した。

 

 

  〜朝・笠松駅〜

 

 「わざわざお見送りなんて」

 

 「いいのよ。折角、娘の連れてきた子なんだもの、このくらいさせてね」

 

  とルビーさんとオグリに駅まで送ってもらい、その上、見送りまでしてもらうなんて。

 

 「燈馬、笠松は楽しかったか?」

 

 「あぁ、良いところだった」

 

 「いつでも遊びに来ていいからね」

 

 「はい、その時はオグリに言って遊びに行きます」

 

 『○時○分発の電車が参ります。ご乗車されるお客様は黄色い点字ブロックの内側にお立ちください』

 

 「それじゃあ、気をつけてね。“菊花賞”と“秋華賞”、応援してるわ」

 

 「燈馬、またトレセンでな」

 

 「あぁ。トレセンで会おう」

 

  と駅に電車がやってきて俺はその電車に乗る。窓を見るとオグリとルビーさんが手を振っていたので俺は軽く手をあげる。

 

 『出発します。閉まるドアにご注意ください』プシュ~

 

  とドアが閉まり、電車が動く。

 

 「(クラシック三冠とトリプルティアラを取れるように“菊花賞”と“秋華賞”、頑張るか)」

 

  と秋のレースに向けてどう戦うか。トレセンに着く間、俺は電車の中で作戦を練ったのだった。




 読んで頂きありがとうございます。

 次で夏休みが終わります。菊花賞までもう少々、お付き合いください。



  それでは、また〜。
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