それでは、どうぞ
〜中山レース場・淳side〜
『これより、今年最後のレース“有馬記念”の開催です!!』
「今年も、もう終わりか…」
「そうだな。今年も色々あったな」
俺、江藤淳は中山レース場に来ていた。もちろん
「そういや、透子と菜々の奴遅くね?何やってんだよ」
「混んでるんだろ、きっと。今日は有馬記念だしな、観客動員数も半端じゃないぜ」
と俺は携帯を開き、透子に連絡を入れる。するとすぐに返事が返ってくる。
『ごめん!今、人がたくさんいて全然動けないの!』
『菜々とは一緒か?』
『うん!菜々ちゃんとは一緒にいるよ!』
なるほど、了解。
「俺、透子達を迎えに行ってくる。席頼んだぞ」
「了解〜。俺はここで待ってるよ」
と俺は席を立って透子達を迎えに行くことにした。
「確かここら辺の売店…って人多いな」
売店のあるところに向かうと人が右へ左へと動いていた。
「さて透子達はどこいんだ?」
人混みの中だけは避けてほしいところだ、そうなると探すのに一苦労するからな。
「どこにいんだ、透子達。………お!」
とトイレの近くで透子達を発見。
「おーい、透子〜」
「!淳く〜〜ん!!」タタタッ
と透子が走ってくる。
「透子、菜々はどこいるんだ?」
「…ここよ」ヨイショ
と大きな荷物を抱えて菜々がやってくる。
「どうしたんだ、その荷物」
「えぇ〜と、実は〜…「透子が色んな売店で売ってたグッズを買いまくってたの。その結果がこれよ」ちょっと、菜々ちゃん!それは内緒にしてって言ったじゃ〜ん!」アセアセ
「あ〜、うん。透子ってこういうのに目がないもんな。付き合い長いから大体わかるよ」
グッズとか、特にウマ娘なんかは透子は衝動買いしやすいからな〜。まぁ、透子らしいからいいんだけど。
「荷物、変わりに持つよ菜々。お前は透子と離れないようにしてやってくれ」ヨイショ
と俺は菜々から荷物を受け取る。結構買ったんだな、透子。
「わかったわ、行くよ透子」
「う、うん。ありがとうね、淳君」
「お安い御用さ」
と俺達は英道のいるところに向かった。
〜⏰〜
「お〜い、こっちこっち…てなんだ!?その荷物!」
「透子の衝動買いしたグッズ達」ヨッコイショ
「えへへ〜」テレテレ
「照れないの」コツン
「いたたた〜…」
と無事に自分達の席に到着。
「おやおや、これまた随分とたくさん買い物をされたんですね透子さん」
「あ、校長先生!」
「校長先生、いらしてたんですか」
と英道の隣にいた西宮校長が軽く会釈する。
「えぇ。たまたまレース場を歩いていたら英道君を見かけてね、声をかけたんですよ。そしたら、一緒に見ないかと誘われたんですよ」
「そうなんですね。アンタ、たまにはいいことするじゃん」
「な〜にがたまにだ。俺はお前と違って冷酷な態度をしないんでよ」
「だ、誰が冷酷よ、このバカ!!」ガタッ
「バカってのはバカと言った奴がバカなんです〜」ベロベロバ〜
「なんですって!」ガタッ
「やんのか!あぁん!?」ガタッ
「ふ、2人とも落ち着いて〜…!」アセアセ
と英道と菜々が歪み合い、間にいる透子が仲裁に入る。全く…。
「お前らってホントに仲良しだな」
「「こんな奴と仲良くなんかなりたくねぇ(なりたくない)!」」
「そういうところだぞ。息ぴったしじゃねぇか」
「「コイツが被せてくるだけだ(だけよ)!」」
最後まで息ぴったしじゃねぇか。
「フフフ。相変わらずあの2人は仲良しですね〜」
「まあ、俺らは初等部からの付き合いですからね」グビ
と俺は英道と菜々達を横目にホットコーヒーを一口飲む。この寒さに温かい飲み物は格別だ。
「校長、聞きたいことがあります」
「なんですか?」
「今朝のことについてです」
と俺は校長に今朝にあった話をする。
「あのババアが言っていたこと、本当だと思いますか?」
「……正直なところ、私は理事長がどういった経緯であの話をされたのかはわかりません。ただ、一つだけ確信できることはあります」
「ええ、もちろんです。あのババアは“ハッタリを言わない”」
「はい、もしかすると燈馬君は…」
「ええ、アイツは…」
この有馬記念で燈馬はメジロドーベルに
「理事長のことです、きっと何か考えがあるのでしょう。燈馬君に対して」
「燈馬にとって、か…」
「もちろん、燈馬君の負けるところを見に来たわけではないてはありません。私としても燈馬君に勝ってほしいですから」
「俺も…いや、俺達も燈馬には勝ち続けて欲しいですしね」
と俺はターフの上に立つ燈馬を見つめる。きっと何かある、俺はそう思った。
「───、────!」
「───!?──────!!」
「いつまでやってんだよ、お前らは…」ハァ…
「フフフ」クスクス
〜立花side〜
「ねぇ、トレーナー。燈馬の調子はどうだった?」
隣にいるシービーさんがレース前の燈馬君の調子を聞いてきた。
「良好だったよ。レース前のミーティングでも緊張してる素振は見せなかったけど」
「ふ〜ん、そっか」
とシービーさんは手すりに肘をついて手に顎をのせる。
「どうしたの?」
「なんかね、今日の燈馬はいつものようにはいかないと思うんだ」
「いつものように?」
うん、と頷くシービーさん。どういうことなんだろう。
「それって、ミスディレクションがもう使えないってこと?」
「それもあるかもしれないけど、なんていうのかな〜。上手く言葉に表せないや」
とシービーさんは頬杖をついたままレースが始まるのを待っていた。
「(燈馬君が負ける、なんてことはないとは思うけど…)」
いやいや、何を考えているんだ僕は。僕は燈馬君が勝ってくれると信じて送り出したんじゃないか。僕が弱気になってどうするんだ!
「(負けるな、燈馬君!勝って“大阪杯”も勝ち獲ろう!)」
僕はゲートにいる燈馬君にエールを送った。
「このレース、アナタはどう見ますか?」
「う〜ん…私としては燈馬ちゃんに勝ってほしいけど、多分あの子負けると思うのよね〜」
レース場の観客席、そこには5人のウマ娘が居座り一番右にいる鹿毛色のウマ娘が真ん中にいる赤髪のポニーテールのウマ娘に話しかける。
「…理由を聞いても、いいですか?」
と今度は黒髪ロングのウマ娘が聞く。
「燈馬ちゃんって普段どんなことを考えて走ってるのかな〜って時々思うんだよね〜」
「確かに、それに関してはアタシも同意するわ。燈馬は何を考えて走ってるかわからない」
と腕を組んで相づちを打つの黒鹿毛セミロングのウマ娘。彼女達の見つめる先にはウマ娘と同じようにゲートに待つ少年、燈馬を見ていた。
「で、でも!彼には追込のある末脚が武器なんじゃないんですか!?だってアナタを追い詰めるほどの脚ですよ!」
と桃色のショートヘアのウマ娘が少し興奮気味に喋る。
「まあね、あの時の燈馬ちゃんは確かに疾かった。私でもレースでは味わえなかった緊張感が味わえた。けど、今の燈馬ちゃんにはそれがない」
と赤髪のウマ娘が頬杖をついてターフを見つめる。
「本来、人やウマ娘には“絶対に抱くもの”を燈馬ちゃんは持っていないの。なぜなら、燈馬ちゃんは燈馬ちゃんにとってそれは不要と判断してるから。だから、燈馬ちゃんは絶対に成長しない」
と赤髪のウマ娘は付け足すように言った。
「随分とあの子を買ってるのね」
「それはもちろん!私の燈馬ちゃんだからね!!」パチン☆
「「「「……」」」」ハァ…
と赤髪のウマ娘は黒鹿毛のウマ娘にウィンクする。それを見たウマ娘は大きなため息をつく。
「何よ!そのため息は!アナタ達だって燈馬ちゃんのこと好きなんでしょ!影でコソコソしてたの知ってるんだからね!!」
「い、今はそんな話、どうだっていいだろ!?///」
「いいや、良くない!影でコソコソしてるアナタ達とは違って私は大胆に燈馬ちゃんを誘ってるんだから!!」
「その割には、随分と避けられてましたけどね」
「「「うんうん」」」コクコク
「燈馬ちゃんは照れ屋なの!!あれは照れ隠しなのッ!!!」プク〜
と赤髪のウマ娘は頬を膨らませる。
「まあ、それより今は有馬記念だ。しっかり見届けやるんだろ?
と赤髪のウマ娘“シンザン”は座り直す。
「えぇ、もちろんよ
と“カツラギ”と呼ばれたウマ娘は口角を上げてターフを見る。シンザンと他のウマ娘達も真剣な眼差しでターフを見つめた。
〜シンボリルドルフside〜
『今年最後のG1有馬記念、いよいよスタートの時が近づいて来ました!』
「いよいよ有馬記念か。マルゼンスキー、出走表を見せてくれるか?」
「はい、どうぞルドルフ」ペラ
私はマルゼンスキーから出走表を受け取り、今回出るウマ娘を見る。
1枠1番 マチカネフクキタル
1枠2番 グラスワンダー
2枠3番 エアグルーヴ
2枠4番 ダイワオーシュウ
3枠5番 キンイロリョテイ
3枠6番 オフサイドトラップ
4枠7番 オースミタイクーン
4枠8番 シルクジャスティス
5枠9番 サンライズフラッグ
5枠10番 シノン
6枠11番 セイウンスカイ
6枠12番 ユーセイトップラン
7枠13番 キングヘイロー
7枠14番 メジロドーベル
8枠15番 ビッグサンデー
8枠16番 エモシオン
「エアグルーヴと燈馬の対決か、面白そうだな」
今回の有馬記念ではエアグルーヴが出走する。彼女も燈馬と対決出来ることを心待ちにしていた。
「…」ムス
「ブライアン、そんな表情をするな。君は次があるじゃないか」
「そうよ、その為にも今日の有馬記念をちゃんと観ておかなきゃダメってトレーナーにも言われたでしょ?」
「チッ」プイ
「「…」」ハァ
この通り、ブライアンは朝からこの調子だ。理由はなんとなく分かる。エアグルーヴが自分よりも先に燈馬と走るからだ。エアグルーヴはエリザベス女王杯で見事1着を果たし、有馬記念へのを決めた。長距離レースに出てみたいという彼女の意思となにより燈馬との対決があるからだ。
「エアグルーヴと燈馬の直接対決か…。私も燈馬と戦ってみたいよ」
「ならアナタも出ればよかったじゃない。レースに」
「あぁ。私もレースに出てみたいがドリームトロフィーでシービーと戦うからね。まずはシービーとの対決を優先させたいのさ」
「アナタがそうするなら別にいいけど、私はドリームトロフィーもそうだし燈馬やブライアンちゃんと戦うのがとっても楽しみだわ!!」
「そうか、なら私も彼とのレースを待つとしようか」
♪〜〜〜〜
『年末の中山で争われる夢のグランプリ、有馬記念!!貴方の夢、私の夢は叶うのか!!』
いよいよ、か──────。
『全てのウマ娘、ゲートに揃いました!いよいよスタートの時、ゲートが今──────!』
パァン、ガコン!!
『開きました!!スタートです!まずはジワリジワリと先頭に出てきたのはセイウンスカイ。続いてオフサイドトラップ、さらに1馬身差オースミタイクーン3番手の位置。外をついてビッグサンデー、内からマチカネフクキタル。エアグルーヴも第2集団、メジロドーベルが外から上がって行きました』
「やはりセイウンスカイが前に出るか」
「そうね、あの子の逃げは相当なものよ。気づいたら10馬身も離してるんだから」
スタートと同時にセイウンスカイが先頭へと躍り出た。エアグルーヴも良い位置につけている。
「燈馬は後方からのスタートか」
彼の足があればどこに居ようと必ず先頭に立つだろうな。
『400mを通過。先頭はセイウンスカイ、3バ身のリード。2番手にはサンライズフラッグ、3番手にはオフサイドトラップそのすぐ後ろ4番手にはオースミタイクーン。1バ身離れてビッグサンデー、すぐ後ろにはメジロドーベルとエアグルーヴがいます』
ウマ娘達が観客席前を通り過ぎ第1コーナーを曲がる。依然として先頭はセイウンスカイ、2番手との差は7バ身ほど。燈馬はというとまだ最後方にいるがまだ動かない。燈馬の体力を考えるも仕掛けどころが遅かろうと早かろうと関係はないだろう。なにせ彼の体力は底知れないのだから。
『向こう正面に変わりまして2番手にはサンライズフラッグ、3番手オフサイドトラップ3バ身開いています。その後ろにはオースミタイクーンとメジロドーベル、少し離れてエアグルーヴがいます。さらにその後ろにはグラスワンダー、先頭との距離は約15バ身離れています』
「いよいよ最後のコーナーね」
「あぁ。セイウンスカイがそのまま逃げ切るか、あるいは他のウマ娘が差すか、それとも燈馬のごぼう抜きか」
『さあ、セイウンスカイが第3コーナーへと入っていきます。離していたリードがジワジワと詰まってきました。メジロドーベルが今2番手の位置、メジロドーベルが追い上げてくる!メジロドーベル早くも仕掛けてきた!!』
「あの子、こんな早くに仕掛けて大丈夫なの!?」
メジロドーベルは長距離のレースはこの有馬記念が初めてはず。早くも掛かってしまったか。
『メジロドーベル、セイウンスカイを抜いて今先頭に立ちました!エアグルーヴとグラスワンダー、後続のウマ娘も仕掛けてきた!』
こんな早くから仕掛けるなんて、もはや自殺行為としか言いようがない!
『メジロドーベル!メジロドーベルが先頭のまま最終コーナーわ曲がり直線へと入ります!エアグルーヴ、グラスワンダーも追いすがる!差は1バ身!1バ身の差が縮まらない!』
メジロドーベルはスピードをキープしたまま直線を走る。しかし、彼女の表情からしてとても苦しそうだ。恐らく体力の限界なのだろう。
『いや、いや後ろから凄い脚!凄い脚で迫ってくるのは─────。』
〜メジロドーベルside〜
『シノンだ!!シノンが
「(来た!!!)」
トレーナーの言うとおり、燈馬さんは最後方から仕掛けてきて先頭の私に近づいてきた。
「(苦しい…、肺が焼けるように痛い…!脚が重い…!)」
スピードを緩めたい、楽になりたいと自分の心の声が囁いてくる。
「(嫌だ!私はこのまま走るんだ!走りきるんだ!!!)」
だって、約束したから──────。
〜回想・有馬記念1ヶ月前〜
「「えぇ!?!?有馬記念に出るぅうう!?」」
「う、うん…」
私は有馬記念が始まる1ヶ月前にトレーナーとチームメイトのライアンに話をした。
「ド、ドーベルどうしたの!?急に有馬記念に出たいだなんて!」アセアセ
「そ、そうだよ!!だってドーベルはマイルや中距離が得意なはずなのに!!」アセアセ
私は口を開く。
「どうしても…、どうしても勝ちたい人がいるの…!」
「それって…」
「風間燈馬君、ですか?」
とトレーナーの言葉に私は頷く。
「燈馬さんにどうしても勝ちたいの!!勝って…、勝って「ドーベル、アナタは何故風間君に勝ちたいのですか?」ッ!」
「アナタの“勝ちたい”という気持ちはよく伝わります。ですが、何故そこまでして風間君に勝ちたいのですか?」
「それは…」
それは、お婆様に頼まれたなんてことは理由にはならない。それなら、一番適正のあるライアンやフラッシュの方が有馬記念に出たほうがいい。
「理由がないのなら、有馬記念の出走の許可は出せま「目標なんです…」え?」
「ずっと目標だったんです。風間君が」
「ドーベル…」
「私は中等部からの彼をずっと見てきました。凛々しかった、格好良かった。強かった。そして私も彼のように強くあろうと決意しました」
「…」
トレーナーは私の話を黙って聞いていた。
「辛いことや苦しいことがあっても彼のようになりたいと奮起して乗り越えて来ました。そして、いつか風間君の出るレースに出て勝ちたいとそう思っていました。けど…」
「?けど、どうしたの?」
とライアンが首を傾げて聞いてくる。
「私、聞いてしまったんです。彼の…風間君の話を」
「なんの話?」
「それは─────。」
と私はその内容を言った。
「そう、彼がそんなことを…」
「…」
トレーナーとライアンは私の話を聞いて少し悲しそうな表情をした。
「だからこそ、証明したいんです!彼の考えは間違ってるって!有馬記念に出て、彼に勝って証明したいんです!!」
私は彼のようになりたいとそう努力してきた。けど、彼の話を聞いたとき胸が張り裂けそうになった。だから、私は有馬記念で彼の考えを否定したい、しないといけないから。
「お願いします、トレーナーさん!私を有馬記念に出走させてください!!」バッ
と私はトレーナーに頭を下げる。
「…」
「トレーナーさん…」
少ししてからトレーナーの声がする。
「顔を上げて、ドーベル」
私は顔を上げる。
「…本来なら、有馬記念ではなく大阪杯に出走してほしかったです。“怪物”ナリタブライアンの走りを間近で感じて今後のトレーニングの糧にしてほしい、そう思っていました」
「…」
「ですが…、ですがアナタの言葉を聞いて、アナタの想いと強い意思を感じました」
とトレーナー大きく息を吸う。
「メジロドーベル、アナタの有馬記念出走を許可します」
「ッ!!ありがとうございます、トレ「ただし」ッ!」
「ただし、出るからには勝ちなさい。風間君より上の順位ではなく、1着を取りなさい。これは私との約束です」
「はいッッ!!!」
こうして、私は有馬記念の出走が認められた。
「でもトレーナーさん、ドーベルって長距離レースに出たことないんだよ。どうするの?」
とライアンがトレーナーに問いかける。確かに私は長距離レースに出たことはない。最大でオークスの2400m。
「当たり前ではあるけれど、まずはスタミナを鍛えるわ。2500mと言ったってオークスより100m長い。この100mが命運を左右すると言っても過言じゃないわ」
「じゃあどうするの?長距離レースなんてそうそうないよ」
とトレーナーが口を開く。
「レースには出ません」
「え、レースに…出ない!?」
「ど、どういうことですか!」
「確かにレースに出てレースならではの緊張感や芝の感覚などといったものがありますがそれ以前に“時間が足りません”」
「時間…?」
「えぇ、正直言ってレースに出るとトレーニングをする時間がないの。1レースだけで1日が終わるようなもの、だからレースにでず残り1ヶ月の期間でドーベルを最高のコンディション、そして長距離を走れる身体を作ります」
とトレーナーがパソコンを取り出し、カタカタと文字を打ち始める。
「今からトレーニングメニューを作るわ。それとレースのことだけど、1日1回模擬レースには出てもらうわ。もちろん相手は長距離経験もしくは適正のあるウマ娘よ」カタカタ
「トレーナー…」
「ドーベル、アナタの口から言ったのよ。取り消すなんてことは言わせないわ」
とトレーナーが私を見る。その目は真剣そのものだった。
「ドーベル、私も手伝うよ!」
「ライアン」
「私には模擬レースでドーベルと走ることや仲間集めしか出来ないかもしれないけど…。でも、ドーベルの想いを聞いて背中を押してあげたいって思えた!だから、私もドーベルが勝てるよう協力するね!」
「ライアン、ありがとう」
私はライアンにお礼を言った。本当にライアンには感謝してる。
「時間が惜しいわ。ドーベル、今すぐ着替えてターフに集合。すぐトレーニングを始めるわ」
「はい!」
私はトレーナー室を出てすぐに着替えてターフに向かった。ターフにはフラッシュとパーマーが先にいて私は今日の話を2人にした。
「ドーベル、本気なの?」
「うん、私は本気」
「ドーベルさん、どうしてそこまで」
「勝ちたいの。勝って証明したい」
と私の言葉にパーマーとフラッシュが顔を合わせる。
「いいよ、なら私も協力する!」
「はい、私達はチームメイトですもの。断る理由なんてありません」
「パーマー、フラッシュ…。ありがとう…!」
「アナタ達〜!!今からトレーニング始めるわよ!!」
「「「はい!」」」
と私は有馬記念に向けて本格的にトレーニングをした。
〜回想終了〜
「(ライアンやパーマー、フラッシュやトレーナーの為にも負ける訳にはいかない!!)」
『迫る迫る!!シノンがメジロドーベルを捕らえることはできるのか!!』
「(負ける、わけには…!)」
『残り400m!おおっとここでシノンが加速!メジロドーベル、逃げ切れるか!?』
気配で分かる、風間君が迫ってきてること。すぐ後ろにいることも。
『シノン並ぶ!シノン並ぶ!メジロドーベルここまでか!?』
「(負けるわけには──────!)」
バチッッッ!!
「負けるわけには、いかないんだァアアアアアアアアアアアアッッッッッッッッッッ!!!!」
「「「「征けェエエエエエエエエエ!!!!ドォオオオオオベルゥウウウウウウウッッッッッッッッ!!!!」」」
「ハァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッ!!!!!」
ダンッッッッッッ!!!!!
『メジロドーベル交わした!!メジロドーベル交わした!!メジロドーベル未だ先頭!!メジロドーベル先頭!!シノンがメジロドーベルの背中を追う───────。』
あれ…?なんでだろう……。
『────!!────、─────!!!』
「────!!!」
何も聞こえない─────。
「─────!!」
「────!」
何も感じない、まるで─────。
「────!─────!!」
「────!──────ル…!!」
「────る…!────ベル…!ドーベル!!!」
「ハッ!!」ビタッ!
だ、誰?私を呼んだのは…。
「ドーベル!!」ダキ
ライアンは私のところに走ってきてそのまま抱きついた。
「ライアン…」
「「「ドーベル(さん)!」」」タタッ
「トレーナー、フラッシュ、パーマー…。ど、どうしの…?」
「もう、どうしたのじゃないよ!!!」
とパーマーが涙を溜めていた。
「どういうこと…?」
「
「え…」
私は電光掲示板を見るとそこには──────。
「嘘……!」
1着 14番\
ハナ
2着 10番/
「アナタと風間君がほぼ同時にゴールしてね。写真判定になったの。そしたらアナタがハナ差で…うぅ…」ポロポロ
私…、勝ったんだ…!
「やった…。やったァアアアアアアアアアアア!!」ポロポロ
ドーベル!ドーベル!ドーベル!…
メジロドーベルは涙を流しながらチームメイト達と勝利を分かちあった。
〜燈馬side〜
「…」
負けた、か…。写真判定にまでもつれ込んで正直な話、勝ったとは思っていたが。
「ハナ差での敗北か…」
電光掲示板での写真でも見ていたが確かにメジロドーベルの方が早くゴール板を通過していた。
「(仕方ない、次頑張るしかないか)」
ピリリリ…、ピリリリ…、ピリリリ…。
「…」
電話が鳴る。名前を見ると今話したくない相手だった。
「無視しよう」
と無視を決めていたが…。
ピリリリ…、ピリリリ…、ピリリリ…。
「ウゼェ…」
数分無視しても鳴り止まない携帯。着信拒否してもいいんだが、それはそれで面倒だ。
「チッ…、な『あ、燈馬ちゃんやっと出たー!もう、なんで無視s』『ピッ』…」ツーツー
これでもう来な『ピリリリ…、ピリリリ…、ピリリリ…。』…。
「なんだよ」ピッ
『もう、なんで切っちゃうのよ!!ずっと電話かけてたのに!!』
「うるせぇ。用がないなら『なんで負けちゃったんだろうね』あ?」
『なんで燈馬ちゃんはメジロドーベルちゃんに負けちゃったんだろうね?』
「…」
コイツのこういうところが嫌いだ。的確に人の触れてほしくないところを平気で突いてくる。
「何が言いたい」
『単に実力がなかったからかな。でも、それだと燈馬ちゃんの方がメジロドーベルちゃんよりも実力は上なのにね。敗因はなんだったのかな?』
ウゼェ…。
「俺は次のレースも控えてるんだ。用がないなら切る」
と終了のボタンを押そうとしたその時だった。
『次なんてないよ、燈馬ちゃん』
「あ?」
『次も、その次も燈馬ちゃんは負け続ける。確実にね』
どういうことだ。
『次は確か大阪杯だっけ。予言してあげる、
「やってみないとわからな『やる前から分かりきったことだよ。クソみたいなレースをする前にさっさと辞退したほうがまだいいよ』…なんだと?」
『だって今の燈馬ちゃんはモブみたいな存在だし、見てて面白くないもん。昔のほうがもっと楽しかったし面白かったな』
「結局、何が言いたいんだ」
というと相手からの声が聞こえなくなる。そして────。
『クソしょうもない思想を持ってレースに出んじゃねぇよ“雑魚”が』
「ッ!」ビクッ
とドスの聞いた声が聞こえる。
『そういうのを見ると虫酸が走んだよ。そういうのをやりたいんなら他でやれ。邪魔なだけだ』
「…」
『レースを無礼るな、雑魚が』
「…ッ」
『…じゃあそういうことだから!くれぐれも私の逆鱗に触れないようにね?触れちゃうと大変なことになっちゃうから!またね〜!…』ツーツー…
「…」ピッ
電話が切れた後、俺は少し放心状態になっていた。
コンコン。
「シノンさん、ライブの準備をお願いします」
「…」
「シノンさん?」コンコン
「ッ!な、なんですか?」ビクッ
「ライブの準備を「…わかりました、すぐに行きます」あ、はい…」
と俺は急いでライブの準備へと向かった。
そしてライブだが、アイツの……“シンザン”の言葉が頭から離れずライブをちゃんと乗り切れたか覚えていなかった。
読んで頂きありがとうございます。
シンザンの性格は自分でもあってるのか、まっっったくわかりませんがこういう設定でお願いします。
そろそろアニバーサリーも近く、そろそろファミマコラボもあるそうなのでお金が飛びに飛びまくりです!(泣)お金が足りないよ〜…。
次回もお楽しみに
それでは、また〜