それまで、どうぞ
『さあ最終コーナーを曲がって直線に入る!先頭はシンボリルドルフ、その後ろにはミスターシービーもいるぞ!シンボリルドルフ逃げ切れるか!』
「いけーー!ルドルフ!!」
「負けるな!!シービー!!」
『残り100m!ルドルフか、シービーか!勝つのはどっちだ!?』
「「ハァアアアアアアアッッッ!!!!」」
『勝者はシンボリルドルフ!!見事、皇帝の意地を魅せてくれました!!ミスターシービー惜しくもハナ差で2着です!!』
『2人ともとても素晴らしいレースでした。年末を彩る素晴らしいW・D・Tでした』
〜東京レース場・立花side〜
「お疲れ様、シービーさん」
と僕達はWDTのレースに出ていたシービーさん達を迎えに来ていた。
「あ〜あ、今日のレースを勝ったら冬と夏のドリームトロフィー制覇だったのに…」
「切り替えて行こ?今度は
「そうだね」
とシービーさんを慰めていた。
「オグリさんもお疲れ様」
「あぁ。やはりルドルフは速いな。敵わなかった」
「そんなことないよ、オグリさんも入着してるし良い成績だと思うよ」
今回のWDTで僕達のチームからはシービーさんとオグリさんの2人。そして相手は、リギルのシンボリルドルフさんやエアグルーヴさんなどといった強敵揃いのレースだった。
「(やっぱりリギルは強いな…。シンボリルドルフさんの実力もそうだけど、オハナさんの指導力も凄い)」
まだまだ僕も見習わなくちゃいけないな。
「さぁ、今日は部室で寄せ鍋でもしようか!寒い日には温かい料理が一番だよ!」
「ホント!?やった!!」
「鍋…。トレーナー、おかわりはちゃんとあるのか?」タラー
「もちろん。今日は僕が持つからたくさん食べてね。余り高い食材は入れられないけどね」
「あぁ!」ジュルリ
「トレーナーさん、お手伝いしますね」
「ありがとう、クリークさん」
「お鍋…」キラキラ
「ねぇ、コタツあるの?」
「バッチリだよ、タイシンさん」
「ふ〜ん、そ…」
とみんな今日の寄せ鍋に胸を踊らせていた。
「よ〜し、それじゃあ帰って
「「「「「おお!!!」」」」」
とみんなは今日の鍋に何を入れるか話し合っていた。
「(
「トレーナー、どうしたの?」
「う、ううん!大丈夫だよ!」
とシービーさんが心配して声をかけてくれたが、大丈夫だと伝える。
「(本当はここにもう一人いるはずなのにな…)」
といないメンバーを考えながら僕達はトレセンへ帰った。
〜武天學園・燈馬side〜
12月23日。今日の武天學園では2学期最後の日として終業式が行われていた。
「お〜い、燈馬」
「…どうした、淳」
「ここいいか?」
と淳が俺の隣の席を指す。
「いいぞ」
「サンキュー」
と淳が椅子に座る。
「懐かしいな」
「どういうことだ?」
「お前がトレセンに行って、ずっとあっちで授業やら式典やら出てたじゃん?だからお前がここにいるのが、なんか懐かしいなってさ」
「まあ、ずっとあっちで出てたからな」
『それでは、終業式を始めます。生徒の皆さんは着席してください』
とそうこうしていると終業式が始まる。武天の終業式は何かと異様に長い。校歌斉唱やら偉いさんの式辞やらなんやら聞かされるからな。長いとやっぱり寝る奴がいるが寝ると生徒指導の教師が目を光らせ、叩き起こしにくる。その生徒指導の教師が何かと怖いのだ。
「単刀直入に聞くわ、なんでこっちに来たんだ?」
「“接近禁止令”が出たんだよ」
「接近禁止令?」
「あぁ。有馬記念の後、理事長から話があってな。内容は大阪杯までの期間、俺はトレセン学園の登校やレース場での観戦、トレセン学園の生徒のウマ娘との接触を禁止された」
「まじかよ…」
「まあ、犯人はわかりきってるがな」
有馬記念が終わって少しした頃、俺は理事長に呼び出されさっき言ったことをそのまま理事長から言われた。理由は俺が一番知ってるだろうとも言われた。
「それじゃあトレーニングもやったらダメなのか?」
「トレーニングはやっていいと言われた。ただ、レース場の使用は禁止されたけどな」
「そっか…」
と淳は何か安心したような表情をしていた。
「まあ、話はこれで終わりじゃないんだけどな」
「どういうことだ?」
「理事長が大阪杯での俺を見て、
「た、たいがッ!!」バッ
と淳が驚きの余り口を押さえた。
「…おい、その理事長さんは本当に大丈夫なのかよ。自分の都合だけで生徒を退学させるのはもはや職権乱用だぞ!」
「俺もそう思いたいところだったが、どうやらババアから俺の退学許可はもらってるそうだ」
「あのクソババア…!」
「お前が怒ってどうすんだ」
「けど、このままじゃあお前退学になるんだろ!折角頑張って来たのにお前はそれでいいのかよ!」
「…」
停学ならまだしも、退学を聞いた時は俺も驚いた。あの有馬記念でここまで発展するのは予想出来なかったからな。
「けどな、退学を逃れる術が一つだけあるそうだ」
「なんだよ、それは」
「さっきも言ったが合格ラインを超えなかったら退学になるが、逆に言えばその合格ラインさえ超えてしまえば退学にはならないって言うことだ」
理事長の定める合格ライン、いや主犯である“シンザン”の定めた合格ラインを超えれば俺は退学にならずに済む。
「じゃあ、その合格ラインってのはなんだ?」
「俺が知ると思うか?」
「…だろうな。試しに聞いてみただけだよ」
と淳が腕を組んで大きく深呼吸する。
「それじゃあお前はちょっとの間、レースからは離れるっていうことか」
「そうなるな」
『──────それでは校歌斉唱を行います。生徒、起立!』
と淳との会話をしていると既に校歌斉唱まで進んでいたので俺と淳は立ち上がって校歌を歌い、校長が閉式の言葉を述べて終業式は幕を閉じた。
「ねぇねぇ!このあとどうする?」
今日は午前中の学校の為、昼で解散となった。俺は淳や英道達と一緒に下校していた。淳達の部活はどうやら今日は休みだそうだ。
「そうだな、こうやって集まる機会なんてそうそうないし」
「どこかでパァアっと遊ぶか!」
「としたら、カラオケ?ボウリングもいいわね」
「ボウリングいいね!」
とこのあとどこに行くかみんなで話し合っていた。
「燈馬は?どこに行きたい?」
「う〜ん…」
ここ最近、主にトレーニングしかやってこなかったので行きたい場所が思い浮かばない。
「ボウリング、かな…」
「それじゃあ、13時駅前集合でいいよね?」
「おっけー!それじゃあ、遅れて来んなよ〜!」
と英道達との遊ぶ約束をして、俺は家に帰った。
〜ボウリング場〜
パコォオオンッ!!!
「すげー、なんだよアイツら」
「今でストライク何個目だ?」
「ッ!」ブン
パコォオオンッ!!!
『ストライィィイク!!』
「ナイス、燈馬」
「あぁ」
「凄いね燈馬君達!これで14回連続ストライクだよ!」
「いや〜、それ程でもねぇよ」テレテレ
「なんであんたもそんなに上手いのよ…!」クッ
俺達は集合したあと、電車を使ってボウリング場まで来ていた。
「あれれ〜?菜々はストライク何個取れたかな〜?」ニヤニヤ
「うるさいわね!アンタなんかすぐに追い抜いてやるんだから!!」
「へ!やれるもんならやってみろ〜」
「〜〜〜〜〜ッ!!!」ピキピキ
「頑張って菜々ちゃん!」
と透子がエールを送った。
「透子はストライク狙わないのか?」
「私?私はいいかな。だって燈馬君のように上手く投げれないし…」
と透子が俯いてしまう。俺達がストライクを取り続ける中、透子だけはまだ一度もストライクを取ってない。良くて9本が限界だ。
「だったら俺が教えようか?」
と淳が俯いた透子に話しかける。
「え!で、でも…」
「大丈夫大丈夫。透子なら出来るよ。な?」
と淳が俺達の方を見る。
「あぁ。透子、自信を持て。お前なら出来る」
「そうだぜ!頑張れ!」
と俺達もエールを送る。
「さあ、次は透子の番だ。俺も一緒にいるから」
「う、うん!」
と淳と透子がレーンに行き、淳が指導する。
「まずはボールをまっすぐ投げるイメージで、次は腕の振る位置と角度、あとは─────。」
「なあ、燈馬」
「?」
と英道が後ろから話し掛けてきた。
「アイツらって本当に仲いいよな」
「あぁ」
「あれで付き合ってないとかおかしくないか?」
「付き合う?」
と英道の言葉に俺は疑問を持った。
「付き合うってのは彼氏彼女のことだよ」
「そうなのか?」
「そう。けどアイツらはまだ彼氏彼女じゃないんだってさ」
「どうして?」
「さあな。どっちかが告っちまえばいい話なのに…。お!透子が投げるみたいだぞ」
と前を見ると透子が助走を付けてボールを投げた。ボールは綺麗にまっすぐとピンへ向かい…。
パコォオオンッ!!!
『ストライィィィイク!』
「やったぁあ!!!!」ピョンピョン
と透子がストライクを出し、透子はその場で飛び跳ねる。
「良かったな、透子」
「うん!ありがとう淳君!」ダキ
と透子が嬉しさの余り、淳に抱きつく。
「と、透子!?」
「ん?どうしたの?」
「そ、その〜、人前だからさ…」
「え?…あ///」バッ
と透子が淳から離れる。
「いいな〜、俺もあんな可愛い子に抱きつかれたいな〜」
と英道が淳達を見て、羨ましそうに呟いた。
「(ん?)」
すると横から視線を感じた。チラリと横を見ると…。
「…ッ」ジ〜
菜々が英道のことをずっと見ていた。英道は菜々に見られているのを気づいてはいなかった。
「ほ、ほら行こうぜ透子。次は燈馬だからさ」
「う、うん///」
と淳達が帰ってくる。
「ほら、次はお前だぞ燈馬」
「行ってくる」
と俺達はこの後もボウリングを楽しんだ。
〜風間家〜
「いや〜食った食った!」
「やっぱり冬は鍋に限るな」
「美味かった」
「たく、なんでアタシがクソガキ共に料理をしなきゃいけないのさね」
「ババアって本当に料理出来たんだな。美味かったぞ」
「うるさいよクソガキ。さっさと皿を持ってきな」
「へ〜い」
ボウリングの後、俺達は透子と菜々を見送ってこのあとどうするか考えていた。そこに、ババアから連絡が入りその流れで飯を食べたと言うことだ。
「鹿肉もいいけど久しぶりに猪肉も食べたいな。亮さん、また獲ってきてくれるかな〜」
と英道がテレビを見ながら呟くと淳が反応する。
「あの人医者だからな。今回は休みがあったから狩りに行ったって言ってたけど普段は忙しいから無理だろ」
「趣味程度でやってるとも言ってたしな」
亮さんは医者をしながら趣味で狩猟をやっている。腕も一人前で時折余ったのを持ってきてくれる。
『今回のドリームトロフィーも凄まじかったですね』
『えぇ。なんと言ったって皇帝シンボリルドルフさんと天衣無縫の豪脚ミスターシービーさんの直線にはとても熱くなりましたね!』
ふとテレビを見るとドリームトロフィーの映像が流れた。
「今日、WDTだったのか…」
テレビには今日のレースが流れていた。ルドルフとシービーの接戦、見ていた観客はきっと白熱したレースに喝采を上げていただろう。
『今年も残り僅かとなりました。そこで、今回は今年あったトゥインクルシリーズのレースを振り返っていきましょう!!』
と映像が切り替わり、今年のレースの映像が流れる。中には俺が出ていたレースも流れていた。
「なあ、燈馬」
「どうした」
テレビを見ていると英道が話し掛けてきた。
「今日、楽しかったか?」
「楽しかったよ。とても」
「そっか。…良かった」
と英道が安心したような顔をする。
「どうしたんだ英道。らしくもない」
「俺達さ、ず〜っと色んなところに行って森の中走らさせたり海泳がされたり、知らないところで野宿させられたり“普通の人だったら考えられない”ようなことをたくさんさせられてきたじゃん。だから“遊び”や“娯楽”なんかからっきしだった」
「…そうだな。今思えば懐かしいものだな」
「俺や淳は、透子や菜々がいたから今の流行りだったり、娯楽を教えてもらった。けど、燈馬だけは違った」
俺と淳は英道の話しを静かに聞いた。
「燈馬はその後トレセン学園に入って、自分を鍛えるのと同時に“レースで勝つため”のトレーニングもしなきゃいけなくなった。それでもお前は何も言わずにこなしてきた、お前って奴は本当にスゲェよ」
「まだまだだよ、俺は。まだ弱いままだ」
「お前で弱いって言うなら俺らはもっと弱いぞ」ケラケラ
と英道がケラケラと笑う。
「だからさ、そういう奴の息抜きっていうか“気分転換”的なようなことが出来たらなって淳達と話してたんだよ」
「そうだったな。燈馬はいつも張り詰めたオーラが出ていたからな。ずっとそんなんじゃ、しんどいだろうと俺達で色々と話してたんだ」
「…そうか」
「実際、燈馬はボウリングやカラオケっていう娯楽なんて初めてだろ?現に今日なんかボウリングを砲丸投げみたいに投げようとしてたし」ハハ
「あれは流石に笑ったな」ハハ
「やめてくれ」ハァ
俺はため息をつくが淳と英道は今日のことを思い出したのか、思い出し笑いをしていた。
「…なあ燈馬」
と英道が俺の方を見る。真剣な表情で。
「今度はなんだ?」
「お前に何があったかは淳から聞いてる。透子や菜々には教えてないけどいずれ気づくと思う。アイツらは勘がいいからな」
「…」
「あんま一人で抱え込むなよ?抱え込むと昔の俺達みたいになるからな」
「英道の言うとおりだ燈馬。俺はお前と出会った日のことを今でも忘れてなんかいない。お前と出会えて本当に良かった、話し掛けてくれて嬉しかった。お前と出会わなかったら俺はずっとあのままだったと思う。これは英道と透子、菜々も一緒だ」
「淳…」
「だからよ、お前の本当の“本気の走り”を見せてくれよ。ウマ娘じゃあ到底出来ない走りをよ」
「英道…」
淳と英道が口角を上げる。
「…わかった、必ずレースに戻る。それまで待っていてくれ。最高の走りをお前達に見せる」
「おう!」
「楽しみにしてるよ、
と俺達はその後も変わらず、たくさんの話をした。
〜史子side〜
「ハァ…」トン
アタシはリビングの外で壁にもたれ掛かっていた。そうなったのはさっきクソガキ共の話を聞いていたからだ。
「アタシはあの子の育て方を間違えたんだろうか…」
あの子を育てるにあたって他のことが疎かになってしまっている。あの子はボウリングなどの遊びや漫画、ゲーム、イベント、遊園地、旅行。他にもまだたくさんのことを知らない。言い方を変えれば“世間知らずのお坊ちゃん”と言えばいいだろうか。とにかく、たくさんのことを知らなさすぎた。
「本当に良かったんだろうか…」
私はあの子を育てる資格があったんだろうか。私はあの子に何かしてあげれたのだろうか────。
ガチャ!
「こんなところで何してんだ?ババア」バタン
と燈馬がリビングのドアを開けて部屋を出る。
「何でもないよクソガキ。いつまで起きてるつもりだい?」
「さあな、日付が変わるまでかもしれない」
「アンタ、そこまで起きれるのかい?」
「…頑張る」
と燈馬が目を逸らす。
「近所迷惑になるようなことをするんじゃないよ」
「わかってる」
と燈馬が風呂場の方へ歩いていく。
「ババア」
と燈馬が振り返る。
「なんだい?」
「俺、必ずレースに戻る。見ててくれ」
『おれ、かならずつよくなってかえってくる。だからみててくれ』
「ッ!」
今の燈馬が昔の燈馬と重なる。
「…そうかい、なら大阪杯で証明してもらおうかね」
とアタシがそういうと燈馬が風呂場へと向かっていった。
「アンタはこんなところで躓いてる暇はないんだよ、クソガキ。早く戻ってきな」
アタシは残るクソガキ共の談笑を横目に自室に戻った。
読んで頂きありがとうございます。
昨日、アヤベさんが実装する前に知り合いの人にガチャを引いてもらったところ、なんとメジロアルダンが出ました!!知り合いには感謝です!!育成やストーリーが楽しみになってきました!!アニバで何がもらえるかも楽しみです!!
次回もお楽しみに!
それでは、また〜