それでは、どうぞ
「時は来た───────。さぁ、行くぞッ!!!」
〜トレセン学園・スズカside〜
「おはようございます。サイレンススズカさん」ニコ
「おはようございます。たづなさん」
季節は巡り、春になった。また新しい学校生活が始まる。新学期ということで多くの生徒が期待を胸にトレセンの門をくぐっていく。私もその一人だ。
「スズカさ〜ん!!」タタタ
「スペちゃん」
後ろからスペちゃん、もといスペシャルウィークちゃんが走ってくる。彼女は私と同じチームスピカのメンバーで私の後輩にあたる娘でとても素直で可愛い娘。
「鞄持ちますよ、スズカさん!」パッ
「あ、ちょ…スペちゃん」
と私の鞄を取って自分の肩にかけるスペちゃん。スペちゃんが私の手助けをしてくれる理由は勿論、私が足の怪我をしてしまったことだ。秋の天皇賞で私は足を怪我してしまい、チームのみんなやトレーナーさんに迷惑をかけてしまった。とても申し訳ないことなのだけれども…。彼女に少し心配なことがあって…。
「スペちゃん、私のことは大丈夫だから…」
「大丈夫ですよ、スズカさん!このままスズカさんの教室まで運びますね!!」
「い、いや…その…」
心配なことというのはスペちゃんが最近、私のことで執着しすぎるということ。手伝いはいらないということではなくむしろ有り難いことなのだけれど、自分のことを疎かにしてないかがとても心配だった。
〜教室〜
「それじゃあスズカさん、昼休みにまた来ますね!」タタタ!
「う、うん…」
と自分の教室へと戻っていくスペちゃんを見送り私は自分の席につく。
「おはよう、スズカ」
「ドーベル…。おはよう」
スペちゃんと入れ替わるように教室に来たドーベル。
「ねぇ、さっきのってスペシャルウィークって娘よね。なんで高等部の教室にいたの?」
「えぇっと、それはね…」
私はドーベルに事の顛末を話した。話を聞いたドーベルは腕を組んで難しい顔をする。
「ねぇスズカ、その娘大丈夫なの?何て言うか自分を見失ってない?」
「自分を…?」
「うん。あの娘、日本一のウマ娘になるっていう夢があるじゃない?その為にトレセン学園わけで、でも今はその面影がないっていう感じがあるのよね」
「そうなの?」
「ここ最近のあの娘、口を開けば『スズカスズカ』って言ってて、友達の子達にもそう言ってたところ見たことあるのよ」
「……」
もしかして、私─────。
ガラガラッ!
「…」トコトコ
「あ、燈馬君!」
「!!」ビク
「…おう」
と燈馬君が遅れて教室に入って来た。
「お、おはよう…!燈馬!」
「おう、おはよう」
と燈馬君は自分の席に着いた。
「燈馬君、この前はありがとうね。プレゼントとっても嬉しかった!」
「……」ポチポチ
「燈馬君?」
燈馬君は席に着くなり、携帯を取り出して操作し始めた。
「ねぇ燈馬君、聞いてる?」
「ん?なんか言った?」
「だから、この前のプレゼントありがとうって」
「プレゼント…?俺、なんかしたっけ…」
と首を傾げる燈馬君。すると燈馬君の携帯が鳴り、燈馬君が携帯を見ると一瞬目を見開き、携帯をしまった。
「あぁ~、プレゼントね。そうそう!ネックレスだったよな、どういたしまして」ウンウン
と燈馬君は頷きながらそう言った。
「う、うん…(なんかいつもと違うような…)」
「みんな〜、席に着いて。ホームルームを始めますよ」
「それじゃあねスズカ、燈馬」
「うん。またね」フリフリ
「お、おう…」フリフリ
とドーベルは教室を出ていった。
「それでは、今日の予定を言います。今日は始業式です。皆さんはホームルームが終わり次第、体育館に集まってください。わかりましたか?」
「「「「はい」」」」
「大事な式ですので、
「へ?」
と燈馬君は面食らった顔をしていた。
「大事な式の時に必ず遅刻しているんですからねキミは。今日という今日は、ちゃんと遅刻せずに集まってくださいね」
「え、えーっと「集 ま っ て く だ さ い ね」は、はい…」
と燈馬君は先生の圧に負けたのか先生の顔を見ながら頷いていた。
「それでは、ホームルームを終わります。皆さんも遅れずに集まってください。では」
と先生は教室を出て行った。クラスメイト達もぞろぞろと教室を出て行く。
「私達も行こっか燈馬君。遅刻すると先生に怒られるんでしょ?」ガタ
「そ、そうだな」ガタ
と私と燈馬君は席を立って体育館に向かう。
「ねぇ燈馬君、今日はなんか変だよ?」
「え。そ、そうか?」
「うん。何というか余所余所しい…というか、落ち着きがない…?というか」
「そうか、な…?俺は普段からこんな感じだろ?」
「……(怪しい)」
今、目の前にいる燈馬君は燈馬君なのだけれども、いつもの燈馬君とは何か違う。雰囲気というかオーラというか、普段の燈馬君とは違う。
「…何かあったの?」
「い、いや!大丈夫だ、大丈夫だから!ね?スズカ…
「
「そろそろ時間だし、行こうか」
「…」
〜体育館〜
ザワザワ、ザワザワ…
「皆さん揃いましたね。式はまだですのでお手洗いに行く人は今のうちに行っておいてください。それと、式が始まりましたら私語は慎むように。それから居眠りもいけませんからね」
「「「「はい」」」」
「私は教員の待機場所にて待機しています。何かあればすぐに私のところに来るように」
と先生は待機場所へと向かって行った。
「……」キョロキョロ
そして、私の隣にいる燈馬君は体育館に着くなりずっと辺りを見渡していた。
「そんなに見渡して何か探しもの?」
「え?」
私は燈馬君に聞いた。燈馬君は一瞬驚いた表情を見せる。
「私も一緒に探そうか?」
「いや大丈夫、別に探し物とかじゃない」
「じゃあ、なんで見渡してたの?」
「えーっと…」
私の質問に黙り込んでしまう燈馬君。
「私には言えないこと?」
「それは────。」
『─────これより始業式を行います。生徒、起立』
「「ッ!!」」
たづなさんの声が聞こえ、全員が立つ。私も少し遅れてから立った。
『ただいまよりトレセン学園、始業式を行います。一同、礼。────着席』
たづなさんの掛け声で全員が礼、着席した。
『まずは理事長挨拶からです。秋川理事長、よろしくお願いします』
「うむッ!!」
と理事長は壇上に上がる。
『諸君ッ!トゥインクルシリーズでの盛り上がり感謝する!新しい季節となり、増々レースへの熱意が上がる時だと思う!だが、レースだけでなく勉学にも力を注ぎ、より良い学校生活を送ってくれ!』バッ!
と理事長は扇子を大きく開く。
『理事長、ありがとうございます。続いて─────。』
ガラッ!!
「理事長ッ!!!大変ですッ!!!」
と一人の男の先生が慌てた様子で入ってくる。
『どうされたのですか?今は式の途中で「トレセン学園に侵入者が!!!」え?』
カラカラ…
と声が聞こえた時、何かが投げ込まれる音が聞こえた。そして─────。
プシュー!!!
「え!?なに!」ガタ
「煙!?どこから!?」ガタ
突然の出来事に生徒みんなが慌てていた。
『皆さん、落ち着いて下さい!!』
「みんな落ち着くんだ!!」
「落ち着け!」
たづなさんやルドルフさん、エアグルーヴが生徒達を落ち着かせようとするが生徒達には声が届いていない。
「燈馬君…。これ…」
と私は燈馬君を見る。
「おいおい嘘だろ…。アイツらが負けた?冗談はよせよ」
と燈馬君が焦った様子だった。
「燈馬君、何がどうなってるの…!」
「これは、ちょっと…。ッ!みんなすぐにここから離れて!」
と燈馬君が叫ぶのと同時に─────。
「ヒャーーーッハーーー!!!!一ッ番乗りィイイイイ!!!!」
ブゥウウン、ブゥウウウウウンッ!!!!
と高々とエンジン音を鳴らしながら体育館に入って来た。
『皆さん!壇上の方へ!避難してください!!』
ドタドタ!!!
たづなさんの声でみんなが動く。私も例外じゃなかった。
「燈馬君、私達も早く行くよ!!」グイ
「え、あ、ちょ…」タタタ
私は燈馬君の手を引っ張って避難した。
読んで頂きありがとうございます。
ご指摘をくださった方々、ありがとうございます。そのご指摘を頂いた中で『エリザベス女王杯やジャパンカップを走ってない』というご指摘を頂きました。それについてはちゃんとした理由があります。じゃあその理由は何?と聞かれると、ここで言ってしまえばネタバレになってしまうので言えません。必ず話の中に入れますのでご安心ください。『NHKマイルカップ、ジャパンダートダービー』については完全に忘れてました。本当にすみません。
これからも応援の方、よろしくお願いします。では次回!
それでは、また〜