俺の好きな人は破滅フラグがあるらしい…   作:とうふ

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 少し遅れてしまい申し訳ありません!
 反省しております故、お許しを……。


10話 譲れと言う空気はお互い様

 本当、びっくりするよね。どのくらいびっくりしたかというと、頭の上に鳥のフンが落ちて、そのタイミングで頭触ってしまった時と同じくらいかな。うん、わかりやすい。

 

 

『ルビア!1ヶ月家にずっといて反省しなさい!』

『まぁ、しょうがないんじゃないかな?』

 

 

 なんていう感じでさ、(勝手に)1週間予定だった自宅謹慎は1ヶ月なんていう長期間。

 確かに10桁はいくであろう花瓶を遊んで割って、さらには約1ヶ月分の課題がやってないまま部屋のゴミ箱に捨てられてたら、そりゃあ怒るよ。

 悪いのは俺。それはわかるし当然。

 それでもさ———

 

「1ヶ月はなくない!?長いよ!?そんだけの間にカップル一組できるよ!?」

 

 1ヶ月ってやばいじゃん!どうしよう!その間は母さんの監視があるから課題をサボれないし、きっと木登りもできない。

 そもそも外出禁止だからカタリナと遊べない。あぁーもうやだぁ。

 

「どうしようもありませんよ。旦那様ですら今回は庇いきれませんでしたし、これが一度目という訳でもないので……」

 

「確かにそうだけどさぁぁぁ」

 

 俺の呟きにメイドのトルが答える。

 確かに俺は花瓶割りの常習犯だ。もちろんわざとじゃない。投げて遊んでたら割れちゃっただけだ。

 課題に関しては俺は悪くない。ただ勉強は俺のやりたいことリストに入ってなかっただけだ。でも、先生の授業はちゃんと聞いてるし別に良くない!?

 

「あぁー、なんとか1ヶ月をもう少し短くできないかなー」

 

「そうですね……態度で示すのはどうでしょう。課題をしっかりとやり、木に登るのをやめ、花瓶で遊ぶのをやめ、夜こっそりチョコレートを食べるのもやめる。それこそ、奥様が望むような模範的な生活を送るのです」

 

「うぅ、嫌味を言ってる?俺の行動をそんなに制限して楽しい?———でもまぁ、それくらいしかないよね。はぁ、やるかー」

 

 そして始まる俺の模範的な生活。

 それは、出来るだけ早くカタリナと遊ぶための欲との戦い。

 

 

 

⬜︎⬜︎⬜︎

 

 

 

「確かに……ここ数日のルビアはまるで改心していて素晴らしいと思います」

 

「母さん……!では、外出の許可を!」

 

「しかし!私はそれでまた問題ごとを起こすのがルビアだと知っています」

 

「ええ!?」

 

 俺が改心した生活を1週間ほど続けていると母さんからそう言われた。しかし何故だか外出の許可はくれない。

 普通ここまで模範的な生活を続けている俺を見たら改心してもう問題ごとを起こさないと思うよね?

 

「————でもここ数日の真面目な生活があったのも事実。だから、友人の家を訪ねる以外の外出の許可を出します」

 

「ほんと!?」

 

 友人の家を訪ねる以外の外出とは。多分クラエス邸とか友達の家に遊びに行くのはダメだけど、町に行くとかはいいよってこと。

 なるほど……。正直みんなと遊びたいからクラエス邸とか行きたいけど、これでも母さんが外に出る許可はくれたからまぁ、よしとしよう。

 

「じゃあ俺これから町に行ってくる!!」

 

「待ちなさい!ここ数日通りの生活を続けないと、本当に家に閉じ込めますからね!」

 

「ええ!?」

 

 喜びのあまりそのまま町に遊びに行こうとしたら母さんから忠告をされる。数日通りの生活って結構きついんだけど……精神的にさ。

 だってさ、出る課題の量だって多いし木登りできないし。うわーやだ!

 

「わかってます!行ってきます!」

 

 上部だけ返事をして自分の部屋へ向かう。

 これできっと母さんは俺に当分は優しいだろう。いや、元々母さんは穏やかな人だけど俺には厳しいんだよ。

 

「さーて、本屋にでも行こうかな〜」

 

 楽しみだとやっぱり動きが早くなる。いつもはめんどくさく思う準備を一瞬で終えて部屋を出た。

 模範的な生活をしていた俺の約1週間の唯一の心のゆとりは読書だった。読書をしていても怒られることはないし、貴族社会では下世話な本と遠ざけられているロマンス小説も面白い。

 ロマンス小説はカタリナの勧めでかなり前から読んでいたが、ここまでロマンス小説が好きになるとは思わなかった。木登りができないとロマンス小説を読むことが娯楽になっていて、最近は『魔性の伯爵シリーズ』が俺のお気に入り。

 ちょうど最新巻が出ていたしそれを買いに行こう。そう思って家を出た。

 

 

 

⬜︎⬜︎⬜︎

 

 

 

 せっかくの久々の外出だったから徒歩で本屋に来た。発売日は一昨日のはずだからもう売り切れているかもしれない。急いで買おう。

 いつもはトルに買ってきてもらっていたから自分で買うのは新鮮な気持ちだな。

 

「どーこだ、魔性の伯爵」

 

 本屋に入り魔性の伯爵コーナーを探す。探してみたら意外とあっさり見つかる。やはり人気なのか目立つ場所に置いてあって残り一冊になっていた。

 最後の一冊とかあぶなー。でもこれで買えそうだな。

 そう思って本に手を伸ばした。

 

「あっ……ええと」

 

「……」

 

 なんとういうことか、最後の一冊の魔性の伯爵を同じタイミングで手に取ってしまう。隣には俺より少し背の低い黒髪の男の子。まさか取り合うような形になるとは。

 

「あの、あなたもこの本を?」

 

「うん、君も?」

 

「あぁ」

 

 お互い確認するがやはり取り合うような状況になる。

 正直譲れない。ロマンス小説は最近の俺の楽しみであって、今日はやっとの思いで外出できたのに目当てのものが買えずに帰るなんて最悪だ。

 そう考えていると先に声を発したのは男の子の方だった。てか俺この子見たことある気がする。

 

「俺は妹のおつかいで来ているんだ。妹は自室に籠ることが多く本をとても楽しみにしている」

 

「あ、そうなんだ」

 

 その男の子は本を買おうとしていた理由を言う。人見知りな俺は淡白な返事しかできなかったが、なかなか深い理由がある様子。

 俺はとりあえず俺も買おうとした理由を話すかにした。

 

「あの、俺は……最近外出禁止にされててその時の唯一の楽しみがこの本だったんだ。俺はこれを読みたい」

 

「……そうか」

 

 相手も淡白な返事をしたが何か考えている様子。うーん。譲る?でもなぁ。最後の一冊ってことは当分入荷されるのは先だろう。それまで待てないし。

 でもそれは相手の妹も同じだろうし。あーどうしよう!

 

「あ、の。ひどいようですけど、そちらはおつかいなら妹さんに買えなかったと言うだけですので、どうでしょう」

 

 遠回しに、いやかなりストレートに『譲れ』と伝えてみた。あっちはおつかいだし俺より買えなかった時のダメージは少ないだろう。俺の場合ショックで模範的な生活ができないかもしれないからな!

 

「だが、妹は楽しみにしている。俺は頼まれている立場だからあなたの方が……」

 

 なんと、相手も対抗してくるようにそう言う。

 そっちの気持ちもそりゃあ分かるよ。でも俺の気持ちだって分かるだろ?

 そしてお互いに少し触れた本から手を離さない。

 

「妹さんはどうな人なんですか?」

 

「とても可愛い。最近では外出をすることを拒んでほとんど外に出ていないから本を読むことが唯一の楽しみになっている」

 

 最初に俺が言った俺の説明のように男の子は言った。そして続けて俺が本を読むようになったきっかけを聞いてきた。

 

「俺は好きな人が勧めてくれて、それで読むようになったんだ。外出禁止と言われてからは本を読むことしか娯楽がなくてね」

 

 そこからはただ雑談をしていた。

 この少年、と言っても俺より一つ年上だったようで伯爵家の後継らしい。名前はニコル・アスカルト。

 

 

—————そう。カタリナの第4の破滅フラグだ。

 

 

 いやぁ、びっくりだよ。本当。

 まさかこんな出会いをするなんてね。どこかで会ったような気がしてたんだけど、多分雰囲気がカタリナの話していた通りだったんだ。

 ニコルの妹は、人とは違う容姿のせいで陰口、もとい悪口を言われ外に出ることがなくなったそうだ。そして元から好きだった読書のためニコルが代わりに買い物を。

 うーん。優しいお兄ちゃんだなぁ。

 

 そして俺の話ももちろんした。カタリナやジオルド。もちろんキースやメアリ、アランのこともね。

 ジオルドとアランとは何度か会ったことがあるようで少し会話が弾んだ。

 

————そして現在。未だお互い本から手を離さず一時間弱。

 

「あの、ニコル?俺そろそろ帰りたいなって思うんだよね」

 

「確かに、俺も予定より帰宅が遅れている。俺も帰りたいな」

 

 お互い帰りたいが、お互い譲らない。頑固だなぁニコルも。俺も頑固だけどさ。

 俺はわざとらしくため息をついてこう言った。

 

「じゃあしょうがないからこの本は譲るよ。その代わりに、妹さんに本をまた貸すと言う条件をつけて欲しいな」

 

「ありがとう。妹には言っておく」

 

 俺が折れて手を離す。そして初めて本が本棚から抜けてニコルの手に渡った。

 あれ?でも待って。ニコルとは仲良くなれたけど妹とは仲良くなってないよね?なのに本を貸してなんて言っていいのだろうか。

 そもそも気まずくなるよね?「誰この人。知らない人に本貸さないといけないの?」ってなるよね。

 えぇ、どうしよう。俺は上手く会話できる自信ないし、やっぱり借りるのやめようかな。

 もう魔性の伯爵の最新巻を早く読むことは諦めよう。

 

「あ、ニコル。やっぱ妹に貸してって言わなくていいよ」

 

「ん?そうか……。なんか悪いな」

 

「いいよ気にしないで」

 

 ほんと気にしないで良いよ。俺に初対面でも友好的に話せる対話能力があればよかった話なんだから。はぁ、読みたかったあ。

 

 

 

⬜︎⬜︎⬜︎

 

 

 

 そして一ヶ月の外出禁止令が終わった時。

 

「あっ!久しぶりですね!ルビア様。こちら新しく読書仲間となったソフィアです!ソフィア、こちらは前お話したルビア様よ」

 

「は、はじめまして……」

 

「あっ、どうも、はじめまして……」

 

 まさか、カタリナを通じてニコルの妹、ソフィア・アスカルト嬢と会う事になるなんて……。

 真っ白の絹の様な美しい白髪(はくはつ)に、ルビーをそのまま写した様な赤い目。確かに他の人とは違う容姿だったがそれでもニコルに似てとても綺麗な人だった。

 

「久しぶりだな、ルビア」

 

「ニコルも元気そうでよかったよ」

 

 久しぶりに来たクラエス邸にはニコル、ニコルの妹ソフィア。この2人がいた。いや、どうしてここ(クラエス邸)にいるんだ。俺のいない一ヶ月に何があった。

 

 キースに聞いてみると、参加したお茶会で同じロマンス小説好きとわかり意気投合して、クラエス邸に招待すると兄のニコルもお供としてやって来たそうだ。

 そして今日も2人は遊びに来て、ちょうどそのタイミングで俺の外出禁止令が解けたということらしい。

 

 なるほど……いや、カタリナ自分から破滅フラグに近づいてない!?

そりゃあ友達ができるのは良い事だし、ロマンス小説の話ができるのはよかったねって思うけどさ、ニコルは破滅フラグなんでしょ!?

 カタリナは破滅フラグ引き寄せすぎじゃね!?

 

「ふぅ、まぁわかったよ。ありがとうキース」

 

 頭の中で色々葛藤していたが、手紙で危機が迫っているなんて話を聞いていないから、きっとこの2人は大丈夫なんだろう。

 それにソフィア嬢とは魔性の伯爵について語れるかもしれない。良い機会だよね。

 

「じゃあ俺もカタリナとソフィア嬢の話に混じって来るよ」

 

()()()()!!ルビア様は僕達とお話をしましょう!(これ以上この人を義姉さんに近づけてはダメだ)」

 

「えぇ!俺も本の話したいのに!」

 

「ルビア、せっかくだ。話をしよう」

 

 キースに誘われ俺はお茶をする事になった。それはいいけど、妙に嬉しそうにウキウキしているニコルが気になる。

 お茶も好きだけど本の話したいよ!だってこの1ヶ月本しか読んでないよ!?ほぼだけど。

 ま、たまには男だけで会話に花を咲かせますか!

 

 

 

⬜︎⬜︎⬜︎

 

 

 

 ルビアが1人寂しく外出禁止になっている時。

 

「キース。僕は君とライバルだと思っています」

 

「えぇ。僕もジオルド様は危険な人物だと思っていますよ」

 

 カタリナ大好き隊がクラエス邸に集まった時。

 カタリナは自身の家にある大木の元、アランと木登りをしている時。

 

「ですが一番危険な人物はルビアだと思うんです」

 

「僕も同感ですね」

 

 大木から少し離れた場所で仲良く紅茶を飲みながら、カタリナ達の様子を見守っている時。

 ちょっと闇深そうに危険人物(ルビア・バルスリア)について語り出す。

 

「まぁ、その話私も混ぜてください」

 

 そのタイミングでクラエス邸に遊びに来たメアリ・ハントが会話に参加。空いている席に座りメイドが素早く用意した紅茶を優雅に飲み始める。

 

「ちょうどいいですね。ここにいる僕達は全員ライバルですが、敵の敵は味方。1番の(ライバル)の対策を考えましょう」

 

 ジオルドがそう言って始まる『ルビアをどうカタリナから遠ざけるか』についての作戦会議が始まった。

 

「まず第一に、2人はとても会話が合います。木登りも、お菓子も、畑も好き。勉強は嫌いで、1番の幼馴染。共通点が多いです」

 

 キースが深刻そうにそう言う。

 そう、2人には共通点が多い。また、破滅フラグもあるので2人だけで文通もしている。

 その状況がもどかしい!カタリナが大好きだから一番近くにいるルビアを遠ざけたい!それが3人の願いだった。

 

「物理的に引き離しましょう。クラエス邸に遊びに来るのなら、近くにいる誰かがルビア様を連れ出すんです。ルビア様は優しいのでついてきてくれるでしょう」

 

「田舎に飛ばすのも考えましたが、カタリナが悲しむと思いますので諦めました。メアリ様の案が一番現実的でしょう」

 

 最後にジオルドが肯定することにより方針が決まった。

 

 『カタリナにルビアが近づけば出来るだけ呼び込み引き離す』

 

 

 これにより、カタリナは

 

「(みんなルビアが好きなのね!優しいものね。私が独り占めしちゃ悪いわ)」

 

 と、ルビアを取り巻く四角関係が存在すると勘違いすることになる。

 

 もちろん、それに気づいた3人が全力で否定したことは想像するに容易いことだった。




最後はルビアを危険視した3人の話ですね。
いつかこの会話にソフィアとニコルとマリアと会長を入れたい‼︎
それが目標。

次回からおそらく騎士団編入ります!投票結果的にさくっとちゃちゃっとが多かったので簡単に終わらせたいですが、どうなることやら。

騎士団設立の話ってどのくらいの長さがいいですか?

  • しっかり、がっつり
  • そこそこ、深く
  • さくっと、ちゃちゃっと
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