俺の好きな人は破滅フラグがあるらしい… 作:とうふ
魔力のところに水『?』とあったと思うのですが、もしこの二次創作が続いた時のためのものなので特に気にしないでください。
「カタリナ。ジオルドとの婚約の話を聞いたよ。おめでとう」
畑仕事をしているカタリナに声をかける。この光景にも慣れてきたものだ。
体調が戻ったカタリナは何を思ったか、畑仕事を始めた。本人が言うには魔力の特訓だそうだ。他にも剣の先生を雇おうとしたり、最近のカタリナは変だ。でも、変だけど面白い。
「ルビア様。ごきげんよう。ありがとうございます」
手を止めてこちらを向いて答えてくれる。
でもやっぱり、本当に最近のカタリナは変だ。いつもならお茶に招待するか俺の腕にくっついて散歩に行くのに。今は笑顔で畑を耕している。まぁ、さすがに婚約者ができた身では無闇に腕にくっつかないだろうが。
「カタリナ。今は何をしているの?俺も手伝いたいな」
かがみこんでカタリナがいじっていた土を見る。
そこはつい最近まで綺麗に整備されていた綺麗な庭でなく、農民が作るような本格的な土へと変わっていた。
まさかここまで一瞬で畑に変わるなんて、想像もしてなかった……。
「え⁉︎よろしいのですか!人手が足りず困っていたんです」
「カタリナ様!ルビア様にそのようなことをさせてはいけません!」
カタリナのメイドが声をかける。
俺としては手伝わして欲しいけど。こういうのは割と得意だし、やってみたいという思いは強い。
「いや俺はやってみたいです。カタリナいい?」
「はい!もちろんです——って、あっ!!」
笑顔をこちらに向けたと思ったら、急に慌てたような表情に変わる。そのままその場をくるくると忙しく周る。
真剣な顔のまま俺の存在をないものの様にくるくると何周も周る。
俺はかがみこんだまま、カタリナを見た。
「どうしたの?カタリナ。困りごと?」
「ええ!すっかり忘れてたんです。着替えてくるので、いつもの客間で待っててください!」
そう言ってカタリナはメイドと(おそらく)自分の部屋行ってしまった。たぶん服を着替えるのだろう。カタリナのメイドは俺にお辞儀をした後、全力ダッシュのカタリナを追いかける。———大変そうだな。
「ルビア様。案内いたします」
執事が俺の元へ来て客間に案内する。
今のカタリナはどんな用件で俺を呼んだんだろう。前だったらお茶の誘いだろうが…。
本格的に畑を手伝ってもらうための講座とか?それとも新しい趣味を俺に共有したいのか。
今のカタリナはなにを考えているのか全く読めなくて、一緒にいて楽しい。
「ふはっ」
「どうされました?ルビア様」
「いや、なんでもない」
ついつい笑い声が漏れてしまったようだ。気をつけなければ。
まぁ、悪いのは俺を笑顔にさせてしまうカタリナだけど。
「ルビア様。お待たせいたしました」
俺が客間でだらだらしていたら綺麗なドレスに着替え終わったカタリナが来た。さっきまでほっかむりをかぶっていた姿とはまるで別人の様な姿に俺はまた笑みが溢れた。
「そんな待ってないよ。何か話があるみたいだけど…?」
「そうなんです!相談事があって……アン。悪いけど外で待ってくれる?」
カタリナは室内にいた人を外に追い出すと、真剣な顔で俺の目を見てきた。
そんなに見つめられると、恥ずかしい。もしやこれは告白?婚約者のできた身でありながら俺のことを好きになってしまったのだろうか?
って!なんて恥ずかしい妄想を!カタリナに申し訳ない…。
「ゴホン……えっとー。相談事って?」
赤くなったであろう顔を払拭させるために一つ咳払いをしてカタリナの方を見る。まだ熱は冷めなくて目を見ることはできなかったが。
「えっとー。なんというか、これは嘘だと、信じてもらえないと思うのですが……もし信じられないのなら戯言だと思って聞き流してください!」
俺はうなずきカタリナの話を聞いた。
何分経っただろうか。10分?それとも30分?もしかしたら1時間かもしれない。まぁ、時計を見れば解決することなのだが。
とりあえず、長い様な短かった様な時間の中で話されたカタリナの話はどれも信じられる様なことじゃなかった。
「あの……信じられますか?」
「え————うん。信じるよ」
いやー、面白い話を聞いたよね。
カタリナが独自に集めた情報は、カタリナのゲーム?とか言うやつの記憶と同じなのだとしたら信憑性は高い。そして第一にや宰相の息子ニコル。彼は今のところカタリナと接点はないはずだ。噂程度で知っていたとしてもここまで詳しく知るはずがない。だから、とても信じられる話ではないけど、信じることにした。
「話してくれてありがとう。言いたいことはわかった。カタリナは俺たちがその…乙女ゲーム?とか言うやつのキャラクターだと言いたいんだよね。そして、そこで悲しい結末になるカタリナを助けて欲しいという」
「迷惑なのはわかっているんです。でも、私1人じゃ心細くて…もちろん断ってくださっても結構です」
そう言ったカタリナの方をチラッと見ると明らかにテンションは下がっていて暗い雰囲気を漂わせていた。断ったらガッカリするだろうなー。うーん。カタリナが悲しむのはやだし、断る理由もない。
まっすぐ前を向いてカタリナの目を見る。
「もちろん協力する!俺を頼って!これからよろしく」
俺は右手を差し出した。その手を握ってくれるか心配だっがカタリナは迷わずその手を掴んでくれた。
「ありがとうございますっ!ルビア様!」
暗くなっていた表情も眩しいくらい明るくなり、俺の手を握ったあとカタリナはその場をぴょんぴょんと跳ねた。———楽しそう。
「俺も跳ぶっ!!」
そして俺たちは手を繋ぎながらその場をぴょんぴょんと跳ねた。
⬜︎⬜︎⬜︎
「信じるよ!」
当然のことの様に笑顔でそう言ったルビアは私によろしくと言って協力を約束してくれた。
さすが人気トップのキャラクターね。一瞬その眩しすぎる笑顔で倒れそうになったわ。
「ルビア様っ!早速ですけど私の破滅対策を説明しますわ!」
「おっけー!」
もう辺りは暗くなり始めているけど、私は構わず話を始めた。
ルビアも暗くなっていることに気が付いているだろうが、無邪気な笑顔で楽しそうに私の話の続きを待っている。
あれ…?そういえば、私の年齢は17+8歳だけどルビアはまだ8歳。正真正銘の子供。って事は私はこんなに幼い子供に相談をしているってことー!?
盲点だったわ。ルビアは頭のいいキャラだったから忘れていたけど、まだ無邪気な8歳の子供。こんなに年下に相談するなんて情けない…。
けどまぁ私の破滅フラグに打ち勝つにはしょうがないわね。情けない気持ちは一旦捨てて協力してくれたことに感謝しなくちゃ。
「—— リナ。カタリナ、急にぼーっとしてどうしたの?説明は?」
「すみません!えっと、続きから話始めますね」
「うん!」
ルビアは大きく頷いて目をキラキラさせた。なんでそんなにウキウキしてるのかしら?
「魔法学園でマリア・キャンベルを主人公としたゲームという話はしましたよね。そして、今1番身近な危険要素はジオルド様です」
「ジオルド…?」
「ええ。ゲームでのジオルド様はやってくる女性の防波堤として私と婚約をしますが、明るい主人公に惹かれて恋に落ちます」
「へぇ〜」
興味津々な様子なルビア。楽しそうにしてくれて何よりだわ。
「そこで、婚約者であるカタリナは邪魔になるのです。カタリナは主人公をよく思っていなかった為、主人公を虐めていました。そこからルートは二つに分かれます。ハッピーエンドでカタリナは犯罪紛いな嫌がらせをしたとして犯罪者として身分剥奪と国外追放。バッドエンドで嫉妬から主人公をナイフで襲ったカタリナはジオルドに返り討ちに遭い死亡」
「そんなの!カタリナに幸せがないじゃないか!」
「そうなんです‼︎」
やっぱりルビアは分かってくれたわ!
私はそのままルビアの手を取って横に振り回した。それに乗っかる様にルビアも合わせてるんるんしてくれた。
ルビアとは気が合うわね!
「私の考えでは婚約解消と、もしもの時のための剣と魔法の腕前を上げることを取り組もうとしています」
「なるほど!それで畑を耕しているんだね」
「ええ。婚約解消は今のところ話を切り出さないでいるのですが…ジオルド様の色恋の邪魔をしないとアピールに取り組もうともしています」
「うん。いいと思う。じゃあ俺はカタリナの魔力と剣の特訓を手伝うよ。後、ジオルドにはカタリナが悪い子じゃないアピールをするね」
「ありがとうございます!」
一通り話がまとまった後コンコンと部屋がノックされた。
私が返事をし、中へ入ることを許可するとアンが入ってきた。
「カタリナ様。もう外は日が落ちますので今日のところはこれでお開きにするのがよろしいかと。ルビア様の迷惑にもなりかねません」
窓の外を見てみるともう辺りはほぼ真っ暗だった。
もう何時間も話し込んでしまったみたい。ルビアには申し訳ないことをしたわ。
「ルビア様。こんなに引き留めて申し訳ございません。それと、今日のことは内密でお願いします」
「もちろん。明日も来てもいい?」
「もちろんですわ!」
こうして、ルビア様と明日の約束をして今日はお開きとなった。
⬜︎⬜︎⬜︎
「カタリナ〜!」
「ルビア様!」
畑で土いじりをしていたカタリナに声をかける。この行動にも慣れたものだ。
俺は、ここ数日クラエス邸に毎日来ている。俺的にはもう第二の我が家だ。
「今日は自分の剣と魔法の本。後、動きやすい服を持ってきた!」
「さすがですルビア様!まずは私の魔力の特訓である畑作業をしましょう!」
俺はちゃちゃっと着替えてもう一度畑へ向かう。流石にカタリナほど楽な服ではないが運動には向いている服を持ってきた。これで畑作りに力を入れられるだろう。
「まず、土を耕すんです。元々は庭だったのでこれは毎日していますね」
くわを俺に渡しながら説明をしてくれた。もう既にカタリナが耕し尽くした畑は2人でやったこともあり一瞬でふかふかの土になった。苗はまだ届いていないらしく、畑はすることがなくなり次は俺の魔力の特訓となった。
カタリナは自分の魔力の特訓だけすればいいものの、「平等じゃない!」と言って俺の魔力の特訓も付き合ってくれることになった。
まだ専門的な指導者がいないらしく、カタリナ独自の特訓らしいが。
「えっとー。これが俺の魔力の特訓?」
「えぇ!ルビア様の魔力は水ですよね。水と対話と考えても、なかなか思いつかなくて、なんとか絞り出したんです!」
俺の手に握らされたのは簡易的な竿。そしてバケツ。目の前にはクラエス邸の小川。
「もしかして、釣りをするの?楽しそうだけど…」
「水と対話が釣りだという自信はないのですが、水と触れ合う事はできます!とりあえずやりましょう!」
綺麗に整えられているクラエス邸は小川に魚が泳いでいる。その姿はとても健気で今から餌で釣られるなんて思ってもいないだろう。
俺は釣りなんてした事ないが、楽しみだ。
「カタリナ!せっかくだし勝負しない?どちらが多く魚を釣れるか」
「いいですわね。正直自信ありますよ」
そして始まった釣り対決。制限時間は決めてないがおそらく1時間もしないだろう。
「1匹捕まえたっ!」
「えぇー‼︎」
開始5分にしてカタリナは1匹目を捕まえる。なんでペースなんだ。もしかしてカタリナは経験者なんじゃないか?なら俺の方が不利だ!
「カタリナ!コツを教えてよ!どうやったら魚が食いつくの?」
「ふっふーん。無心で待つことがコツですよ」
カタリナはそう言ってまるで仏のような表情をした。まさに無心。
達人のような技を見せられ俺は真似て取り組んでみた。
無心 無心 無心 無心。
ビクッと竿が引っ張られた感覚があり俺は思いっきり竿を引っ張る。
「おりゃぁー!——よぉーし!1匹目!」
「なぬっ!早いっ!」
これでカタリナと並んだ!
驚いてるカタリナを置いて俺はこのまま2匹目3匹目と釣ろう。
そう思って魚を竿から外そうとした時。
ビュンっと魚が俺の手を振り払うかの様に動いた。その勢いで魚は川は落ちる。
「うっわぁぁ!」
「ルビア様⁉︎」
な、何と表せばいいのだろう。手にまだ残るぬるっとした魚の感覚。それがビュンってぎょろっと目まで動いて…
「カタリナ……」
「はい?」
「———俺、魚怖い」
魚釣り対決は魚がダメだった俺の負けとなりカタリナは俺の魔力の特訓を新しいのを考えてくれることになった。今でも残るあの気持ち悪い感じ。考えただけでも寒気が。
「今からは剣の特訓をしましょう!剣の先生はまだいないですけど、練習用の木剣は用意ができてるんです」
「俺も木剣は持ってきたよ。俺はもう習ってるから基礎なら教えられるよ」
軽く木剣をトントンと地面にしながらカタリナにそういった。父さんが「男なら女性を守る人となるべき」と言って4歳の頃から剣を習い始めたが先生にも絶賛されるほど腕前には自信がある。基礎を教えるくらいなら俺でもできるだろう。
「本当ですか!?じゃあお願いします!」
「まずは素振りから!素振りはね———」
剣の特訓も終わり今日の予定が一通り終わる。時間に余裕ができればそのあとお茶を少し飲んで雑談したりする。
そんな平和で楽しい毎日が続いた。
「ルビア様!大変です!」
昨日はクラエス邸に来なかったから、その間に何かあったのだろう。カタリナが忙しく俺の元に来た。
「第二の破滅フラグが‼︎」
それは突然とやってきた。
【次回】義弟と友達‼︎